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うさぎでもわかるNTTグループの再編と今後の動向

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うさぎでもわかるNTTグループの再編と今後の動向

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はじめに

みなさん、こんにちは!🐰です。突然ですが、みなさんは「NTT」と聞いて何をイメージしますか?電話会社?モバイル?インターネット?

実は、NTTグループが大きく変わろうとしています。2025年5月9日に発表されたニュースによると、NTTグループは7月1日から組織再編と商号変更を行うとのこと。特に注目すべきは、「NTTコミュニケーションズ」が「NTTドコモビジネス」に、「NTTコムウェア」が「NTTドコモソリューションズ」に変わるという点です。

「えっ、名前が変わるだけ?それのどこがすごいの?」と思われるかもしれませんが、これは単なる名称変更ではなく、NTTグループの今後の戦略と方向性を示す重要な変化なんです。この記事では、NTTグループの再編の詳細と、その先に見える未来について考察してみたいと思います。

NTTグループ再編の背景

通信業界の変化と競争環境

まず理解しておきたいのは、通信業界を取り巻く環境が大きく変化しているということ。スマートフォンの普及はほぼ飽和状態となり、モバイル通信事業の成長も鈍化しています。さらに楽天モバイルの参入や格安SIMの台頭により、価格競争も激化しています。

そんな中、NTTグループは2022年にNTTドコモがNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化し、グループ内の再編を進めてきました。これは単なるコスト削減のための再編ではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速とグローバル展開を見据えた戦略的な動きだったのです。

デジタルトランスフォーメーションの加速

現代のビジネスシーンでは、DXは避けて通れない課題となっています。企業はクラウド化、AI活用、データ分析などを通じて、デジタル技術を活用した変革を迫られています。NTTグループはこうした企業のDXを支援するサービスを提供する「デジタルサービスカンパニー」への変革を目指しています。

ドコモを中心としたグループ戦略への転換

今回の商号変更の最も重要なポイントは、「ドコモブランド」を中心としたグループ戦略への転換です。NTTコミュニケーションズの「NTTドコモビジネス」への変更、NTTコムウェアの「NTTドコモソリューションズ」への変更は、消費者向けサービスに強みを持つドコモブランドを法人向けビジネスにも拡大し、グループの一体感を強めるための戦略なのです。

ドコモブランドの傘下に法人向けビジネスを集約することで、「個人のお客さま・法人のお客さまのすべてに、新しい価値を提供し豊かな社会の実現をめざす」というビジョンを実現しようとしています。

組織再編の詳細

NTTグループ組織再編

NTTコミュニケーションズからNTTドコモビジネスへの変更の詳細と意味

NTTコミュニケーションズは1999年の設立以来、長距離通信事業や国際通信事業、クラウドサービスなどを提供してきました。2022年にドコモの子会社となった後は、「ドコモビジネス」ブランドのもと5G・IoT、データセンター、アプリケーション、セキュリティ、AIなどの法人サービスを展開しています。

今回の「NTTドコモビジネス」への商号変更について、同社は「これまで以上にドコモグループのシナジーを発揮し、より一層お客さまへの提供価値を高めていく。ドコモグループ、NTTグループの総合ICT事業をけん引し、『産業・地域DX(デジタル変革)のプラットフォーマー』として新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現を目指す」と説明しています。

これは単なる看板の架け替えではなく、ドコモの知名度と顧客基盤を活かして法人ビジネスを拡大し、スマートライフ事業と法人事業を収益の柱に成長させる戦略の一環なのです。

NTTコムウェアからNTTドコモソリューションズへの変更の詳細と意味

NTTコムウェアは2000年にNTTのソフトウェア部門が分社化して誕生した企業で、システム開発やソフトウェア開発を主力事業としてきました。今回の「NTTドコモソリューションズ」への商号変更について、同社は「NTTドコモグループの一体感をより一層高め、シナジーを発揮しながら成長を加速させるため」と説明し、「ソリューションズ」という言葉には「創業以来培ってきた技術力を最大限活用して、社会やお客さまが抱える課題に対して最適な解決策を提供し続けるという強い思い」が込められているとしています。

