TSKaigi Hokuriku 2025 参加レポート
こんにちは!チームラボ フロントエンド班の山本です!
2025年11月23日、金沢にて開催された「TSKaigi Hokuriku 2025」に現地参加してきました!
今回のTSKaigi Hokurikuでは、チームラボはゴールドスポンサーとして協賛し、スポンサーブースの出展やLT登壇など、メンバー一同様々な形で関わらせていただきました
本記事では、当日の会場の様子や、弊社メンバーの登壇内容についてレポートします。
また、記事の後半には登壇資料のまとめリストも掲載していますので、ぜひ振り返りにご活用ください。
TSKaigi Hokuriku とは
TSKaigi Hokuriku 2025は、プログラミング言語 TypeScript をテーマとした技術カンファレンスです。
"学び、繋がり、“型”を破ろう"をミッションに掲げ、日本国内の TypeScript コミュニティ活性化を目指して開催されました。今回は初の北陸開催として、金沢駅前の「ホテル金沢」が会場となりました。

チームラボからの参加者
今回、チームラボからはスポンサーLT 1名、プロポーザル採択 3名の 計4名 が登壇、ブースでは4名が対応を行いました!
合計で8名のフロントエンドメンバーが参加することができ、さまざまな参加者の方と交流を行うことができました!

ブースの様子
会場内のスポンサーエリアにてブースを出展しました。
ブースにはたくさんのエンジニアの方々に足を運んでいただき、TypeScriptの技術的な話題や、チームラボでの開発体制などについてお話しすることができ、非常に濃い交流の時間となりました。
お立ち寄りいただいた皆様、ありがとうございました!

チームラボがスポンサーとして登壇したセッション
型で守る個人情報:TypeScriptによる静的データガバナンス

登壇者:高木 克哉
個人情報の取り扱いという重要かつセンシティブな課題に対して、TypeScriptの型システムを活用してどのように「静的」にガバナンスを効かせるか、というアプローチについて発表しました。
チームラボのメンバーが採択されたセッション
多くの応募の中から採択された3名のメンバーが、それぞれのテーマで発表を行いました。
tsc --init の設計思想の変化とその背景を追う - “教育的”アプローチから実用性重視への転換

登壇者:大塚 竜太郎
TypeScriptを使い始める誰もが通る tsc --init コマンド。その生成される tsconfig.json のデフォルト値やコメントの変遷を追いながら、TypeScriptチームの設計思想が「教育的配慮」から「実用性重視」へとどのようにシフトしてきたのかを深掘りしました。
TC39 Signals で描くJS/TS/フレームワークの未来の姿

登壇者:takuma-ru
現在TC39で議論が進んでいる「Signals」標準化の動きについて解説。これが標準化されることで、ReactやVueなどのUIフレームワーク、そしてJavaScript/TypeScriptのエコシステム全体がどう変わっていくのか、未来の姿を提示しました。
oxc-transformとisolatedDeclarationsで手に入れるtscなし型定義ファイル生成

登壇者:elecdeer
高速なRust製ツールであるOxc (oxc-transform) と、TypeScript 5.5で導入された isolatedDeclarations を組み合わせることで、tsc に依存せずに高速に型定義ファイル(.d.ts)を生成する次世代のビルドフローについて検証・発表しました。
現地の様子
ここからは、現地の雰囲気を少しご紹介します。
会場の熱気
会場は「toggleルーム」と「カミナシ堂」の2トラックに加え、ブースエリアも常に賑わっていました。
東京開催のTSKaigiと比較しても遜色のない熱気がありつつ、北陸開催ならではのアットホームな距離感もあり、登壇者と参加者のディスカッションが各所で盛り上がっていました。

懇親会
懇親会では、旬の香箱ガニや新鮮な海鮮を楽しむことができ、技術の話とともに金沢の味覚を堪能しました🦀
美味しい金沢の料理をいただきながら参加者の方たちと技術の話ができて、最高のひとときでした!懇親会で一緒にお話しした皆様、ありがとうございました!


