統計検定1級の合格体験談(勉強方法・試験当日の実況など)

2023/12/20に公開

統計検定1級の合格体験記

はじめまして、てけと申します。

2023年11月に実施された統計検定1級に合格したので、合格するまでに勉強したことや、試験当日の体験などを振り返って書いてみようと思います。

後述するように、私はかなりギリギリの合格だったかと思います。X(旧Twitter)を見ていると統計ガチプロの方々が目覚ましい成績で合格しておられるので、私ごときが語ってよいものかとも思いますが、これから統計検定1級を受験しようと思っている方の参考になれば幸いです。

なおご存じの方も多いかと思いますが、統計検定1級は統計数理と統計応用の2つの試験からなります。統計応用では4つの専門分野(人文学、社会科学、理工学、医薬生物学)の中から一つ選ぶことになるのですが、私は社会科学を選択しました。

統計検定1級に受かるまでの勉強

筆者のレベル

私は経済系の修士課程に在籍しており、金融工学を専攻しています。そのため、基礎的な微積分の計算や確率分布の扱いに関しては比較的慣れている方だと思います。

一方、統計検定の内容と密接に関連する計量経済学や統計学に関しては、学部科目や基礎的な大学院科目を履修した経験があるものの、授業それ自体ではそれほど深く理解するまでは到っていません。研究でも、いわゆる推測統計学の知識や手法を使うことはないため、別途勉強が必要な状況でした。

なお、統計検定1級の勉強を始める時点で、統計検定2級と統計検定準1級には合格していました。そのため、統計検定1級への足掛かりとなる知識の蓄積はある程度あったと思います。

筆者の勉強方針

統計検定1級の勉強自体は、申し込みを終えた10月頃から始めました。「せっかく統計検定準1級まで合格したのだから受けてみよう!」と突然思い立ったので、開始はかなり遅いと思います。

また、10~11月にかけて色々と忙しくなかなか時間が取れなかったので、対策にはあまり時間をかけられませんでした。公式の過去問題集を購入し、2022年、2021年、2019年の3年分の問題だけを解きました。

先述したように、微積分や確率分布に関する扱いには慣れていたので、計算でごり押しができる問題に焦点を当てました。2022年であれば、統計数理の問2や問3、統計応用(社会科学)の問1などです。

一方、推測統計に関してはからっきしダメで、統計検定2級・準1級でも苦手としていた分野であったので、なるべく避けて通ることを意識しました。幸いなことに、統計検定1級では出題の比重はそこまで大きくなかったので、なんとかなるだろうという精神で突き進みました。本来であればこれらも入念に勉強して臨むべきかと思いますが、時間が無かったが故の苦肉の策でした。

なおインプットに関しては、定番の教科書である『現代数理統計学』のほか、統計検定準1級のワークブックも役立ちました。主要な内容が章ごとにコンパクトにまとめられているので、知識の振り返りとして使えると思います。

試験当日の実況中継

午前:統計数理

統計数理・統計応用とも、試験時間90分で5問のうち3問を解く形になります。そのため、1問当たり30分程度で解くのが標準的なペースになります。統計数理では、例年前半の大問は計算でごり押しできることが多いため、当日も前のページから眺めて解けそうな問題を物色していきました。

問1を見てみると、ポアソン分布を題材とした問題となっており、少なくとも前半の小問はシグマ計算でごり押しができそうでした。そのため、まずこの問題から取り組むことにしました。
導出を丁寧に書きすぎたせいで、計6つある小問のうちの[1]で15分費やしてしまうという失態をしてしまいましたが、[4]までの計算は比較的スムーズにできました。推定量の一致性を示す[5]に関しては不等式評価が思いつかず、[6]に関してはそもそも用語の意味が分からなかったためスルーしました。ここまでで30分強だったと思います。

その後は問2と問3を行ったり来たりしながら解いていく形になりました。問2の[1]のグラフの描画に関しては、どこかのテキストで見たことがあるような気がしたものの、最後まで概形を掴むことができませんでした。また[2]の変数変換に関しては、やり方を忘れてしまったので解くことができませんでした。
しかし、[3]に関しては独立して解くことができる設問であったので、無事答えを導くことができました。[4]の手法の記述に関しては、何となくイメージはつかめたので、それっぽいことを書いておきました。なお、問2の出来が悪そうなため、問2の代わりに一応計算でゴリ押せそうな問5を解くことも検討しましたが、[1]で躓いてしまったため断念しました。

