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OPC UAの情報モデルを理解する

2025/02/06に公開

OPC UAの情報モデルを理解する

はじめに

OPC UA(Open Platform Communications Unified Architecture)は、産業オートメーションやIoTで広く利用される通信プロトコルです。その中でも 「情報モデル」 は、OPC UAの重要な概念のようなのでドキュメントとOPC UAクライアントツールを触りながら学習しました。

本記事では、OPC UAの情報モデルを理解し、どのように設計・活用すべきか をまとめています。


1. OPC UAの情報モデルとは?

OPC UAの情報モデルは、システム内のデータやデバイスの構造を標準化し、統一的に管理するための仕組み である。デバイスやプロセスの情報を、オブジェクト指向のアプローチ で整理・表現しているようだ。

📌 情報モデルの特徴:

  • 一貫したデータ表現: すべてのデータは「ノード」として表現されている
  • 階層構造: オブジェクト、変数、メソッドが明確な関係性を持つ(特にデータモデリングする時に重要な要素となりそう)
  • 拡張性: カスタムデータ型やオブジェクト型を定義可能
  • 相互運用性: 異なるメーカーのデバイスやシステム間で統一されたデータ管理が可能

2. OPC UAの情報モデルの基本構成

OPC UAの情報モデルは、「ノード (Node)」と「参照 (Reference)」の組み合わせ で成り立っているそう。

(1) ノード (Node)とは?

ノードは、OPC UAアドレス空間における基本的な要素であり、以下のような種類がある。

ノードクラス (NodeClass) 説明
Object システム内の実体(例: センサー、機械)を表す
Variable データ値を保持する(例: 温度、圧力)
Method クライアントが実行できる操作(例: 開始、停止)
DataType 変数のデータ型を定義(例: Float, Boolean, 構造体)
ReferenceType ノード間の関係を定義
View アドレス空間の特定のサブセットを提供

(2) 参照 (Reference)とは?

参照は、ノード同士を結びつける関係 です。例えば、

  • HasComponent:オブジェクトとその構成要素の関係
  • HasProperty:変数やオブジェクトが持つプロパティの関係
  • HasTypeDefinition:ノードがどの型定義 (TypeDefinition) に基づいているかを示す

3. OPC UAの情報モデルの設計ベストプラクティス

(1) 階層構造を活用する

データの整理には ツリー構造 を活用すると、クライアントが探索しやすくなる。

Objects
 ├── Factory1
 │   ├── LineA
 │   │   ├── PLC1
 │   │   │   ├── TemperatureSensor
 │   │   │   │   ├── Temperature (Variable)
 │   │   │   │   ├── Unit (Property)

メリット: クライアントがデータを探索しやすい

(2) オブジェクト型 (ObjectType) を活用する

  • 同じ種類のデバイス(例:センサー、モーター)には、共通の ObjectType を定義
  • 新しいデバイス追加時も統一された構造を維持可能
Types
 ├── ObjectTypes
 │   ├── TemperatureSensorType
 │   │   ├── Temperature (Variable, Float)
 │   │   ├── Unit (Property, String)

(3) 参照 (ReferenceType) を適切に使う

  • 親子関係 (HasComponent)、プロパティ (HasProperty)、型 (HasTypeDefinition) を適切に活用
Boiler1 (Object)
 ├── HasComponent → TemperatureSensor (Object)
 │   ├── HasProperty → EngineeringUnits (Property)
 │   ├── HasTypeDefinition → TemperatureSensorType (ObjectType)

メリット: データの意味的関係を明確にする

(4) アクセス制御 (AccessLevel) を適切に設定

  • クライアントごとに異なるアクセス権限を設定
  • ReadOnly, ReadWrite を適切に割り当てる
Temperature
 ├── AccessLevel: ReadOnly (一般クライアント)
 ├── AccessLevel: ReadWrite (管理者クライアント)

4. まとめ

OPC UAの情報モデルは、
デバイスやシステムのデータを一貫性のある形で整理するためのフレームワーク

「ノード」と「参照」を活用し、柔軟なデータモデルを設計可能

適切なベストプラクティスを適用することで、スケーラブルで相互運用性の高いOPC UAアドレス空間を構築できます。

💡 結論: OPC UAの情報モデルを理解し、適切に設計することで、データ管理の効率化とシステムの拡張性を向上させられる

参考文献

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