カチッとしない勇気を持とう!
こんにちは、SODAでクオリティエンジニアをしているokauchiです。
今回は曖昧さとどう付き合うかというテーマです。プロダクト開発の中で短納期で、あまり固まってない要件に対して、テスト設計を行うことがあります。「もっと揉まれた状態のものをインプットにしたい」とついつい前のプロセスを不満を持ってしまうことは時にあります。その中で曖昧さとどう付き合ったら良いのかを自分の中でも考え直してみました。
曖昧とは何か、なぜ困るのか
「曖昧(あいまい)」とは、意味や内容がはっきりせず、複数の解釈が成り立つ状態を指します。漢字の「曖」は“くらい・ぼんやり”、そして「昧」は“よくわからない”を意味し、光と影の境界がにじむような状態を表しています。
開発現場では、「曖昧な仕様」が議論や作業の停滞を引き起こすことがあります。たとえば、
- 表現が抽象的で、実装パターンが複数考えられる
- ユースケースが限定されていて、例外パターンが書かれていない
- 言葉の定義が共有されておらず、人によって理解が異なる
こうした曖昧さに気づかず進めてしまうと、「作ったけど意図とズレていた」「想定外のバグが出た」「そもそも確認すべき観点が漏れていた」といった事態に発展します。
なぜ曖昧になるのか
では、なぜ仕様や会話に曖昧さが生まれるのでしょうか。
理由はいくつかありますが、代表的なのは以下のようなものです。
- 開発スピードを優先するあまり、仕様の言語化や合意形成が後回しになる
- 初期段階では仮説ベースで進めており、細部まで詰められない
- 複数の関係者のあいだで前提が共有されていない
- 説明する人が「言わなくても伝わるだろう」と無意識に思い込んでいる
つまり、曖昧さは誰かの怠慢ではなく、スピード感・認識のズレ・暗黙の了解などから自然に生まれてしまうもの。なくすことは難しいからこそ、うまく付き合っていく力が大切になります。
カチッとしない勇気
曖昧なところを見つけると、つい「ちゃんと細部も合意を取ってきてください」「決まっていないものは、進めようがありません」と言いたくなります。でも、すべてが決まりきってから動くことって、実はほとんどないんですよね。多くのプロダクトは、仕様が揺れている段階でも手を動かし、試し、修正しながら形になっていきます。
そんな中で大事なのが、「未確定なものがあっても進める勇気」です。完璧なものだけに対応しようとすると、QAや開発の動きは遅くなるし、チームの議論も止まってしまいます。
たとえばこんなふるまいです。
- 曖昧な点があっても、仮の前提を立てて動いてみる
- 「この部分は決まっていませんが、こういう選択肢がありそうです」と提案する
- 未確定な部分をマークしておき、後から調整しやすい状態にしておく
これらは「仕様が固まってから動く」のとは逆のスタンスです。でも、それができると、チームは前に進めるし、対話も生まれます。なにより、「曖昧さ=足止め」ではなく、「曖昧さ=進みながら整えるもの」と捉えられるようになるのが大きいですね。
決まりきらないものに文句を言うより、決まりきらないまま関わる。それが、今の時代に求められている“柔らかい強さ”なのかもしれません。
まとめ
曖昧さは避けられないものです。でも、見つけて・共有して・扱う力を持てば、十分に乗り越えられます。
そして、「決まっていないから止まる」のではなく、「決まっていないなりに進める」姿勢を持てるかどうか。そこに、チームの信頼やスピードは大きく左右されます。
“曖昧を見つけられる人”は頼られます。“曖昧と付き合える人”は信頼されます。“曖昧と立ち向かう人”は周りに認められます。
カチッとしすぎない勇気を持って、今日もプロダクトと向き合っていきましょう!
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