【図解】dbtとは?データ変換の常識を変える「データ版GitHub」を徹底解説
データ活用の重要性が叫ばれる現代において、「dbt(data build tool)」というツールを耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
「とりあえずデータを集めたけど、Excelで分析するのは限界…」
「レポートによって数値が合わない、データの信頼性がない…」
このような課題は、多くの企業が直面している問題です。そして、その解決の鍵を握るのがdbtです。dbtは、従来のデータ基盤が抱えていた 「データ変換の属人化」「信頼性の欠如」「保守性の低さ」 といった課題を、開発者フレンドリーな手法で解決します。
この記事では、「dbtとは何か?」という基本的な問いから、その革新的な思想、そして実際の活用方法までを、初心者にも分かりやすく解説します。
1. dbtとは?一言で言うと「データ版GitHub」
dbtとは、データ変換(Transform)に特化したオープンソースのコマンドラインツールです。
一言でdbtを表現するなら、「データ版GitHub」と言えるかもしれません。なぜなら、dbtはデータ変換のコードをGitで管理し、ソフトウェア開発のベストプラクティスをデータの世界に持ち込むからです。
従来のデータ基盤では、データの変換・加工はデータエンジニアが複雑なETLツールを使って行ったり、データアナリストが個別にSQLを書いて行ったりしていました。しかし、dbtはSQLの知識さえあれば誰でもデータ変換のパイプラインを構築・管理できるようにします。
dbtは、データ活用の文脈で以下の2つの役割を果たします。
- データ変換の自動化: 定義したSQLを定期的に実行し、最新の分析用データセットを自動で生成します。
- データ品質の向上: データのテスト、ドキュメンテーション、バージョン管理を可能にし、データに対する信頼性を高めます。
2. dbtのアーキテクチャ:モダンデータスタックにおけるdbtの位置づけ
dbtは、ELT(Extract, Load, Transform) というデータ処理の流れにおいて、Transform(変換) の役割を担います。
- Extract & Load: まず、troccoやAirbyteなどのデータ統合ツールを使って、様々なデータソースからデータを抽出し、データウェアハウス(DWH) にロードします。
- Transform: DWHにロードされた生データに対して、dbtを使って分析しやすい形に変換・加工します。
- Analyze & Visualize: dbtで整形されたデータを、TableauやLookerなどのBIツールで分析・可視化します。
このように、dbtはDWHを最大限に活用し、データウェアハウス内のデータを整理・集約するための、モダンデータスタックにおける中核的な存在と言えます。
3. dbtの3つの主要な機能
dbtは、主に以下の3つの強力な機能でデータ変換を革新します。
① SQLによるデータ変換
dbtは、SQLのSELECT
文でデータ変換のロジックを記述します。CREATE TABLE
やINSERT
文は不要です。dbtが自動でこれらのSQLを生成し、実行してくれます。
② モデル間の依存関係管理
dbtは、モデル(SQLファイル)間の依存関係を自動で理解し、最適な実行順序を決定します。
たとえば、商品別売上テーブル
が販売履歴テーブル(前処理済み)
と商品テーブル(前処理済み)
に依存している場合、dbtは日次の商品別売上テーブル
を作成する前に、必ず販売履歴テーブル
と商品テーブル
の前処理を先に実行します。
これにより、複雑なデータパイプラインを意識することなく、一つ一つのモデルのロジックに集中できます。
③ テストとドキュメンテーション
dbtは、データ品質を担保するためのテスト機能と、データ定義を自動生成するドキュメンテーション機能を備えています。
-
テスト:
not_null
やunique
といったテストをYAMLファイルに記述することで、データに問題がないかを自動でチェックできます。 - ドキュメンテーション: カラムの定義やモデル間の依存関係を可視化したドキュメントを自動で生成します。
これにより、データの信頼性を高め、誰もが安心してデータを利用できる環境を構築できます。
4. dbtは誰が使うべきツールか?
dbtは主に以下の2つの職種で利用されています。
- アナリティクスエンジニア・データエンジニア: dbtの最も主要なユーザーです。データアナリストが利用しやすいようにデータの整形・集約を行います。
- データアナリスト: SQLの知識があれば、データエンジニアの力を借りずに、自分で分析に必要なデータモデルを作成できます。
dbtは、データ変換のプロセスを民主化し、データに関わる誰もがデータから価値を引き出せるようにします。
5. まとめ:dbtで変わるデータ活用の未来
この記事では、dbtの基本的な概念からその主要な機能までを解説しました。
- dbt: データ変換に特化した、データ版GitHub。
- 役割: データ変換の自動化とデータ品質の向上。
- 主要機能: SQLでのデータ変換、依存関係管理、テスト・ドキュメンテーション。
dbtは、データ分析を単なる「可視化」から、信頼できるデータに基づいた「意思決定」 へと進化させます。もしデータ活用の課題に直面しているなら、ぜひdbtを試してみてはいかがでしょうか。
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