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【読書記録】予想どおりに不合理
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
書籍名: 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
著者: ダン・アリエリー

この本を手に取った理由
- プロダクトの価格設定やユーザー導線設計で、なぜ特定の選択肢が選ばれやすいのか理論的に理解したかった
- チームメンバーや組織の意思決定において、なぜ「合理的」に見えない選択がされるのか疑問に感じていた
- マーケティングやUI/UX設計に行動経済学の知見を活かしたいと考えていた
- 行動経済学のベストセラーとして有名で、ビジネス書の中でも読みやすいと評判を聞いた
本の概要
デューク大学教授で行動経済学研究の第一人者であるダン・アリエリーが、人間がいかに「不合理」な選択をしているかを数々の実験を通して明らかにする本。従来の経済学の「人間は常に合理的」という前提に対し、「人は予想可能なパターンで不合理に行動する」ことを示す。相対性、需要と供給、無料の力、価格の力など15のテーマで、私たちの意思決定に影響する心理的要因を解説。行動経済学ブームに火をつけたベストセラーで、日常生活からビジネスまで幅広く応用できる知見が詰まっている。
印象に残ったポイント
1. 「おとり価格」が選択を操るメカニズム
- アメリカの新聞社の料金体系実験:「印刷版10,000円」という誰も選ばない選択肢が、「WEB+印刷セット10,000円」を魅力的に見せる「おとり」として機能
- おとり価格を除外すると、WEB版を選ぶ人が16人→68人に激増し、セット購読は84人→32人に激減した
- 人は絶対的な価値ではなく、相対的な優劣で判断する習性がある
- SaaSプロダクトの料金プランでも同じ原理が使われていることに気づき、自社プロダクトの価格設計を見直すきっかけになった
- ユーザーは「お得感」を他の選択肢との比較で感じているのであり、価格そのものだけで判断していないことを実感した
2. 人は「予想可能なパターンで」不合理に行動する
- 単に不合理なのではなく、「予想どおりに不合理」=パターンがあるということが重要
- このパターンを理解すれば、ダイエットの成功率を上げたり、ヒット商品を生み出せる可能性がある
- 高額なプラセボ薬の方が安価なものより効くと感じる、現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する、など興味深い実験例が豊富
- エンジニアとして「人間は合理的」という前提でシステムやUIを設計していたが、それが間違いだったと痛感した
- ユーザー行動を予測する際、この「予想可能な不合理さ」を考慮することで、より良いプロダクト設計ができると理解した
3. 行動経済学は日常とビジネスの両方に応用できる
- 心理学と経済学を融合し、人の経済行動をより現実的に分析する学問
- 自分の意思決定を客観的に見直すことで、日常生活を改善できる
- マーケティング、価格設定、UI/UX設計など、ビジネスの様々な場面で応用可能
- 「なぜあの時あんな選択をしたのか」「なぜ特定のブランドを選んでしまうのか」という疑問の答えが見つかる
- 組織設計においても、メンバーの「不合理な」意思決定パターンを理解することで、より効果的な仕組みづくりができそうだと感じた
こんな人におすすめ
- プロダクトの価格設定やマーケティング戦略に悩んでいる人
- UI/UX設計でユーザー行動の予測精度を上げたい人
- なぜ人は特定の選択をするのか、理論的に理解したいエンジニアやデザイナー
- 自分の意思決定を客観的に見直し、より賢い選択をしたいと考えている人
- 行動経済学に興味があるが、難しい本は避けたいという初心者
- ビジネスだけでなく日常生活にも応用できる実践的な知識が欲しい人
まとめ
行動経済学の入門書として最適で、難しい理論を数々の実験例とユーモアを交えて非常にわかりやすく解説している。特に「おとり価格」の実験は衝撃的で、私たちがいかに相対的な比較で価値を判断しているかが明確に示された。
エンジニアとして、これまで「ユーザーは合理的に行動する」という前提でシステムを設計していたが、この本を読んで「人は予想可能なパターンで不合理に行動する」という視点を得られたことは大きい。この知見をプロダクト設計、価格戦略、チーム運営など様々な場面で活かしていきたい。
行動経済学というと難しそうに聞こえるが、本書は実験を追体験するような面白さがあり、読み物としても楽しめる。ビジネスパーソンだけでなく、自分の意思決定を改善したいすべての人におすす
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