ETH Global BuenosAires🇦🇷 のスポンサードプロジェクト詳細 Part2

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Celo

1. プロジェクト概要

ミッション・ビジョン

  • Celo の基本理念は、「スマートフォンを持つ誰もがアクセスできる分散型金融(DeFi)/支払いネットワークを実現する」こと。いわゆる 金融包摂(financial inclusion) を Web3 の力で実現しようという志向があります。
  • モバイル・ファースト設計を重視しており、モバイル端末での利用体験をなるべく滑らかに、使いやすくすることを目指しています。
  • 環境持続性への配慮もあり、取引手数料の一部をカーボンオフセットに充てる仕組みなども掲げています。

技術的構造・進化

  • Celo はもともと EVM 互換のレイヤー1チェーン として設計されていましたが、最近では Ethereum 上の Layer 2(L2) 構造への移行を行っています。これにより、Ethereum のセキュリティおよび相互運用性と、Celo がもつ高速・低コスト性を融合させることを目指しています。
  • L2 化後は、ブロック最終性(finality)が 1 秒という高速性を実現しています。
  • ガス(手数料)支払いにおいて、Celo は「Fee Abstraction(手数料を ERC-20 トークンで支払える)」という仕組みを導入しており、ユーザーが CELO を持っていなくても、別のトークン(例:cUSD など)で手数料を支払うことを可能にしています。これによりオンボーディングの障壁を下げる設計がなされています。
  • Celo のネイティブトークン「CELO」は、ガス支払い、ステーキング、ガバナンスなど複数の用途を持ち、ERC-20 としても振る舞える設計を持っています(Duality 構造)。
  • ノード実装コードベースは、Go 言語ベースで Ethereum(geth)をフォーク/改変した形(celo-blockchain)で開発されており、将来的にはより維持性の高い実装に移行する意向も示されています。

エコシステム

  • すでに多数の DApp(分散型取引所、レンディング、支払いアプリなど)が構築されており、Celo 上の DApp を可視化するショーケースも用意されています。
  • 例として、Ubeswap(DEX/AMM)、ImpactMarket(社会的インパクト系アプリ)、Valora(モバイルウォレット/支払いアプリ)などが挙げられます。
  • DappRadar が Celo 上の DApp をトラッキング対象に加えており、Celo の成長を外部からも可視化しはじめています。

2. ターゲットユーザー(ユーザ層)

Celo が設計上重視しているユーザー層は、以下のような人/組織です:

ユーザー層 特徴・ニーズ Celo が提供しやすい価値
銀行口座を持っていない、または銀行利用が制限されている人々 金融インフラが未発達な地域、または金融包摂が課題の地域 スマホだけで送金・支払い・預金・借入などをできる環境を提供
モバイル主体ユーザー PC よりスマホが主なインターフェース モバイル最適化された UX/UI、手軽なウォレット操作性
開発者/スタートアップ Ethereum 周りの技術スタックに慣れており、低コストネットワークを探している EVM 互換性 + 低手数料・高速性により開発・運用コストを抑えられる
社会インパクト志向団体 分散金融を通じて支援・コミュニティ構築を目指す NGO、国際援助組織など 透明性あるトークン配布、スマホベースでの資金流通、手数料負担の低さ
ミクロペイメントやマイクロ送金を使いたい企業 グローバル支払い、報酬配布、小額トランザクションを要するサービス サブセント手数料で頻繁な小額取引も成立しうる環境

要するに、従来の金融インフラが行き届きにくかった層モバイル利用が中心の層コスト重視で Web3 を導入したい開発者やサービス が主な対象になります。

3. Celo を使う利益・強み(メリット)

Celo を採用・利用することによる利点は、複数の観点から挙げられます。

技術・運用面のメリット

  1. 低手数料かつ高速なトランザクション
    • ブロック最終性が 1 秒程度。
    • 手数料が非常に小さい(サブセント単位)で、ガス支払いもトークンで柔軟にできる。
  2. EVM 互換性
    • Ethereum と同種のツール(Truffle, Hardhat など)が使える。移植性が高い。
    • 既存の Solidity コントラクトを大きく変えずに導入可能。
  3. Fee Abstraction(手数料支払い柔軟性)
    • ユーザーが CELO を持っていなくても、他のトークンで手数料を支払える設計。これが UX のハードルを下げる重要なアプローチ。
  4. モバイル最適化・軽量性
    • モバイル環境でのアプリ動作を重視。ウォレットアプリ(Valora など)や SDK(dAppKit など)が提供されている。
  5. 二重性(Duality)を持つ CELO トークン
    • ネイティブトークンとしての機能と ERC20 トークンとしての機能を兼ね備えており、トークン操作の融通性を高めている。
  6. セキュリティと相互運用性
    • Ethereum のセキュリティモデルを活用できる(L2 化による恩恵)。
    • 他チェーンとのブリッジ機能が存在し、資産移動の柔軟性を持てる。
  7. ガバナンス参加
    • CELO ホルダーはネットワークのパラメータ調整やアップグレード提案に参加でき、プロトコル運営に関与可能。

ビジネス・社会的メリット

  • 金融包摂性:伝統的金融インフラが届きにくい地域での決済・送金インフラとして機能可能
  • コスト削減:銀行間送金、決済インフラを使うよりもコストを抑えられる可能性
  • スケーラビリティ:大量のユーザー・トランザクションが発生しうるアプリでも耐えうる基盤
  • 社会インパクト・ブランディング:持続可能性、包摂性を訴えるプロダクトとの親和性
  • ネットワーク効果:使われる DApp が増えることで Celo エコシステム自体の価値が向上

総じて言えば、ユーザー体験を重視しつつ、運用コストを抑え、かつ高い拡張性・相互運用性を持つ Web3 基盤 を提供するという強みがあります。

4. 競合優位性・課題と競合との比較

優位性(差別化要因)

  1. モバイル・ファースト戦略
    • 多くのブロックチェーンが PC / デスクトップ中心の UX を想定している中、Celo はモバイルユーザーを主軸に据えて設計されている点で差別化されます。
    • 電話番号を鍵(アドレス)に紐付ける仕組みなど、ユーザー登録/送金 UX を簡便にする工夫がある(ただし、これにはプライバシー・匿名性の議論もつきまとう)。
  2. 手数料支払いの自由度(Fee Abstraction)
    • 他トークンで手数料を支払えることは、ユーザーにとっての導入ハードルを大幅に下げるポイントです。多くのチェーンではガスはネイティブトークンでしか支払えない設計が普通です。
  3. EVM 互換 + L2 移行
    • Ethereum 互換性によって開発者が既存資産を転用しやすく、L2 によって Ethereum のセキュリティの恩恵を受けつつコスト優位を得られる設計。
  4. 社会インパクト設計
    • 金融包摂を前提とするビジョンと実証プロジェクト(ImpactMarket 等)をもつことが、単なる技術プロジェクトとは異なるストーリー性を与えています。

競合・類似プロジェクトとの比較・課題

競合/比較対象 強み 弱み・リスク Celo が不得意または注意すべき点
Ethereum 最も成熟したエコシステム、流動性・ユーザー基盤が大きい 手数料高、スケーラビリティ限界、UX が複雑 Celo は流動性で後塵を拝する可能性
Polygon / Arbitrum / Optimism 等の L2 既に多くの DApp が存在、高い流動性 ユーザー体験の差別化が限定的、手数料/UX の改善競争 Celo のモバイル UX や手数料自由度が武器になる可能性
Solana / Avalanche 等の高性能チェーン 高 TPS、高速性、低手数料 分散性・安全性のトレードオフ、開発者体験の重み Celo はモバイル UX と包摂性で差別化できる可能性
社会インパクト系ブロックチェーン(例:Celo に近い理念を持つチェーン) 同様に理念訴求力がある 規模・実績での差 Celo の実運用実績・エコシステムを強みにできる

具体的リスク・課題としては:

  • 流動性・資金調達力の限界:大規模な DeFi プロジェクトや資金引き込み力では、Ethereum や主要 L2 に比べて劣る可能性
  • セキュリティ・監査コスト:スマートコントラクト脆弱性リスクはどのチェーンでも共通。特に手数料自由度などの追加機能を入れた際のセキュリティ監査コストが上がる可能性
  • 規制・コンプライアンス:金融包摂・決済インフラ寄りの設計ゆえ、各国の金融規制からの制約や監査要求が強くなる可能性
  • ユーザー獲得:技術的優位だけでなく、実際のユーザー導線や UX、マーケティングが追いつかないと普及は難しい
  • チェーン間相互運用性:他チェーンとの橋渡し(ブリッジ)にはリスクが付きまとう(セキュリティ、スリッページ、手数料など)
  • 資産分散リスク:CELO に依存しすぎると、トークン価値下落・ステークの影響を強く受ける可能性

