キーボードに個性を出すひと手間について
この記事はKEEB_PD Advent Calendar 2021 の10日目の記事です。
はじめに
こんにちは。techmechです。
昨日はalgさんの「革紐まきまきメソッドについて」でした。
文具感が増す素敵なカスタマイズでしたね。
本日は私がキーボードを組み立てるときに実施している、ひと手間について書こうと思います。
キーボードの興味を持って一年ちょっと、当初は設計どころか半田付けすらやるつもりがなかったので (なので初購入は完成品のPlanck EZ)、設計したり、ガッツリ組み立てたりする以外の何かしらの形で自作キーボードのコミュニティーに参加したいと考えていました。そこで、たまたま出会ったKEEB_PDに参加し始めました。
参加当初は皆さんが自設計のキーボードや、高級カスタムキーボードの写真を載せている中で、どのようなキーボードの写真で勝負するか悩みました。
考えた結果、今回ご紹介するような、お手頃なキーボードにひと手間かけて、ちょこっと人とは違う仕上りにすることを始めました。
KEEB_PD参加履歴
私は今年の2月ころからKEEB_PDに参加していますが、最近は参加人数も増え、海外からの参加もあり、様々な写真を見ることができて毎回楽しいです。
私は写真をすべてiPhoneXで撮っています。撮影環境は貧弱ですが、ひと手間かけたキーボードのインパクトで頑張りました。
ちなみにお気に入りの一枚はこの写真です。
初自作のOLSK60というキーボードに、小道具として、オルソリニアのキーボードを周囲に配置して撮影しました。
何気に29回も参加しており、R49以降は毎回参加してます。思っていたほど「いいね」が増えない場合もあれば、意図せず「いいね」をたくさんいただく場合もあり、難しいです...
ちなみにこちらの写真で、初めて優勝しました!この時はGRIN-TypeRの注目度+屋外撮影の力で、みなさんの興味を惹く写真が取れたのではと考えています。
ひと手間⓵ トッププレートの装飾
それでは、具体的に実施している「ひと手間」をそれぞれ紹介していきます。
最初はトッププレートの装飾についてです。
きっかけは、たしかHanachiさん(@haswellep)のツイートを拝見し、触発されてやったよう記憶してます。家にSurface用の外装保護シートの余りがあったので貼ってみたら、思いのほか(すこし派手ですが)よい感じになりました。一般的なカッティングシートに比べたら割高ですが、模様のバリエーションが魅力です。
ひと手間⓶ ケースの塗装
もう一つの工夫として、ケースを塗装して印象を変えてます。
各塗料について、一般的なアルミケースの表面処理(兼染色)に使用されるアルマイト処理と比較してどのような特徴があるか簡単に列挙してみました。
Cerakote (セラコート)
きっかけは、GezmoEngennering のGK6 というキーボードでした。
セラコートという塗料で黄色に塗装された筐体に一目惚れし、購入しようとしました。
また、セラミック+コーティングを連想させるようなネーミングの塗料もも非常に気になりました。最初はKickStarterで出資の募っていたのですが、目標未達でキャンセルになってしまいました。手に入らないと思うと欲しくなってしまうのが人間というもの....
(ちなみにGK6は、のちにGBが実施され無事購入しました)
そこで、同じセラコートの取り扱いがある業者さんを探し、塗装を依頼してみました。
メリット
- 色の再現性が良い。また選択肢が多い。
(アルマイトは色の再現が難しく、色の選択肢も(塗料に比べると)少ない) - 通常の焼き付けを行うグレードのほかに、常温で施工できるグレードもある。
(樹脂へも塗装可能?まだ試したことはないです。) - 基材にストレスを与えない。
(陽極酸化処理をする場合、多孔質の酸化物層と引張残留応力を生成する(そうです)。)
https://www.cerakote.com/cerakote-vs-other-coatings/anodizing - 強い耐摩耗性(少なくとも、処理条件の怪しいアルマイトより強固です!)
