Webおじさん「WebComponentsはいいぞ」
🎉 はじめに
なんか昔から聞いたことあるけど、オワコンとか言われてるらしいけど、あんまりみんな使ってないけど、、、
そんなWebComponentsについて、今更ながら調べてみました。
調べてみると、とても便利で使いやすい技術だったので、今回はWebComponentsについてまとめてみました。
(筆者はぴちぴちの20代です)
🤔 WebComponentsとは
かんたんに
カスタムエレメントを作れちゃう技術です。
VueやReactでいうところのコンポーネントのようなものですね。
というか、JavaScriptライブラリのコンポーネント機能をブラウザの標準機能として実装したものです。
もうちょっと詳しく
使い方はVueやReactのコンポーネントと似ていますが、コンポーネントの作り方は少し特殊です。
WebComponentsは以下の3つの技術を組み合わせて構成されています。
-
カスタム要素
カスタム要素とその動作を定義するための、一連の JavaScript API です。以降、ユーザーインターフェイスの中で好きなだけ使用することができます。[1]
これがいわゆるコンポーネントを作ることができる機能です。<custom-element>
のようなオリジナルを要素を作成することができます。 -
シャドウ DOM
カプセル化された「シャドウ」 DOM ツリーを要素に紐付け、関連する機能を制御するための、一連の JavaScript API です。シャドウ DOM ツリーは、メイン文書の DOM とは別にレンダリングされます。こうして、要素の機能を公開せずに済み、文書の他の部分との重複を恐れることなく、スクリプト化やスタイル化できます。[1:1]
これがいわゆるコンポーネントのDOMから完全に切り離す(カプセル化)する機能です。<custom-element>
の中で定義したスタイルは、<custom-element>
の中でのみ有効になる程度の解釈でとりあえずはOKです。
この技術、ヤバヤバです!!!ReactやVueの scoped css, module css と同じような機能を標準でかつ、完全にDOMから分離することができます! -
HTML テンプレート
<template>
と<slot>
要素によって、レンダリングされたページ内に表示されないマークアップのテンプレートを書くことができます。カスタム要素の構造体の基礎として、それらを何度も再利用できます。-
<template>
:HTMLのテンプレートを定義するための要素です。JavaScriptから参照、描画させることが可能です。そのため、同じテンプレートを複数の場所で何度も使用することができます。<template id="my-template"> <h1>これを書いただけではページ内の要素として描画されません!</h1> </template> <script> // 要素の取得が可能 const template = document.querySelector("#my-template"); const clone = document.importNode(template.content, true); document.body.appendChild(clone); // ここで描画 document.body.appendChild(clone); // ここで描画 document.body.appendChild(clone); // ここで描画(複製可能) </script>
-
<slot>
:テンプレート内において、外部から要素を挿入するための要素です。
VueのslotやReactのChildrenと同じような機能です。<custom-button>コンポーネント<button> <slot></slot> </button>
<custom-button> <span>ボタンの中身</span> <!-- <= <slot>の部分に置換される --> </custom-button>
-
👍 WebComponentsのいいぞ
1. フレームワークに依存しない
言わずもがなですが、実装する際にVueやReactに依存することはありません。
そのため、フレームワーク依存の機能やバージョンアップによるサポート終了のリスクを回避することができます。
2. コンポーネントの再利用性がより高まる
View と Model を分離することができるので、コンポーネントの再利用性がより高まるよってことです。
となると、VueやReactと併用することが可能です。
例えば...
View : WebComponents
Model : Vue
みたいなことができます。
こんなことすることは珍しいかもしれないですが、デザインシステムとして構築する際には、実際のプロジェクト構築の際に、採用するフレームワークの選定に制限がかかることを防ぐことができます。
また、フレームワークに破壊的な(Vue2 -> Vue3みたいな)変更が発生した際でも、UI部分は修正する必要はなくなるので、他フレームワークへの移行コストを下げることができます。
3. ShadowDOM とかいうやばいやつを使って開発できる
先ほども説明しましたが、**コンポーネントのDOMから完全に切り離す(カプセル化)**ことができます。
図の通り、Shadow DOM は 通常のDOM(以後Light DOM)とは分離された状態で生成されます。
これは、CSSにも適用されるため、Shadow DOM 内で Light DOM で使われている同じクラス名を使用しても、スタイルが衝突することはありません。
4. SSRに対応した
先ほどのShadow DOMは今までJavaScriptを実行しないと生成できませんでした...
