🐰うさぎでもわかる CapCutのAPIとAIエージェント連携のためのMCP実装ガイド
🐰うさぎでもわかる CapCutのAPIとAIエージェント連携のためのMCP実装ガイド
こんにちはうさぎです!最近、AIエージェントの進化がすごいですよね。特に様々なツールと連携できるようになったことで、できることがどんどん広がっています。
今回は人気の動画編集ツール「CapCut」とAIエージェントを連携させるための「Model Context Protocol (MCP)」について掘り下げていきます。CapCutのAPIの現状を確認し、MCPを使った理想的な連携方法を考察してみましょう!
1. CapCutとは何か
CapCutは、ByteDance(TikTokの親会社)が開発した、使いやすく高機能な動画編集ツールです。特にTikTokやInstagram Reels、YouTube Shortsなどのショート動画制作によく使われています。
主な特徴としては以下のようなものがあります:
- 直感的なインターフェースで初心者でも使いやすい
- 豊富なエフェクト、フィルター、トランジション
- AIを活用した自動字幕生成や背景除去
- テンプレートを使った素早い動画作成
- クロスプラットフォーム対応(モバイル、デスクトップ)
特にAI機能の充実が近年の特徴で、テキストから動画を生成する機能なども実装されています。
2. CapCutのAPI現状
それでは、CapCutのAPIについて現状を見ていきましょう。
2.1 公式API状況
調査した結果、CapCutは現在限定的なAPIを提供していることがわかりました。主にChatGPT Plugin用のOpenAPI仕様が公開されています。
{
"openapi": "3.0.1",
"info": {
"title": "CapCut ChatGPT PlugIn.",
"description": "CapCut OpenAPI specification for ChatGPT Plugin.",
"version": "v1"
},
"servers": [
{
"url": "https://www.capcut.com"
}
],
"paths": {
"/lv/v1/draft/text_to_video/link": {
"post": {
"operationId": "generate",
"summary": "Generate a video by generated text.",
"description": "Generate video by user's English version topic and the generated English content by extending user's topic."
}
},
"/lv/v1/draft/text_to_video/info": {
"post": {
"operationId": "getInformation",
"summary": "Get some information about the capcut plugin."
}
},
"/lv/v1/plugin_service/search/templates": {
"post": {
"operationId": "searchTemplates",
"summary": "Search video or image templates by keywords."
}
}
}
}
このAPIでは主に以下のことができます:
- テキストから動画を生成する
- プラグイン情報を取得する
- キーワードでテンプレートを検索する
しかし、実際の動画編集機能(トリミング、エフェクト適用、字幕追加など)へのAPIアクセスは現時点では提供されていないようです。
2.2 現在の制限と課題
CapCutの現在のAPIには以下のような制限があります:
- ChatGPT Plugin向けに特化しており、一般的な開発者向けに包括的なドキュメントが少ない
- コア編集機能へのアクセスが限られている
- バッチ処理や自動化のためのエンドポイントが不足
- サードパーティ開発者向けのエコシステムが未成熟
これらの制限により、AIエージェントが直接CapCutの高度な編集機能を活用することは現状難しいです。サードパーティのライブラリや非公式APIも存在しますが、安定性や継続性に課題があります。
3. Model Context Protocol(MCP)とは
AIエージェントとツールを連携させるための新しい標準として注目されているのが「Model Context Protocol (MCP)」です。
3.1 MCPの基本概念
MCPとは、AI言語モデル(LLM)と外部ツール・データソースを標準化された方法で接続するためのオープンプロトコルです。Anthropicが開発し、オープンソースとして公開されています。
MCPは「AIシステムのためのUSB-C」とも例えられ、さまざまなデータソースやツールとAIアシスタントを簡単に接続できるようにします。
3.2 MCPのアーキテクチャ
MCPはクライアント-サーバーアーキテクチャを採用しています:
- クライアント: LLMアプリケーション(Claude、ChatGPTなど)
- サーバー: データソースやツールの機能を提供するプログラム
- プロトコル層: メッセージフレーミング、リクエスト/レスポンスリンク
- トランスポート層: 実際の通信(HTTP POSTとServer-Sent Events)
すべての通信はJSON-RPC 2.0を使用してメッセージをやり取りします。
3.3 MCPがもたらす価値
MCPの導入によって以下のようなメリットが得られます:
- 統合の簡素化: カスタムコードを書かずに異なるツールとAIを連携
- 再利用性: 一度開発したMCPサーバーを複数のAIクライアントで利用可能
- セキュリティ: データはサーバー側で制御、APIキーの共有が不要
- 自律性: AIエージェントがコンテキストに基づいて適切なツールを選択
これらのメリットにより、開発者はAIエージェントのコア機能に集中できるようになります。
4. 既存のAIエージェントとツール連携の事例
MCPはまだ比較的新しい技術ですが、すでに多くの企業や開発者がこの規格を採用し始めています。
