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GeaconSolsticeについて

に公開

ついに作ってしまいました。
SolkatsticeというPoCを経て、OLED、トラボ、アナログスティック搭載60%GRIN配列分割ZMK無線キーボード、GeaconSolstice。
この記事ではこのキーボードについてご紹介します。

作ろうと思ったきっかけ

以前設計したGeaconがとても使いやすく、家でも職場でも愛用しています。
ただ、職場の机が狭くてノートPCの上に置いて使用する必要があって少し不便なんですよね。

「では分割してしまえばいいのでは?」

そんな考えから以前から分割構造で作り直すことは考えていました。
ただし、分割するだけでは面白くないので、他のキーボードでは見たことがないような機能を盛り込んでみたくて、その検証をSolkatsticeで行っていました。
その試みが実現できることがわかったので設計が始まりました。

■PCBのイメージ
分割式キーボードであることからロゴも分割式になっています。

■回路図
ピンはNFCセンサ部品分も含めて使い切りました。

特徴について

ZMKによる無線接続対応

Geaconと同じ。
https://zenn.dev/te9no/articles/3cc824385eb916
ファームウェアに使用するモジュールはSolkatsticeと同様です。https://zenn.dev/te9no/articles/8d023885de4e28

60%GRIN分割配列

今作でもLow-powered improbed charlieplex matrixを採用して、ピン数を削減しながら左右それぞれ十分な数のキーが配置できるようにしています。
分割キーボードとして使用できることはもちろん、くっつけて一体型としても使用できるように、間の部分のデザインはなるべく近づけることができるようにこだわりました。
■Geaconと試作のケース、ほぼサイズは一緒

トラックボール

Geaconと同じく34mmボールを採用しています。
トラックボールケースもGeaconと同様、けぺおさんが公開してくださっていたデータがとてもよかったので採用させていただきました。

アナログスティック

Solkatsticeで検証した成果を取り込んでいます。
Solkatsticeではピンの向きを逆にしてしまったので、かなり絶望的な気持ちになりましたが、裏返してFFCケーブルを無理やりひねれば何とかなりはしましたが、ちゃんと検証しておいてよかったなぁと思っています。

■Solkatsticeでの実装は裏返しになってしまいました

OLED

こちらもSolkatsticeの成果をインポートしました。
Dongle用にCental側でPeripheral側のバッテリー残量が表示できるようにカスタマイズされたモジュールがあります。
https://github.com/mctechnology17/zmk-dongle-display-view
レイヤー表示機能がバグ?でビルドできなかったり、表示が重なってしまうところがあったりしたので、さらにカスタマイズしています。
https://github.com/te9no/zmk-dongle-display-view

ただ、無線接続で起動すると肝心のバッテリー残量表示が消えてしまう症状があります。
深夜まで点灯し続けるOLEDの光に照らされながら、焦りと共にどこかワクワクした感情を抱いていたことを覚えています。
これさえ解消すれば完成するのに。。。と思いながらモジュールのコードを試行錯誤して直してみたのですが駄目でした。こちらは何とかしたいところ。。。
→なんとissueとして開発者に相談したところ、修正してもらえました!
https://github.com/englmaxi/zmk-dongle-display/issues/9

配置する場所については、スペース的に左側が良かったのですが、縦向きのOLEDで表示できるモジュールで、両側のバッテリー残量を表示するモジュールが見つからなかったので、やむなく横向きにしました。
おかげで縦には長くなりましたが横幅は小さくなりました。

ケースについて

今回もFDM機で製造しています。
左右のスイッチプレートとケースを4回に分けて印刷しているのでなかなか時間がかかります。
立てて印刷する方法もあるのですが、輸送中に粉砕したことがあるのでNG。

一度完成したケースはMXとChoc v2で異なる構造でした。
これで完成…!と思ってしばらく使っていたら単純にプレート側のリブの厚さとケース側のネジ穴の長さが違うだけなので、間にスペーサーを挟めば統一できるアイディアが降ってきました。
そこで設計したのがガスケットスペーサーです。

TPUでできているためふにゃふにゃです。
ワンチャン、ガスケット構造みたいなクッションを生み出すかと期待してたのですが、そこまでクッションしないので飾りです。。。

名前について

GRIN配列の無線式キーボードGeaconの名前と、自分の持っている技術を詰め込んだ設計の最高到達点を至点Solsticeという単語に当てはめて、この2つを組み合わせた名前にしました。
『GeaconSolstice』という名前には、自分が愛用しているGeaconへの敬意と、日々の研究開発の集大成という意味が込められています。至点(Solstice)は、1年に2度、太陽が最も高く昇る瞬間を象徴します。

至点とは1年に2回、天球上において太陽の赤道面からの距離が最大となる瞬間、またはその時の太陽の位置を指す語である。
至点を意味する英語の solstice はラテン語の solstitium という語に由来する。

この瞬間のように、私自身も技術の頂点に立つ瞬間を追求してきました。
名前を決めたその夜、Geaconプロトタイプに取り付けたOLEDの光をを眺めながら『これこそが、自分が求めていた鍵盤だ』と確信した瞬間は、今でも鮮明に覚えています。

完成

特別仕様としてクリアケースで組んでみました。
すごくかっこいい。

choc v2も対応しています。高さが全体的に低くなるのが👍️

今後の展望

xiaoの表面のPDMセンサはGPIOになることが知られていますが、そちらを活用した後付modを設計しています。
FPCでタッチセンサーICを接続して、FPCの3点タッチパッドをキーボードの側面に後付できるようになる想定です。
PDMのGPIOを使用してない既存キットなら実装できると思うので、お楽しみに〜


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