Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2024
スケジュール
Badプラクティスを選んで失敗しながら進めた新規プロダクト開発
見積もりをやめた
Badプラクティス
- Readyを待たないなど
見積もりをしない
代わりに何をしたのか
新規開発はやることが多い、わかっていないことも多い。
開発中にわかることも多い。
前もってきっちり決めていても対応できない。
対策1: 調査用のスプリントを実施する
これだと調査と実装が分かれているので、実装中にわかった新情報への対応は遅れる。
=> Readyになるのを待たなかったらいいのでは?
ユーザーストーリマッピング
タスクを順序づけ
- 土台作り
- MVP
- リリース準備
- リリース
MVPのスライス
チームづくり
ドリームチーム
スピーカーはEM
EM=組織の構築・成長責任、人を集めて体制を作る
SM=スクラムの推進・改善責任、集まった人をうまく動かす
良いチームが良いプロダクトを作る
技術力×顧客価値
開発コストを可能な限り抑えることが重要
- コミュニケーションが円滑にできること
- フルスタックに活躍できること
- 技術力が高いこと
中途半端に人を増やすとコストが増える、スピードが安定せずに落ちる
=> 少人数で進める
ここまでがEMとしての仕事
SMとしてやったこと
状況を見ながらチームを変化させる
Badプラクティスをやってみてどうだった?
リスケした。
- Readyを待たない、見積もりをしない
- 新情報に対応しながら最速で土台を構築できた
- スプリント内でタスクが終わらない
- 仕掛かり中のユーザーストーリーがたくさんある
- 2回実装した
- 実現可能性を早い段階でチェックできた・全体をみながら本番レベルの実装ができた
毎週のスプリントレビューで「動くモノ」を見せる
動くモノ・新しい情報・方向転換
再計画
計画が常に正しいわけではない
現状の延長線でゴールを考える
スケジュールの見直しは大胆に!
見直しは何度もやるモノではない
- 計画作りには時間がかかる
- ステークホルダーへの説明コストも発生する
見直しは1回で済ませる!
もっと早く分からなかった?
見直しに必要な条件
- やらなければいけないことが洗い出されているか
- ベロシティが安定しているか
- チームの危機感は十分上がっているか
再計画づくり
- 全体マップを眺めながらストーリーの洗い出し
- 三点見積もりほう(楽観値・最頻値・悲観値)
- 1ヶ月のバッファ
- リリース予定日の肌感のすり合わせ
- ステークホルダーへの説明
8月末から10月中旬にリスケ
その後は無事にリリースできた。
まとめ
Badプラクティスも武器にする
全体マップはとても有効だった
Outcomeに向き合う中で出会っている出来事とその解決案
ゴール
Outcomeを中心に活動するための取り組みや考え方の1つを知ることができる
このセッションのOutcomeの定義
- 利用者の課題が解決したか
- 利用者のやりたかったことはできるようになったか
- 利用者の世界がどう変わったか
Output=提供した機能
Impact=どれだけ儲かったか
OutcomeとOutputは両方大事
Outputが出せてない状態でOutcomeが、、は説得力がない
OutcomeとImpactは関連している
Impactはセールス・マーケティングにも影響を受ける
Outcomeに向き合わないとどうなる?
- 無駄なものを作ってしまう
- 関わる人々の気力を失う
OutputだけではなくOutcomeにも関心を向ける余裕を持つ
Outputを出すことだけを期待する組織構造
Outcomeは計測が難しい
- 定義が難しい
- 変化がわからない
- 結果がわかるのが遅い
「開発者はコードを書いてなんぼ」という価値観
マネージャーもその価値観で話をしがち
Outcomeが人事評価に含まれていない
OutcomeやImpactが大きく評価されることが少ない
=> Outcomeに向き合うのは難しい
Outcomeに向き合うためにできること
- 領域を越境して広げる
- 興味を持ってユーザーを広げる
- 関心をOutcome中心に寄せる
- Outcomeに向き合える環境を作る
大規模スクラムにおける、チーム全体を支援するスクラムマスターの取り組み事例 2選
背景情報
小さな開発チーム×n、PdMチーム、デザインチーム
チーム全体に対してのコーチング
いわゆるシステムコーチング
システムを対象にしたコーチング
システム=共通の目的やアイデンティティを持った相互に依存する存在
システムが自らの姿を知るように促し、システムが自ら答えを見つけていくための支援をする
ツール
- コンステレーション
スクラムマスター同士の協力を活動
上から下へ
- わいわい情報交換する場
- 輪読会
- 手強いインペディメントを解決する場
- 毎日15分集まる形式
スクラムマスターを職能にする挑戦 - 健全なチームを増やし組織をチームワークであふれさせる道のり
責任の定義
「チームを健全に保つことに責任を持つ」
スクラムをやっているかどうかに依存しない、有効性の部分だけを定義した。
給与レンジの定義
ジュニア、ミドル、シニア、シニア+
ScrumMasterWayともグラデーションで対応している
SMとして活動できる環境づくり
SMの成長支援
スクラムマスターには学ぶ責任がある
- 学ばないSMはチームを停滞させる
- SMの成長がチームの成長を牽引する
- マネージャーとしての責任はSMを成功させること
定期的な1on1
認定資格・外部研修の活用(半年に1回は外部研修を受けることを推奨)
外部イベントに一緒に参加する
職能コミュニティ
成長支援の投資を惜しまない(1人100万円/年ぐらいは必要投資の範囲だと考えている)
評価の考え方
いわゆる目標を達成したからA評価です、みたいな評価はない
来期の給与をいくらにするかという判断はある
給与レンジと日々の活動・コミュニケーションを元にマネージャーが起案する
給与を決めるときに見るポイント
- チームのアウトプットや雰囲気を定量的に成果として評価するのは難しい
- SMとしてチーム・組織をどのように捉えていて、どんなアクションを取っているかで見ている
- シニアレベルになるほどより複雑なシステムにアプローチする
結果の評価よりも個人と対話を
- 希望する報酬について半期に1度話し合う
- 希望の実現方法を一緒に検討する
採用か育成か
- 採用しても、活躍できる環境がないと意味がない
- 採用する前に、成長できる環境の整備が必要
- 2023年は環境整備に100%注力した
採用するよりもロールとして挑戦できる人を増やすのが良いと考えている
頭数としてSMを用意するより、効果的な自己管理型チームを作ることに注力する
チームの誰かがスクラムマスターを引き受け、コーチが継続的に支援する
現状と所感
いい感じ。
職能として確立するのは成功した。
カナリア:SMが活動できないチームは見えない毒ガスで満たされていないか
SMが健全に活動できるかどうかが健全性の一つの指標になる。
スクラムマスターが世界を変える
多くの企業がSMの重要性に気づけば市場価値が高まる
良いスクラムマスターが増えれば健全なチーム・組織が増える
健全なチームがあふれる世界は、きっと今より幸せな世界