プロセスが腐敗していないか、匂いに敏感になろう
こんにちは、SODAでクオリティエンジニアをしているokauchiです。
ソフトウェア開発において「プロセスの腐敗臭」に気づけるかどうかは、品質の維持・向上に直結する重要な視点です。ここで言う「匂い」とは「なんだかうまくいっていない気がする」「この手順、昔は意味があったけど今は形骸化しているのでは?」という違和感のこと。今回は、プロセスの変化に対して敏感であることの大切さを考えてみたいと思います。
昔は有効だったプロセスが、今もそうとは限らない
ある課題に対して導入したプロセスが非常に効果を発揮し、定着していくということがあります。たとえば「毎朝の定例ミーティング」や「チェックリストベースのプロセス確認」など、当時の課題を解決するために導入された手法たちです。
しかし、開発環境やチーム構成、システムの規模やフェーズが変わっても、そのプロセスを何となく続けていないでしょうか? 過去に価値を生んだからといって、今も同じだけの価値を出しているとは限りません。目的を失い、手段だけが残った状態は、「腐敗」している可能性があります。
匂いに気づけないと、静かに悪化する
腐敗したプロセスは、直接的なトラブルをすぐに引き起こすわけではないため、見過ごされがちです。しかし、「なんとなく時間だけがかかっている」「効果を体感できていない」「目的が誰にも説明できない」といった小さなサインが積もっていくと、チーム全体の効率や士気にジワジワと影響します。
影響がプロダクト品質そのものに影響を与えることもあります。「この確認作業、本当に必要?」「このテスト観点は、今のプロダクトに合っている?」といった問いを放置すると、形だけ守られているチェックリストが、逆に品質リスクの温床になることさえありそうです。
また、環境の変化に伴ってそのプロセスを守りにくい新たな課題が発生していることも考えられます。
定期的に匂いをかいでみよう
プロセスの効果に敏感であるということは、目的を問い直す、考え直すことに近いのかも知れません。定例のMTGや手順、チェックリスト、レビューの運用など、どんなものでも「これは何のためにやっているのか?」という問いを定期的に投げかけましょう。
たとえば、次のようなチェックリストを考えてみました。
- 最後にそのプロセスを見直したのはいつか?
- 当時、どのような課題に対して作られたプロセスか、今もその課題は存在するか?
- 今のチームやプロダクトにとって最適な形か?
- 誰がその成果物を求めているのか?
- メンバーの誰かが「義務感」でやっていないか?
そして何より大切なのは「匂いを感じた人が声を上げやすい空気」をつくることです。「最近この手順、あまり意味がない気がするんですが」という指摘が歓迎される文化があってこそ、プロセスの腐敗は防げます。同じプロセスを長く使っているベテランからすると「問題がないから変える必要はない」と変わることのストレスに敏感な方も出てくるかも知れません。ただ目的や効果をちゃんと説明出来ないようではいつかはただのエゴプロセスと言われてしまいかねません。
一番敏感なのはQAエンジニア!自分の感覚も頼ってみよう!
QAエンジニアはその特性上、「微妙な変化」や「ズレ」に気づきやすい立場です。自分の嗅覚を信じて、少しでも違和感を覚えたら立ち止まる。それが品質を守る一歩になるかもしれません。まずは自分の感覚に頼ってみましょう!

株式会社SODAの開発組織がお届けするZenn Publicationです。 是非Entrance Bookもご覧ください! → recruit.soda-inc.jp/engineer
Discussion