「行動を変えるデザイン」を読むぜ
まえがき
羽根が「シンプルなもので複数の課題を解決できる優れたデザイン」のメタファーであり、それを実現するためのステップが以下のようになっているらしい。
- 適切な目標となる行動を選ぶ
- 目標の行動をやりやすくする
- 行動するように指し示すトリガーをはっきりさせる
上記を満たすと人の行動変容を促進できる。
はじめに
はじめにだけで27ページもあるw
行動変容デザインが意味するもの
行動変容デザインには4つの段階がある。
- 心の働きを理解する
- 変えるべき行動を探索する
- 初期プロダクトをデザインする
- 反復的に改善する
そして3のために1,2が大事だよと言っている。
これはとても納得できる。
また3のデザインプロセスは以下のような要素に分解できる。
- やりたくなるようなアクションをデザインする
- アクションを実行しやすい環境(プロダクトやユーザーコンテクスト)を整える
- ユーザー自身を準備万端にする
これもまあわかる。
対象読者
プロセスを進めていくには以下のスキルが必要になる。
- 行動経済学と心理学の知識
- 定量と定性データの分析(データに基づいた反復的な改善の計画)
- プロダクト開発と UX (楽しんで使ってくれるプロダクトをつくる)
これもわかるけど多様なスキルが要求されるので大変そうではある。
どのような種類の行動を手助けできるのか
本書で説明していく技法は、人がやりたいと望んでいるが、難しくてできていない行動をプロダクトが手助けすることを想定している。
わかる。
行動変容と黒魔術の違いについて説明している。
ここでの黒魔術とは、ユーザーの意思に反しているにも関わらず行動を変えることを指している。
行動変容デザインは自発性を尊重する。
どのようにして本書は書かれることになったのか
わたしたちはまず、人々に何をしたほうがいいかを伝えるソフトウェアをつくることから始めた。最適なファイナンス行動のための数理モデルを探し、それをユーザーに対する前進命令のようにアプリケーションに組み込んだ。わたしたちはすぐに、誰も耳を傾けていないことを知った。誰も、叱られたいとは思っていなかったのだ。
わたしたちは最新の研究知見から機能をデザインした。もしそれらの機能が使われれば、ユーザーの生活を変えることができたはずだった。だが、ユーザーはこれらの機能を使っていないことがわかった。行動を変えることができるプロダクトも、誰も使ってくれなければ意味がない。
数理的な正しさや学術的な興味深さはプロダクトが使われなければ全く意味を成さないという失敗談。
こういった失敗に陥らないように気をつけなければならない。
本書の構成
6部構成になっている。
- 心の動きと行動変容を理解する (1~3章)
- 適切な成果、行動、アクターを見つけ出す (4~5章)
- コンセプトデザインを作る (6~8章)
- インターフェースをデザインし、実装する (9~11章)
- プロダクトを改善する (12~14章)
- 実践に投入する (15~16章)
「行動変容デザインの4つの段階」に沿った章立てになっているっぽい。
第I部 心の動きと行動変容を理解する
第1章 心は次にやることをどうやって決めているのか
著者のお気に入り事例集を紹介し、人の行動選択メカニズムを説明する章。
28ページくらいある。
人が直面する状況がどれくらい慣れ親しんだ状況なのかに応じてなるべく手抜きするように思考リソースを使うことが分かりやすく説明されている。
ひとつひとつの事例もとても共感できる。
これらの前提を踏まえたうえで行動変容をデザインしなければならない。
リワードを与えて習慣を強化する方法は、ゲームデザインに多く取り入れられている(ガチャ、ログインボーナスなど)と思った。