この変更により、ドコモグループが提供するソリューションのシステム開発・運用面での強化が図られ、顧客が求めるDXを実現するための技術基盤がより強化されることが期待されます。

グループ全体の組織構造の変化

今回の組織再編により、NTTグループ全体の組織構造もより明確になります。

  1. 持株会社:NTT株式会社(旧:日本電信電話株式会社)
  2. 主要事業会社:
    • NTT東日本株式会社
    • NTT西日本株式会社
    • 株式会社NTTドコモ
    • NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)
    • NTTドコモソリューションズ株式会社(旧:NTTコムウェア株式会社)
    • 株式会社NTTドコモ・グローバル
    • 株式会社NTTデータグループ

この組織構造からも、ドコモを中心としたグループ戦略への転換が明確に見て取れます。

NTTドコモを中心とした新戦略

モバイル・固定通信の融合

これまでNTTグループでは、モバイル通信はドコモ、固定通信はNTT東西やNTTコミュニケーションズが担っていましたが、今後はドコモグループを中心にモバイルと固定の融合が加速します。

具体的には、ドコモのモバイル通信ネットワークとNTTコミュニケーションズ(新:NTTドコモビジネス)の固定通信・クラウドネットワークを統合し、よりシームレスなサービス提供が可能になります。これにより、ユーザーは場所を問わず一貫した通信環境を利用できるようになるでしょう。

ビジネスソリューション強化の意図

NTTグループは2025年度の中期経営目標として「スマートライフ・法人事業収益比率を50%以上」「法人事業収益を2兆円以上」と掲げています。この目標達成のためには、法人向けビジネスの強化が不可欠です。

NTTドコモビジネスとNTTドコモソリューションズへの商号変更は、まさにこの法人ビジネス強化を視覚的にも明確に示すものです。ドコモの個人向けサービスで培ったブランド力と技術力を法人向けソリューションにも応用し、5G・IoT・AI・クラウドといった先端技術を活用した法人向けDXサービスの提供を加速させようとしています。

デジタルサービスカンパニーへの転換

NTTグループの新戦略

NTTグループが目指しているのは、単なる通信キャリアではなく、デジタルサービスを提供する総合的なICT企業への変革です。そのためには、以下の要素が重要になります:

  1. 会員基盤とデータ活用
  2. サービスと多様な端末とのシームレスな連携
  3. パートナー企業との協業

特に注力分野としては、「金融・決済」や「映像・エンターテイメント」などの既存領域の強化に加え、「電力」「メディカル」「XR」などの新規領域の拡大が挙げられています。

これらの取り組みにより、2025年度にはドコモグループ収益の過半をスマートライフと法人事業で創出することを目標としています。

技術動向とNTTの取り組み

5G/6G技術の開発状況

NTTドコモは5Gの早期展開を進めつつ、すでに6G(第6世代移動通信システム)の研究開発にも力を入れています。6Gではサステナビリティ、効率性、カスタマーエクスペリエンス、AIネットワーク、どこでもつながる接続性という5つの観点で技術開発を進めています。

特に注目すべきは、韓国のSKテレコムとの協業です。両社は6G向けAI無線インターフェースの共同実証などを行っており、国際的な連携を通じて6G技術の標準化にも取り組んでいます。

IOWN構想の進展

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが提唱する次世代通信インフラ構想です。光技術を用いた超低遅延・超高速・超低消費電力のネットワークを実現し、AIやIoTの可能性を最大限に引き出すことを目指しています。

NTTドコモはNTT研究所と連携し、6GとIOWNの技術を融合させた「5G Evolution & 6G powered by IOWN」に取り組んでいます。これにより、従来の無線通信の限界を超えたネットワークの実現を目指しています。

クラウド・AIへの投資と取り組み

NTTグループはクラウドとAIを次世代のビジネスの柱として位置づけ、積極的な投資を行っています。特にドコモのAI活用については、ネットワークの自動運用化や設定の最適化、低消費電力化などに応用される予定です。

