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なぜ未経験でエンジニアになるのがむずかしいのか 〜メンターのホンネ Vol.1〜

2022/07/28に公開

はじめに

未経験からエンジニアになりたい人へたくさん面談をしてきました。未経験からエンジニアになるのはそんなに簡単なことではありません。けれど、ある考え方を身につけた方は、無事にエンジニアとしてのキャリアをスタートさせていきました。TechTrainでたくさんの方と面談する中で気づいたこと、実際にエンジニア採用に携わる中で発見したことをお伝えします。

   

プロフィール

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犬塚 眞太郎

大学院を経て2019年にクックパッド株式会社 研究開発部リサーチエンジニアとして新卒入社。主に自然言語処理を用いた分析、機械学習モデルの構築、デプロイを担当。現在はレシピ事業開発部でのサーバーサイドエンジニアとして、Ruby on RailsやJavaを用いたiOSアプリのAPI実装を通して「つくれぽ」による新たな体験の創造に取り組んでいる。検索・推薦が好き。

TechTrainメンター詳細ページ:
https://techtrain.dev/mentors/124

  

なぜ未経験エンジニアを採用しづらいのか

エンジニア候補者向け求人の中で「未経験OK」のものは、実はあまり多くありません。採用する側としては、育成や研修に時間をかける余裕がない場合が多く、じっくり時間をかけるよりもすでにできる人を採用する方が楽だからです。エンジニアとして実務経験を積みたいけれど、未経験では雇ってくれる会社がない。そんな困った悪循環に陥ってしまう人も多いことでしょう。

運よく未経験で雇ってくれる会社を見つけたとしましょう。けれどそこであなたは会社に「私を雇うべき理由」をなにかしら示さなければなりません。そこで示すものは「やる気」や「今後の成長性」になるでしょう。なぜならあなたには現状なにも「実績」がないからです。

この状態って、一見すると「詰み」の状態にも見えます。けれどそんなむずかしい状況の中でも、未経験でありながらエンジニアとしてのキャリアをスタートしていった方が何人もいました。ときどき「エンジニアになるにはセンスが必要」といった意見もあります。ただ、私がそういった方々を見ているうえではどうしても「センス」といったものが必要には感じられませんでした。少し考え方や向き合い方を変えるだけで、だれでもエンジニアを目指すことができるのです。

  

とにかくはじめる

実は「未経験エンジニア」が未経験を脱するのって、そんなにむずかしくないんです。なぜかというと、インターネット上には「エンジニアになるため」の教材や資料が山のようにあるからです。本当にプログラミングをまったくやったことがない「未経験」と、自分で調べてチュートリアルや教材を試した人の間には、天と地ほどの差があります。

エンジニア候補者を採用する側は 本当にプログラミングを仕事にしたいと思っているなら、自分で調べるでしょ? という考えがあります。少し検索してみれば、エンジニアになるためには大学を出たり、プログラミングスクールに通ったりする必要はなく、自分で調べたり教材を読んだりすれば十分だとすぐわかるはずです。そうやって自分から動いたあなたはちゃんと「やる気」や「今後の成長性」を示せているはずです。採用側は、そういうところを見ています。

  

じぶんで調べる

そうはいってもなにからはじめたらいいのかわからない。そういう声もたくさん聞きます。初心者のうちはたとえばJavaとPythonのどちらを学んだらいいのかわからないこともあるでしょう。でも個人的にはもうなんでもいいと思っています。プログラミングを学ぶのに実は言語はそれほど関係ありません。一度ある言語でしっかりプログラミングの基礎を学んでいれば、別の言語を習得するのは実はそれほどむずかしくありません。JavaとPythonは英語と日本語ほどには違わないのです。

とにかく調べてみて、興味を持ったチュートリアルや教材を片っ端から試してみる。そして「なんかおもしろくないな」「なんか違うな」と思ったらやめて次をやる。そんな姿勢で大丈夫です。けれどその中でも大事なのが「じぶんで調べて試す」ことです

