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Adobeを使わずに綺麗で画質の良い学会発表ポスターを作る方法 (Windows・PowerPointの場合)

2024/10/12に公開

Adobeが高くて買えないので,なんとかして無料のソフトとPowerPointだけで学会発表ポスターを綺麗に・画質よく作れないか,いろいろ調べた結果うまい方法がわかったので備忘録をつけておく.

綺麗なフォントを手に入れる

今回自分は国際会議での発表だったので,見栄えの良い英文フォントを手に入れることにした.大学のデザインの先生いわく,迷ったら「Helvetica」というフォントを使えば良いらしい.

Adobeを買わないと使えないフォントみたいだが,Windowsの場合ほぼ見た目が同じな「Neue Haas Grotesk」というフォントが無料で使える.Helveticaと見分けるのはかなり難しいらしい.

「Neue Haas Grotesk」を使うには.Windowsの設定→システム→オプション機能から「ヨーロッパ各国語追加フォント」をインストールする必要がある.

また,フォントに関する美しく仕上げるための工夫として,PowerPointの太字機能を絶対に使わないということが挙げられる.Bボタンではなく,太字用フォント(Neue Haas Grotesk Text Pro Mediumなど) に切り替えて対処した方が良い.太字機能を使ってしまうと,見栄えが悪くなるだけでなく,最悪の場合,印刷結果が太字にならないことがある.

画像・グラフを高画質で挿入する

ポスターあるあるとして,印刷してみたら画像やグラフがガビガビになってしまう,ということがよく起こる.
スライドサイズはA4に設定し,拡大してA1やA0のポスターを作ることを考える.

PowerPointの設定を変更する


はじめに,オプション→詳細設定→イメージのサイズと画質 を上記のように設定する.「ファイル内のイメージを圧縮しない」をONに,規定の解像度を「高品質」にする.この設定はファイルごとに変わるので注意.

論文のEPS/PDFファイルをベクターのまま挿入する

はじめに,InkscapeでEPSやPDFをSVGに変換する.SVGに変換する際に,文字列はフォント周りのトラブルを起こしやすいので,パス変換してしまうことをおすすめする.

SVGをPowerPointにD&Dすると,ベクターのままSVGを挿入できる.拡大縮小によって画質が変化しなくなる.

ビットマップ画像を挿入する場合は,その画像が高画質で無い限り劣化は避けられないので注意.

画質を劣化させずにPPTXをPDFにエクスポートする

PowerPointの致命的な仕様として,PDFにする際に,ベクター画像はビットマップ画像に変換されてしまう.そのため,変換されてしまうのはやむを得ないとして,高画質で変換する必要がある.

高画質で変換するにはCubePDFを使う.CubePDFは仮想プリンタとして機能する.

プリンターとしてCubePDFを選択し,「プリンターのプロパティ」→「詳細設定」から設定を以下のように変更する.

印刷を実行し,その後の画面でも以下のように設定する.

作成されるPDFは実寸大のはずなので,Adobe Acrobat Readerなどで画質を確認しよう.また,文書のプロパティからフォントが埋め込めているか確認しておく.

CMYKに変換する

PCのモニターは光の三原色であるRGBで色を表現しているが,印刷する場合は絵の具の三原色+黒であるCMYK表色系を用いる.そのため,RGBで作成されたファイルをいざ印刷してみると,色味が悪くなってしまうことがある.そこで,あらかじめCMYKにPDFを変換し,変換したファイルを印刷した方が良いとされる.

色変換はAdobe Acrobatを使うとすぐできるらしいが,これが使えない場合はGhostscriptで色変換できる.

gswin64c -o 出力ファイル -sDEVICE=pdfwrite -sProcessColorModel=DeviceCMYK -sColorConversionStrategy=CMYK -sColorConversionStrategyForImages=CMYK 入力ファイル

作成されたファイルの色味をチェックして問題なければ,大判プリンタで印刷したり,業者に入稿したりできる.

その他

  • このような小手先のテクニックよりもデザインが大切である
  • 印刷するメディア(紙・布)によって色味が変わるので注意,布の場合は,濃い色は避けた方が良い.また,薄すぎる色は白くなりがち

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