続OLSK60とGH60互換ケースのいろいろ
この記事はキーボード #1 Advent Calendar 2024 の12日目の記事です。
はじめに
こんにちは。techmechです。
昨日はmassさんの「デュアルトラックボール+LCDタッチディスプレイ付きキーボードについて」でした。omni CS 47はモジュールてんこ盛りでいて、その洗練された操作感に圧倒されておりましたが、記事の方も読みごたえがありました。特にタッチディスプレイについては私含め気になっている方が多かったのでは?
本日は私techmechが鋭意開発中のOLSK60R2(仮)とGH60互換ケースについてつらつらと書き連ねようかと思います(先に謝っておきますが、時間が..... 後日もし追記されたら改めてお読みいただけると嬉しいです....)。
Ortholinear(オルソリニア)配列とは
私は自作キーボード入門が、今は亡き Planck EZ だったのですが、それ以降すっかりOrtholinear(オルソリニア)配列に魅了されて使い続けています。キーが格子状に配置されるオルソリニアは独特の魅力がある一方、(おそらく)ユーザーの絶対数が少ないために、オルソリニアに興味を持っている人や愛好家の皆さんの中には下記のような課題を抱えていらっしゃる方もいるのではないかと考えています。
- オルソリニアのカスタムキーボードが少ない
(KeychronからオルソのQ15MAXが出たり、世の中の認知度は少し向上した?) - キー数が多めのオルソリニアの所謂自作キーボードが少ない
(キー数少なめのキットは様々あるが、個人的には移行コストが低いと考える60%サイズ以上のキットが少ない) - キーキャップが標準では対応しておらず、オルソキットが別途用意されないことも少なくない
(この状況はいまもあまり変わらない?むしろオルソキット少なくなった?Yuzu Custom Keycapsという選択肢もあるが...)
また、私はあまり感じませんでしたが、一般的には慣れるまでに時間と熱意が必要と感じる方も少なくないのかもしれません。
[宣伝] OLSK60R2とは
上記のような状況に対し、毎日使っていく際に、(ANSIではなく)オルソリニアのキーボードでも色々なケースやキーキャップで装飾することで外観を楽しみたいとの思いから、OLSK60を開発しました(2022)。
OLSK60はオルソリニア配列でありながら、標準のキーセット(GMKやePBT,PBTFans等でいうところのBase Kit)のみでキーボードが組めるようなキーキャップのサイズを採用し、また多様なケースに装着できるよう、GH60互換ケースに装着可能な仕様にしました。
もう一つ特徴として、アルファキー部分中央に一列空きがあり、この空隙によりオルソリニアが初めての方でも比較的なじみやすい(キーの位置を把握しやすい)ようになっているのではないかと個人的には感じてます。
初版のOLSK60はすでに販売終了となっているのですが、さらに改良を施し、ポインティングスティック(所謂、某社製品の場合のトラックポイント)を搭載し、部品はすべて実装済み、ケースへのマウント方法も改良したOLSK60R2を現在開発中です!
来年初めてキーボードマーケットトーキョー2025というイベントに参加します。まだ開発が完了していませんがOLSK60R2をそこで販売予定です(間に合うはず....?)。この記事やXでのツイートを見て少しでも興味を持たれた方は、是非ご来場いただき手に取って触ってみてもらえると嬉しいです!
なぜGH60互換ケースのはなし?
前置きが長くなりましたが、このような背景があり、以前私は60%キーボードをほぼOLSK60を載せるためにいろいろ買ってきました。ただ、GH60互換ケースといっても厳格に仕様が決まっているわけではなく、現物を確認してみるといろいろと差異があり、寸法やUSBコネクタ穴の位置など買ってみて気付くことも少なくありませんでした。最近Wooting60HEの大ヒットのおかげで、絶滅寸前だった60%ケースも最近だいぶ増えてきたので、本日は60%トレイマウント型ケースの特徴についてご紹介し、OLSK60だけでなく、GH60互換PCBに興味がある方の参考になればと思い、私の気にしている点を共有できればと思います。
GH60互換PCB設計の際の注意点
注意点1:コネクタ位置 (Wooting60HEとGH60の差異)
Wootingのおかげで60%ケースが激増したのは良いのですが、実はUSBコネクタ位置に差異があるため、Wooting専用品をGH60互換PCBに利用したい場合は注意が必要です。
下図を見るとわかるのですが、実はGH60とWooting60HEでは、USBコネクタ位置が異なります。
Wooting60HE
GH60(JP60)
さらにPCBをケースの中央に厳密に設置することを意識すると、PCBサイズの考慮も必要です。
Head | Wooting60HE | GH60 |
---|---|---|
PCB 長辺長さ | 283mm | 285mm |
PCB 短辺長さ | 94mm | 94.6mm |
PCB端面からUSBコネクター右端までの距離 | 22.1mm | 22.7mm |
上記二つの要素を考慮すると、ケース壁面からコネクター右端までの長さの差異は0.43mmになります。
コネクター用の開口部が広いタイプのケースであれば、問題にならないかもしれませんがコネクタサイズにFITした形状だと結構この際は厳しいです。
ちなみに後で紹介するTofu60 Redux Caseはこの差異を吸収する構造となっていて素晴らしいです!
