detached HEADを意図的に再現して検証：fast-forward

毎日gitは使うのですが、detached HEAD など普段あまり使わない操作をした際の備忘録メモとして、そしてSourceTree上とTerminal上の表時に違いがあるのか？など一度じっくり比較/観察したかったので検証しました。

環境

pc：MacBook Pro（2019）
os：macos Sequoia
Git：2.49.0
SourceTree：内蔵 Git 2.46.0

検証目的

• HEADの仕組みと挙動を理解するために、意図的に detached HEAD状態 を作成
• TerminalとSourceTreeでの表示の違いを観察
• 実務で使う機会は少ないが、Git内部の動き理解のために有益
• 「意図的にdetached HEAD」「git push origin HEAD:main」は実務では稀だと思います（今回はdetached HEAD を検証するため）
• fast-forward がどのように発生し、どのように統合されるかを段階的に検証

検証内容

• main ブランチでローカルコミット → push
• HEAD~0 に checkout → detached HEAD状態へ移行
• 分離状態で変更 → commit → git push origin HEAD:main
• main に戻ってもローカルの HEAD はリモート（origin/main）より1コミット遅れているが、履歴は直線的で分岐していない
• main は origin/main より1コミット遅れているが、履歴が直線的に繋がっているため、git merge origin/main を実行すると fast-forward マージ が行われる

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🔗 関連記事：「detached HEADを意図的に再現して検証：non-fast-forward」
https://zenn.dev/tech_mw/articles/58623069e633b2

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fast-forward

• fast-forward（早送り）マージとは、現在のブランチが遅れており、かつ分岐がない直線的な履歴である場合に、単純に先に進める形で統合できる状態
• 今回のように、detached HEAD で更新した変更を先に push し、その後 main に戻ると、main は origin/main より1コミット遅れている状態になる。 ただし履歴は分岐していないため、git merge origin/main を実行することで fast-forward マージが行われ、ポインタを進めるだけで履歴が直線的に統合される。

detached HEADで更新 → push → mainブランチでfast-forwardマージ

（main）ファイル作成 + add + commit

1. $ echo "local" > file.txt
2. $ git add .
3. $ git commit -m "first commit"

• リモートにはまだpushしていないため HEAD → main が先に進んでいる状態

HEAD → main
origin/HEAD, origin/main

（main）push

1. $ git push

• リモートpush済。HEAD → main、 origin/HEAD, origin/mainが同じコミットIDを参照している状態（同じ位置）

HEAD → main、origin/HEAD, origin/main

detached HEAD + HEADでファイル更新 + add + commit

1. $ git checkout HEAD~0 # 現在の HEAD が指しているコミットに そのままチェックアウト
2. $ echo "local(HEAD） update" >> file.txt
3. $ git add .
4. $ git commit -m "HEAD(detach）to file update"

• HEADとmainが分離した事が確認できる
  • （Terminal上での表示）HEAD → main ではなくHEAD と main に別れている
  • （SourceTree）レフトメニュー内の「ブランチ」でmainとHEADが表示され、HEADにチェックアウトしている
• HEAD、main、origin/HEAD, origin/mainが同じコミットIDを参照している状態（位置は変わらず同じ位置）

HEAD、main、origin/HEAD, origin/main

（HEADにcheckoutしている状態）origin/mainにpush

# HEADをorigin/mainにpush
$ git push origin HEAD:main

• HEAD, origin/main, origin/HEADが先に進み、mainだけが遅れている状態
  • （Terminal上での表示）HEADをorigin/mainにpushしたのでorigin/HEADもorigin/mainに追従して同じ位置
  • （SourceTree）mainで[1コミット遅れ]になっている（mainだけが遅れている状態）

HEAD、origin/HEAD, origin/main
main

mainにチェックアウト

$ git checkout main

• origin/main, origin/HEADが先行、HEAD → mainが遅れている状態
  • main にcheckoutしたので再び HEAD → main となる
  • HEAD → main だが main はリモート先行分を取り込んでいないため1コミット遅れ

origin/HEAD, origin/main
HEAD → main

（main）fast-forward merge

• リモートが1コミット先に進んでいるだけなので、git merge origin/main により fast-forward merge（マージコミットなし、ポインタを進めるのみ） で統合される

[fast-forward merge実行前]
c8ff231  ← Initial commit
   ↓
2e279ce  ← HEAD → main（ローカル）
   ↓
ef02fbe  ← origin/main, origin/HEAD

↓↓↓↓↓
[fast-forward merge実行後]
c8ff231
   ↓
2e279ce
   ↓
ef02fbe  ← HEAD → main, origin/main, origin/HEAD