TSKaigi Hokuriku 2025 登壇資料・感想まとめ
公開されている資料と、参加メンバーの感想をまとめました。
(※資料URL等は執筆時点のものです)
toggleルーム
TypeScript 6.0で非推奨化されるオプションたち
登壇者: うひょ
今までの歴史的経緯も含めながら、非推奨になる理由をわかりやすく解説していただき、ただ非推奨になるということだけではなく、こうやって非推奨になったという納得感を得られる発表でした。
非推奨以外にも挙動が変わることも同じように説明いただき、TS 6.0 にアップデートするときに何をすればいいのか気をつければいいのかという解像度が上がる発表でした。
Fullstack TSでマルチプロダクトの基盤開発
登壇者: 鈴木 翔大
肥大化するシステムに耐えうる開発プロセスを Fullstack TS を用いて、業務レベルの詳細な方法を学ぶことができた内容の濃いセッションでした。
また、セッション中には platform engineering, Googleのソフトウェアエンジニアリング という書籍をしっかり理解したうえで、その内容に対して社内での解決方法を作り実装していくという流れを発表全体に一貫して行っていて、説得力のある説明でした。
Perl歴約10年のエンジニアがTypeScriptと出会ってみた
登壇者: papix
通るURLだけ通す — Monorepoで実現する型安全なリンク設計
登壇者: 松本 泰幸 (ya2s)
フロントエンドアーキテクチャの設計方法論 Feature-Sliced Designの紹介
登壇者: 坂本 圭佑
数千〜数万のAgentを司る「Ai Workforce」のウラ側
登壇者: 小林 篤
カミナシ社初の フルスタックTypeScript 利用の現在
登壇者: 桑原 聖仁
挑戦を支えるTypeScript──顧客とエンジニアが共に成長する現場から
登壇者: 坂口 真由
denoとtypescriptの関係について改めて考えてみる
登壇者: 比嘉 一晃
denoのpermissionやnode, npmモジュールのサポート、スタンドアローン実行ファイルの作成から、jupyter Notebook対応によるユースケースなど、denoの機能をおさらいする発表でした。Permissionでアクセス範囲を絞れることから、AI生成したコードをサンドボックス的に実行できるというのは、なるほど、と思いました!
TypeScript×CASLでつくるSaaSの認可
登壇者: 坂津 潤平 / 芹澤 和也
代表的な認可モデルをデモを交えてとてもわかりやすく解説していただきました。後半では、SaaSに認可制御を頼るのは都度外部リクエストが発生するという課題感から、OSSであるCASLとPrismaのプラグインを合わせて実装することで目的を達成できたという実践的な内容でした。チーム発表ならではの役割分担もおもしろかったです。
同期APIの壁を越える:TypeScriptで設計する、堅牢さとUXを両立した非同期ワークフローの実現
登壇者: moeka
物流についてのSaaSをやる上で、事業拡大するにつれて必要な要件が変わっていった経緯について現場感が伝わってくる発表でした。
変化した技術特性要件に対して、整合性、堅牢性、拡張性などの観点から同期APIだと厳しいため、「イベント駆動のアーキテクチャ」やマイクロサービスアーキテクチャのSagaパターンを取り入れて問題解決を行っていました。
レガシーシステム刷新におけるTypeSpecスキーマ駆動開発のすゝめ
登壇者: karacoro
レガシーシステムあるあるや2025年の壁への言及があり、どきどきしたのですが、レガシーシステム刷新のノウハウはまたいつか活きる、という前向きな内容でした。
設計で解決する、ということで具体的なモノレポ構成の説明やTypeSpecの取り扱いの説明があり実践的な内容でした。
型情報を手繰り寄せる技術〜TypeScript Compiler APIによる型解析実践〜
登壇者: jiko21
「型から何かを生成したい!」というモチベーションで、型からHTMLを生成するための方法についてのセッションでした。
TS.Nodeやkindなどをどう取り扱うといいのか、ということをかなり詳しく説明いただきました。
Building AI Agents with TypeScript
登壇者: izumin5210
TypeScriptでもAIの機能開発が可能であることを紹介していただきました。
vercel/ai を使って簡単に作れることがわかったので、これは自分も試してみたいです。
TypeScript ASTを活用した意味差分抽出の紹介
登壇者: 武井 勇也
TS 5.9で使えるようになった import defer でパフォーマンス最適化を実現する
登壇者: 大石 貴則 (bicstone)
カミナシ堂
フロントエンドにおける「型」の責務分離に対する1つのアプローチ
登壇者: kinocoboy
フロントエンドはUIやシステム(API/DB)の要望をつなぐ場所なので、バックエンドで有効とされるクリーンアーキテクチャを単純に適用するのが難しいです。そのため、このセッションではユースケース駆動設計(Iconixプロセス)の観点で外部要因の曖昧さをフロントエンドにおける厳密な「型」に変換する場所を作る方法について説明していました。
