モバイル通信の訳のわからない大文字たちを理解したい IMSIとかMSISDNとか
携帯電話でモバイル通信すると、楽しいことがたくさんあります
モバイル通信の代表的な識別子といえば電話番号ですが、SORACOMなどを利用していると急にIMSIとかIMEIとかICCIDとかMSISDNとか大文字たくさん並べて初心者を怖がらせてきます
この記事で理解を整理してみましょう
たくさんある識別子の関係性
親切で簡単な図を用意してみました
それぞれについてもう少し掘り下げてみます
MSISDN
MSISDN と聞いたら、電話番号のことだと思ってください
Mobile Station ISDN Numberの略です [1]
国番号(日本なら 81)付きの電話番号はモバイル通信の世界ではこのように呼ばれるみたいです 難しくてかっこいい
012-3456-7890 という電話番号があれば、MSISDNは 811234567890 になります
通常の電話はもちろんのこと、固定電話や国際電話、またSMS送信先の識別子としても使われます
以後の識別子は、前述のMSISDNと違ってモバイル通信の利用者が意識しない部分になります
IMSI
IMSI と聞いたら、モバイル通信の契約のことだと思ってください
International Mobile Subscriber Identityの略です
これはモバイル通信の契約ごとに発行されるIDのことで、MSISDN(電話番号)と1:1で紐づけられる内部的な識別子のようなイメージです
キャリアを変えても電話番号を維持できる「電話番号ポータビリティ(MNP)」は、MSISDN(電話番号)に紐づけられるIMSI(内部識別子)などが変わることで実現するみたいです
携帯電話の番号はIMSIのポインタだったんですね 目からウロコです
ICCID/EID (SIM ID)
ICCID、EID と聞いたら、SIMカードを連想してください
ICCIDは IC Card ID、EIDはeUICC ID[2]の略です
SIMには大きく2種類、物理SIM(SIMカード)と仮想SIM(eSIM)とがあるわけですが、前者にはICCID、後者にはEID[3]が割り当てられます
それぞれ別の規格の識別子ではあるのですが、どちらもSIMを識別するためのものと括れるのでまとめて SIM ID と呼ぶこともあるようです
IMSIとSIM IDとの紐付けは、IMSIをSIMに書き込むことで実現されます
通常は1つのSIMにつき1つのIMSIが書き込まれますが、複数の回線を契約した場合それらのIMSIを1つのSIMに書き込むこともできます
スマートフォンだとデュアルSIMや物理SIMとeSIMの併用によりサブ回線を実現することが多いですが、SIMカード1枚でも複数契約を扱えるようになってるんですね [5]
IMEI
IMEIと聞いたら、携帯電話を連想してください
IMEIは、International Mobile Equipment Identifier の略で、Equipmentは要するにハードウェアのことです
スマートフォンで言うところのモデムがこの情報を持っているみたいです
他の識別子と比べてそこまで活用の機会があるものではなく、不正利用端末をネットワークから締め出すときなどに使われるみたいです
まとめ
今回紹介したものはモバイル通信の世界の中での全て識別子でした
1つの表にまとめて改めて紹介します
識別子 | 身近な例え | 主な用途 | 紐付け |
---|---|---|---|
MSISDN | #️⃣ 電話番号 | SMSや電話の通信先として | キャリア側でIMSIと紐付けて管理 |
IMSI | 📑 契約 | モバイル通信ネットワークへの認証時の識別子として | SIMに書き込み紐付け |
ICCID/EID | 💾 SIM[6] | 契約↔︎端末の関係性を結ぶ媒体 (SIM) の識別子として | 物理的に接続[7] |
IMEI | 📱 端末 | ネットワークから見たハードウェアの識別子として | - |
最後に、無愛想で複雑な図をこの記事の別表現として置いておきます
この宇宙を受け入れてください
おまけ: ついでにiPhoneの情報を完全に理解する
海苔弁
この記事を書いた後だと、iPhoneの設定アプリの「情報」に書いてあることが完全に理解できて気持ちがいいです
eSIMの端末を利用しているのでEIDなども出てますね
項目名 | 説明 |
---|---|
Wi-Fiアドレス | いわゆるMacアドレス |
Bluetooth | Bluetoothの識別子 |
SEID | Secure Element ID. NFCチップの識別子 |
MEID | 3G通信用のIMEIみたいなものらしい |
良いモバイル・コミュニケーション・ライフをお過ごしください
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じゃあISDNは何かというと、 Integrated Services Digital Network という通信方式です Ethernetと同じカテゴリの技術 ↩︎
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ICCIDが19桁なのに対してEIDは32桁あり、これからのIoT時代のユースケースを見据えた拡張がなされています ↩︎
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じゃあ UICC(Universal IC Card)って何かというと、SIMカードの物理的な仕様を定めた規格です UICCにSIMアプリケーションをインストールしたものをSIMカードと呼びます ↩︎
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SIMカード実は色々面白くて「SIMアップレット」というJavaアップレットを動かせる仕組みも搭載してるみたいです エンタープライズのニーズ ↩︎
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SIMカードの絵文字って存在しないんですよ フロッピーディスクで間に合わせています ↩︎
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SIM IDは仕組み上IMEIとの紐付けは必要とされていないみたいですが一応と都合して管理することもできます(別の端末にSIMを差し替えられることを防ぎたい時など) ↩︎
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