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暫定テックリードとしての挑戦:医療系SaaS開発の舞台裏

2023/12/25に公開

はじめに

この記事はエンジニア組織の開発生産性・開発者体験向上の取り組みをシェアしよう! by Findy Advent Calendar 2023 シリーズ3 の24日目の記事となります。
株式会社DELTAでエンジニアをしている長田(おさだ)と申します。

私が所属している開発チームでは、前任のCTO兼テックリードが突然チームから去ってしまったことにより、大きな軌道修正を余儀なくされました。この記事では、そのような状況の中で私が暫定テックリードとしてプロジェクトを前進させ続けたことを振り返りつつ、来年への展望を書きたいと思います。

突然の変化:リーダーの不在

暫定テックリードのはじまり

突然のリーダーの退職は、私たちのチームにとても大きな衝撃を与えました。
様々な要因によって プロジェクトを止める選択肢はなく、新しいテックリードが参画して軌道に乗るまでは、私が暫定的にその役割を担うことになりました。開発バックログを途切れさせず。チームの崩壊を防ぎながらプロジェクトを前進させていくことになったのです。

プロジェクトオーナー(PO)としての業務継続

暫定テックリードになったとはいえ、私の業務には今までのPOとしての役割も含まれています。
私たちのチームでは、PO業務として開発バックログの整理・実装の方針決定・設計作成などがあり、これらは他の開発メンバーへの影響も大きいので止めるわけにはいきません。
PO業務を続けながら、暫定テックリードとしての責任が追加される形になりました。PO業務が属人的になっていたため手離れできず、容易に手離れできるようにすることも今後の課題です。

託された組織開発

前任者の退職は突然だったため、申し送りはほとんどありませんでした。ただ思い返してみると、申し送りがあったとしても見ている世界やサービス全体への解像度の違いから理解できなかったかもしれません。
残っていたものは在籍時に構築していた開発組織やプロジェクト初期段階での技術選定とアーキテクチャの設計。その構築や技術選定時に書いたであろうドキュメントやメモだけです。
とはいえ、組織構築は一緒にやってきていたため、ある程度はテックリードとして役割を担えると思っていたのも事実です。

テックリードの道標:新しい視点と経験

結果としては、『充分な働きができた』と胸を張って言える状態にはなりませんでした
前任者がCTO兼テックリードという広い領域を担当していたので、技術面だけでなく進捗管理や設計も綱渡りのような状態になってしまいました。改めて前任者の偉大さを痛感します。
ただ追い詰められたからこそ見えてきた世界があると思っていますし、実際に手を動かす業務から離れたものの、総合的な技術は上がっていると感じています。

意思決定の難しさと学び

今振り返ってみても、私が取ってきた決断が正解だったかは分かりません。
暫定テックリードとして正解のない選択が必要な場面では、DELTAメンバー(他の開発チーム所属)からアドバイスを貰いながら、最終的には私が決断をしました。
アドバイスの中に「どの選択が正解は分からない。でも重要なのは選択したものを正解にする力」というものがあり、テックリードの世界に踏み入れた気がしました。

技術選定や事業部とのコミュニケーションでは、表面に見えている情報だけでなく、その背後にある多くのことを考慮する必要があります。
表面に見えている情報の何倍・何十倍もの情報を収集して、総合的な判断することが求められます。そして、その過程が実際に手を動かす以上の技術的成長に繋がることを知りました。

組織の変化と対応

前任者と組織構築をしていたのでやれると思っていましたが、そんなに甘いものではありませんでした。
スプリントバックログの未完了やベロシティの不安定化が起こりました。開発チームが崩壊しそうになっていたものをギリギリで延命処置をしただけです。もっとやれていたことがあったのでは?と思うことは多いです。
開発組織は生ものです。常に良くしていかないとすぐに腐っていきます。