ただし、Celo はこれらの課題を理解したうえで、モバイル UX、ユーザー導入障壁の軽減、社会インパクト訴求など複数軸で差別化を図ろうとしている点が評価できます。

Citrea

プロジェクト概要

Citrea は、ビットコイン(Bitcoin)を基盤としつつ、ゼロ知識技術(ZK:Zero-Knowledge Proofs)を使って拡張性とスマートコントラクト機能を付与する Bitcoin 向けの ZK ロールアップ(Layer 2) を目指すプロジェクトです。(Citrea)

主な特徴・構成要素として、以下のようなものがあります:

  • zkEVM 互換性:Ethereum の EVM(Ethereum Virtual Machine)と互換性を持たせ、既存の EVM ベースの開発環境/ツールを活用できるように設計している。(Nansen)
  • BitVM を活用したブリッジ/検証:L1(ビットコイン)と L2(Citrea)間の橋渡しを、信頼最小化(trust-minimized)な方式で行う “Clementine” という仕組みを導入中とされる。(Citrea · Blog)
  • データ可用性と決済の両方を Bitcoin に依存:Citrea はブロックチェーンとしての「データの可用性(data availability)」と「最終決済(settlement)」をビットコイン上に保持する構造を取ることを目指している。これにより、L2 上のトランザクションの最終性や安全性を Bitcoin のセキュリティ性に紐づけようという設計。(Citrea · Blog)
  • ステートルートのインスクリプション:トランザクションのまとめ(バッチ化)によるステート変化をビットコイン上にインスクリプト(刻印)し、ZK 証明で正当性を示す方式。(Citrea · Blog)
  • 開発・エコシステム支援:「Citrea Origins」という開発者コミュニティ/助成プログラムも運営しており、Bitcoin 上での dApp(“₿app” と呼ぶこともある)が成長するような支援をしている。(origins.citrea.xyz)
  • 資金調達実績:シードラウンドで約 270 万ドル調達、さらにはシリーズ A で約 1,400 万ドルを調達したとの報道もあります。(rootdata.com)

要約すると、Citrea は “Bitcoin を単なる価値保存手段/決済手段以上のものにし、スマートコントラクトや DeFi 機能を持たせたい” という理念のもと、Bitcoin のセキュリティを最大限活かしながら拡張性を加えようとするレイヤー 2 ソリューションです。

ターゲットユーザー

Citrea が主にターゲットとして想定しているユーザー/関係者は以下のような層と見られます:

ユーザー層 期待される利用シーン/ニーズ
開発者(スマートコントラクト、DeFi、dApp開発者) Ethereum の既存ツールや知識を活かしつつ、Bitcoin を基盤とする dApp を構築したい
Bitcoin 保有者/投資家 保有する BTC をただ保有するだけでなく、DeFi やレンディング、ステーキング、利回り創出といった機能を活用したい
ユーザー(最終利用者) 手数料が安く高速なトランザクション、あるいは Bitcoin を利用した アプリケーションの利用体験(送金、DEX、ローン、NFT、金融商品など)
インフラ運営者/ノード運営者/検証者 L2 ネットワークのノード、プロバイダー、検証者として参画することで報酬や手数料を得る可能性
サービスプロバイダー(ウォレット、決済業者、アグリゲーター等) Bitcoin ベースで拡張された機能を利用し、ユーザーに新たなサービスを提供したい組織や企業

特に、Ethereum 開発経験を持つエンジニアが、Bitcoin ネットワークの安全性を活かしたアプリケーション開発をしたいときに、Citrea は魅力的な選択肢となる可能性があります。

利益・ユースケース/提供価値

Citrea がもたらし得る価値や利益を、技術的・経済的・ユーザー体験の観点から見てみます。

技術的/ネットワーク的な利益

  1. スケーラビリティ向上と手数料低減

    Bitcoin 本体にすべてのトランザクションを置くと手数料や処理速度がボトルネックになり得ますが、Citrea によって多くのトランザクションを L2 側で処理し、まとめて Bitcoin に書き込む構造にすることで、処理性能を向上させ、ユーザーの手数料コストを下げられる可能性があります。(Nansen)

  2. スマートコントラクト/プログラマブル性の付与

    Bitcoin 自体は制約のあるスクリプト言語が中心で、複雑なロジックやプログラムを直接入れるのは難しい構造ですが、Citrea 上では EVM 互換の環境を提供することで、DeFi、DEX、レンディング、NFT、ガバナンス機能などを Bitcoin のセキュリティ下で実行できるようになります。(xverse.app)

  3. セキュリティと最終性の強化

    Citrea は状態変化を Bitcoin にインスクリプトし、ZK 証明で正当性を主張するアプローチを取るため、L2 の不正が Bitcoin の検証機構でチェックされ得る構造を目指しています。これにより、従来の “L2 は独自セキュリティ” のリスクを削減する狙いがあります。(Citrea · Blog)

  4. 相互運用性・開発効率

    EVM 互換性を持つことで、既存の Ethereum 向けライブラリ、ツール、スマートコントラクトを比較的容易に移植または二次利用できる可能性があります。これにより、開発工数を抑えつつ、Bitcoin ベースの dApp を展開できるという利点があります。(Nansen)

  5. 価値のビットコイン維持

    ユーザーが BTC を供給して cBTC(Citrea 上での BTC 相当トークン)を使う構造であれば、価値の源泉は依然として Bitcoin に結びつき、BTC の信任性を活かすことができます。(Nansen)

経済的/ビジネス的な価値

  • 手数料収入:L2 でのトランザクション手数料やスワップ手数料、ガス収入のポテンシャル
  • インフラ運営報酬:ノード運営者、検証者、プロバイダーなどに報酬が分配され得る
  • ユーザー誘引・流動性誘致:Bitcoin 保有者が DeFi 等の機会を求めて流入する可能性
  • 新たな金融商品/サービス創出:BTC を担保とするローン、ステーキング、利回り生成、NFT、合成資産など
  • 差別化・ブランディング:Bitcoin ネイティブな dApp を「本物の BTC 上で動く」とアピールできること

ユーザー体験的な価値

  • 取引コスト低減、決済高速化
  • アプリケーション利用のしやすさ向上(スマートコントラクト対応、UX 向上)
  • BTC を「使える資産」に変える選択肢
  • Ethereum と同様の操作性を持ちつつ、Bitcoin のエコシステムに参加できる

競合優位性・リスク・課題

Citrea が他プロジェクトに対して持ちうる優位性、および課題・リスクを整理します。

競合優位性(強み候補)

  1. Bitcoin ネイティブ性・信任性

    多くの既存 L2 ソリューションは Ethereum や別チェーンが前提ですが、Citrea は “Bitcoin に直接依存” する構造を取ろうとしており、Bitcoin のネットワーク効果・信頼性を活かせる可能性があります。

  2. EVM 互換 + ZK 技術の融合

    EVM 互換性と ZK ロールアップ技術を併せ持つ点は、既存の Ethereum 開発者を誘引しやすい価値となり得ます。

  3. 信頼最小化ブリッジ

    “Clementine” のようなアプローチで、可能な限りユーザー信頼を減らす(トラストレス性を強める)橋渡し設計を志向している点。

  4. データ可用性・決済の両立

    L2 によって生じる「データ可用性問題」を Bitcoin 自体に持たせようという設計により、セキュリティ上の裏付けを得られる可能性。

  5. 迅速な資金調達と開発体制

    シリーズ A で大きな調達をしており、エコシステム構築や開発を加速させる基盤を持っている点。(CoinDesk)

主な課題・リスク(ハードル)

  1. BitVM/Clementine の検証・実装成熟度

    これらの基盤技術がまだ完全に確立しているわけではなく、設計の安全性や実証実験が重要な課題となります。

  2. L2 特有のセキュリティ・詐欺リスク

    ZK 証明、スナップショット不整合、不正な証明など、L2 系技術に起因する攻撃リスクが残る可能性。

  3. ブリッジの信頼性

    L1 ↔ L2 間のブリッジ=Clementine の安全性と検証可能性は極めて重要で、ここに欠陥があると大きなリスクになります。

  4. 競合プロジェクトとの競争

    既存の Ethereum / Polygon / Arbitrum / zkSync / EigenLayer / Bitcoin 上での他の L2 / スケーリング技術と比較して、差別化と採用を勝ち取る必要があります。

