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dbt Core vs dbt Cloud:徹底比較ガイド

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私の会社では現在dbt Cloudを利用していますが、コスト最適化を目的として、dbt Coreへの移行を検討しています。両者の違いを改めて深く調べてみると、「どちらが優れている」という単純な答えはなく、それぞれの特徴を理解した上で、自社の状況に合った選択をすることが極めて重要だと再認識しました。

この記事では、dbt Coreとdbt Cloud、それぞれの特徴、メリット、デメリットを徹底比較し、どのようなケースでどちらの選択肢が最適かを解説します。

dbt Coreとは?

dbt Coreは、dbtの心臓部をなすオープンソースのコマンドラインツールです。

メリット

  • カスタマイズ性の高さ:ローカル環境で実行するため、インフラ、実行環境、スケジューリングツール(Airflow, Prefectなど)を自由に選べます。既存のCI/CDパイプラインに組み込むのも容易です。
  • コストの柔軟性:dbt Core自体の利用は無料です。実行環境(EC2, Dockerなど)やスケジューリングツールの費用はかかりますが、自社のインフラに最適化することで、コストを柔軟にコントロールできます。
  • ツール連携の自由度:他のツールやサービスと連携するための環境を自由に構築できます。例えば、Slack通知、Datadogへのメトリクス送信など、カスタムスクリプトを組み込むのが容易です。

デメリット

  • セットアップと運用の手間:dbt Coreを実行するためのインフラ(サーバーなど)や、実行を自動化するためのオーケストレーションツール(Airflowなど)のセットアップ、運用、監視をすべて自社で行う必要があります。
  • 学習コスト:dbt Coreの知識に加え、オーケストレーションツールの使い方や、インフラの知識も必要になります。
  • 共同開発の難しさ:チームで開発する場合、環境構築の統一やバージョン管理、権限管理などを自分たちで整備する必要があります。

dbt Cloudとは?

dbt Cloudは、dbt Coreの機能をWebブラウザ上で提供するSaaSプロダクトです。

メリット

  • セットアップと運用の手軽さ:Webブラウザからサインアップするだけで、すぐに開発を始められます。専用のIDE(統合開発環境)、ジョブのスケジューリング機能、ロギング、監視機能がすべてGUIで提供されるため、インフラ管理の手間がありません。
  • 共同開発の効率化:GUIベースのIDE、ブランチ管理、レビュー機能などが組み込まれており、チームでの開発がスムーズに進められます。
  • 優れたユーザビリティ:ドキュメント生成やテスト実行もGUIから簡単に行えます。特に、dbtが生成するDAG(有向非巡回グラフ)の可視化は非常に優れています。
  • ネイティブ機能の充実:ジョブ失敗時の通知機能(Slack、メールなど)、API連携、ドキュメントホスティングなど、dbt Core単体では実現が難しい機能が最初から備わっています。

デメリット

  • カスタマイズ性の制限:実行環境やスケジューリング機能がブラックボックス化されているため、インフラの細かなカスタマイズはできません。特定のカスタムロジックをジョブに組み込むのが難しい場合があります。
  • ランニングコスト:利用規模(ユーザー数や実行時間など)に応じて課金されるため、大規模な利用ではコストが高くなる可能性があります。
  • ツール連携の制限:dbt Cloudがサポートしていない外部ツールとの連携は難しい場合があります。

dbt Core vs dbt Cloud:比較表

両者の特徴をより分かりやすくするために、比較表にまとめました。

項目 dbt Core dbt Cloud
実行環境 ローカルPC、サーバー Webブラウザ
料金 無料(インフラ費用は別途必要) 有料(利用規模に応じた課金)
セットアップ 自社でインフラ構築・設定が必要 ブラウザからすぐに利用可能
運用・監視 自社で全て行う必要がある dbt Cloudが自動で管理・監視
共同開発 Gitなどで自社で環境を整える必要がある GUIで共同開発がスムーズ
カスタマイズ性 非常に高い 制限あり
学習コスト dbtに加え、インフラ知識も必要 dbtの知識に集中できる
ベストプラクティス ソフトウェア開発の知識が活かせる GUIに沿ってスムーズに実践できる

結論:最適な選択はあなたの状況次第

dbt Coreとdbt Cloud、どちらが優れているという絶対的な答えはありません。最適な選択は、あなたの組織の規模、予算、技術スタック、そしてチームのスキルセットによって変わります。

  • dbt Cloudがおすすめのケース

    • dbtをすぐに始めたい、プロトタイピングを進めたい
    • インフラ管理の専門家がいない
    • チームで効率的に開発を進めたい
  • dbt Coreがおすすめのケース

    • 既存のインフラやワークフローにdbtを組み込みたい
    • インフラやDevOpsの知識を持つ専門家がいる
    • コストを徹底的に最適化したい

それぞれの特徴を理解し、ビジネスの要件に合ったツールを選定する能力は非常に重要です。

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