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OPC UAの情報モデルを理解する
OPC UAの情報モデルを理解する
はじめに
OPC UA(Open Platform Communications Unified Architecture)は、産業オートメーションやIoTで広く利用される通信プロトコルです。その中でも 「情報モデル」 は、OPC UAの重要な概念のようなのでドキュメントとOPC UAクライアントツールを触りながら学習しました。
本記事では、OPC UAの情報モデルを理解し、どのように設計・活用すべきか をまとめています。
1. OPC UAの情報モデルとは?
OPC UAの情報モデルは、システム内のデータやデバイスの構造を標準化し、統一的に管理するための仕組み である。デバイスやプロセスの情報を、オブジェクト指向のアプローチ で整理・表現しているようだ。
📌 情報モデルの特徴:
- 一貫したデータ表現: すべてのデータは「ノード」として表現されている
- 階層構造: オブジェクト、変数、メソッドが明確な関係性を持つ(特にデータモデリングする時に重要な要素となりそう)
- 拡張性: カスタムデータ型やオブジェクト型を定義可能
- 相互運用性: 異なるメーカーのデバイスやシステム間で統一されたデータ管理が可能
2. OPC UAの情報モデルの基本構成
OPC UAの情報モデルは、「ノード (Node)」と「参照 (Reference)」の組み合わせ で成り立っているそう。
(1) ノード (Node)とは?
ノードは、OPC UAアドレス空間における基本的な要素であり、以下のような種類がある。
ノードクラス (NodeClass) | 説明 |
---|---|
Object | システム内の実体(例: センサー、機械)を表す |
Variable | データ値を保持する(例: 温度、圧力) |
Method | クライアントが実行できる操作(例: 開始、停止) |
DataType | 変数のデータ型を定義(例: Float, Boolean, 構造体) |
ReferenceType | ノード間の関係を定義 |
View | アドレス空間の特定のサブセットを提供 |
(2) 参照 (Reference)とは?
参照は、ノード同士を結びつける関係 です。例えば、
-
HasComponent
:オブジェクトとその構成要素の関係 -
HasProperty
:変数やオブジェクトが持つプロパティの関係 -
HasTypeDefinition
:ノードがどの型定義 (TypeDefinition
) に基づいているかを示す
3. OPC UAの情報モデルの設計ベストプラクティス
(1) 階層構造を活用する
データの整理には ツリー構造 を活用すると、クライアントが探索しやすくなる。
Objects
├── Factory1
│ ├── LineA
│ │ ├── PLC1
│ │ │ ├── TemperatureSensor
│ │ │ │ ├── Temperature (Variable)
│ │ │ │ ├── Unit (Property)
✅ メリット: クライアントがデータを探索しやすい
ObjectType
) を活用する
(2) オブジェクト型 (- 同じ種類のデバイス(例:センサー、モーター)には、共通の
ObjectType
を定義 - 新しいデバイス追加時も統一された構造を維持可能
Types
├── ObjectTypes
│ ├── TemperatureSensorType
│ │ ├── Temperature (Variable, Float)
│ │ ├── Unit (Property, String)
ReferenceType
) を適切に使う
(3) 参照 (- 親子関係 (
HasComponent
)、プロパティ (HasProperty
)、型 (HasTypeDefinition
) を適切に活用
Boiler1 (Object)
├── HasComponent → TemperatureSensor (Object)
│ ├── HasProperty → EngineeringUnits (Property)
│ ├── HasTypeDefinition → TemperatureSensorType (ObjectType)
✅ メリット: データの意味的関係を明確にする
AccessLevel
) を適切に設定
(4) アクセス制御 (- クライアントごとに異なるアクセス権限を設定
-
ReadOnly
,ReadWrite
を適切に割り当てる
Temperature
├── AccessLevel: ReadOnly (一般クライアント)
├── AccessLevel: ReadWrite (管理者クライアント)
4. まとめ
OPC UAの情報モデルは、
✅ デバイスやシステムのデータを一貫性のある形で整理するためのフレームワーク
✅ 「ノード」と「参照」を活用し、柔軟なデータモデルを設計可能
✅ 適切なベストプラクティスを適用することで、スケーラブルで相互運用性の高いOPC UAアドレス空間を構築できます。
💡 結論: OPC UAの情報モデルを理解し、適切に設計することで、データ管理の効率化とシステムの拡張性を向上させられる
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