  5. ユーザー導入と流動性誘致

    “BTC を L2 に預けて cBTC にすることに対する心理的障壁” や、流動性誘致の難しさ

  6. 法規制・コンプライアンス

    特に「仮想通貨トークンの発行」「ブリッジの運用」「金融商品化」などの観点で、法規制上の対応が必要になる可能性

  7. パフォーマンスとコスト最適化

    ZK 証明の計算コスト、ガスコスト、バッチング設計など、実運用を支える最適化が不可欠

The Graph

🧭 プロジェクト概要

The Graph(グラフ) は、ブロックチェーンデータを効率的にインデックス化・クエリできる分散型データインフラです。

Web3版の「Google for Blockchain」と呼ばれることもあります。

  • 目的:オンチェーンデータ(トランザクション、イベントログ、スマートコントラクトの状態など)を検索・取得しやすくする。

  • 仕組み:開発者は「サブグラフ(Subgraph)」という定義ファイルを作成し、The Graphのノードネットワークがそれをインデックス化。

    DAppはGraphQL APIを通じてデータを即座に取得できます。

  • 対応チェーン:Ethereum、Polygon、Arbitrum、Optimism、Avalanche、BNB Chain、Near、Baseなどマルチチェーン対応。

🎯 ターゲットユーザー

タイプ 利用目的
DApp開発者 DEX、NFT、DeFiなどでトランザクション履歴やステートデータを高速に取得したい
データアナリスト オンチェーンデータのトレンドやアクティビティを分析したい
バックエンドエンジニア 自前のノード運用コストを削減しつつ、GraphQLで柔軟にクエリしたい
インフラ運営者(Indexer / Delegator) GRTトークンをステーキングし、データ提供で報酬を得たい

💎 どのような利益があるのか?

利用者 メリット
開発者 ・複雑なオンチェーンデータを簡単にクエリ可能・バックエンドの構築コストを大幅に削減・GraphQLで柔軟にデータ抽出が可能
DAppユーザー ・フロントエンドの表示速度が向上・信頼性の高い分散型データ取得
Indexer / Delegator ・GRTトークンによるステーキング報酬が得られる
エコシステム全体 ・中央集権的API(例:Infura、Alchemy)への依存を減らし、Web3の真正な分散化を実現

🏆 競合優位性

項目 The Graphの強み
エコシステムの広さ Uniswap、Aave、Decentralandなど主要DAppが採用
GraphQLベース 開発者にとって習熟しやすく、柔軟なデータ取得が可能
分散化設計 ノード運営(Indexer)・審査(Curator)・ステーキング(Delegator)の3層構造により、検閲耐性と透明性を両立
マルチチェーン対応 Ethereum L1/L2をはじめ、多数のチェーンに対応済み
The Graph Network メインネット化により、中央集権的なホスティング依存から脱却済み(現在は「Graph Network」として稼働)

🚀 まとめ

項目 内容
プロジェクト The Graph(分散型データインデックスプロトコル)
ターゲット DApp開発者・データ分析者・Indexer
メリット 高速クエリ・分散化・低コスト・GraphQL対応
競合優位性 エコシステムの広さと分散型ネットワーク構造
組み込み方 Subgraph作成 → デプロイ → GraphQLクエリ利用

Babylon Labs

概要(Project概要)

Babylon Labs(以下「Babylon」)は、ビットコイン(BTC)のセキュリティを他のPoS系ブロックチェーンやネットワークに“共有(security-sharing)”することを目的としたプロトコルおよびインフラ構想です。

主な特徴・要素を以下に示します:

  • ネイティブ Bitcoin ステーキング

    ユーザーが BTC を手放すことなく(=カストディなし、ラップなし、ブリッジなし)、自己管理のまま安全にステーキングできる仕組みを提供することを目指しています。

  • マルチステーキング(Multi-staking)

    将来的に、1つの BTC ステークを複数のチェーンやネットワーク(PoS系など)にまたがって “セキュリティを貸す(共有する)” 形で機能させる構想があります。

  • Bitcoin Secured Networks(BSNs)

    Babylon は、自身(Babylon Genesis というネットワークを基盤とする)を “Bitcoin Secured Network(BTC のセキュリティを利用するネットワーク)” とし、これを他ネットワークのセキュリティ供与ハブとします。

  • トランザクションタイムスタンプとチェックポイントの利用

    PoSチェーンのブロック・チェックポイントを Bitcoin にタイムスタンプ(証明)を打つ仕組みも含まれており、PoS のフォーク/長期攻撃耐性を高めようという意図があります。論文 “Reusing Bitcoin Mining to Enhance Proof-of-Stake Security” にもこの種のアーキテクチャが記載されています。

  • ネイティブトークン “BABY”

    Babylon エコシステム内でのガバナンス、取引手数料、報酬などに使われるネイティブトークン “BABY” を発行しています。

最近のロードマップとしては、2025年第3四半期にマルチステーク・テストネットを公開する予定である、という発表もあります。

ターゲットユーザー(ユーザー像)

Babylon が対象と想定していそうなユーザー/ステークホルダーは、大きく以下のカテゴリに分かれます:

カテゴリ 利用形態・動機
BTC 保有者(個人/機関投資家) BTC を長期間保有していたが、眠らせておくよりも利息や報酬を得たい。だがカストディリスクやラップ/ブリッジに伴うリスクを避けたい。
PoS ネットワーク/L1・L2 プロジェクト 自前のセキュリティ基盤が弱い、または補強したい。BTC のような強力なセキュリティを“借りる”ことで信頼性を高めたい。
DeFi/アプリケーション開発者 BTC を使った流動性提供、レンディング、ステーブルコイン裏付け、保証などを組み込みたい。特に、BTC を“ステーキング可能”な資産として扱いたい。
ガバナンス参加者 / 投資家 ネットワーク運営や意思決定に関与し、トークン保有者として報酬や方向性に影響を与えたい。

つまり、BTC を単なる “価値ストア” として持っている層、および PoS 系ネットワークでセキュリティや信頼性を向上させたい開発者・チェーン運営者、さらにそれらを橋渡しするインフラ提供者が主なユーザーになります。

利益・メリット(ユーザーが得られるもの)

Babylon を利用(または組み込む)ことで得られる潜在的なメリットは以下の通りです:

BTC 保有者にとって

  • 利回り(報酬)獲得機会

    BTC をただ保有するだけでなく、ネットワークのセキュリティ供与者として報酬を得られる。

  • 自己管理・非カストディ性

    BTC を外部に預けたり、ラップしたり、ブリッジを使ったりすることなく、自己管理下でステーキングできる設計を目指す。

  • 資本効率の向上(将来設計)

    マルチステーク機能が実装されれば、単一 BTC ステークで複数チェーンから報酬を得る可能性(=より効率的な資本運用)

  • 比較的高速なアンボンディング期間(引き出し)

    Babylon は引き出し(ステーク解除)を比較的速くできる仕組みを目指すとされています。

PoS ネットワーク / L1・L2・その他チェーンにとって

  • 強力な“セキュリティを借りる(Security as a Service)”

    BTC のハッシュパワーや信頼性を活用することで、チェーン自体のセキュリティを高められる。特にローンチ初期のチェーンや流動性やステーク量が少ないチェーンにとっては強い魅力。

  • コミュニティ拡張性・流動性誘導

    BTC 保有者を引き込むことで、エコシステムの裾野を広げられる。

  • 相互運用性 / クロスチェーン連携の促進

    Babylon を介して異なるチェーン間でセキュリティを共有するモデルにより、チェーン間の相互作用が強まる可能性。

エコシステム全体として

  • BTC のユーティリティ拡張

    “BTC はただの価値保管手段”という従来の定義を拡張し、「セキュリティを貸す」「ステーキングされうる資産」としての役割を付与できる。

  • ネットワーク効果 / セキュリティ強化

    BTC のステーク量が増え、より多くのチェーンが Babylon のセキュリティ供与対象になることで、相互補完的なセキュリティ・信頼基盤が形成され得る。

競合優位性・リスク・課題

Babylon にとっての強み、また慎重に見るべきリスクや課題もあります。

優位性・強み

  1. ネイティブ性・非依存性

    BTC をラップしたりブリッジしたりすることなく、直接ステーキングできるという設計(=非カストディ、信頼最小化型)という点は差別化要素。

  2. Security-sharing の先駆性

    “BTC のセキュリティを他のネットワークと共有する(賃貸する)” というコンセプトそのものが比較的新しい枠組みであり、先行者優位を取れる可能性。

  3. 高い信頼性とブランド力

    BTC 自体のセキュリティとネットワーク効果を背景に利用できるという点。

  4. マルチステーク構想

    1つの BTC ステークで複数ネットワークにセキュリティを提供できるようにする構想は、資本効率の面で強力な差別化になり得る。

  5. Cosmos SDK ベース設計

    Babylon Genesis は Cosmos SDK を基盤に設計されており、既存 Cosmos エコシステムとの相互運用性を確保しやすい。

  6. 強い資金支援とパートナーシップ

    Paradigm、Polychain などの有力投資家の支援を受けており、資金面で安心感があるという評価もあります。

リスク・課題・制約

  1. 技術的複雑性

    異なるチェーン間での共通セキュリティモデル、監視・スラッシング、クロスチェーン通信、データ同期などを正しく保証するのは難しい。実装ミス・セキュリティバグのリスクが高い。

