🐕

【新G検定対策_実践編(第4回)】ディープラーニングの構成とは?

2024/11/09に公開

はじめに

G検定の学習を進めている皆さん、第4回となる本記事では「ディープラーニングの構成(CNN、RNN、Transformer、オートエンコーダなど)」をテーマに、予想問題を通じてキーワードをより深く理解していただけます。問題を解くだけでなく、キーワードを一言でまとめたり、具体例を挙げて説明することで、アウトプットの力を養い、記憶の定着を図ります。

第1章ではディープラーニングの各構成要素に関する予想問題に挑戦していただきます。第2章で解答と解説を読み、理解を深めます。第3章ではキーワードを一言で言い表すレッスンを行い、第4章では具体例を挙げるレッスンをします。最後の第5章では、キーワードを構造化して記憶に定着させるレッスンを行います。

これらのレッスンを通じて、1つの問題を解くことで10問分の価値があると考えています。ぜひ、3つの問題を通じて「ディープラーニングの構成」のキーワードを深く理解し、G検定合格への一歩を踏み出してください。

1. 予想問題

1.1. 問題1

問題文

  • リカレントニューラルネットワーク (RNN) の学習において、モデルの出力ではなく正解データを次の時刻の入力として使用し、学習を安定化させる手法はどれか。最も適切な選択肢を1つ選べ。

選択肢

  • (A) 勾配クリッピング
  • (B) 教師強制
  • (C) ドロップアウト
  • (D) バッチ正規化

1.2. 問題2

問題文

  • Vision Transformer (ViT) の特徴として、最も適切な説明を1つ選べ。

選択肢

  • (A) 画像をパッチに分割し、Transformer のエンコーダに入力するモデル
  • (B) 畳み込みニューラルネットワークとリカレントニューラルネットワークを組み合わせたモデル
  • (C) 画像全体を一度に処理することで高速化を図ったモデル
  • (D) 画像認識のために特別に設計された新しい活性化関数を使用するモデル

1.3. 問題3

問題文

  • 変分オートエンコーダ (VAE) の潜在空間に関する説明として、最も適切な選択肢を1つ選べ。

選択肢

  • (A) 潜在空間を確率分布として扱い、サンプリングによって新たなデータを生成する
  • (B) 潜在空間を固定ベクトルとして扱い、データの圧縮のみを行う
  • (C) 潜在空間を階層的クラスタリングによって構築し、データ分類に用いる
  • (D) 潜在空間を主成分分析 (PCA) により生成し、次元削減を行う

2. 解答と解説

2.1. 問題1

解答

  • (B) 教師強制

解説

正答理由((B) 教師強制)

教師強制(Teacher Forcing)は、RNN の学習時にモデルが生成した出力ではなく、正解データ(実際の出力)を次の時刻の入力として使用する手法です。これにより、誤った予測が次の時刻の入力に影響を与えるのを防ぎ、学習を安定化させます。特に、長いシーケンスデータを扱う際に有効で、誤差の蓄積を抑制できます。

誤答理由

  • (A) 勾配クリッピング

勾配クリッピングは、勾配消失や勾配爆発を防ぐために、勾配の大きさを一定の範囲内に収める手法です。学習の安定化には寄与しますが、次の時刻の入力として何を使うかという問題には直接関係しません。

  • (C) ドロップアウト

ドロップアウトは、過学習を防ぐために、学習時にランダムに一部のニューロンを無効化する手法です。ネットワークの汎化性能を高めますが、RNN の次の入力に何を使用するかという問題には関係がありません。

  • (D) バッチ正規化

バッチ正規化は、各ミニバッチごとにデータを正規化し、学習を高速化・安定化させる手法です。こちらも次の時刻の入力に関する問題とは直接関係がありません。


2.2. 問題2

解答

  • (A) 画像をパッチに分割し、Transformer のエンコーダに入力するモデル

解説

正答理由((A)画像をパッチに分割し、Transformer のエンコーダに入力するモデル)

Vision Transformer (ViT) は、画像を固定サイズのパッチ(小領域)に分割し、それらをシーケンスデータとして Transformer のエンコーダ部分に入力するモデルです。従来の畳み込みニューラルネットワーク (CNN) を使用せず、Transformer の自己注意機構を用いて画像認識を行います。これにより、高い性能を達成しています。

誤答理由

  • (B) 畳み込みニューラルネットワークとリカレントニューラルネットワークを組み合わせたモデル

この説明は ViT には当てはまりません。ViT は主に Transformer のエンコーダ部分を用いたモデルであり、CNN や RNN を組み合わせてはいません。