Nxはいいぞ!monorepoプロジェクトにおける差分検知を活用した型チェック最適化
登壇者: 甲斐 和基
型に救われたアーキテクチャ移行の話
登壇者: 中川 旭
手書き型をやめてTypeScript×PythonをOpenAPIで繋ぐ
登壇者: 栗田 英治
手書きで型定義をしていたために動作確認時までバグを検出できないことに課題を感じたため、drf-spectacularとopenapi-typescriptで型を生成するように改善を行った事例紹介でした。
WebとFlutterの連携をTypeSpecで固めたかった
登壇者: Ikeno Sosuke
社内オペレーション改善のためのTypeScript
登壇者: Ryo Adachi
Effect入門──次の新規開発で役立つ実践指針
登壇者: ふみや
4分でわかった気になるRailway Oriented Programming
登壇者: シマ
スコット・ヴラシン氏の『関数型ドメインモデリング』に登場するRailway Oriented Programmingについて説明するセッション。
エラーハンドリングの扱いに注目した手法で、起きうる結果を型に表すという方法論。ただし、軽率に使うことはおすすめしないというブログの引用をされていたのが印象的でした。
type-challenges を全問解いたのでエッセンスと推し問題を紹介してみる
登壇者: kakekakemiya
アルゴリズムの専門家と挑むフロントエンド実装 − 複雑なロジックを支える設計とパフォーマンス最適化
登壇者: 澤浦 司 / 秋吉 圭輔
「TSのAPI型安全」の対価は誰が払う? 不公平なスキーマ駆動に終止符を打つハイブリッド戦略
登壇者: Hal
リスクゼロでデリバリーする ― Open Feature × DevCycleの機能解放戦略
登壇者: Issa
数あるフィーチャフラグツールの選定から始まり、OpenFeature 準拠の DevCycle why の便利さを知ることができて、移行の抵抗感が減りました。
OpenFeature 大事...(DevCycle why コスト600倍...)
アプリケーションの拡大に伴う開発者体験の悪化をなんとかする
登壇者: 福田 哲也
Zod × Web Workerを用いた型安全かつUIファーストなIPアドレスCSV一括登録
登壇者: かっつー
今までの zod v3 では難しかった ipv4, v6, CIDR の判別を zod v4 を使って、簡単にかつ高速に実装できる方法を知ることができて、 zod はここまで賢く使えるのか...!と感心した LT でした!
AIエージェントのプロンプトを自然言語ではなくTypeScriptで書いてみる試み
登壇者: あかほし
パイプ演算子をTypeScriptに勝手に実装して遊ぶ話
登壇者: 中村 崇人
ECMAScript proposalのStage2になっているパイプ演算子を先んじてTypeScriptに実装してみる、という発表でした
TSのParserに構文を追加し、Checkerに型チェックを追加し、Emitterで現行のJSでも動くコードにトランスパイルする、というのがわかりやすく説明されていました。TSのトランスパイルの流れもよく分かり、面白かったです。
Welcome to the "Fantasy Land" 🧚 − 代数的構造をめぐる冒険 −
登壇者: TAKASE Kazuyuki (@Guvalif)
PromiseとResult(型)の類似性から、抽象化して同じものとして扱えないかを探る、JavaScriptとTypeScriptの型理論に関する発表でした。
"Fantasy Land"は夢の国的な比喩表現かと思っていたのですが、JSでの代数的構造をとりまとめ仕様にしたものを指していたのですね。全然知らなかった...
正直全部は理解できなかったのですが、型理論への興味が深まりました。
TDMaCのススメ - cittyを使ってテストデータ作成を効率化する
登壇者: Kanon
TDMaCという聞き慣れない用語に惹かれて聞きましたが、テストデータを生成するという実践的な場面のペインに対して、cittyを使って対応するという面白いセッションでした。
TypeScriptの型システムを活用した複合認証システムの設計パターン
登壇者: 高橋 哉人
複合認証システムに追加される複雑な要件に対応していったところ、不具合の嵐が発生してしまい大変だったというセッション。
最終的にはアリの巣のようなフローチャートを作成してことなきを得たとのことです。複雑な実装は視覚的に整理することの大切さを教えてくれます。
React / TypeScriptでのカラーピッカーの実装戦略
登壇者: t-jimbo
Branded Typesで日時の複雑さと戦う
登壇者: Saji
おわりに
チームラボとしても、多くのメンバーが登壇・参加し、非常に実りあるカンファレンスとなりました。
運営の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました!
次回のTSKaigiも楽しみにしています!
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