高専に行くメリット
簡単な経歴紹介
- 2016年4月 東京都立産業技術高等専門学校 入学
- 2021年3月 東京都立産業技術高等専門学校 卒業
- 2021年4月 千葉大学 3年次編入
- 2023年3月 千葉大学 卒業
- 2023年4月 千葉大学大学院 入学
- 2025年3月 千葉大学大学院 卒業見込み(2024年現在)
2024年現在、大学院生として高専時代を振り返ると、高専に行ったメリットをとても多く感じたので主観的な評価ですが当事者として紹介します。
高一から博士に触れ合える
高専では高校一年生の年齢から博士号を取得している教授・准教授の授業を受けることができます。このような環境は珍しいのではないでしょうか?振り返ると博士号を取るだけの勉強量、研究実績を持っている人と長く関わったのは高専という環境が初めてでした。人は周囲の人に影響されて成長します。周囲に博士という各分野の専門家が近くにいると、その一挙一動や言葉選びから滲み出る論理的な思考に触れられます。それを感じ取れるかは自分次第ですが、少なくとも私は刺激されました。
授業の質が高い
高専の授業は大学の授業よりも質が高いです。理由は高専の方が1人の先生が受け持つ学生の数が少ないためです。高専の授業内容は大学レベルですが、学生は高校生レベルからスタートします。当然1回では理解できないので、複数科目で似た内容を取り扱うことで、単純に接触回数を増やして理解させてくれます。また、高専では1年生の頃から実験実習のレポートを提出します。先生はレポートの全てのページを丁寧に確認し、間違っていたり考察不足があると、何往復も修正を行います。学生が理解するまで教える、という姿勢は大学よりも強く感じるので質が高いと感じます。
理系力がつく(論理的思考)
先程も紹介しましたが、高専では実験実習があります。実験実習は1年生から4年生までの間、1週間に1度、授業を2コマ分使用して実験を行いますが、実験後にはレポート課題があります。このレポート課題では実験の目的、理論、使用機器、方法、結果、考察を記載しますが、このフォーマットは大学院でスライド発表する際にも使える一生モノの素晴らしいフォーマットです。毎週レポートでこの順番で書かされるので、卒業する頃には手が覚えています。また、レポートでは実験機器から出力されたグラフなどから分かることを考察します。論理的に飛躍があると先生に指摘されるので、論理的な展開力を身につけられます。
専門性が身につく
高専では基本的にコースや科に分かれて専門分野を勉強します。私は医療福祉工学コース出身で、機械、材料、電気電子、情報といった幅広い専門性を学びました。私のように幅広く学ぶ学生もいれば、情報通信工学コースのように情報、電気電子、情報、通信といった機械材料を除いた尖った専門性を学ぶ学生もいます。コースや科は高専によって異なりますが、幅広の専門性か尖った専門性、どちらを選ぶかは自分の興味や性格次第です。
高専では4~5年生で研究室に所属し、卒業研究を行い、最終的にスライド発表と論文提出を行います。それまで授業や実験で学んだことを活かしながら、研究室で先生と決めたテーマについて研究を行います。研究室に入ってから新しい機材に触れることも当然よくあります。新しい機材に触れるのは実験実習で慣れっこになるので、案外心配要りません。先生も使い方を教えてくれます。この卒業研究が自身の専門性の軸となります。大学に編入することを検討している場合、行きたい大学の研究室と卒業研究のテーマが近いと面接を有利に進められます。
大学編入可能
大学編入は有名大学への進学チャンスです。一般的な大学受験よりも試験の受験者が少なく、内容も範囲が専門科目ばかりで、興味のない科目の勉強は基本的に必要ないです。成績が高い場合は学校推薦を貰うことで、学力試験を免除することすら可能です(口頭試問はある)。私の場合、興味のない文系科目の勉強は苦痛だったので、普通高校に行っていたら適当な大学に進むしかなかったと思います。
大学でも役に立つ研究力
高専から大学編入した場合、一般的な大学生より研究歴は長くなります。研究を推進するノウハウを持っていることは速度的に優位です。普通の高校から大学に入っていたら、研究計画も今ほどしっかり建てられなかったでしょう。
技術オタク
技術オタクは話していると最新の知識を教えてくれたりします。まるで歩くChat-GPTのような人もいます。一緒にものづくりをするととても楽しいです。
時間がある
夏休みが大学のように長く、大学受験の勉強をしなくていいので、低学年の頃はめっちゃ時間があります。バイトしてもいいし、部活やってもいいし、オタク活動やってもいいです。この間にいかに何もしない時間を減らすかが成長の鍵のような気がします。高専生の自主性はここで育まれています絶対。好きにしましょう。技術寄りだとなお良し。
まとめ
中学の同級生に会うと喋り方が理系と言われます。嬉しいですね(?)。
大学受験という記憶力バトルで勝てそうにないが、世界の法則には興味があるので夢中になって考えてしまうという人は高専が向いているかもしれません。そういう変な人が集まる場所です。
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