問3に関しては、モーメント母関数に関する記憶があいまいで最初は上手く解き方を掴めませんでしたが、大問全体に目を通すことで流れを掴むことができました。特にこの大問は具体から抽象へと話が進んでいたので、逆を辿っていくことで方針がなんとなく理解できました。一部記述のミスがあるものの、[4]までは概ね解くことができ、[5]はh=0の場合のみ示して終わりました。

午後:統計応用(社会科学)

午後に関しても、まずは前半の大問から目を通していきました。過去問を解いているときに必ず選択していた問1に取り組もうとしたところ、[2]でデルタ法という文言を見つけました。記憶の片隅にはあるものの、解き方を完全に忘れてしまっていました。後ろの小問も解けそうになかったので、ここで断念しました。

問2はパレート分布の問題でした。パレート分布に関する計算はしたことが無かったのですが、ある程度計算でゴリ押せそうだったので、一旦キープ。
問3はARモデルに関する問題で、ここで問われている期待値の計算やマルチンゲールに関する小問は私の専攻である金融工学でも馴染みのある話だったので、選択することにしました。
また問4は基礎的な回帰分析に関する話であり、計算量も少なく解けそうだったので、これも選択。振り返ってみると、私にとってはかなりラッキーな問題でした。
最後に問5を見たところ、かの有名なモンティ・ホール問題を題材としていることは一目でわかりましたが、設問の雲行きが怪しかったためスルーしました。結果として、問2、問3、問4を選択しました。

問2に関しては、[1]は記述に不備があるものの答えは出すことができました。[2]では条件付確率の公式を忘れてしまったものの、答えから逆算して導出過程を書くことで数式を示すことができました。ただし[3]と[4]に関しては問題の意図がつかめず解答できませんでした。

問3に関しては、[2]まで解くことができましたが、こちらも[3]と[4]は断念する形となりました。問4に関しては、[3]で計算ミスをしてしまったものの、計算は基本的に解ききることができました。[4]の考察に関しては、問題そのもののつかみどころが無く、あまり的を射たことを書けませんでした。

統計検定1級の合格ラインについて

試験終了後に、公式で発表される略解と照らし合わせて自己採点を行いました。体感としては、以下の通りでした。仮に大問内で各設問が同じ配点だとすると、統計数理は約62%、統計応用は約50%の得点率だと思われます。

統計数理
問1 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]△ [5]✕ [6]✕
問2 [1]✕ [2]✕ [3]〇 [4]△
問3 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]〇 [5]△

応用統計(社会科学)
問1 [1]△ [2]△ [3]✕ [4]✕
問2 [1]〇 [2]〇 [3]△ [4]✕
問3 [1]〇 [2]〇 [3]△ [4]✕

統計検定1級に合格した方の体験談を見ていると、5~6割程度の出来でも合格したという話をちらほら見かけます。個人的な体感としては、統計数理は6割ほど、統計応用(社会科学)は5割ほどが合格のボーダーラインなのではないかと思います。SNSのタイムラインなどを見ていると、両者ともこのあたりの得点に受験者が集中していそうです。小問1つ分のわずかな差で合否が分かれるケースが多々ありそうなので、実力が特筆して抜きんでていない限りは運要素も強いのではないかと感じます。

これから勉強する人へのメッセージ

最後に、これから統計検定1級の勉強を始める方に向けて伝えたいことをまとめました。

基礎的な計算力を軽んじない

統計数理・統計応用とも、私の場合はほぼ微積の計算で押し切った感があります。2023年に限らず、例年微積やシグマの計算で小問の大半が解ける大問が必ずあるので、これらを限られた時間で解ききるという訓練は積んでおくべきだと思います。

部分点を狙いに行く

私の体感や他の方の合格体験談などを踏まえると、統計検定1級では途中経過に対しても部分点を積極的に与えてくれる印象があります。たとえ答えにたどり着かなくても、分かることを文字に起こしておくというのは一つの有効な戦略だと思います。

また先述した通り、統計検定1級では前半の設問が解けなくても後半の設問が独立して解ける場合が多々あります。行き詰ったら諦めるのではなく、解けない部分は一旦飛ばし、解けそうな小問はないか探すという意識を持っておくと良いかと思います。

とりあえず受験してみる

統計検定1級のような資格試験において、自信が無くてもまずは受けてみるという姿勢はとても大切だと改めて実感しました。私の場合、推測統計を始めとする試験範囲の大半が仕上がっておらず、かなり不安を抱えた上での受験でしたが、結果として合格することができました。

統計ガチプロの方々を見ていると恐々としてしまうこともあるかと思いますが、まずはチャレンジしてみることをおすすめします。

以上、これから統計検定1級の受験を検討している方の参考になれば幸いです。

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