また、法人向けビジネスでも、AI・データ分析を活用したソリューションの提供を強化し、企業のDXを加速させる取り組みを進めています。

市場への影響と競合との関係

国内通信市場への影響

NTTグループの再編は、国内通信市場にも大きな影響を与えるでしょう。特に法人向けICTサービス市場では、ドコモのブランド力とNTTコミュニケーションズの技術力・顧客基盤が融合することで、より強力な競争力を持つことになります。

これに対抗するため、KDDIやソフトバンクなどの競合他社も、通信キャリアからデジタルサービスカンパニーへの転換を加速させる可能性があります。

グローバル展開の方向性

今回のNTTの商号変更には、「グローバル市場での事業展開を加速する」という狙いもあります。特に海外でのブランド認知を高めるため、略称である「NTT」を正式社名にするという判断は理にかなっています。

ドコモグループとしても、「株式会社NTTドコモ・グローバル」を通じた海外展開を強化し、日本国内で培った技術やソリューションをグローバル市場に展開していく方針です。特に5G/6G、IoT、AIなどの先端技術を活用したソリューションの海外展開に注力することが予想されます。

競合他社の動きと比較

通信業界全体として、「通信キャリア」から「デジタルサービスカンパニー」への転換は共通のトレンドとなっています。KDDIは「通信とライフデザインの融合」を掲げ、金融・コマース・エンターテイメントなどの非通信事業を強化しています。ソフトバンクも「Beyond Carrier」戦略のもと、非通信事業の拡大を進めています。

今回のNTTグループの再編は、この流れをさらに加速させるものであり、各社の非通信事業での競争が一層激化することが予想されます。

今後の展望と課題

NTTグループの中長期的な方向性

NTTグループの中長期的な方向性としては、以下の点が重要になるでしょう:

  1. ドコモブランドを中心とした総合ICT企業への転換
  2. スマートライフ事業と法人事業の成長加速
  3. 6G・IOWNなどの次世代技術の実用化
  4. グローバル市場での存在感の向上
  5. サステナブルな社会の実現への貢献

特に、2030年カーボンニュートラル、2040年ネットゼロを目指す環境目標と、事業成長の両立が大きな課題となります。

直面する課題と対応策

一方で、NTTグループが直面する課題としては以下が挙げられます:

  1. 通信事業の収益性低下への対応
  2. デジタルサービス事業での差別化
  3. グローバル市場での競争力強化
  4. 人材確保と育成
  5. 技術革新のスピード

これらの課題に対応するため、NTTグループはネットワークの効率化によるコスト削減、AIを活用した自動運用、パートナー企業との協業強化などの取り組みを進めています。通信Capex to Salesを16.5%以下へ低減し、通信ROICを11.0%以上とする数値目標も設定しています。

市場や技術の変化に対する適応性

通信・ICT業界は技術変化のスピードが非常に速く、市場環境も急激に変化します。このような環境で成功するためには、変化に対する適応力が鍵となります。

NTTグループも「常に自己革新を続け、世の中にダイナミックな変革をもたらす企業グループをめざす」という理念を掲げ、変化を恐れず挑戦し続ける姿勢を示しています。今回の組織再編・商号変更も、その表れの一つと言えるでしょう。

まとめ

NTTグループの再編と商号変更は、単なる名前の変更ではなく、グループの戦略的方向性を明確に示すものです。特に重要なポイントは:

  1. ドコモブランドを中心としたグループ戦略への転換
  2. 法人ビジネスの強化とデジタルサービスカンパニーへの変革
  3. 5G/6G・IOWN・AI・クラウドなどの技術トレンドへの積極投資
  4. グローバル市場での存在感向上

これらの取り組みにより、NTTグループは通信キャリアからデジタルサービスカンパニーへと進化し、個人・法人の両方に新しい価値を提供していくことを目指しています。

今後も通信業界の動向、特にNTTグループの展開には注目していきたいと思います。次回もお楽しみに!🐰

参考資料

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