ですが、Declarative Shadow DOMという仕様が追加され、Shadow DOMを宣言的に記述することができるようになりました。
これによりSSRの段階でHTML内にShadow DOMも出力されるので、チラつくことなく表示できます!
詳しくは
👎 WebComponentsのだめぞ
1. 機能がブラウザに依存
メリットで書いた通り、フレームワークに依存しないのはメリットです。
ですが、その分ブラウザに依存するので、IE11などの古いブラウザでは動作しません。
また、ブラウザによっては、WebComponentsの一部機能が実装されていない場合もあります。
具体的に...
- IE11 : 未サポート
- Safari : is属性 動作不可
- Firefox : Declarative Shadow DOM 未対応(現在対応作業中だそうです)
詳しくはCan I useを参照してください。
2. ドキュメントが少ない
WebComponentsはまだまだ普及していないため、ドキュメントが少ないです。
の割に、かなり前から存在しているので古いドキュメントが出てくることもあり、情報の精査が必要です。
3. 扱える人が少ない
VueやReactのように、主流なフレームワークと比べると、扱える人が少ない印象があります。
ですが、WebComponents独自の機能は少ないので、VueやReactを扱える人であれば、すぐに扱えるようになると思います。
👶 使ってみよう(基礎編)
素のWebComponents記法を使って「zennの右上にある投稿ボタン」を実装してみましょう!
目標
- カスタムエレメント名 :
<custom-button>
- 見た目 : zennの右上にある投稿ボタンチックなやつ
- 機能 : クリックするとアラートが表示される
- その他 : ボタンの中身はカスタムエレメントタグで囲ったものが表示されるようにする
1. プロジェクト作成
CodeSnadboxで解説します。
次のプロジェクトを Fork してください。
index.hml
にコードを書いていきます。(完成版はindex.answer.html
)
2. カスタムエレメントのテンプレート作成
<template>
を使用して、カスタムエレメントのテンプレートを作成します。
<!-- head とか body は割愛 -->
+ <template id="custom-button-template">
+ <button onclick="alert('clicked!')">
+ <slot></slot>
+ </button>
+ </template>
<template></template>
で囲った要素は、DOMに描画されません。ですが、JavaScriptから参照、描画させることが可能です。
<slot></slot>
と書いた場所に、外部から挿入された要素を表示させることができます。
3. カスタムエレメントのスタイル作成
カスタムエレメントにスタイルを適用する方法は2つあります。
-
<template>
内で<style>
を使用する -
<template>
内で<link>
でcssファイルを読み込む
今回は「<template>
内で<style>
を使用する」でいきます。
<!-- head とか body は割愛 -->
<template id="custom-button-template">
+ <button onclick="alert('clicked!')" class="custom-button">
<slot></slot>
</button>
+ <style>
+ .custom-button {
+ border: none;
+ border-radius: 99px;
+ padding: 0.5rem 1rem;
+ font-size: 14px;
+ background-color: #3ea8ff;
+ color: white;
+ cursor: pointer;
+ font-weight: 600;
+ }
+ </style>
</template>
template内にstyleを記述して、カスタムエレメントにスタイルを適用します。
やっていることは普通にスタイルを時と一緒です。
4. テンプレートをカスタムエレメントとして使えるようにする
<!-- head とか body は割愛 -->
<template id="custom-button-template">
<button onclick="alert('clicked!')" class="custom-button">
<slot></slot>
</button>
<style>
.custom-button {
border: none;
border-radius: 99px;
padding: 0.5rem 1rem;
font-size: 14px;
background-color: #3ea8ff;
color: white;
cursor: pointer;
font-weight: 600;
}
</style>
</template>
+ <script>
+ customElements.define(
+ "custom-button",
+ class extends HTMLElement {
+ constructor() {
+ super();
+ let template = document.getElementById("custom-button-template");
+ let templateContent = template.content;
+
+ const shadowRoot = this.attachShadow({ mode: "open" });
+ shadowRoot.appendChild(templateContent.cloneNode(true));
+ }
+ }
+ );
+ </script>
customElements.define()
という関数を使って、カスタムエレメントを作成できます。
第一引数にはカスタムエレメント名、第二引数にはカスタムエレメントのコンストラクタを渡します。
const template = document.getElementById("custom-button-template");
const templateContent = template.content;
idからエレメントを取得します。template.content
でテンプレートの中の要素を取得します。
const shadowRoot = this.attachShadow({ mode: "open" });
shadowRootを作成し、LightDOMから分離したツリーを作ります。
{ mode: "open" }
を指定することで、shadowRoot外部からshadowRootにアクセスできるようになります。
shadowRoot.appendChild(templateContent.cloneNode(true));
shadowRootにテンプレートから取得した要素を追加します。
5. 完成!
