AWS ConfigとAWS CloudTrailの概要と使用シーン
1. はじめに
AWSを使う上で、リソース(AWSの各サービスのこと)の設定管理と監査(ログの記録と分析)は とても大切です。AWS ConfigとAWS CloudTrailは、これらの課題を解決するための頼もしい味方です。この記事では、AWS ConfigとAWS CloudTrailの概要と使い道を説明します。
2. AWS Configってなに?
2.1 AWS Configの概要
AWS Configは、AWSアカウント内のリソースの設定を見張ってくれる番人みたいなサービスです。リソースの設定が変更されると、その変更履歴を記録してくれます。これにより、設定の見通しが良くなり、ルールに沿っているかどうかのチェックもしやすくなります。
2.2 AWS Configの主な機能
- リソース設定の変更を常に記録し、変更履歴を追跡
- 設定変更があった時に通知やアラートを送信
- リソース設定がルールに沿っているかチェック
- 設定履歴のスナップショット(ある時点での状態)とレポート作成
- 複数のアカウントやリージョン(AWSのデータセンターがある地域)での設定管理
2.3 こんな時にAWS Configを使おう
- 設定変更の記録と追跡が必要な時
- ルールに沿っているかどうか確認したい時
- 設定のズレを見つけて直したい時
- リソース設定の一覧と履歴を管理したい時
2.4 AWS Configの使用例
例1: セキュリティグループの設定変更を監視
AWS Configを使えば、セキュリティグループ(ファイアウォールのようなもの)の設定変更を常に監視できます。不適切なルール変更があった場合、アラートを受け取ることができるので、セキュリティの問題を早期に発見し、対処できます。
例2: ルールに沿っているかのチェック
AWS Configを使えば、AWSリソースの設定が決められたルールに沿っているかどうかを定期的にチェックできます。例えば、必要なタグが付いているかどうか、暗号化が有効になっているかどうかなどを確認できます。
3. AWS CloudTrailってなに?
3.1 AWS CloudTrailの概要
AWS CloudTrailは、AWSアカウント内のユーザーの行動やAPIコール(AWSサービスへの指示)を記録し、監査やセキュリティ分析に役立てるサービスです。ユーザー、ロール(一時的な権限)、AWSサービスが実行した操作を追跡し、ログファイル(記録)を提供します。
3.2 AWS CloudTrailの主な機能
- ユーザーの行動やAPIコールの記録
- ログファイルの保存とS3(AWSのストレージサービス)への配信
- CloudWatch Logs(AWSのロギングサービス)との連携
- 複数のアカウントやリージョンでの監査
- ログファイルの改ざん防止
3.3 こんな時にAWS CloudTrailを使おう
- AWSリソースへの変更を監査したい時
- セキュリティ問題の調査が必要な時
- ルールに沿っていることを証明する必要がある時
- ユーザーの行動を分析してトラブルシューティングしたい時
3.4 AWS CloudTrailの使用例
例1: 不正なユーザー行動の検出
AWS CloudTrailを使えば、ユーザーの行動を監視し、不正なアクセスや権限の昇格などの怪しい行動を見つけられます。これにより、セキュリティ問題にすばやく対応できます。
例2: 監査への対応
AWS CloudTrailのログを使えば、規制要件に沿っていることを証明できます。例えば、データアクセスの記録や、特定の管理操作の実行証明などに役立ちます。
4. AWS ConfigとAWS CloudTrailの連携
AWS ConfigとAWS CloudTrailを一緒に使うと、より効果的にリソースを管理し、監査できます。
4.1 設定変更とユーザー行動の関連付け
AWS Configで見つかった設定変更と、AWS CloudTrailで記録されたユーザー行動を関連付けることで、変更の原因と責任者を特定しやすくなります。
4.2 自動修復とアラート
AWS Configで設定のルール違反が見つかった時、AWS CloudTrailのログを使って自動的に修復したり、関連するユーザーにアラートを送ったりできます。
5. AWS ConfigとAWS CloudTrailの導入
5.1 AWS Configの設定
- AWSマネジメントコンソール(管理画面)から、AWS Configを有効化
- 記録するリソースの種類とルールを選択
- 通知とアラートの設定
5.2 AWS CloudTrailの設定
- AWSマネジメントコンソールから、AWS CloudTrailを有効化
- ログファイルの保存先となるS3バケット(保存場所)を指定
- CloudWatch Logsとの連携を設定
5.3 ベストプラクティス
- 最小権限の原則に基づいたIAMポリシー(アクセス権限の設定)
- 定期的なログのレビューと分析
- アラートとインシデント対応プロセスの確立
- 複数のアカウントやリージョンでの一元管理
6. まとめ
AWS ConfigとAWS CloudTrailは、AWSリソースの設定管理と監査に欠かせないサービスです。AWS Configは設定変更の追跡とルールチェックに役立ち、AWS CloudTrailはユーザー行動やAPIコールの記録に使われます。この2つのサービスを連携させることで、より効果的にリソースを管理し、監査できます。
AWSを使う組織は、これらのサービスを導入し、適切に設定することで、セキュリティとルールへの準拠を向上させ、運用を効率化できます。初めて導入する場合は、まずは重要なリソースや使用例に焦点を当てて段階的に展開し、徐々に対象を広げていくのがおすすめです。
AWS ConfigとAWS CloudTrailを活用して、AWSリソースの設定管理と監査を強化し、安全で効率的なクラウド環境を構築しましょう。
※ 参考
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