4.1 Microsoft Copilot StudioでのMCP活用
MicrosoftはCopilot Studioに公式にMCPサポートを追加しました。これにより、開発者はAIアプリとエージェントの統合が簡単になっています。
具体的には以下の機能が提供されています:
- 外部データソースとの接続
- ツールの自動検出と使用
- 統合されたワークフロー
4.2 その他のMCP対応ツール
現在、多くのMCPサーバーがコミュニティによって開発されています。mcp.soというサイトでは、これらのサーバーが一覧化されています。
主な事例としては:
- Slackチャンネル管理用MCPサーバー
- ブラウザオートメーション用Puppeteerサーバー
- Cloudflareリソース管理用サーバー
クライアント側では:
- Zed(テキストエディタ)
- ChatMCP(AI対話クライアント)
- Roo Code(コードエディタ)
などがMCPをサポートしています。
4.3 標準化の動向
MCPは急速に採用が進んでおり、AIツール間の相互運用性の標準となりつつあります。特にClaudeやMicrosoftなど大手企業がサポートを表明したことで、今後さらに普及が進むと予想されます。
5. CapCutとAIエージェント連携のための理想的なMCP
それでは、CapCutとAIエージェントを連携させるために、理想的なMCPサーバーはどのようなものか考えてみましょう。
5.1 ビデオ編集ツールとMCPの相性
ビデオ編集は複雑なワークフローを持つタスクですが、以下の点でMCPとの相性が良いと考えられます:
- 明確に定義されたタスク(トリミング、フィルター適用など)
- 構造化されたデータ(タイムライン、メディアリソース)
- シーケンシャルな処理フロー
AIエージェントは自然言語指示を理解し、適切な編集操作に変換することで、ユーザーのワークフローを大幅に簡略化できます。
5.2 CapCut用MCPの設計案
理想的なCapCut MCPサーバーの設計ポイントは以下の通りです:
-
基本機能
- プロジェクト管理(作成、読み込み、保存)
- メディアリソース管理(インポート、エクスポート)
- 編集操作(トリミング、分割、結合)
- エフェクト適用(フィルター、トランジション)
- テキストと字幕(追加、編集、スタイル変更)
-
高度な機能
- AI生成機能との連携(テキストから動画生成)
- テンプレート検索と適用
- バッチ処理(複数動画の同時編集)
- プリセット管理(ユーザー定義スタイル)
-
セキュリティと認証
- ユーザー認証
- 権限管理
- リソースアクセス制御
5.3 実装する際の考慮点
CapCut用MCPサーバーを実装する際の主な考慮点は以下の通りです:
-
APIの制限対応
- 公式APIの制限を補うための中間層の構築
- 必要に応じたWeb UIの自動化(Puppeteerなど)
-
パフォーマンス
- 大きなメディアファイルの効率的な処理
- バッチリクエストの最適化
-
ユーザーエクスペリエンス
- 自然言語指示の明確な編集操作への変換
- 編集意図の理解と提案
-
互換性
- CapCutのバージョン更新への対応
- クロスプラットフォーム対応
6. 実装アイデア:CapCut用MCPサーバーの構築
それでは、実際にCapCut用MCPサーバーを構築するためのアイデアを見ていきましょう。
6.1 必要な技術スタック
CapCut MCPサーバー構築に必要な主な技術スタックは以下の通りです:
- 言語: Node.js / TypeScript(MCPクライアントライブラリが充実)
- MCP実装: Anthropic MCP SDKまたは互換ライブラリ
- API連携: CapCut公式API + Puppeteer(Web UI自動化)
- データ処理: FFmpeg(メディア処理)
- ストレージ: ローカルまたはクラウドストレージ
6.2 サンプルコード
簡単なCapCut MCPサーバーの実装例は以下のようになります:
import { Server, Transport } from '@anthropic-ai/mcp';
import { HttpTransport } from '@anthropic-ai/mcp-transports-http';
import axios from 'axios';
// CapCut APIクライアント
class CapCutClient {
private baseUrl = 'https://www.capcut.com';
async searchTemplates(keyword: string, templateType: number, aspectRatio: string) {
try {
const response = await axios.post(`${this.baseUrl}/lv/v1/plugin_service/search/templates`, {
keyword,
template_type: templateType,
aspect_ratio: aspectRatio
});
return response.data;
} catch (error) {
console.error('Error searching templates:', error);
throw error;
}
}
async generateVideoFromText(title: string, content: string, aspectRatio: string = '16:9') {
try {
const response = await axios.post(`${this.baseUrl}/lv/v1/draft/text_to_video/link`, {
title,
content,
aspect_ratio: aspectRatio
});
return response.data;
} catch (error) {
console.error('Error generating video:', error);
throw error;
}
}
}
// MCP サーバーの設定
async function main() {
const capcut = new CapCutClient();
const server = new Server();