なぜ「じぶんで調べて試す」ことが大事なのでしょうか。それはこの考え方がエンジニアの日々の仕事に直結するからです。エンジニアとして働く中で私はほとんど「じぶんで調べて試す」ことに時間を使っています。ある要件が与えられたら、その解決法をとにかく調べて試すのです。調べるのはインターネットだったり既存のコードだったり同僚だったり過去のじぶんのメモだったりします。その中から「これだったら使えそうだぞ」というものを見つけ出してきます。そしてやっとコーディングに取りかかれます。

ずいぶんと非効率なやり方に見えるでしょうか。けれど私はこの方法以外で仕事しているエンジニアを見たことがありません。いわゆる「すご腕エンジニア」と呼ばれる人の中には、要件を聞いた瞬間にすばらしい解決法を思いつく人もいます。けれどその人が思いついた解決法は、過去に調べて試したけどそのとき使わなかったものの場合が多いです。そうやって引き出しをどんどん増やしていくことで、エンジニアとして成長できるのです

  

なにか作ってみる

エンジニアになりたいのならなにか作ってみよう」と言われた方も多いでしょう。いわゆる個人開発というやつですね。私は自社の採用面接の中でこの 「じぶんで調べて試す」力がきちんとあるかどうかを見ています。 正直なところチュートリアルや教材を一通りやるだけならだれでもできます。けれどそこから個人開発しようとすると、どうしても 「じぶんで調べて試す」ことが必要になってきます。インターネットで調べてコピペしただけでは動かない。きちんとどう動いているか考えて「コードを書く」必要がある。個人開発をしていると、そういう困難に何度もぶつかります。

でもそれは何度も言いますが、エンジニアとして働くのにすごく大事な考え方なのです。そういう考え方をできているあなたは、もし「未経験」であっても私はきちんと評価します。こういう考え方ができているかどうかは成果物とコードを見ればなんとなくわかります。

  

エンジニアとして成長する人とは

そういう考え方を身につけてほしいので、私はすぐ答えを教えません。TechTrainでの面談やインターン生のメンターをしているとよく「ここがわからなくて」と質問を受けます。そこですぐに解決法を教えることはできますが、それは絶対にやりたくないのです。そんなとき私はよく「○○という単語で検索してみるとよいですよ」とか「✗✗のコードを見てなにか気づくことはないですか」といったようなアドバイスをします。エンジニアとして働きはじめると、すぐ答えの出ない問題がいくつもあります。そんなときでも 「じぶんで調べて試す」ことができるようになっていれば、なんとかして解決法を見つけ出せる ものです。

そういった方とたくさん面談してきたのですが、その中でも「エンジニアとして成長していった人」にはある共通点がありました。それは 「じぶんで調べて試す」ことを楽しんでいることです。一度その方に「問題が発生しているのになぜそんなに楽しそうなのか」と聞いたことがあります。その方は「謎解きとかゲームみたいで楽しい」と話していました。これもまたエンジニアとして働くのに大事な考え方のひとつです。「楽しい」という思いは本当に大きなパワーを持っています。 なぜなら「じぶんで調べて試す」ことがまったく苦にならないために、どんどん引き出しを増やしていけるからです。

  

まとめ

この記事では主に「未経験エンジニアとして働くのがなぜむずかしいのか」と「エンジニアとして働くうえで身につけておきたい考え方」について書きました。ここまで読んだ方はわかったとおり、エンジニアになるために特殊なスキルは必要ありません。少し考え方を変えるだけで、だれでもエンジニアとして働けるようになるはずです。ぜひじぶんで調べて試すことを楽しむことを目標に、エンジニアを目指していってもらえたらうれしいです。応援しています。

  

TechTrainとは

TechTrainはプロのエンジニアを目指す方のスキルアップとキャリア支援の場です。Webフロントエンド・バックエンドなど、各技術分野ごとに必要な素養を路線マップのように俯瞰しながら、着実に開発を進めることができる実践型開発ドリルが用意されています。さらには業界で活躍する現役社会人エンジニアがメンターとなり、実践的なメンタリング、カリキュラムを提供します。

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