そんな悩みも強かったため今年のアドベントカレンダー記事では、どちらも組織開発観点になっていました。
https://zenn.dev/team_delta/articles/52e710c3d84f4c
https://zenn.dev/team_delta/articles/ca543cb7009fe7

コードの役割と影響

実際にコードを書くときも、「開発バックログを完了させていく」というものではなく。他の開発メンバーにとっての指針となるようなサンプルを作成して、チーム全体の技術的な方向性を示す役割を求められていると考えて実装しました。

どのように書いたら設計や実装の経緯を知らないエンジニアにも意図が伝わるのか?と考えてディレクトリ構成やアーキテクチャを検討すると「天才たちの言葉」と思っていたものの背景が見えてくるような気がしました。
SOLID原則、各フレームワークの思想、凝集性と結合度など「こうしなければいけない」から「こういう困り事があったから、こういうルールを作った」に変わってきました。

フルスタックエンジニアへの進化

「フルスタックエンジニアにはなりたくてなるのではなく、ならなきゃいけなくてなっていく」と聞いたことがあります。
もともとはサーバーサイドがメインのエンジニアだった私がTerraformの修正やECS on Fargateのデプロイなど、インフラ領域にも染み出してきています。
他の開発者がより効率的に作業できるよう、層が薄くなっている部分を補っていくうちに、インフラ領域やミドルウェア実装・開発環境の改善にも取り組むようになっています。

リーダーシップとは

これは現時点では正解や結論はありません。ただ、暫定テックリードになってリーダーシップやマネジメントについて考えることは増えたので、関連した記事を読むことも増えました。
リーダーシップとマネジメントを分けて考えてみると、私にはリーダーシップの資質はあまりないと感じています。暫定テックリードなのでリーダーシップも必要だったんでしょうが、何をどうしたら良いのかは分かっていません。

また、私以上に開発メンバーも苦しい状況だったと思っています。
「なんで開発を止められないの?」
「これじゃデスマーチの始まり」
「でも開発が止まって仕事がなくなったら生活に困る」
「言っていることとやっていることが違う」

実際にあった言葉や推測したものもありますが、リーダーとして引っ張るだけでは崩壊するのが容易に想像できました。
私はメンバーと真摯に向き合ってきたつもりですが、それが充分だったかは分かりません。ただ、私も何が正解か分からないから一緒に考えたいという姿勢は続けました。

つい先日に読んだ記事です。リーダーとしてただ引っ張ることの怖さを明確に言語化していて感動したので読んでみてください。
https://atlassian-teambook.jp/_ct/17671258

来年への展望と目標

新たなテックリードのアサイン

そんな中、11月末に新しいテックリードが参画しました。そのため私の役割も現在進行系で変化しています。
新たなテックリードへの引き継ぎを行いつつ、特にリソースが薄くなっている領域に注力することで、プロジェクトの成功に貢献していきます。

医療DXの変革への貢献

私たちのSaaSは医療DXの分野で重要な役割を担っていくと信じています。
来年はリリースに向けて走り続けることが直近の目標です。医療DXの分野での変革を推進して、新たな挑戦にも立ち向かっていきます。

やるぞ!やるぞ!やるぞ!

DELTAからのサポートに助けられ、ここまで辿り着けました。
2022年の4月に株式会社DELTAに入社して、昨年は本当に激動の1年だったと思っていましたが、今年はそれを簡単に上回る挑戦と成長の年となりました。
成長のためには「分からない」とどれだけ真摯に向き合えたか?が重要だと感じています。「知らない」ではなく「分からない」が重要であり、それは障害対応やマネジメントなど業務内容や分野は関係ありません。
私にとってインフラ領域は「分からない」だらけです。今年は結果的に「分からない」と向き合う形が多くなりましたが、来年は意識的にインフラ領域に踏み入れて「分からない」と向き合いたいと思います。
またリーダーシップについても向き合っていきます、来年末にはマネジメントとリーダーシップの使い分けについて記事を書ければと思います。

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