  • (C) 画像全体を一度に処理することで高速化を図ったモデル

ViT は画像をパッチに分割して処理するため、画像全体を一度に処理するわけではありません。むしろ、パッチごとに処理を行うため、計算コストが増える場合もあります。

  • (D) 画像認識のために特別に設計された新しい活性化関数を使用するモデル

ViT は特別な活性化関数を使用しているわけではなく、Transformer で一般的に使用される活性化関数(例えば GELU)を用いています。この説明は適切ではありません。


2.3. 問題3

解答

  • (A) 潜在空間を確率分布として扱い、サンプリングによって新たなデータを生成する

解説

正答理由((A) 潜在空間を確率分布として扱い、サンプリングによって新たなデータを生成する)

変分オートエンコーダ (VAE) は、潜在空間を確率分布(通常はガウス分布)として表現します。エンコーダは入力データをこの潜在空間の平均と分散にマッピングし、デコーダはそこからサンプリングされた潜在変数を用いてデータを再構成します。これにより、新たなデータの生成やデータの多様性の確保が可能となります。

誤答理由

  • (B) 潜在空間を固定ベクトルとして扱い、データの圧縮のみを行う

これは通常のオートエンコーダ (AE) の説明に近いです。AE は潜在空間を固定ベクトルとして扱い、データの圧縮と復元を行いますが、確率分布としての潜在空間は扱いません。

  • (C) 潜在空間を階層的クラスタリングによって構築し、データ分類に用いる

VAE は潜在空間を確率分布として扱いますが、クラスタリング手法を用いて構築するわけではありません。この説明は VAE の特徴を捉えていません。

  • (D) 潜在空間を主成分分析 (PCA) により生成し、次元削減を行う

PCA は線形次元削減手法であり、VAE とは異なるアプローチです。VAE は非線形の深層学習モデルであり、PCA を用いて潜在空間を生成するわけではありません。

3. レッスン1(一言で言う)

3.1.

  • 教師強制(Teacher Forcing)
    • RNN の学習で次の入力に正解データを使い、学習を安定化させる手法。

3.2.

  • Vision Transformer (ViT)
    • 画像をパッチに分割し、Transformer のエンコーダで処理する画像認識モデル。

3.3.

  • 変分オートエンコーダ (VAE) の潜在空間
    • 潜在空間を確率分布として扱い、サンプリングで新たなデータを生成する手法。

4. レッスン2(具体例を言う)

4.1.

  • 教師強制の具体例

    1. 文章生成モデルの学習:自然言語処理で次の単語を予測する際、モデルが予測した単語ではなく、実際の正解単語を次の入力として使用することで、学習を安定化させる。
    2. 音声認識モデルの訓練:音声データから文字起こしを行う際、前時刻の出力文字ではなく、正解の文字を次の入力に使い、誤差の蓄積を防ぐ。
    3. 機械翻訳モデルの学習:翻訳モデルで、出力された単語ではなく、正解の翻訳単語を次の時刻の入力として使用し、正確な翻訳モデルを構築する。

    教師強制は、シーケンスデータを扱うモデルの学習で頻繁に用いられます。モデルの未熟な予測に依存せず、正解データを使用することで誤差の伝播を防ぎ、効率的な学習が可能となります。しかし、実運用時にはモデルの出力を次の入力とするため、学習時と推論時のギャップを埋める工夫も必要です。

4.2.

  • Vision Transformer (ViT) の具体例

    1. 画像分類タスクへの応用:CIFAR-10 や ImageNet などのデータセットで、ViT を使用して高精度な画像分類を実現。
    2. 医療画像の解析:MRI 画像や X 線画像をパッチに分割し、ViT で処理することで、疾患の検出や診断をサポート。
    3. 衛星画像の分析:地表の画像を細かく分割し、ViT を用いて土地利用の分類や異常検知を行う。

    ViT は自己注意機構を活用して長距離の特徴関係を捉えることが可能で、従来の CNN では難しかったグローバルな特徴抽出に優れています。パッチ分割により画像をシーケンスデータとして扱えるため、自然言語処理で成功した Transformer を画像認識に応用しています。

4.3.

  • 変分オートエンコーダ (VAE) の具体例

    1. 画像の生成と編集:手書き数字の生成(MNIST データセット)や、顔画像の生成で VAE を使用し、新たな画像サンプルを生成。
    2. 異常検知:製造業での不良品検知において、正常データから学習した VAE の再構成誤差を利用し、異常なデータを検出。
    3. データの可視化:高次元データを VAE で学習し、潜在空間にマッピングしてデータの分布やクラスタリングを可視化。

    VAE は生成モデルとして、新たなデータのサンプリングが可能であり、データ拡張や異常検知など幅広い応用があります。潜在空間を確率分布として扱うことで、データの多様性を確保し、統計的な解釈も可能となります。

5. レッスン3(構造化して記憶する)

6. 参考記事(知識編)

https://zenn.dev/tasse/articles/2c604e3650fa97

Discussion