これでカスタムエレメントが作成できました!
<body>
内で<custom-button>
と書くことで、<template>内の要素が描画されると思います!
<body>
<h1>WebComponentsはいいぞ - 基礎編</h1>
<p>// ここにzennの投稿ボタンを作りましょう</p>
<custom-button>投稿する</custom-button>
<p>// ここにzennの投稿削除ボタンを作りましょう</p>
<custom-button>削除する</custom-button>
</body>
コード全体
<!doctype html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8" />
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0" />
<meta http-equiv="X-UA-Compatible" content="ie=edge" />
<title>WebComponentsはいいぞ - 基礎編(解答)</title>
</head>
<body>
<h1>WebComponentsはいいぞ - 基礎編</h1>
<p>// ここにzennの投稿ボタンを作りましょう</p>
<custom-button>投稿する</custom-button>
<p>// ここにzennの投稿削除ボタンを作りましょう</p>
<custom-button>削除する</custom-button>
</body>
<template id="custom-button-template">
<button onclick="alert('clicked!')" class="custom-button">
<slot></slot>
</button>
<style>
.custom-button {
border: none;
border-radius: 99px;
padding: 0.5rem 1rem;
font-size: 14px;
background-color: #3ea8ff;
color: white;
cursor: pointer;
font-weight: 600;
}
</style>
</template>
<script>
customElements.define(
"custom-button",
class extends HTMLElement {
constructor() {
super();
let template = document.getElementById("custom-button-template");
let templateContent = template.content;
const shadowRoot = this.attachShadow({ mode: "open" });
shadowRoot.appendChild(templateContent.cloneNode(true));
}
},
);
</script>
</html>
🧑 使ってみよう(本格編)
実際に案件に導入する際は、WebComponentsライブラリを使用することで、より良い開発体験を得ることができます。
本当はここで紹介したかったのですが、あくまで今回はWebComponentsの紹介記事なので、別記事として公開予定です。
ちなみに...
Lit
というライブラリを用いてWebページ・Webコンポーネントの開発を行うことができます。
デフォルトでTypeScript対応、Shadow DOMで自動生成されるため、型安全性や開発効率を保ったまま開発が行えます。
コンポーネント単位でビルドすることもできるので、VueやReactへの併用も簡単に行うことができます。
Google が公開している Material Web というUIライブラリ や MicrosoftのアプリストアもLitを使用して開発されています。
ただ記法が独特なので、大規模案件では導入コストがかかるかもしれません...
(私も趣味がてら、ReactやVueでも利用できるLitでWebComponentsを開発しています...)
まとめ
今回はWebComponentsの基礎について紹介しました。
WebComponentsはまだまだ普及していない技術ですが、機能してはとても強力で便利で使いやすい技術です。
GoogleやMicrosoftなどの大企業が採用していることもあり、今後の普及にも期待です!
ぜひ、みなさんもWebアプリを作る際はWebComponentsを選択肢の一つに入れてみてください!
筆者
Vue.js好きのフロントエンドエンジニアです。
ライブラリとか作ってるのでぜひ。
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