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XRPレジャーのメインネットで利用可能な機能

2023/06/19に公開

XRPレジャーとは

XRPレジャーはBitcoinやEthereumなどと同じ分散型のパブリックブロックチェーンです。ビットコインの初期コントリビュータを含む3人の開発者により2012年に開発され、PoWやPoSとは異なる独自のコンセンサスアルゴリズムが用いられています。

XRPレジャーではトランザクションはプロトコルネイティブであり、開発者が個別にNFTやDEXなどを機能を構築することなく、利用することができます。

XRPLの機能

XRPレジャーやXRPと聞くと、多くの人が送金機能に特化したブロックチェーンと認識しているかもしれません。しかし、実際にはXRPレジャーには多くの機能が備わっており、DEXはもちろんNFTなどの機能もメインネットで利用可能となっています。
この記事ではXRPLのメインネットで利用可能な主要な機能を簡単に紹介します。

アカウント

XRPLのアカウントにはさまざまな設定を行うことができます。

レギュラーキー

アカウントの代替キーとして他アカウントのキーを利用することが出来ます。この代替キーに紐づくアカウントは、基本準備金によるアクティベートが行われている必要はありません。
レギュラーキーを利用することでアカウントに直接紐付くマスターキーを利用することなく、トランザクションへの署名が可能となり、マスターキーの流出リスクを軽減することができます。レギュラーキーはいつでも変更・解除することができます。

マルチシグ

アカウントに最大32人のマルチシグ署名者を設定することができます。レギュラーキーと同様にこれらのアカウントは、基本準備金によるアクティベートが行われている必要はありません。
マスターキーを無効化し、マルチシグのみを利用可能とすることでトランザクションを送信するためには複数人の署名が必要となり、悪意を持った署名者による不正送金を防ぐことができます。

メタデータ

アカウントに対し、DomainやEmailHashなどのメタデータを設定することができます。これらのメタデータはアカウントの情報を表すものであり、アカウントの所有者が任意で設定することができます。
これらの情報はパブリックなものであるため、サービスの提供者がアバターの表示等に利用することが可能です。

https://xrpl.org/ja/accountset.html#domain

チケット

事前にシーケンス番号を確保することで同一タイミングで複数のトランザクションを送信可能とします。

https://xrpl.org/ja/tickets.html

Payment

XRPLの送金機能はXRPの直接送金だけでなく、その他様々な送金方法があります。
基本的なPaymentである、XRP to XRPやToken to Tokenの説明は省略します。

クロスカレンシー送金

送金側と受取側がの通貨が異なる送金を行うことができます。この送金では通貨の変換に使用するDEXペアの指定は必須ではなく、指定しない場合は送金側と受取側の通貨のペアの流動性が自動的に利用されます。

https://xrpl.org/ja/cross-currency-payments.html

PathFinding機能を利用し、送金経路を取得・指定することで、DEXペアの指定を行い、より最良なレートで送金を行うことができます。

https://xrpl.org/ja/paths.html#pathfinding

Check

Checkは小切手支払いに近い機能であり、送金側がCheckを作成後、受取側は任意のタイミングで資金の受け取りまたは拒否を行うことができます。
受取側は送金元の身元やその金額を確認してから資金を受け入れることが可能になります。

https://xrpl.org/ja/checks.html#checks

Escrow

Escrow機能では、送金側が資金をEscrowへロックし、後日特定の条件を満たした場合に受取側が資金の受け取りを行うことができます。

https://xrpl.org/ja/escrow.html

Payment Channel

Payment Channel機能では少額の単位に分割可能な「非同期」のXRPを送信し、後日決済することができます。
新しいレジャーが作成され検証済みになることを待つことなく、即時に支払い行なったり、トランザクションコストに近いような非常に少額な支払いを行うことができるようになります。

https://xrpl.org/ja/payment-channels.html

Token

XRPLのトークン機能では規制に準拠した形で安全にトークンを発行/管理することができます。

トークンの発行

トークンの発行アカウントとその通貨を信頼(トラストラインの設定)しているアカウントに対して、トークンの送金を行うことができます。
第三者間での送金時に徴収する手数料を設定することができます。

https://xrpl.org/ja/trust-lines-and-issuing.html

発行者による保有者の制限

発行者が許可したアカウントのみがトークンを保有することができるように設定することも可能です。
発行者によるKYC済みのアカウントのみがトークンを保有するようなユースケースに対応できます。

https://xrpl.org/ja/authorized-trust-lines.html

トークンの凍結

不正な動きをするアカウントが現れた場合にそのアカウントから第三者への送金を禁止することができます。また、規制当局からの指示などを受け、発行したトークンを保有する全ユーザを一括で凍結することも可能です。

この凍結は発行者が発行したトークンに対してのみ行うことができ、他の発行者やXRPへの影響はありません。

https://xrpl.org/ja/freezes.html

入金制限

未認可の第三者からのXRP/トークンの入金を禁止することができます。認可するアカウントを明示的に指定することで、そのアカウントからの入金を許可することができます。この機能はPaymentトランザクションでの入金を禁止するもので、Check機能による明示的な受取りを禁止するものではありません。

https://xrpl.org/ja/depositauth.html

DEX

XRPLのDEXでは、グローバルな流動性を持つDEXを利用し、より低コストでトークンの売買を行うことができます。

注文

DEXへの注文情報は全てオンレジャーに記録され、誰でもその注文を見ることができます。
フラグを変更するだけでFOK注文やIOC注文として作成することができます。

https://xrpl.org/ja/offers.html

オートブリッジング

DEXを利用したXRP以外の2通貨間での取引を行う場合、直接ペアに加え、XRPを中間通貨とした2ペアの流動性も自動的に使用されます。
つまり、USDをEURへ変換する場合、USD/EURに加え、USD/XRPとEUR/EURの流動性も使用されます。

これはUSD/XRPへの流動性提供者は、XRP->USDの取引だけでなく、USD->EURやBTC->USDなどの数多くのペアに流動性を提供していることになります。

https://xrpl.org/ja/autobridging.html

NFT

ミント/売買

XRPLではクリエイター個人個人がコントラクトを開発する必要なく、JavaScriptやPythonのコードのみでNFTを発行することができます。
また、他者に送信権限を与える(Approve)必要なく売買することが可能です。売買時のロイヤリティは販売者や購入者が指定することはできず、発行者がミント時に指定したロイヤリティが強制的に徴収されます。

https://xrpl.org/ja/non-fungible-token-transfers.html

ブローカー

マーケットプレイス事業者は、販売者のNFTの送信権限を持つことなく、売買の仲介を行うことができます。
ブローカー手数料も徴収することができますが、これは販売者の売却希望額と購入者の購入希望額の差額を徴収するものであり、販売者や購入者が望まない手数料を徴収するものではありません。

https://xrpl.org/ja/non-fungible-token-transfers.html#ブローカーモードを使用する場合

まとめ

執筆時点でメインネットで利用可能な機能について簡単にまとめました。ここではそれぞれ深くは紹介出来ませんでしたが、ドキュメントを読んだりして実際に試してみてください。

また、メインネットではまだ利用できない機能も多くあります。例えばAMMやスマコン機能、DIDなどです。これらはコミュニティにより開発が進められており、今後のアップデートで利用可能になることが期待されます。

https://zenn.dev/tequ/articles/xrpl-dev-features

興味を持たれた方はXRP Ledger開発者のDiscordチャンネルへ是非お越しください!
日本語チャンネルもありますので、英語ができなくても大丈夫です!
https://xrpldevs.org

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