少しだけ背中を押してあげるお仕事
2024年の12月頃からSODAのグローバルチームでEMを始めました。
ちょうどEMに転向してから1年が経過したのでこの1年を振り返ってこれまで意識してきたこと、もっと早く知っていたら行動を変えられたかもしれないことを過去の自分に向けて振り返りをしたいと思います。
はじめに
EMという役割を与えられるまで私はモバイルアプリという領域においてのTLを担当していました。業務内容としては自チームでの開発活動はもちろんのことアプリエンジニア採用、採用基準の見直し、技術領域における課題の発見、中期のシステム改善計画推進などをやっていました。
また、主担当として入っていた開発チームではスクラムマスターとしてスクラム活動の推進、チーム文化に合った開発活動へのカスタマイズ、開発プロセスの可視化にも取り組んでいました。
"私の場合"にはなってしまいますがグローバルの2チームをはじめから兼任する状態になったため、これらをやり続けることは難しくすぐに他のチームメンバーに役割(責任)を渡す必要があると感じました。
以降の話は主にロール委譲、チームメンバーとの目標設定において取った行動や考え方を中心に進めていきます。
1. 自分が何者か認識する・伝える
まずEMとは何かを調べていると見かけるかもしれないこちらのトライアングルについて引用します。各組織や事業フェーズによって異なるEMの役割をプロダクトマネジメントトライアングルをベースに有志の方がまとめてくれているものです。

Engineering Management Triangle とは、 Engineering Manager の役割をグラフィックモデル化したものです。中心にエンジニアリングを置いて、テクノロジー、プロダクト、チームでトライアングルを構成しています。
これを見るとわかる通りEMの領域は幅広いです。プロダクト、技術、チームを繋ぐあらゆるエリアを担当して繋いでいく必要がありそうですが、これら全てを一人で推進していくのは難しいです。やることが多すぎて器用貧乏化しているのではないかと不安に駆られるときもあります。全部はできないのでやった方がいいこと、やれることに集中した方がいいだろうとEM1年生としては考えました。
自分は何をやってしまう人なのか見直す
私はEMになる前からチームメンバーと1on1を隔週ぐらいで設定していました。私自身が以前の上司との1on1がうまく作用してくれて能動的に仕事ができるようになる体験をしたので、同じことを誰かにできるのではないかと思ったのがきっかけです。上手かはさておき元々1on1やチームビルディングを通してチームのパワーをあげるという点に興味関心があるのでこのトライアングルで言えばTeamに近いエリアにより自分の中のモチベーションを発揮して仕事をすることができます。
なのでTechnologyの部分はSODAの優秀なTL陣を頼りつつ、EMとしてそれを実行できる環境作りをサポートすること、あるいProductの進む方向性を見てTLとTechnologyの方向性を合わせる役割を担うとチームがうまく機能するのではないかと考えました。
私はこういうことをするから、あなたはチームでこういう役割で動いてみてくれないか、とチームメンバーそれぞれに伝えることで、チームワークが発揮できるような気がしてきます。
次に目標設定であったりロール(TL, スクラムマスター)を任せるときに意識していることを列挙していきます。
2. 期待を伝える
大前提としてロール委譲についてはEMからの指示ではありません、一緒にチームで走っていく人からの相談のスタンスを取っています。本人がやりたくなければまだ時期が早いかもしれないし、任せたい役割に対して難易度が適切そうか判断しましょう。
目標設定も1on1の中でメンバーと一緒に考えています。SODAの中には "グレードごとの期待値" というページが用意されており、上に行くほど抽象的な記載にはなりますが整備されたものが存在しています。目標設定の筆があまり進まない人も少なくないのでEMから見た期待(こういうことトライしてみてほしい)と本人のモチベーションとしてやりたいことをうまく混ぜつつ落とし込んでいきたいと考えています。
1on1の中で相手に期待を伝える上でいくつか意識している点があるので列挙していきます。
なぜあなたにお願いしたいのか
あなたならできる、もしくはすでにできているからこの役割を担ってほしいというのを率直に伝えます。普段の仕事ぶりとか気配りとか振る舞いなどでその人ならやってくれると期待があるはず、それをそのまま伝えます。ただ役割を付与しますね、ではなくてその人に期待しているということが伝わるように重点を置くべきです。
やったことがない役割だったとしたら自分がサポートにも回れるということを伝えておくときっと安心感にもつながると思うのでフォローしておくと良いと思います。もし合わないと感じた場合のオプションも大事かもしれないし、⚪︎ヶ月くらいはトライしてみてほしいとかもいいかもしれないです。
何をお願いしたいのか
