SODA Engineering Blog
🤫

多元的無知をQAエンジニアの業務で考えてみる

に公開

こんにちは。SODAでクオリティエンジニアをやっているokauchiです。

多元的無知という言葉を知りました。「他の誰かは分かっているはず」と思い込み、自分の疑問や違和感を黙ってしまう心理現象です。自分がわかっていないだけならまだしも(もちろん良くはありませんが)、チーム全体で「誰かが理解しているだろう」と思い込み、実は誰も正しく把握していなかった、ということも起こりえます。とくにQAエンジニアの業務においても見過ごせない問題です。QAエンジニアの視点から多元的無知が引き起こすリスクと、それを防ぐための方法を考えてみます。

テストの現場に潜む多元的無知のリスク

QAエンジニアはテストプロセスの中で仕様の確認、テスト設計、バグの報告といった業務を行いますが、チーム内で「誰かが確認しているだろう」「今さら聞くのは恥ずかしい」といった心理が働く場面は少なくありません。たとえば、要件定義があいまいなままテストに着手することがあり、「他の人が理解しているのだから問題ないはず」とスルーしてしまうケースが典型です。

その結果、仕様の誤解に基づいたテストが実行されたり、重要なバグが見逃されたりするリスクがあります。多元的無知は、個々人の思い込みが集団全体の判断ミスへとつながる危険な構造です。

なぜ「誰も言わない」が危ないのか

「誰も指摘しないから大丈夫」と感じるのは、人間の自然な心理です。しかし、それが積み重なると、表面上はうまく回っているように見えても、プロジェクト終盤で重大な品質問題として顕在化することがあります。

たとえば、テスト設計レビュー時に「この仕様、本当にこれで合っている?」と感じても、その場の空気を読んで指摘を控えてしまうことがあります。しかし、他のメンバーも同じ違和感を抱いていた可能性があるのです。誰も言わないからといって、それが正しいとは限らない・・ということですね。

多元的無知を防ぐQAのアプローチ

QAエンジニアは品質のリードとして、あいまいさや不確かさに敏感であるべきです。多元的無知を防ぐためには、「自分が感じた違和感は他の誰かも感じているかもしれない」という前提で行動することが大切です。

具体的には、疑問があれば遠慮なく共有する文化を醸成すること、チームレビューでは確認したフリをせず、あいまいな点を洗い出すこと、自分の理解をちゃんと伝えること、そして一人ひとりが黙っていることのリスクを理解することが重要です。

どんな簡単なことでもしっかり確認することを行なってみたり、質問専用のSlackチャンネルを作ってみるのも良いかも知れません。ここで注意しなければいけないのが、グラウンドルールをしっかり作成し、「こんなことも知らないのですか?」と言ったリアクションを許さない姿勢が必要になりそう。「誰かにバカにされてしまう」というような不安から質問の心理的ハードルが上がってしまうことは避けましょう。

QAエンジニアが率先して声を上げる姿勢を見せることで、チーム全体がより安全でオープンな開発を進められそうですね☺️

SODA Engineering Blog
SODA Engineering Blog

Discussion