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最新のAIアーキテクチャ「Mamba」は画像認識に必要なのか?初心者にもわかりやすく解説!

2024/05/20に公開

はじめに

近年、人工知能(AI)の分野では、Transformerと呼ばれるアーキテクチャが自然言語処理や画像認識のタスクで大活躍しています。そんな中、新たな注目株として登場したのが、RNNライクなシーケンスモデリングを可能にする「Mamba」です。

Mambaアーキテクチャとは?

Mambaの特徴は、SSM(State Space Model)を用いた効率的な長いシーケンス処理と自己回帰的な生成です。SSMは、時系列データをモデル化するための数学的な手法で、状態変数と観測変数の関係性を表現することができます。これにより、Mambaは長いシーケンスのデータを効率的に処理することが可能になります。
また、自己回帰的な生成とは、過去の情報を使って未来の情報を予測する手法のことです。つまり、Mambaは過去の入力データを使って、次の出力を生成することができるのです。この特性は、自然言語処理や音声認識など、時系列データを扱うタスクで威力を発揮します。
ただし、SSMのメモリは情報の損失が避けられないという弱点も存在します。これは、長いシーケンスを処理する際に、途中の情報が欠落してしまう可能性があることを意味しています。

画像認識タスクとMambaの相性は?

画像認識のタスクには、大きく分けて画像分類、物体検出、セグメンテーションの3つがあります。画像分類は、与えられた画像がどのクラスに属するかを判定するタスクです。一方、物体検出は画像内の物体の位置を特定し、セグメンテーションは画像内の各ピクセルがどの物体に属するかを判定します。
画像分類は、比較的短いシーケンス(画像の部分的な情報)の理解で成り立っているため、長いシーケンスの処理を得意とするMambaにはあまり適していないと考えられています。しかし、物体検出やセグメンテーションは、画像全体の情報を処理する必要があるため、Mambaの長いシーケンス処理の能力が活かせる可能性があります。
ただし、これらのタスクは自己回帰的ではありません。つまり、画像の一部分から次の部分を予測するようなことはしないのです。そのため、Mambaの自己回帰的な生成の特性は、これらのタスクではあまり活かせないかもしれません。

MambaOutモデル 〜Mambaは本当に必要?〜

この疑問に答えるために、研究者たちはMambaのコア部分であるSSMを取り除き、シンプルなGated CNNブロックのみで構築したMambaOutモデルを提案しました。Gated CNNは、RNNの一種で、ゲート機構を用いて情報の流れを制御するアーキテクチャです。
MambaOutモデルは、Occam's razor(オッカムの剃刀)に基づくベースラインモデルです。Occam's razorとは、「複数の説明が可能な場合、最もシンプルな説明を選ぶべき」という考え方のことです。つまり、MambaOutは、Mambaの複雑な機構を取り除いた、よりシンプルなモデルということになります。
実験の結果、画像分類ではMambaOutがMambaモデルを上回る性能を示しました。これは、画像分類においては、Mambaの複雑な機構が必ずしも必要ではないことを示唆しています。一方、物体検出とセグメンテーションでは、MambaOutはMambaモデルには及ばない結果となりました。このことから、これらのタスクにおいては、Mambaの長いシーケンス処理の能力が活かせる可能性が示唆されます。

まとめ 〜Mambaは画像認識の未来を変えるか?〜

以上の研究結果から、画像分類にはMambaは必ずしも必要ではありませんが、物体検出とセグメンテーションでは可能性を秘めていると言えそうです。また、MambaOutのようなシンプルなモデルが、画像分類においてはMambaを上回る性能を示したことは、Occam's razorの考え方の重要性を再確認させる結果となりました。
今後は、MambaOutをベースラインとして、さらに高度なMambaモデルが開発されていくことが期待されます。そして、この研究で得られた知見は、Mambaアーキテクチャと画像認識分野全体の発展に大きく寄与するでしょう。AIの世界は日進月歩で進化していますが、こうした基礎研究の積み重ねが、より高度で実用的なAI技術の実現につながっていくのです。画像認識における次世代アーキテクチャとしてのMambaの可能性に、今後も注目が集まるかもしれません。

※ 備考(用語の説明)

Transformer:自然言語処理や画像認識で大活躍中のAIアーキテクチャ。単語や画像の部分同士の関係性を捉えるのが得意。
RNN(Recurrent Neural Network):時系列データを扱うのに長けたAIアーキテクチャ。過去の情報を記憶しながら処理を進める。
SSM(State Space Model):時系列データをモデル化するための数学的な手法。状態変数と観測変数の関係性を表現する。
Gated CNN:RNNの一種で、ゲート機構を用いて情報の流れを制御するアーキテクチャ。
Occam's razor(オッカムの剃刀):複数の説明が可能な場合、最もシンプルな説明を選ぶべきという考え方。

参考

https://arxiv.org/abs/2405.07992v2

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