注意点2 : ケースのスタンドオフの位置
この問題も厄介で、過去の経験上スタンドオフの位置が合わなかったケースは無いのですが、スタンドオフのサイズ(直径)が様々なため、余裕をもってスタンドオフの受け部分を用意せねばならないだけでなく、そもそもスタンドオフの位置と、キースイッチが被らないようにキー配列を検討しなければなりません。設計する場合。
ちなみに今は亡きBoardwalkという有名なGH60互換キーボード(PCB)があるのですが、たしかこのキーボードは一部のスタンドオフとスイッチが干渉してしまう為、5Pinスイッチの場合足を切ったりいろいろ対応が必要だったはずです(なので私はガスケットマウントケースに搭載)。
注意点3 : ケース側面のPCB保持用の突起
下の写真はTofu60 Redux Caseのものですが、ケース長辺の壁面にPCBを保持するための突起があるものが多いです(終売のBlade60などは無い)。GH60互換PCB、特に独自な配列のキーボードを設計する際には注意が必要で、ソケットとこの突起が干渉する場合があります。ただこの問題への対処は比較的簡単で、スタビライザーの位置は注意が必要ですが最下段のキースイッチを南向きに、最上段を北向きに設置してあげれば少なくともソケットが干渉することはありません。
現在入手が容易なGH60互換もしくはWooting60HE対応ケース
KBDFANS Tofu60 Redux Case
老舗のKBDFANS製のトレイマウント型ケース。価格も$59~と大変リーズナブルで品質管理もしっかりしているのでGH60互換キーボードのケースとして調達する際に最もお勧めなケースだと思います。
以降はみんな大好きAliexpressで見かけたケースを紹介していきます。
Taitan60
トレイマウントケース。Wootingが公開しているプラケースのデータをベースにしてる? USBコネクタの穴が小さそうに見えるので、Wooting以外で使う際はよく確認が必要かも
AB60
AB60 カラーバリエーションあり、良さげだが、USBコネクタ穴 がピッタリのサイズに見えるので、搭載PCBと穴位置が合うか要確認かも
名称不明(Wooting60HEライクなアルミケース)
買ってみたら内寸がOLSK60(GH60互換サイズ)ではぎりぎりのサイズでした。
堕落猫さんのGPK60シリーズや私のOLSK60は搭載が難しそうです。
名称不明(Wooting60HEライクなアクリルケース)
国内ではアクリルでこういう構造のケースはみたことないけど中国では結構あるのかな?
RT60
Keebox RT60 カラーバリエーションあり、WootingのAlumaze60ライクなケース。USBコネクタの穴が広めなので汎用性高そう?
KBDFANS Tofu60 2.0 Case
トレイマウントケースではないですが... Tofu60 Reduxと同じく、老舗のKBDFANS製の60%サイズのガスケットマウント/ドーターボード仕様のケースです。OLSK60他、USBラインを取り出せるようになっている60%キーボードであれば、トッププレートのデータが公開されているので利用可能です。価格以上の仕上がりだと個人的には思うのでこちらもお勧めです。ながらく在庫が補充されず、39%OFFで販売中となっているので、もしかしたら終売なのかもしれません(私は予備を一つ買っておきました)。
DRK-601R
こちらもガスケットマウントケースで、Wooting60HEをはじめとした60%磁気スイッチキーボードと、従来のGH60互換のメカニカルキーボード両方へ対応を謳ったケースです。見た目が個性的で気になってる。
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