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LIFFからミニアプリへ移行するときの準備

に公開

2025年2月、LINEヤフー社から「LIFFアプリを新規作成する際は、LINEミニアプリとして作成することを推奨します」と公式発表がありました。
ロードマップ[1]によると、2025年内には移行手段の提供があるとされています。

この記事では、これまでLIFF(LINE Front-end Framework)を開発していたデベロッパーを対象に
LIFFからミニアプリへの移行で開発体験へどのような変化があるのか、承認の手順や申請期間、審査のポイントなどを解説しています。

LIFF開発とLINEミニアプリ開発の違い

公式のドキュメントLIFFアプリでできてLINEミニアプリでできないことが提供されています。
ここには、外部ブラウザによる表示ができなくなる、モジュールモードが使えなくなること、同一チャネルへ複数のLIFFアプリを設置できなくなる という3点の変更が記載されています。

LIFF開発経験者の観点で、公式ドキュメントにある3つの変更の翻訳のほか気付きを付け足すと、このようなDX(開発体験)の変化を実感しました。

  • 最初から公開されている
  • 開発中コードのlocalhost表示確認にはトンネリングが必須になる
  • 開発者ごとのlocalhostと紐づけたLIFFを設置できなくなる

主に、デプロイ前のコードをlocalhostで確認しにくくなるインパクトを感じました。

最初から公開されている

LIFFのときは、LINEログインチャネルへ「開発中モード」が設定でき、公開するまではログインチャネルの権限設定でAdminかTestの権限をもっているLINEアカウント以外のアクセスを制限できていました。
LINEミニアプリには、ログインチャネルのような開発中モードは存在しないため、アプリは最初から公開されています。「開発」のミニアプリを非公開にする場合はBasic認証を設定しましょう。

開発中のコードはトンネリングしてLINEアプリ経由の表示確認

外部ブラウザによる表示ができなくなったため、実装状況はLINEアプリのLINEブラウザで表示確認することになります。
LINEブラウザでは、localhostやlocal IPのアドレスはセキュリティの制限により表示できません。
したがって、開発中のコードを表示確認したい場合は原則として、ミニアプリのウェブアプリ設定にある「エンドポイントURL」の「開発」へngrokcloudflaredlocalhost.runなどのトンネリングツールから発行したアドレスを登録する運びになります。

開発者ごとのlocalhost用LIFFを設置できなくなる

同一チャネルへ複数のLIFFアプリを設置できなくなるため、ミニアプリは「開発」「審査」「本番」の3種類の環境に絞られます。
LIFFの場合、複数人でアプリケーションを開発するとき開発者ごとのlocal IPを登録するLIFFを発行できたので同時開発の取り回しが良かったのですが、ミニアプリへ完全移行した後は1つしか設置できない開発アプリでどのように複数人開発を実現できるか工夫を求められそうです。

ミニアプリの承認申請

ミニアプリの承認を実際に体験してみました。

項目 内容
個人事業主 / 法人 法人
サービス事業主 自社
開発担当企業情報 自社
内容 商材の販促デモンストレーションアプリ

基本的な流れ

LINEヤフー社からのリアクションは、概ね1〜3営業日以内でした。
初申請ということもありますが、申請から承認までは2度の却下を経て13営業日かかりました。

  1. 審査申請済み ... こちらから審査を依頼したタイミング
  2. 審査中 ... LINEヤフー社が審査の申請を受け付けたタイミング
  3. 承認済み/却下 ... LINEヤフー社の審査結果告知
  4. 反映済み(承認の場合) ... こちらが反映手続きをするとミニアプリは検索対象として公開

状況はメールで連絡が届く

審査の申請や受付などの経過は、ミニアプリチャネル内の「審査申請」タブでの表示とメールで確認できます。
メール通知は、ミニアプリチャネルへ登録している「連絡先情報」のメールと、「チャネル基本設定」のメール両方に同じ内容が届きます。

却下の場合は途中でいち早く教えてくれる

途中で不適合な項目があった場合は、審査を中断してすぐに却下の通知が届きます。
全項目の照合まで何日も待たなくてもよいという観点では親切仕様です。

承認後は検索可能にするまで編集できない

承認直後は審査申請が「反映済み」となっており、チャネル情報を編集するUIが不可視になっています。
「検索可能にする」ボタンで操作が必要です。反映済みから検索可能にする操作は原則として手動実行ですが、反映済みになってから30日経過後までに手動実行されなかった場合は自動で検索可能に切り替わることになっています。

検索可能にする

検索可能の操作をすると、「審査申請」タブのステータスが「反映済み」から「承認前」へ変化します。
そして、LINEアプリの検索から認証済になったミニアプリの情報がヒットするようになります。
反映までは、数分か数時間のラグがあります。有効化したタイミングでお知らせのメールが届くようになっています。

