成果を出すためにはまず量が必要である
はじめに
何かに挑戦する,ということは素晴らしい.しかしながら「成果を出す」ところまでやることはなかなかに難しく,成果を出せずにやめてしまった経験も多いのではないだろうか.
そこで,挑戦して成果を出すにはどのように考えて取り組むのが良いのか,会社員しながらプログラミングに挑戦した自身の経験を元に考察してみた.
(経験以外に語るものがないのかとも言われそうだが,実際ないのだから仕方がない.)
【前提条件】時間という基本単位.
人間に与えられた時間は 1 日 24 時間である.これはどんな人間であっても同じだ.住んでいる場所,勤めている会社,人種,家族構成,その他あらゆる事実に関係なく同じカードが配られる.
まず前提として「時間」をすべての基本単位として扱う.基本単位がすべての人に対して同一でないと「各個人の状況に応じて異なる」などといった不毛な議論が発生するためだ.
考え方 1:達成を判定可能な目標を立てる.
まず必要なのは目標を立てることである.それも「達成の判定」が可能な目標である.
「成果を出す」ということは「何かを達成する」ことだ.例えばマラソンなら「10km を 60 分以内に完走する」という具合である.これは極めて明確な目標であり,毎回 10km 走るごとに「達成している」「達成していない」のどちらかが判定できる.
達成できていれば達成感が得られてモチベーションが上がる.成功体験を積み重ねて自らのモチベーションを向上させることは,なにかに挑戦する上で非常に重要だ.そして次は,新たな目標を立てれば良いだろう.達成できていなければ再度チャレンジしたり,何か対策を考えたりする.
一方で曖昧な目標の場合はどうだろうか.例えば「今より速くなる」などだ.こちらも一応判定は可能だが,定量的な議論は難しい.目標に対して「どのくらい」足りていないのかが明確でないため,対策の解像度が高くならない.
10 km 60 分という目標に対して,タイムが「70 分」の場合と「90 分」の場合と「120 分」の場合では必要な練習は異なるだろう.
目標には「何を達成するのか」「自分は目標に対してどこにいるのか」を判断できる基準を設けるのが良い.目標を立てたら,なにかに挑戦している俳優や女優になりきって成功も失敗も楽しんでほしい.「明確な目標」があるからこその「成功」であり「失敗」であり,楽しくなければ続かないのだ.
考え方 2:量を重視する.
とにかく量だ.極論を言えば,時間をかければ成果は出る.つまり,最終的にはどれだけ時間をかけるかという議論に行き着く.
何かを犠牲にしなければ新しい何かは得られない.何をやって何をやらないか.選択と集中である.24 時間に繰り広げられる物事に優先順位をつける,と言い換えても良い.
まず「人間の 24 時間はすでに埋まっている」ということを頭に入れよう.
いやいや,余っている時間がある,と思うかもしれないが実は余っていない.「休憩時間」や「息抜き」という名前ですでに使われている.つまり以下のような状態だ.
6h 8h 2h 3h 5h
睡眠 仕事 通勤食事 息抜き
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このような状態でなにか新しいことに挑戦しようとする場合には,「息抜き」の時間を充てれば良さそうである.
6h 8h 2h 3h 5h
睡眠 仕事 通勤食事 挑戦
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いままで息抜きの時間はマンガを読んだりゲームをしていたりしたかもしれない.しかし,限られた 24 時間の中で新しいことに挑戦するには,これらの時間はなくすしかない.何かを選ぶということは何かを選ばないということなのだ.
しかしあなたはこう考えるだろう.「そんな暇な時間はない」と.例えば,より忙しい人は下記のようなタイムテーブルかもしれない.
6h 11h 3h 3h 1h
睡眠 仕事 通勤 食事 息抜き
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空いていそうな時間を全部費やしても 1 時間程度しか確保できなそうである.これでは何かに挑戦するどころではない.しかし,時間を確保するためには何かを削るしかない.例えばこうだ.
6h 9h 3h 3h 3h
睡眠 仕事 通勤 食事 挑戦
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なんとか 3 時間の確保に成功した.一つ前の状態と比較するとかなりの時間を確保できたようである.しかしあなたは次にこう考えるだろう.「仕事の時間を減らしてアウトプットが低下しても良いのか」と.そもそも会社で決まっている以上「仕事の時間を減らすのは無理」と考えるかもしれない.
しかし,人間には 24 時間しか与えられないため,減らすしかない(もちろん,他に減らせるものがあれば減らした上での議論ではあるが).そうすると,次の議論は「今までより短い仕事時間で,どうやって今まで通りの成果を出すか」となる.これが「質」の議論だ.