// テンプレート検索ツールを登録
server.registerTool({
name: 'searchTemplates',
description: 'Search for CapCut templates by keyword',
parameters: {
type: 'object',
properties: {
keyword: { type: 'string', description: 'Search keyword' },
templateType: { type: 'integer', enum: [1, 2], default: 1, description: '1 for video, 2 for image' },
aspectRatio: { type: 'string', enum: ['16:9', '9:16', '1:1'], default: '16:9' }
},
required: ['keyword']
},
handler: async (params) => {
const results = await capcut.searchTemplates(
params.keyword,
params.templateType || 1,
params.aspectRatio || '16:9'
);
return results;
}
});
// テキストから動画生成ツールを登録
server.registerTool({
name: 'generateVideoFromText',
description: 'Generate a video from text description',
parameters: {
type: 'object',
properties: {
title: { type: 'string', description: 'Video title or topic' },
content: { type: 'string', description: 'Text content for video generation' },
aspectRatio: { type: 'string', enum: ['16:9', '9:16', '1:1'], default: '16:9' }
},
required: ['title', 'content']
},
handler: async (params) => {
const result = await capcut.generateVideoFromText(
params.title,
params.content,
params.aspectRatio || '16:9'
);
return result;
}
});
// HTTPトランスポートの設定
const transport = new HttpTransport({ port: 3000 });
// サーバーの起動
await server.connect(transport);
console.log('CapCut MCP Server running on port 3000');
}
main().catch(console.error);
このサンプルコードでは、CapCutの公式APIで提供されている2つの主要機能(テンプレート検索とテキストからの動画生成)をMCPツールとして公開しています。
6.3 実装上の注意点
実際に実装する際の注意点としては以下が挙げられます:
-
認証と認可
- CapCut APIの認証要件への対応
- ユーザー固有のコンテキストの管理
-
エラーハンドリング
- API制限やレート制限への対応
- 適切なエラーメッセージの提供
-
拡張性
- 新しいAPI機能や非公式機能の追加しやすい設計
- プラグイン化によるカスタマイズ
-
テスト
- 単体テストとモック
- 統合テストによるエンドツーエンドの検証
7. 将来展望
CapCutとAIエージェントの連携がもたらす将来についても考えてみましょう。
7.1 ビデオ編集の自動化の可能性
AIエージェントによる動画編集自動化の可能性は非常に高いです:
- 自然言語での編集指示(「このビデオをよりドラマチックにして」など)
- コンテンツ分析と自動編集提案
- 複数素材からの自動編集(ベストカット選択など)
- パーソナライズされた編集スタイルの学習
これにより、プロフェッショナルな編集スキルを持たないユーザーでも高品質な動画を作成できるようになります。
7.2 AIエージェントとビデオ編集の未来
より長期的には以下のような発展が期待されます:
- マルチモーダルAIによる視覚的フィードバックを含む編集
- 動画内容の理解に基づいた高度なストーリーテリング支援
- クリエイティブパートナーとしてのAIエージェント(共同制作)
- クロスプラットフォームでの一貫した編集体験
7.3 開発者コミュニティへの期待
この分野の発展には開発者コミュニティの貢献が不可欠です:
- オープンソースMCPサーバーの開発と共有
- ベストプラクティスの確立
- 標準化への参加
- ユースケースとサンプル実装の共有
8. まとめ
今回は、CapCutのAPIとAIエージェント連携のためのModel Context Protocol(MCP)について探求しました。
8.1 本記事のポイント
- CapCutは現在限定的なAPI(主にChatGPT Plugin向け)を提供している
- MCPはAIエージェントとツールの統合を標準化するオープンプロトコル
- CapCut用MCPサーバーを構築することで、AIエージェントとの高度な連携が可能に
- 実装には公式APIの制限を補うための工夫が必要
8.2 今後の研究課題
- 非公式APIやWeb UI自動化の安定性向上
- より高度な編集操作のMCPツール化
- パフォーマンスとスケーラビリティの最適化
- マルチモーダルAIとの連携
8.3 読者へのメッセージ
ビデオ編集とAIの融合は始まったばかりです。MCPのようなオープンプロトコルを活用することで、クリエイターの可能性を広げる新しいツールやワークフローが生まれることでしょう。
皆さんもぜひCapCutとMCPの組み合わせを試してみてください。新しい発見があれば、コミュニティでぜひ共有してくださいね!
参考リンク:
Discussion