  2. 規模拡大と信頼性確保

    大規模 BTC ステークが入った場合、出金やスラッシング処理などのスケーラビリティや安定性に対する要求が非常に高くなる。

  3. ステーク・ロック期間・流動性

    アンボンディング期間やステークによるロックがどれだけ制約となるか、ユーザー流動性心理を損なわないかが鍵。

  4. トークン経済設計リスク

    BABY トークンの供給や報酬設計、インフレ、ロックアップ、売却圧などがエコシステムへの信頼に影響を与える。

  5. 競合および代替モデルの台頭

    他の「ステーキング as a Service / restaking / shared security」系プロジェクト(例:EigenLayer や他の restaking プロトコルなど)が競合となり得る。

  6. クロスチェーン/相互運用性依存性

    Babylon を利用するチェーンやアプリが、相互運用性/通信経路や橋渡し (bridge) モジュールを正しく組めるかどうかに依存する可能性。

  7. セキュリティと監査

    高い信頼性が要求されるプロトコルなので、監査、バグ報奨金、形式検証 (formal verification) が不可欠。信頼性を確保できない場合、利用拡大は難しい。

Symbiotic

プロジェクト概要

Symbiotic(あるいは “Symbiotic Protocol”)は、ブロックチェーン/分散型ネットワーク向けの 共有セキュリティ(shared security) インフラを目指すプロジェクトです。具体的には、以下のような特徴を持っています:

  • RESTAKING(再ステーキング、ステークされた資産を複数ネットワークで共有的に使う仕組み)を可能にする。
  • ネットワーク(L1、L2、ロールアップ、オラクル、インフラサービスなど)が、自身で独自のステーキングセキュリティを最初から構築しなくても、Symbioticのセキュリティ基盤を利用できるようにする。これにより “セキュリティの立ち上げ(bootstrap)” 問題を軽減する。
  • モジュラー設計:ネットワークごとに報酬・ペナルティ(スラッシング)ルール、ノード選定ルール、担保資産(どのトークンを担保とみなすか)などをカスタマイズ可能。
  • 許可不要(permissionless):プロジェクトが Symbiotic に参加する際に「許可が必要」ではなく、自律的に接続できる形を目指しているという主張。
  • コアスマートコントラクトはイミュータブル、ガバナンス要素を最小化する設計を志向。

資金調達実績としては、2025年にシリーズAで約 2,900万ドル(USD)を調達したとの報道があります。

ターゲットユーザー

Symbiotic が主にターゲットとするユーザー群・ステークホルダーは以下のように整理できます:

ユーザー区分 利用意図・動機
ステーカー(資金提供者、トークン保有者) 自らの資産をステークして報酬を得たい。ただし、既に他のプロトコルでステークしている資産(たとえば流動性ステーキングトークン:LST 等)を “再利用”(restake)してさらなる収益を得たい
ノードオペレーター / バリデータ 複数ネットワークをまたがってバリデーション作業を行い、効率的に稼働させたい。資本効率を引き上げたい
新興ブロックチェーン / L2 / rollup / オラクル等 ネットワークを立ち上げる際のセキュリティ確保を容易にしたい。初期段階から十分なセキュリティを確保できない場合のリスクを低減したい
DApp / インフラプロジェクト 自身のプロジェクトが“セキュアなステーキング基盤”を持たずとも、Symbiotic のセキュリティ基盤を組み込んで信頼性を提供したい

特に、資本効率を高めたいステーカーや、ネットワークローンチ時に“セキュリティ資源”を外部から借りたいチェーン運営者が重要なターゲットです。

どのような利益(メリット)があるか?

Symbiotic を利用/組み込むことで得られる主なメリット・価値は以下の通りです:

  1. セキュリティの即時性とスムーズなブートストラップ

    新しいチェーンや L2 が “ゼロからバリデータを集める” 必要がなく、即座にセキュリティ資源(ステーキング資本)を借りられる可能性が出る。これにより、攻撃耐性や信頼性を早期に確立できる。

  2. 資本効率性(Capital Efficiency)

    ステーカーは単一の資産を複数ネットワークでステーク(restake)できるため、資産の稼働率が上がる。つまり、資本を “眠らせる” ことなく最大限に活用できる。

  3. 多様性と柔軟性

    各ネットワーク(または “AVS”(Actively Validated Services)という分類で呼ばれるプロジェクト群)は報酬体系、ペナルティ・スラッシングルール、ノード選定基準、担保トークンを自由にカスタマイズできる。これにより様々な要件・リスクプロファイルに対応可能。

  4. 分散性と競争性の向上

    Symbiotic は許可不要性を目指しているため、プロジェクトが許可申請を受ける必要がない設計を志向しており、よりオープンな参入を可能とする。

  5. リスクの共有と監視の効率化

    複数チェーンをまたいでバリデータの振る舞いをモニタリングできるため、不適切な振る舞い(悪意ある行為)への警告やペナルティ適用を統合的にできる可能性がある(ただし設計に依存)

ただし、これらの利益は理想設計上のもので、実際にはプロトコルの実装、コードの安全性、インターフェースの統合手間、リスクの分散設計などが鍵になります。

競合優位性・差別化要因(およびリスク)

Symbiotic は、似た方向性を持つ他の restaking / shared security プロトコル(例:EigenLayer 等)と競合・比較され得ます。以下は、Symbiotic の競合優位性および注意すべき点です。

競合優位性(強み)

  • 許可不要性・オープン参加設計

    特定プロジェクトの「許可」を必要としないという設計方針は、参入のハードルを下げ、より自由な拡張を可能にする点で差別化要因になり得ます。

  • モジュラー性・カスタマイズ性

    ネットワーク毎に報酬/ペナルティ設計・ノード選定ロジック・担保資産——これらを柔軟に設計できる点は、汎用性を持たせながらも各チェーンの要件に沿う設計が可能という利点があります。

  • 資本効率化の追求

    既に他プロトコルでステーク中の資産を再活用できる自由度を持つという点は、ステーカー誘引力を強めることができます。

  • ガバナンス・コントラクトの簡素性

    コア契約をイミュータブル(変更不能)とし、不要なガバナンス要素を排するという設計は、アップグレードリスクや権力集中リスクを抑える設計思想として評価されやすい。

  • 業界からの注目・資金支持

    シリーズAで大型資金を調達、投資家にブロックチェーン分野の著名なファンドが名を連ねている点も信頼の裏付けとなります。

リスク・課題(差別化/実運用上のハードル)

  • 技術的安全性・攻撃リスク

    複数のチェーンを跨る restaking 構造を採る以上、設計ミス・バグ・相互参照性リスク(相互依存関係によるシステム的な脆弱性)は非常に重要な懸念点となる。

  • 信頼モデル・責任分界

    ステーカー、ノードオペレーター、各ネットワーク、Symbiotic プロトコル側——責任分界や責任所在(ペナルティ、資産没収のルールなど)を明確に設計しなければ、トラブル時に混乱を招く。

  • 資本集中リスク

    ステーク資本が少数のステーカーやステーキングインフラに偏ると、中央化への誘因を強める可能性がある。

  • 採用のハードル

    ネットワーク運営者や DApp 側が既存のインフラを捨てて Symbiotic に組み込む動機をどう作るか、移行コストや信頼性の確保が鍵となる。

  • 規制・法制度リスク

    ステーキングや資産利用に関わる法規制(金融法、証券法、資金洗浄対策など)が将来の展開に影響を与える可能性。

  • 競合プロジェクトとの競争

    EigenLayer 等、既に restaking あるいは共有セキュリティを志向するプロジェクトは複数あり、採用競争がある。

0G

プロジェクト概要(What is 0G)