ASTM D4060 による耐摩耗試験 [セラコート社Webサイト]
(https://www.cerakote.com/resources/documents)より
デメリット
- コストが高い
- 塗膜が薄い為、色によっては下地の色の影響を受ける場合もある。
施工例⓵
- 塗装対象:Preonic Case
- 塗装色 :CORVETTE YELLOW
- その他 :半艶仕上げ
初めて塗装したPreonicのケースは、CORVETTE YELLOW という色で塗装しました。
施工としては、塗装業者でサンドブラストでアルマイトを除去後、塗装し焼き付けを行っています。施工前にこの色だと下地の色が若干透けて見えることがあるかもと言われていましたが、そんなことも起こらず、満足のいく仕上りでした。
施工例⓶
- 塗装対象:JJ50 Case
- 塗装色 :MIL SPEC O.D. GREEN
- その他 :艶消し仕上げ
二回目は違う業者さんへ依頼しました。一点のみ少量の塗装も快く引き受けてくださり、打合せや問い合わせにも細かく対応いただけて、非常に信頼できる業者さんでした。
(下記の紛体塗装もここに依頼しました)
この時塗装したケースは、届いた際に状態があまり良くなく(アルマイトが数か所剥げていたり...)、販売元とひと悶着合ったのですが、解決しそうになかったので塗装することにしました。
丁寧な施工で今回も非常に満足な仕上がりでした。
ただ一点想定外だったのが、艶消し塗装は非常に汚れが付きやすい....
次回以降は半艶仕上げにしようと思いました。
パウダーコート
二回セラコートで塗装したので、次は違う塗装方法を試してみようと思い、パウダーコートを依頼してみました。キーボードでよく見かけるE-Coatingとは施工方法と膜厚が異なります(膜厚はE-Coating より厚め)。
メリット
- 色の再現性が良い。また選択肢が多い。
- 基材にストレスを与えない。
- 塗膜は厚みと柔軟性を有し、基材の膨張等に対しても耐久性が高い。
(キーボードにそこまで必要ないですが...)
デメリット
- 塗膜が厚く、精密なディティールが損なわれる。
- 導電性、耐熱性のある基材しか塗装できない。
施工例⓷
- 塗装対象:XD60 Case
- 塗装色 :KTM Orange
- その他 :光沢仕上げ
私が良く購入するKPrepublicのケースは、運が悪いのか、毎回傷があったり問題ありの製品が届くのですが、最近は塗装前提なのであまり気にならなくなってきました...
今回は面取りが不十分な個所が散見されたので、面取りしてから塗装に出しました。
ちなみにパウダーコートはいろいろな塗料があり、通常の塗料以外に下地の金属色を活かすようなキャンディー塗料や、塗膜に凹凸を持たせるような塗料、ラメを分散させたような塗料など種類が豊富です。前回のセラコートで艶消し仕上げで苦い思いをしたので、今回は光沢仕上げとしました。
施工にあたり注意点として、塗膜が厚めなため基材の精密なディティールは失われます。下記ツイートのケースのメーカーロゴ部分が埋まってしまっているのが確認できます。
塗装依頼の留意点など
基本的には大型の一点もの(自動車塗装など)や、大量発注、試作後の量産が前提のところも多いと思います。ちゃんと前提条件を提示したうえで見積りを相談されることをお勧めいたします。
また依頼する業者さんの業態として、自社で塗装を行うところと、委託して外部で塗装する会社さんがいらっしゃると思います。私の場合は自社で塗装を行う(サンドブラストと塗装の両方を自社で施工可能な)会社さんに依頼するようにしてます。
その他、塗料用意の為にイニシャルコストがかかります。もし塗装に興味のある方がいらっしゃったら、Twitter でお声がけいただけると嬉しいです。複数人で塗装する色について意見が一致すればですが、同時に同色での塗装を発注することで費用を抑えて塗装できないかなぁなど、たまに考えることがあります。
その他ひと手間
屋外で撮影したり、小道具を並べてみたり、ちょっと変わったキーキャップや、あまり周りがやっていない組合せ、市販品のオプションを使用してみたり....
直近だとこれが、思いのほか興味を惹いたみたいです
一方で、気に入っているこちらの写真は反応がイマイチでした...トッププレートのデコレーションは簡単に出来ます。塗装も依頼するだけなのでお手軽でおすすめです。アルマイトが一部剥げてしまったケースなんかを、ちょっと研磨してから塗装に出してみるのも良いかも。
モノによってはちょっと費用が掛かりますが、販売されているものにひと手間加えることで、個性が出てさらに愛着がわくこと間違い無しです。
これらの実施には何のスキルもいらないので、自分で設計はできないけどキーボードにちょっと個性を出したい。しかも実用に耐えうる仕上がりにしたい場合に、上記手段は非常におすすめです。
さいごに
つい最近カメラを購入したので、諸先輩方の記事にある撮影手法を参考に、来年はカッコいい写真を撮れるよう頑張ってみようと思います!
この記事はAtlas(Everglide AquaKing 55g/MT3 Susuwatari)で書きました。
それでは、また!
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