役割があるということは責任も発生するはずです。それを明確にリストアップするなりして責任範囲を合意しましょう。これはコンピテンシーなどがあれば流用したらいいだろうし、なければ言語化する必要があるでしょう。対象のチームや技術領域なんかも明確にしておくといいと思います。仮に自分が前任者だったり経験がある分野であれば、『自分はこういうことをした方がいいと思う』という意見を伝えたり、あるいは『それも含めてお任せする』という思いを伝えてあげるといいでしょう。
いつからお願いしたいのか
大体役割がついてくる時は組織的な変更がある可能性が高いのではないかなと思います。今からその期待値が発生するのかいつ頃から準備しておく必要があるのかお互いに確認しておくと準備もできるので良いと思います。
メリットについて
テックリードとかスクラムマスターとか役割がつくことでより業務の中の特定の領域に責任を持つ必要が発生します。一定面倒だなと感じる人もいるかもしれないので、一方で新しい領域にチャレンジするいい機会出会ったり特定の領域にフォーカスする理由になったりすると思います。それをあなたにとってのメリットだよとうまく変換して伝えてあげると良いかなと思います。
キャリアップという面でもメリットはあると思います、テックリードとかスクラムマスターという経験があるかどうかで市場価値として変わってくるのはあるでしょう。業務における責任範囲が明確に広がることで必然的に考えなければならないことだって出てくるわけで、、それがきっとあなたにとって新しい視点だったりスキルアップするエネルギーになるかもしれないということを伝えられると良いでしょう。
もちろん給与面も言及できているとベターですね。ただこの辺りは評価制度とかも絡んでくると思うので明確に伝えるのは難しいかもしれません。SODAではその人が与える影響範囲、責任範囲が広がるほど社内のグレードは高くなり給与もそれに応じてアップしていきやすいです。こうした役割に期待される行動が伴っていれば昇給につながりやすいイメージをお互いに持っておくのは大事かもしれません。
3. 少し背中を押し続ける
実際のところロールの委譲、目標設定が終わってからが大事ですよね。目標設定して期末まであまり進捗してなかったということもあるんじゃないでしょうか。私自身これまでの何度も目標設定してきましたがサイドプロジェクト的な目標になってしまったりして結局手をつけられず苦い思いをしたことは多いです。
進みを確認する
目標設定においては目標の進捗を放置せずに日々の1on1の中で確認と詰まっている障害がないか確認し、取り除いてあげましょう。私の場合1on1は隔週ですが1ヶ月に1度くらいのペースで十分だと思います。
目標の軌道修正が必要なときもあるかもしれません、その場合には柔軟に方向性とゴールのイメージを合わせましょう。システム改善系の取り組みはやってみてわかる問題なども出てくると思います。問題とその後のアクションをどう取っていくのか具体的にリスト化しておくと"評価"においても認識のずれが少なくなると思います。
難易度調整
目標は少し難しいくらいがちょうどいいです。もしメンバーが甘い目標設定をしようとしていたら少し難しいくらいに背中を押してあげましょう。どれくらいのパワーで押すかはEMの腕の見せどころな気がします。xxができてないからxxまでやってみようよりも、xxはできているからxxまでやってみようの方が"目標設定"感が和らぎトライしてもらいやすいと思います。
チャレンジには失敗はつきものです、小さな失敗は許容しつつ継続的な軌道修正のフィードバックを行いながらうまく進んでいるところにフォーカスを当てるようにするとより対話が進むと感じています。
環境づくり
また、適切な環境を用意してあげるという背中の押し方もあるかもしれません。SODAもこの数年でエンジニア組織が拡大しました。それに応じてプロダクトのフェーズも変わっていますし、期待される役割もどんどん変わってきます。今まではその働き方で良かったけど今はこうであってほしい、はEMの方がより理解していると思うのでそれに見合う舞台を用意できると良いです。組織体制、採用に直結してくる部分かもしれませんがEMの領域です。環境が用意できたら自分で解決しなければと抱えてしまうことがないようEMとしても並走し、一緒に課題解決に向けて向き合うことが大事だと思います。
さいごに
チームメンバーに対して背中を押すというのは最初はできていませんでした、その必要性についても意識できていませんでした。これは1年前の自分に重要性を語ってあげたいことの一つです。
私はEMとしてチームメンバーと並走しながら目標設定とその達成に向けて取り組んでいます。個人では実現が少し難しいかもと思うような目標も一緒に立てつつ実現に向けて応援していきます。個人のキャリア開発と会社の事業成長をうまくマッチさせたときにエンジニアはよりスキルアップしていけると思っています。SODAの開発に興味を持ってくれたあなたの背中を押し続けます!
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