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英文校正をしてもらった原稿にモヤモヤするときの読み物

2023/01/19に公開約2,200字

英語論文などの原稿を英文校正業者に添削してもらうと、「なんか変な添削だな...」と思うことがあるのではないでしょうか。これは、そんなモヤモヤする人に向けて、筆者が経験したパターンと個人的な感想などを書き連ねたものです。

英文校正の添削を鵜呑みにしない

英文校正業者の添削にしてもGrammarlyにしても、それっぽく修正されているとうっかり見落としてしまいそうになりますが、疑ってみることは大事です。逆に、添削が間違っていると思っても、実は原因はあなたにある場合もあります。

いくつかの原因をリストしてみます。

  1. 編集者がミスをしている・機械処理の精度が低いから

不思議な表現だけど、そう添削されているのだから、「そういう英語表現もあるのか...?」 と思っていると、案外普通にタイポだったり、AIの精度が低いだけだったりすることがあります。

  1. ファイル変換ソフトがバグっているから

業者が何かしらのソフトウェアを介して(?)元のLaTeX原稿をMicrosoft Wordに移すとき、変な箇所に勝手にピリオドやカンマが入ることがあるようです。これはかなり怖いですが、ここ数年で何回か経験しました。特に数式周辺で発生することが多いですが、文章中でも発生したと思います。「なんだか不思議なカンマの使い方だな...」 と思ったら疑ってみてください。

  1. 文章の中身(論理)を理解して校正しているわけではないから

意味が完全に変わってしまう添削を見るとイラッとすることがありますが、これはある程度仕方がないのです。英文校正とはそういうサービスなのだと割り切るしかないですね。むしろ下の「添削を受け止めるべき場面」に当てはまらないか注意しましょう。本当は自分のミスなのに編集者が悪いと決めつけてしまう ケースがあります。

  1. あなたが書いた文が複数の意味に解釈できてしまうから

これはあなたのミスなので、直しましょう(「添削を受け止めるべき場面」の2つ目)。

  1. あなたが書いた文が分かりにくいから

耳が痛いですね。これも元の文章を書いた本人だと気づきにくいですが、心に留めておくと良さそうです(自戒を込めて)。

添削を受け止めるべきケース

鵜呑みにしないと書きましたが、もちろん真摯に受け止めるべきケースも多々あります。

  • 曖昧な文章表現を断言型に修正される場合
  • 複数の解釈ができてしまう文章を修正してもらう場合

これらは名著として昔から有名な「理科系の作文技術」に書いてあるポイントそのままです。

論文の原稿では、「〜であると思われる」のような曖昧性のある書き方はしないように言われています。私もよくやってしまいますが、日本人がやりがちな書き方で、避けるべきだと言われています。(しかし、反例がある場合には断言はできないし、たくさん存在するものを"several"と言うことはできない("many"を直される場合)と思うので、悩ましい場面も多いですが、詳しい人がいたら教えてください。)

複数の解釈が出来てしまう文は、「理科系の作文技術」からそのまま例を借りてこれば、「黒い目のきれいな女の子」のような文です。「黒い目の、きれいな女の子」とか「黒い目のきれいな、女の子」とか(他にも色々)読めてしまうという意味です。また、itとかtheyが何を指しているのかがはっきりしない(=複数解釈できる)場合も注意が必要です。これは案外やってしまいがちです。これはぜひAI検出できるようになってもらいたいポイントでもありますね。

一つ目は、ある意味ルールというよりお作法ですが、やってしまいがちですよね。2つ目は正誤の問題なので、絶対修正する必要があります。他にも色々あるとは思いますが、代表的と思われるものを書き出してみました。

どうしても書きたい表現があれば書いて良いと思う

原稿の中で「論文としてのお作法はあるかもしれないが、ここは強調したい、ここはこう書きたい」という文があると思います。個人的な意見ですが、文法間違いでない限り、自分の表現を採用して良いと思います。

英文校正業者に頼んだ場合、編集者は仕事として編集しているのでプライドがありますし、提案した文章を強く勧めてきます。もちろんそれはプロとして当然のことと思います。しかし、編集者の文章は絶対ではありません。編集者のクセが少なからず反映されていますし、20年前には「絶対ダメな書き方」とされていた書き方も今では普通に使われていたりします。カンマの使い方など、本当は確固たるルールがあるはずの場合でも、なんだかんだで世界中で皆が従っているわけではない用法もあります。

リスクとしては、編集者に従って「格調高い文体」になっている原稿に、いきなり砕けた文が入ってしまうという格好悪さが生じる可能性があります。それでも、最終的には原稿は著者の著作物です。例えどんなよろしくない書き方でも、注意した上で自分の書きたいように書くのも大事だと、個人的には思います。

おまけ (なぜこれを書いたのか)

いつか読もうと思っていた「理科系の作文技術」を読んでみたら、よく英文校正の添削で直されるポイントと共通しているところがあったので、むしろ英文校正側の視点から整理したら誰かの気づきになるかもと思って書きました。

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