オーディオ用電源タップの自作
はじめに
DTM中心に自宅のPCオーディオ環境を構築してきましたが、電源分配には適当に買ったタップを使用してきました。
タップの口数が不足してきたこともあり新しいタップを導入したいので、いっそのこと奮発してオーディオ用のしっかりしたものを自作しようと思い立ちました。
完成物
材料
タップ : 明工社 MR7908BB
・黒がカッコいい
・PC周辺に置く予定なので、口数は多い方が良い
・抜けどめ機構
・内部接点が少ないらしい
プラグ : 明工社 ME2591
・ホスピタルグレード
・比較的安い(¥1,182/個)
・クリアがカッコいい
ケーブル : Belden 19364
・ロマンのベルデン
・比較的安い(¥1,000/m)
・ちょっと硬いらしい
・シールド付き
丸型圧着端子 : ニチフ R2-3.5、R2-4
・ケーブルの終端処理に使用
・タップ側 : φ3.5
・コネクタ側 : φ4
圧着工具 : HOZAN P-726
・丸型圧着端子に使用(適用サイズ2.0)
・P-732よりも新しい設計のハンドルになっており握りやすい。
作業
コネクタ側の加工
完成図
ME2591の寸法図です。
電線処理は、差し込み/棒形圧着端子/丸型圧着端子の3種が記載されていますが、丸型圧着端子が推奨のようなので今回はこちらを使用します。
明光社 ME2591 寸法図抜粋
ME2591の仕様書に従い、ケーブルの外被覆を23mmほど剥きます。
シールドフィルムと芯線がショートしてしまうと非常に危険なため、剥くときは芯線の被覆を傷つけないよう注意です。切れ味の良いカッターナイフなどを使うと、100%芯線の被覆まで切ってしまいます。
Belden 19364は被覆を剥くと、茶/青/緑黄/被覆なし素線の4本線が出ています。
被覆なし素線はドレイン線と呼び、シールドフィルムと導通しています。
茶 : Hot
青 : Cold
緑黄 : アース
素線 : ドレイン線
今回は自宅のアースなし壁コンに繋ぐため、黄緑アース線とドレイン線はカットし、HotとColdのみ使用しました。
ME2591の取り付けネジはM4なので、丸型圧着端子はR2-4が必要です。今回はR2-3.5しかなかったので、横着して圧着端子の穴径をドリルで拡張しました。
芯線の被覆を6mmほど剥き、圧着端子を取り付けます。工具に圧着端子を軽く噛ませてから、芯線を端子に入れると加工しやすく、圧着位置がズレにくいです。
あとはコネクタを分解し、丸型端子をねじ止めするだけ。仕様書の寸法通りに作ればきっちりピッタリ収まります。
タップ側の加工
お次はタップ側です。
明工社 MR7908BBは分解するとこのような構造になっています。コネクタ接点は一枚の金属板で全て繋がっており、電気抵抗も少なそうです。
MR7908 仕様書
ケーブル口には樹脂のブッシングが入っています。今回使用するBleden 19364はφ10.21なので、例によって仕様書の指示通りブッシングは取り外します。
樹脂ブッシング
MR7908 仕様書
85mmほど外被を剥き、ドレイン線はカットし、芯線の被覆は6mmで剥きます。
芯線に圧着端子を取り付け、タップにねじ止めして接続完了です。
私はズボラでアース線も接続してしまいましたが、片側が浮いているような不要な線はアンテナになってノイズを拾ってしまうリスクが上がるので、コンセント側をカットしているなら本来接続しない方が良いです。
配線ショートや屑ゴミの混入がないかよくよくチェックしケースを閉じます。
最後にテスターで端子間のショートがないか、変な抵抗値を持っていないかを確認しましょう。なんせ100V系なので、いっそ短絡していればブレーカーが落ちて済みますが、切り粉などで変にレアショートしていると発熱発火に繋がります。
以上で完成です。
コスト
このタップを作成するに当たって購入した部品コストはこちらになります。
材料費だけざっくり換算すると、2mのタップ1本がおよそ¥7,500で作れたことになります。
項目 | 品番 | 購入先 | 単価 |
---|---|---|---|
タップ | 明工社 MR7908BB | 九州電気 | ¥4,223(送料込み) |
プラグ | 明工社 ME2591 | Amazon | ¥1,194 |
ケーブル | Belden 19364 | サウンドハウス | ¥1,000/m |
丸型圧着 | ニチフ R2-3.5(100p) | Amazon | ¥558 |
丸型圧着 | ニチフ R2-4(100p) | Amazon | ¥555 |
圧着工具 | HOZAN P-726 | Amazon | ¥5,036 |
タップは2本作成しましたので、本工作にかけたコスト総額は¥21,428でした。
雑記
タップとプラグは仕様やコストですぐ決まったのだけど、ケーブルは種類があり悩んでしまうところ。
最終的にはベルデンにしたのだけれど、最後まで候補に残ってたのは下記のケーブル。
oyaide pc-23
シールドなしで取り回ししやすいらしいのだけど、¥1,320/mとベルデンの方が若干安い。
今回はデスク裏に配置して動かさないタップの予定のため取り回し性はそこまで不要と考えベルデンを採用しました。
機材用のインレットケーブルを作る際はこちらで作ってみたいと思っています。
参考ページ
と言うか丸パクリですが。
圧着端子について
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