  • 0G は「分散型 AI オペレーティングシステム(deAIOS = decentralized AI OS)」を目指す、AI ネイティブな L1(Layer‐1)レイヤーのブロックチェーン・モジュラープラットフォームです。(0g.ai)
  • 基本理念として、従来の中央集権型 AI モデル(ブラックボックス、コスト高、非公開性など)に対し、AI を完全にオンチェーン化し、可検証性・分散性・透明性を持たせることを目指しています。(0g.ai)
  • システム構成として、0G はブロックチェーン本体(チェーン + スマートコントラクト実行)に加えて、ストレージレイヤー(大規模データ保存)データ可用性レイヤー(Data Availability, “DA”)コンピュート/AI 推論処理、そして AI サービスのマーケットプレイス を統合的に提供する設計になっています。(quicknode.com)
  • また、0G はモジュラー型設計を重視しており、各モジュール(ストレージ、DA、推論、チェーン実行など)が相互に連携しつつも拡張可能な構造を持つようになっています。(0g.ai)
  • 最近の研究成果として、1000 億パラメーター規模のモデルを分散クラスタで学習するための手法(DiLoCoX)も発表されるなど、訓練(トレーニング)フェーズの分散化にも着目しています。(The Defiant)
  • また、0G は「AI アライメントノード(AI Alignment Nodes)」というノード構成を持っており、ノード運営者は AI の動作の監視・整合性チェックなどを担うことで報酬を得る仕組みがあります。(Cointelegraph)
  • トークン “0G” がネイティブトークンとして使われ、ガス代・ノード報酬・ステーキングなどに機能する設計が知られています。(Binance)

ターゲットユーザー / 利用ケース

0G が想定している主なユーザー層やユースケースには以下のようなものがあります:

ユーザー層 利用ケース / ニーズ
Web3 デベロッパー / AI アプリ開発者 AI を取り入れた dApp(例:AI エージェント、動的 NFT、予測市場、DeFi アシスタントなど)を構築したい。0G の AI 推論・データ保存・可用性機能をそのまま利用できれば、インフラ構築コストを大幅に削減できる。(0g.ai)
AI モデル提供者 / データ提供者 モデル、データセット、推論サービスをマーケットプレイスを通じて他者に提供し、報酬を得たい。0G 上で信頼性のある環境で提供できる。(0g.ai)
ノード運営者 / コンピュートリソースホルダー ストレージノード、DA ノード、AI アライメントノードとしてインフラを提供し、0G トークン報酬を得たい。(Cointelegraph)
既存 dApp / ブロックチェーンプロトコル AI 機能を追加したいが、別途 AI インフラを立てるコストや運用負荷が大きいため、0G の AI レイヤーをバックエンドで利用したい。例えばデータ可用性レイヤーやストレージとして利用。(0g.ai)
研究者 / 分散学習関係者 大規模モデルの分散トレーニング、AI の検証・整合性評価、分散 AI フレームワークを試したい。(The Defiant)

具体的なユースケース例としては:

  • iNFT(インテリジェント NFT):属性が時間や外部イベントに応じて変化し、AI で動的な反応を返す NFT。(0g.ai)
  • AI エージェント:自律的に動くエージェントが Web3 環境を操作・予測・最適化するようなアプリ。(0g.ai)
  • 分散モデル訓練/推論市場:複数のノードで AI モデル訓練を分散化、あるいは推論をノード間でシェア。(The Defiant)
  • 大規模データ可用性 / ストレージ基盤:AI が扱うような大容量データセットをブロックチェーン上で保持・参照できるインフラとして。(0g.ai)

どのような利益(メリット)があるのか?

0G を採用/構築することによる主なメリットは以下の通りです:

  1. インフラ統合によるコスト削減と簡素化

    通常、AI を使った dApp を構築するには、「ストレージ」「AI 推論サーバ」「データ可用性レイヤー」「モデル管理/インターフェース」など複数のコンポーネントを個別に設計・運用する必要があります。0G はこれらを一つのスタックとして統合し、開発者の負荷を軽減することが狙いです。(0g.ai)

  2. 可検証性・透明性

    AI モデルの推論結果や処理内容をチェーン上で検証可能にする仕組み(verifiable inference)を重視しており、ブラックボックス AI を使う場合の不透明性を緩和できる可能性があります。(0g.ai)

  3. スケーラビリティ

    一般的なブロックチェーンや既存のデータ可用性層は、高スループット・高頻度なデータアクセス・大容量データに対して制約が大きいですが、0G は「無限スケーラビリティ(infinitely scalable)」を目指す設計を掲げています。(0g.ai)

  4. 報酬インセンティブ構造

    ノード運営者に対して 0G トークンでの報酬を与える設計になっており、ネットワークへの参加インセンティブを体系化しています。(Cointelegraph)

  5. 資金調達・エコシステム支援

    0G はすでに大規模な資金調達をしており、エコシステム構築・助成金・アクセラレータープログラムなどを通じて開発者を支援する体制を整えています。(The Block)

  6. 先行研究の実績

    1000 億パラメーター以上のモデルを分散環境下で学習させた実験成果(DiLoCoX)を出しており、技術的ポテンシャルを示しています。(The Defiant)

ただし、リスク要因も無視できません。たとえば、分散 AI モデルでのパフォーマンス・精度低下、ノード間同期・通信オーバーヘッド、セキュリティ・不正検知、初期 adopters の少なさ、インフラコスト過多などが潜在的な課題となります。

競合優位性・差別化ポイント

0G が競合プロジェクトと比べて優位を主張できる点を、既存技術や競合と比較して整理します:

  1. “AI ネイティブ設計”

    多くのプロジェクトが AI を後付けで取り込もうとするのに対し、0G は最初から AI を念頭に置いてブロックチェーン/モジュラースタックを設計しています。これが構造上の最適化や効率化をもたらす可能性があります。(quicknode.com)

  2. 統合型スタック

    ストレージ、データ可用性、計算/推論、AI サービスマーケットプレイスを一つの統合されたプラットフォームとして提供しようというアプローチは、分散 AI インフラ領域ではやや先進的・包括的です。(0g.ai)

  3. 可検証性 / 信頼保証

    AI 推論がブロックチェーン上で検証可能であること、ノードが AI の出力を監視・整合性チェックできる構造など、透明性・信頼性を重視する設計が競合優位性を与えうる領域です。(0g.ai)

  4. 資金力とエコシステム支援

    0G は既に大きな資金調達をしており、エコシステム助成金・アクセラレータ支援などの体制が整っている点は、新規プロジェクトや開発者を引きつけやすい強みです。(The Block)

  5. 実証研究成果

    分散トレーニング実験(DiLoCoX など)を発表しており、技術的な裏付けを持っている点も差別化要因となります。(The Defiant)

  6. モジュラー設計と拡張性

    モジュラー型構造により、将来的に新しい技術やモジュールを差し替え/追加しやすい設計になっている点も強みです。(0g.ai)

ただし、これら優位性が現実に機能するためには、ネットワーク効果(多くのノード参加、利用者増)、信頼性、低遅延性、コスト競争力などが十分に確立されていることが前提になります。

Amazon Bedrock vs 0G

項目 Amazon Bedrock 0G (Zero Gravity)
開発主体 Amazon(AWS) 0G Labs / 0G Foundation
種別 中央集権型 AI サービス(クラウドAPI) 分散型 AI ネイティブ L1(ブロックチェーン)
主な機能 Claude / Titan / Llama など複数AIモデルをAPIで提供 分散AI推論・トレーニング・データ可用性・ストレージ
信頼モデル 「Amazonに信頼を置く」 「暗号学的・経済的に検証可能」
データ管理 AWS上の閉じた領域 オンチェーン / 分散ストレージ(検証可能)
開発者層 Web2 / 企業向けAI利用者 Web3 / DApp開発者 / 分散AI研究者
ガバナンス AWSによる管理・審査 DAO + トークン経済に基づく自律運営

👩‍💻 DApp開発者にとっての比較

観点 Amazon Bedrock 0G 0G の優位性(Bedrockに比べて)
アクセス方法 AWS SDK / API(要クレジットカード・KYC) Web3 SDK / RPC / スマコン 完全オープンアクセス(KYC不要・国境レス)
コスト構造 課金単位(推論回数・トークン数・モデル別料金) トークンベースの分散支払い(推論者・ノード報酬) ノード経済により低コスト・透明性が期待可能
可検証性 出力結果の正当性を検証できない(ブラックボックス) 推論・トレーニング結果が暗号学的に検証可能(verifiable AI) AIの正当性・偏り・出力履歴をオンチェーンで追跡可能
データ管理 データはAWS内に保管(閉鎖的) 分散ストレージ上に格納(公開/暗号化選択可) データ可用性・永続性・検証性が担保される
相互運用性 他のWeb2サービス(S3, Lambdaなど)中心 EVM互換DAppや他L2と連携 オンチェーンDAppから直接AIを呼び出せる
拡張性 モデルはAWSが決定・管理 モデル提供者が独立して登録・販売可能 誰でもAIモデルを提供/収益化できるマーケットプレイス構造
信頼・依存度 AWSダウン時に停止・検閲リスクあり ノード分散により耐障害性・検閲耐性あり 単一事業者に依存しないAI基盤
プログラム可能性 オフチェーン処理中心 スマートコントラクトによる自動化・トークン連動 AI×トークンエコノミー連携が容易