審査のポイント

公式ドキュメント審査を依頼するは読んだつもりでしたが、初手で承認とはいきませんでした。

  • 事業主のビジネスとアプリの機能を客観的に証明する
  • アイコン規格は仔細なので公式テンプレートを活用
  • 友だち追加オプションはOn必須
  • チャネル同意の簡略化はoff必須
  • scopeは実際に使用しているものだけ選択

事業主のビジネスとアプリの機能を客観的に証明する

アプリケーションで提供する内容の事業内容の詳細がわかるURL/資料等の追加提出を求められました。いわゆる、ミニアプリのサービスを紹介する専用の公式サイトおよび、事業会社のサービス紹介ページなどです。
もしローンチと同時に公式サイトも公開する場合、URL提出ができないので工夫が必要そうです。

  • サービスの詳細が確認できるWebサイトURL、資料
  • 第三者が提供する情報掲載サイト、資料など

また、サービス事業主の企業とミニアプリの内容の関係性を客観的に証明するデータも必要でした。
今回チャレンジした「商材の販促デモンストレーションアプリ」は、自社の商材紹介チラシのPDFを添付資料として提出し審査を通過できました。

アイコン規格は厳格なので公式テンプレートを活用

公式マニュアルLINEミニアプリのアイコンを作成するで配布しているPhotoshopのテンプレートを最初から活用するのが近道です。
ミニアプリチャネルへアイコン画像をアップロードしたときに表示される矩形の枠からモチーフがはみ出しているとアウトです。

友だち追加オプションはOn必須

ミニアプリチャネルの選択肢ではOffが選べてしまうのですが、On必須でした。
紐づける公式アカウントは「カスタマーサポート情報」で申告しているLINE公式アカウントIDとなります。

チャネル同意の簡略化はoff必須

ミニアプリチャネルの選択肢ではonが選べてしまうのですが、off必須でした。

scopeは実際に使用しているものだけ選択

アプリ内で実際に取得していない情報のscopeオプションが選択されている場合は却下になりました。

例)
LINEプロフィールの名前やメールアドレスがアプリ内で使用されている形跡がないのにprofileを選択しているとNG

認証済LINEミニアプリになった場合

認証済ミニアプリになると、サービスメッセージという機能が使えるようになります。

また、原則としてアプリを起動するとHOMEへの保存を促す動線になります。(PWAと同じ原理)
LINEアプリを起動し公式アカウントを経由せずとも起動できる点は使い勝手が良くなるポイントです。

HOMEに登録したLINEミニアプリのアイコンを選択すると、このようにPWAでブラウザが起動してミニアプリへ誘導する仕組み。

サービスメッセージ

ミニアプリと紐づけている公式アカウントをお友だち登録していないユーザーに対しても、LINEヤフー社が運用している「LINEミニアプリ お知らせ」という公式アカウントを介しメッセージを配信する機能です。
特定のTriggerにたいしてあらかじめ登録したフォーマットの通知を送信する仕組みで、注文内容の確認や順番待ちの通知などへのテンプレートが提供されています。

HOME起動にそなえたメンテナンス対応

公式アカウントのリッチメニューからLIFFを公開している場合、LIFFへの動線をカットする対応が容易でしたが、HOMEへアイコンを登録する仕様になるためミニアプリはいつでも入口が公開されている状態になります。
そうなったとき気がかりなのが、緊急メンテナンス時のアクセス遮断方法です。

ミニアプリの本番エンドポイント変更は、原則として再審査が必要ですが
公式の認証済ミニアプリ更新後の再審査へ備考として表示されているとおり、メンテナンス等の正当な理由で一時的に変更することは許可されています。


いかがでしたでしょうか。
この検証を実施した春先にはミニアプリ審査の事業者情報に必須だったApple Developer Program登録が不要になるなどLINEヤフー社でも模索しているところはあるようで、ミニアプリ1本化までにはまだ変化をともないそうです。

新規作成できなくなった後もLIFFがすぐさま停止することはないようですが[3]、運用中のLIFFサービスがある場合は余裕を持ったスケジュールで準備を進めることをおすすめします。

脚注
  1. 2025年7月確認時点の情報です。 ↩︎

  2. 2025年7月段階での検証結果なので、今後は利用できなくなる可能性もあります。 ↩︎

  3. LIFFアプリを新規作成する際は、LINEミニアプリとして作成することを推奨しますへ、「既存のLIFFアプリや今後作成されるLIFFアプリについては、ブランド統合後も引き続きご利用いただけます。」と記載があります。 ↩︎

TAM

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