余談だが,経験上「睡眠時間」の削減には慎重であるほうが良いと考えている.身体を好調に保つために必要な睡眠時間は各自で異なるため一概には言えないし,ある程度実験を繰り返した上で削れる睡眠時間を判断するのも良い.
しかし,慢性的に「適切な睡眠時間」を確保できない場合,身体に不調をきたすことが多い.身体が不調である場合,当然作業効率が低下し,精度も下がるだろう.これではせっかく確保した時間も宝の持ち腐れである.
一方で,短期間で成果を求められる場合(数日や一週間など)では,睡眠時間を削ってでも時間を捻出して押し切ってしまう戦術は有効である.
考え方 3:質を高める.
量の次は質の議論だ.私は「質」とは単位時間当たりにどれだけの量を詰め込めるかという議論であると考えている.しかし,これは「挑戦すること」の質ではない.仕事などの「すでにあるもの」の質である.
「すでにあるもの」については「質」を議論できる.「今までより短い仕事時間で,どうやって今まで通りの成果を出すか」という議論だ.これにはいくつもの手段があるだろう.例えば,
- 作業自体のスピードを上げる.
- やらなければならないことを減らす.
- 再確認や修正などの二度手間をできるだけ減らす.
上記はどれもやり方を変えることである.これまで取り組んできた仕事なら,今までの経験値を元にいろいろな手段を講じることができるだろう.ぜひ自身の状況を元に考えてみてほしい.
一方で,「新しく挑戦すること」はただの一つもやり方を知らない状態である.経験値がまったくないのだから当然だ.故にやり方は変えようがなく「質」を議論することができない.
つまりこの状況における「質」の議論とは「なにかに挑戦するために」「可能な限り既存の物事の成果を変えずに時間を短縮するか」という議論なのである.「質」を議論することで「挑戦する時間」を作り出すのだ.
筆者は会社員時代,可能な限り仕事を早く終わらせ,時間を空けていた.はじめはそれまでと比較して 6-7 割の成果しか出せない状態であったが,何度も試行錯誤することでそれ以前と遜色ない成果を出すことができるようになった.
考え方 4:覚悟と執念.
精神論のように聞こえるかもしれないが,そうではない.大事なのは諦めずに取り組むことだ.
なにかに挑戦するときは,どうにかして量(時間)を確保することが必要だ.そしてそのために「既存の物事」について「質」の議論が必要であることを述べた.ならば,その他の時間についてももっと有効に活用することはできないだろうか.
例えば,移動中である.幸か不幸か,現代は情報化社会である.(ほぼ)どこにいても情報にアクセスできる端末が手元に存在する.これを用いて情報を収集したり,帰宅後の作業のイメージトレーニングを行ったりできる.帰宅していざ作業するタイミングで方針が明確になっている状態になっていることは大きなアドバンテージになるだろう.
移動時間が満員電車で何もできない,という場合でもタクシーを利用して作業環境を作り出すこともできる.列車のグリーン車なども同様だろう.これはまさに「時間をお金で買っている」状態であるが,自分の挑戦に対して投資していることにほかならなず,私は有効な手段であると考えている.お金は「高品質な時間を確保するためのツール」である.
食事の時間はどうか.例えば,TV をつけなければ一定の時間短縮が見込める.最近であれば youtube のコンテンツも充実しているため,挑戦している分野の解説動画などを流すのも一つの手だ.
また,家族がいる人は一人暮らしの人と比較して食事時間が長い傾向にあるだろう.この時間を短縮することも可能だ.実際筆者は「半年間は全力で挑戦するから勘弁してくれ」と家族に頭を下げ,早々と食事を済ませて PC に向かっていた.これも時間を捻出する工夫である(後日の埋め合わせを忘れてはならない).
周囲の人間の協力や理解が得られない場合もあるだろう.その時は「関係性を変える」チャンスかもしれない.挑戦することに価値を見出す自分と,価値を見出さない他人が今までと同様の関係性を維持する必要性は一考の価値がある.
自分の行動が変化すれば周りの見え方も変化するし,付き合う人間も変化する.たとえ関係性が変わっても,これまでの交流がなくなるわけではない.すべてを壊す必要はないが,次のステージに進むことが必要な場面も存在する.
これらは総じて「どうにかして達成する(ために時間を捻出する)」という「覚悟」と「執念」によるものである.
あとがき
以上,なにかに挑戦するために「時間」を基本単位とし,「量」と「質」について考えた.これらは実際に筆者が取り組んできた実績であり,諦めずに取り組んできたことでそれなりに成果を出してきた結果をまとめたものである.
もちろんこれが全てではないし,他にももっと良い考え方もあるだろう.しかし,これらの考え方が,なにかに挑戦する(したい)人の助けとなり,次なる議論のための材料になれば幸いである.
以上だ( `・ω・)b
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