🙋‍♂️ エンドユーザー(利用者)にとっての比較

観点 Amazon Bedrock 利用アプリ 0G上のDApp 0Gの優位性
AI出力の信頼性 Amazonに依存(内部モデル非公開) 推論証明・検証履歴をチェーンで確認可能 出力の透明性・改ざん耐性
データプライバシー Amazonがデータを保持・分析可能 暗号化データを自己管理・ゼロ知識証明可能 データ主権を保持
可用性 AWS障害やAPI制限の影響を受ける 分散ノードによる継続稼働 高可用性・検閲耐性
コスト 開発者がAWS費用を転嫁(高額) トークンエコノミーにより最適化 ユーザーにも低コストでAI体験を提供可能
参加可能性 利用国・アカウント制限あり ウォレットさえあれば誰でもアクセス可能 国境・身分を超えたオープンアクセス

🚀 0G の根本的な優位性(哲学・構造面)

項目 説明
🧠 AIの民主化 0Gは「AIを大企業の管理下から解放する」ことを理念としており、誰でもAIを構築・利用・監視できる仕組みを提供。
🔒 信頼をコードに置く(Trustless) Amazonでは「信頼は企業に」、0Gでは「信頼は暗号学的検証に」。この差はWeb3の根幹。
💰 経済圏としてのAI 0GではAIモデル提供者・データ提供者・利用者・ノード運営者がすべてトークンでつながる。AI活動自体が経済インセンティブになる。
🧩 モジュラー構造 ストレージ・データ可用性・推論・検証・トークン決済を独立モジュールとして構築。既存L1/L2やDeFiと連携可能。
🌍 オープンで再利用可能なAIレイヤー 一度構築されたAIモデルやデータは他DAppからも再利用可能。再利用時も自動で報酬が支払われる構造を想定。

💡 まとめ:DApp開発者/ユーザーが得る実質的メリット

視点 具体的メリット
開発者 ✅ KYC不要・グローバルアクセス✅ 分散推論・ストレージの統合SDKでAI機能をオンチェーン化✅ トークン経済による持続的運用コスト削減✅ 推論結果・データ履歴の完全検証性
ユーザー ✅ AI出力の透明性・改ざん不可能な履歴✅ データを自己管理(暗号化+検証可)✅ 企業依存しない分散AIを利用可能✅ オープンアクセスで低コストなAI利用体験

📘 補足:0Gが目指す世界観

「AIを“所有”する時代から、“共有し、検証し、報酬を分け合う”時代へ。」

0GはAWS Bedrockのように「便利なAI API」を提供するのではなく、

  • *「AIという社会インフラそのものを、オープンかつ分散的に再構築する」**という方向性です。

Octav

プロジェクト概要

Octav(または Octav Labs / Octav.fi) は、Web3/DeFi 領域におけるトランザクションや資産のオンチェーンデータを整理・可視化し、ポートフォリオ分析・報告を支援するプラットフォーム/分析基盤です。

主な特徴・提供機能としては:

  • 30以上のチェーン、9,000以上のプロトコルをサポートするデータ収集・統合基盤
  • 自動トランザクション分類(AI/ラベリング機能)
  • リアルタイムのポートフォリオ解析、利回り/ステーキング収益計算、コスト基準(取得原価)・損益 (P&L) 計算機能
  • レポート生成・報告(例えば DAO のトレジャリーレポート、税務用報告資料など)機能
  • “ウォレットベースログイン” による匿名性・プライバシー配慮(ユーザの個人情報をほとんど要求しない方式)
  • API(外部へのデータ提供インターフェース)提供、他の DApp やプラットフォームとの統合支援

また、Octav は DeFi 分野で既存の類似プロダクトとの差別化を図る位置づけとして、「オンチェーン中心」「コスト基準・正確な P/L 分析」「AI によるトランザクション解釈」などを掲げています。

設立・資金面などでは、以下のような情報もあります:

  • Octav Labs Inc. は Web3 分野のスタートアップで、CDD(Creative Destruction Lab) 等の支援プログラムに参加しているという記載あり
  • 公募情報では、2021年設立、シニアデータエンジニア募集時点で 7 百万ドルの調達実績ありという記述がある(ただしこれが最新かどうかは不明)

ターゲットユーザー

Octav が主にフォーカスしている(またはフォーカスできそうな)ユーザー層は次の通りです:

ユーザー層 ニーズ / 課題 Octav が提供できる価値
個人の DeFi 投資家 複数チェーン・複数プロトコルにまたがる投資/ステーキング/流動性提供をしており、可視化・分析が煩雑 トランザクションの自動分類、収益計算、ポートフォリオ全体の可視化、P/L 計算などを一括して提供
NFT/トークンコレクター トークン保有・売買履歴を整理したい 保有資産・売却履歴のトラッキング
DAO やプロトコル運営者(Treasury 管理者) DAO 財務・トレジャリー資産の透明性と報告を求められる 定期レポート生成、トレジャリー構成の可視化、収益分析、監査用データ提供
ヘッジファンド/アセットマネージャー 大量のオンチェーンデータをもとに投資判断をしたい API 経由でデータを取り込んで自社分析に活用
他の DApp / プロトコル ユーザー資産情報や収益指標を自社 DApp 内で表示したい Octav API を通じて統一されたデータや指標を取得し、UI に組み込む

このように、DeFi に関わる資金/資産を持つあらゆる立場の人々・組織が対象になりますが、特に「データ可視化/レポーティング」「正確な P/L 分析」「複数チェーン対応」がキー要素になるユーザー層が最も恩恵を受けやすいです。

どのような利益(メリット)があるか

Octav を利用することで得られる主なメリットは以下のように整理できます:

  1. 労力・時間の節約

    手動でトランザクション履歴を分類し、取得原価を計算し、損益を出すといった作業は特に多数取引をしているユーザーにとって膨大な工数になります。Octav の自動分類・解析機能により、このような作業コストを大幅に削減できます。

  2. 精度・信頼性の向上

    AI を駆使したトランザクションラベリングや、オンチェーンデータを直接参照しているため、API や外部データソースに依存するよりも正確性が高い可能性があります。特にコスト基準(取得価格)などの推定を自動化できる点は強みです。

  3. 統一的なビュー / クロスチェーン対応

    複数のチェーン、複数プロトコルをまたいだ資産・取引を一つのダッシュボードに集約できるため、ユーザーは「分散している資産を横断的に把握できる」恩恵を得ます。

  4. 報告・レポート機能

    特に DAO やプロトコル運営者、投資ファンドなどはステークホルダー向けにレポートを出したり、財務監査をしたりする必要があります。Octav のレポート機能を使えば、フォーマットされたレポートを自動生成でき、それを信頼できるデータを元に提出できます。

  5. API 経由での拡張性・組み込み

    Octav が提供する API を使えば、自社の DApp やサービスにトークン保有状況、収益率、損益指標などを組み込むことができ、ユーザーエクスペリエンスを向上させたり、差別化要素を持たせたりできます。

  6. プライバシー保護

    ユーザーはウォレットアドレスベースでログインでき、個人情報を提供する必要性を低く設計している点もメリットとされます。これは Web3 ユーザーにとって心理的ハードルが下がる設計です。

  7. 信頼性/透明性

    オンチェーンデータという “改ざん耐性がある” データを使って分析・報告が可能であることは、ユーザーやステークホルダーに対して透明性を示す手段になります。

競合および競合優位性

Octav の競合領域には、様々な Web3/DeFi 向けポートフォリオ分析ツール、トランザクション可視化ツール、あるいは API でのチェーンデータ分析プロバイダーがあります。例えば以下のようなもの:

  • Zapper, Zerion, DeBank, Debank API
  • Nansen, Dune Analytics
  • Covalent, The Graph(サブグラフベースの分析)
  • Token Terminal, Glassnode(マーケット指標・オンチェーンデータ系)
  • 扱うチェーンやプロトコルに特化した分析/統計ツール

こうした競合と比較して、Octav が持つ可能性のある優位性や差別化要因を以下に考察します:

差別化要因 考察・強み
AI ベースのトランザクション分類 多くのツールでは単純なルールベース/ラベル付け方式が多く、複雑なトランザクション(例:スワップ → LP → ステーク → 複数ステップ混在)を自動的に理解・分類するのは難しい。Octav は AI を活用してこれを改善することを打ち出している。
正確なコスト基準 / P&L 計算 取得原価に基づく損益計算(税務的な意味合いを含む)が可能、という点は差別化要因になりうる。多くのツールは単純な “現在価値との差分” を出すのみの場合が多い。
クロスチェーン・多プロトコル対応の広さ Octav は 30 以上のチェーン、9,000 以上のプロトコルをサポートすることをうたっており、より広域対応を目指している。
API 提供 & 組み込みの容易さ 他 DApp/プロトコルにデータを “流し込む” ための API が設計されており、統合性を重視している点が優位。これは、自社でデータ収集・解析基盤を構築するコストを大きく削減できる利点。
匿名性・プライバシー設計 ユーザー情報をできるだけ取らないという設計方針は、Web3 ユーザーにとって受容性が高い。
レポート/報告機能 単なる可視化ではなく、定型的な財務レポート出力を重視している点。特に DAO や組織利用者向けに響く機能。
ブランド/信頼性 まだ新興スタートアップであるため、既存競合と比べて信用・実績面でハードルがある。これが逆に弱点となる可能性も。
データの正確性・遅延・スケーラビリティ 膨大なチェーン/トランザクションをリアルタイムで取り込むには、インフラ・エンジニアリングの難しさがある。これをうまく克服できるかが鍵。

総じて、Octav の差別化ポイントは「高度なトランザクション理解能力」「正確な取得価格・損益分析」「API 経由で統合可能な設計」「プライバシー重視設計」にあると考えられます。ただしこれらを運用・維持する技術力・データインフラが強くないと、遅延・不正確さ・コスト高という課題が出てきます。

Anchorage Digital

プロジェクト概要

  • 唯一の米国連邦公認の暗号資産銀行(Anchorage Digital Bank, N.A.)。2021年1月に米通貨監督庁(OCC)がナショナル・トラスト・バンクへの転換を承認。2025年8月にはコンプライアンス改善に伴い同社の同意命令(Consent Order)が解除された旨を公表。
  • 主要サービスはカストディ(保管)ステーキングガバナンス投票(Snapshot連携)決済/セトルメント(Atlas)トレード実行APIによる外部送金オートメーションなど。
  • 2024年にAtlasという機関投資家向けのグローバルセトルメント・ネットワークを発表。USDと多数の暗号資産で、**2ステップ(fund/accept)**の迅速な決済を提供。

ターゲットユーザー

  • 機関投資家・企業トレジャリー(ファンド、運用会社、上場企業の財務部門)/プロトコル財団取引所/ブローカーなど、規制順守・監査対応・運用効率を重視するエンティティ。公式サイトでも「Protocols」や大手運用会社の証言を掲示。

どのような利益があるのか?

  • 規制面の安心感:米国で唯一の連邦チャーターの暗号資産銀行によるQualified Custody、SOC 1/2 Type II 監査、OCC直接監督。
  • 運用機能の一体化:保管中の資産をカストディから移動させずにステーキングSnapshot投票Atlasでの相対決済が可能。オペレーションとリスクを削減。
  • 自動化とスケールExternal Transfer APIでホワイトリスト宛の高頻度送金やプロトコルのトレジャリー支払い/ベスティング/報酬配布をプログラマブル化
  • DeFi へのアクセス改善Uniswap Labs Trading API連携により、Porto(同社ウォレットUI)から直接スワップ等を実行可能(機関向けUX)。
  • カバレッジの拡大:新規ネットワーク/トークン(例:StarknetのSTRK)のカストディ&ステーキング対応を拡張。

競合優位性

  • 規制ステータス:同社はOCCの連邦銀行免許を持つ点が最大の差別化。NY州信託会社ベースのCoinbase CustodyBitGo、ソフトウェア/インフラ中心のFireblocks、オフショアのCopper等と比較して、米連邦レベルでの監督銀行フレームを強みとして訴求。
  • 保管中アクション:資産を動かさず保管下での投票・ステーキング・決済ができる設計(オペレーション・リスク/コスト低減)。
  • エコシステム連携AtlasネットワークDeFi API統合、外部送金APIなど、機関向けの運用動線をエンド・ツー・エンドに揃える

vlayer

🧩 vlayer 概要(前提)

vlayer は「現実世界やWeb2上のデータを、暗号的に検証可能な証明(verifiable proof)」としてWeb3上に持ち込むためのインフラです。

ZK(Zero-Knowledge)やMPC(Multi-Party Computation)などの技術を活用し、**“信頼ではなく暗号で検証できるデータ連携”**を実現します。

🔗 公式サイト:

https://www.vlayer.xyz

① どのような利益があるのか?

利益 説明 具体例
1. Web2データを信頼不要でWeb3に持ち込める Webサイトやメール、APIレスポンスなどをZK証明付きでDAppに渡せる 「銀行口座残高」や「SNSフォロワー数」をオンチェーンで証明
2. プライバシーを保ったまま証明できる ZK技術により、データ内容を晒さず「ある条件を満たす」ことだけを証明可能 年齢・住所・収入証明などを開示せずに条件クリアを証明
3. スマートコントラクトが“現実データ”に基づいて動ける これまでのオラクルでは難しかった複雑な外部ロジックを扱える 「指定サイトの会員である人だけがミント可能」など
4. クロスチェーンやWeb2連携が容易に 複数チェーン間でデータを検証可能にし、ブリッジ不要の設計を目指す Ethereum上の情報をSolana DAppに安全に反映
5. コンプライアンスやKYCの効率化 オンチェーンIDや法的文書をZK証明化し、プライバシーを保持したまま提出 規制準拠型DAppやオンチェーンKYCへの応用

② 競合優位性

項目 vlayer の強み 対比される競合・他プロジェクト
データ証明範囲の広さ Web2(TLS証明, Email, APIなど)を幅広くカバー 例:Chainlink(価格フィード中心)や Pyth(マーケットデータ中心)
ZKベースのプライバシー保護 証明の内容を秘匿したまま検証可能 例:一般的なOraclesはデータを平文で扱う
開発者ツール整備 NoirベースのEthereum証明ライブラリなどを提供 他ZK系プロジェクトでは汎用ツールが少ない
クロスチェーン対応性 複数L1/L2間で証明を転送可能(Teleportなど) 多くのZK証明系は単一チェーン向け
汎用性 DeFi、Identity、Social、DAOなどあらゆる領域に適用可能 専用分野特化型(例:zkSync, Aztecなど)よりも汎用的

🧠 vlayerは「ZKオラクル × 証明インフラ」として、

Chainlinkが“信頼できる外部データ供給者”を担っていた部分を、

“暗号的に検証可能なデータ”で置き換えるポジションです。

🧠 まとめ

観点 内容
利益 信頼不要でWeb2データをWeb3に持ち込み、プライバシー保持しつつ活用可能
競合優位性 汎用ZKオラクル的立ち位置・データソースの広さ・開発者向けSDK
DApp統合方法 SDKでZK証明を生成 → スマコンでVerifier検証 → DAppロジック連携

🧩 vlayerのエコシステム構造

graph TD
    A[ユーザー / Data Owner] --> B[vlayer Client SDK]
    B --> C[vlayer Network / Prover ノード]
    C --> D[Smart Contract (Verifier)]
    D --> E[DApp (DeFi, DAO, Social, Game...)]

👤 ① ユーザー(Data Owner)

できること:自分のWeb2データを「証明」に変換する

項目 内容
役割 証明対象の「データ提供者」
行動 SNS・メール・銀行・Webサービスなどにログインし、データを取得
できること - 自分の資格・信用・会員状態などを「暗号的証明」に変換- データ内容は非公開のまま「条件を満たす」ことを証明可能
「Twitterフォロワーが1万人以上ある」ことを証明(フォロワーリスト非公開)「残高が10万円以上ある」ことを証明(残高数値は秘匿)

🧠 ポイント:

ユーザーは自分のデータを晒さずに「条件を満たすことだけ」を証明できます(ZK = Zero Knowledge)。

🧰 ② 開発者(DApp / App Developer)

できること:DAppに“現実世界の証明ロジック”を組み込む

項目 内容
役割 証明を検証・活用するアプリケーションを構築
行動 vlayer SDK / Verifierコントラクトを組み込み、DAppロジックに統合
できること - オフチェーンデータ(Web2, API, SNS等)を条件ロジックに利用- 証明済みユーザーだけに機能を解放(例:NFT発行、投票権、特典)
「特定サイト会員だけがミント可能」なNFTコントラクト「年齢18歳以上」だけ参加できるDAO投票DApp

🧠 ポイント:

開発者はZK暗号の実装知識がなくても、SDKを通して「証明を検証」できます。

⚙️ ③ vlayerノード運営者(Prover / Relayer)

できること:証明生成・検証のインフラを運営する

項目 内容
役割 証明を作成・検証・転送するネットワークノード運営
行動 - vlayerのプロトコルを稼働(Proverノード、Relayノードなど)- 証明生成処理(ZK Proving)を実行
できること - 証明の正当性を保証する- 証明リクエストの処理・中継- 将来的には報酬モデル(Proof-as-a-Service)を受け取る
「このTLS証明は本物か」を検証して署名するノード

🧠 ポイント:

将来的には “Proof Market” のように、Proverが報酬を得る分散ネットワークになる見込みです。

🧱 ④ vlayer プロトコル開発者 / コアチーム

できること:証明の標準化とインフラ提供

項目 内容
役割 プロトコル・SDK・Verifierコントラクトを開発・維持
行動 - Proofフォーマットの標準化(JSON schema, ZK circuits)- SDK・API提供(開発者向け)- オープンソース化・拡張エコシステム設計
できること - 開発者にZKを意識させず使える環境を提供- Web2データソースを随時追加(Email, TLS, API, OAuthなど)
「Ethereum Proofs Noir Library」「Web Proofs for Web3 Applications」などの提供

🔍 まとめ:「誰が何をできるか」

アクター できること 利用例
ユーザー 自分のWeb2データからZK証明を生成して提出 「Twitterフォロワー1万人以上」を証明して特典NFTをミント
DApp開発者 証明を検証して条件ロジックに利用 「特定条件を満たすユーザーだけがアクセス可能」
vlayerノード運営者 証明の生成・検証を担うインフラを提供 ZK証明生成サービスを運営し報酬を得る
vlayerチーム プロトコル・SDK・標準の開発・維持 vlayer SDKやVerifierコントラクトを提供

Ronin

プロジェクト概要

Ronin(ローニン) は、Sky Mavis(Axie Infinity の開発元)が設計・運営する、ゲームや NFT/Web3 エコシステム向けの EVM 互換ブロックチェーン(あるいはその性質を持ったチェーン)で、いわゆる「ゲーム特化型ブロックチェーン」として機能している。

以下、特徴的な要素を挙げる:

  • 元来、Axie Infinity の Ethereum 上のスケーラビリティ・手数料問題を解決するために設計されたチェーン。
  • トランザクション手数料(ガス代)が非常に低く、遅延も小さい。これにより、ゲーム内部で頻繁に発生する微小なトランザクション(アイテムの売買、ステータス更新、NFT 移転など)をユーザー体験に支障なく処理できるように設計されている。
  • EVM 互換性:Ethereum・Solidity の技術スタックを活用できる。つまり、既存の Ethereum 開発ツール (Remix, Hardhat, Truffle など) を使いやすい。
  • コンセンサスモデル:当初は Proof of Authority(限られた信頼されたバリデータによる方式)を採用していたが、より分散化を図るために DPoS(Delegated Proof of Stake)モデルも導入している。
  • チェーン運営・ガバナンス:RON トークン保有者によるステーキング/投票を通じてバリデータ選定に関与できるようになっている。
  • セキュリティ・運用歴:ただし過去には Ronin Bridge のハッキング事件(Ethereum + USDC の資金流出)があった。
  • エコシステム支援:開発者向けに SDK、テンプレート、開発者コンソール、補助金(grants)制度などを提供していて、チェーン上に DApp を呼び込む体制を整えている。
  • ブリッジ機能:他チェーンとの資産移転(たとえば Ethereum ↔ Ronin)を可能にする Ronin Bridge などがある。

ターゲットユーザー

Ronin が主にターゲットとしているユーザー層・関係者は次の通り:

  1. ゲーム開発会社・スタジオ(Web3/GameFi ゲーム開発者)

    • ブロックチェーンを活用したゲームを作りたいところ。

    • 高頻度なトランザクション、NFT やアイテム取引、トークン経済を組み込みたいところ。

    • Ethereum 系の技術資産(Solidity, EVM)を活用したいところ。

  2. 一般ゲーマー/プレイヤー

    • Web3 ゲームをプレイしたい人。

    • ゲーム内アイテムや NFT の所有・取引をしたい人。

    • ガス代や遅延が少ない快適なユーザー体験を求める人。

  3. NFT コレクター・クリエイター

    • ゲーム関連 NFT を発行・売買したいクリエイター。

    • 所有 NFT を活用したメタバースゲーム/コレクタブル要素を持たせたい。

  4. 資本提供者・投資家

    • RON トークン保有者、バリデータ候補者、ステーカーなど。

    • エコシステムの成長を支えるプロジェクトへの投資者。

  5. 他チェーンや DeFi プロジェクト

    • 相互運用を目指すプロジェクト(例:Ethereum, 他の EVM チェーン、Cross-chain プロジェクトなど)

どのような利益(メリット)があるか?

Ronin を使ったり参画することで期待できる主な利益・強みを整理すると、以下のような点がある:

  1. 低コスト・高スループット

    ゲーム用途でボトルネックになりやすい「ガス代(手数料)」や「処理遅延」を抑えることで、ユーザー体験を阻害せずに頻繁なトランザクションを許容できる。

  2. EVM 互換性・開発しやすさ

    既存の Ethereum エコシステムの技術資産(ツール・フレームワーク・ライブラリなど)を活用できるため、学習コストやマイグレーションコストが抑えられる。

  3. 既存ユーザー基盤と実績

    Axie Infinity のような成功事例を擁しており、既にプレイヤー層・NFT 取引量などで実績がある。

  4. エコシステム支援インフラ・助成制度

    チェーン運営側が開発者支援(SDK、テンプレート、補助金など)を整備しており、新規参入のハードルを下げている。

  5. ユーザーオンボーディングの容易さ

    初めてブロックチェーンを使うユーザーでも扱いやすいよう、ガス代をスポンサーする(ユーザーが手数料を意識しないようにする)仕組みなどを提供している。

  6. トークン・経済圏の統合性

    RON トークンをガス代やステーキング、ガバナンス、報酬設計に紐付けることで、エコシステム内部での価値循環を強められる。

  7. 拡張性・将来性

    現在の設計を基盤にしつつ、さらにゼロ知識証明(zkEVM)等の技術統合なども見据えているという情報もある。

競合優位性(他チェーンと比べた強み・差別化点)

Ronin が他のゲーム特化チェーンや一般 EVM チェーンと比較して持つ優位性、および潜在的弱点も含めて整理しておくね。

優位性

  • ターゲット特化性

    Ronin は「ゲーム・NFT 特化」設計であるため、余計な汎用性を省いて最適化が効いている。多くの汎用ブロックチェーンはゲーム用途を念頭に置いていないため、遅延・手数料で苦戦することがある。

  • 実績と信頼

    Axie Infinity が Ronin 上で稼働している実績という「実稼働+大規模ユーザー」を有している点。これは新規ゲーム参入者にとって安心材料になる。

  • 開発支援体制

    チェーン側がテンプレートや SDK、補助金制度を用意していること。手間を省きやすい。

  • ユーザー体験(UX)重視

    低遅延、低手数料、手数料を隠蔽する(スポンサーする)仕組みなど、プレイヤー側の摩擦を減らす工夫。これが参入障壁を下げる。

  • エコシステムの一体感

    チェーン、NFT マーケットプレイス、ウォレット、ゲーム、補助金、ブリッジ機能などが一体的に整備されており、開発者としては「足りないインフラをつくる」負荷が軽くなる。

注意点・競争上のリスク

  • セキュリティリスク

    過去に Ronin Bridge の大規模ハッキング事件があり、資金流出を経験している。信頼性確保と運用リスクは常に意識される。

  • 分散性・権力集中の懸念

    初期は PoA モデルであり、バリデータ選定が限定的だった経緯がある。DPoS の導入によって改善を図っているものの、完全な分散性とは言い難い面がある。

  • 他のゲームチェーンとの競争

    ゲーム特化チェーン(たとえば Immutable X、Flow、Polygon+専用レイヤーなど)や汎用高速チェーン(Solana、NEAR、Arbitrum、Optimism など)が同じゲーム・NFT 市場を争っている。スケーラビリティ、UX、手数料、ネットワーク効果での競争。

  • Ethereum との競合・吸収

    将来的に Ethereum 側でゲーム用途を強化する Layer 2 やサイドチェーン戦略が進むことで、Ronin の優位性が相対的に薄まる可能性。

  • エコシステム拡大の難易度

    既存 Axie ユーザー中心のエコシステムから、新ゲーム・新ジャンルを呼び込むには戦略的な誘致・支援が必要。

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