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キースイッチプレートにもなるPCB

2023/01/05に公開

ことのあらまし

JLCPCBだと100mm x 100mm サイズだとお値段がだいぶ安い(送料あわせて1000円かからないことがある)ので、たまーにこのサイズ内で収まるPCBを設計したくなります。

DogTagマクロパッドもそんな思いから作り始めました。

100mm x 100mm内にキースイッチプレートも入れたい!という思いでかなり頑張りましたね。

制約の中でいかに工夫するか…というところももちろん面白いのですが、使い勝手の良いテスト用の基板も欲しいなと思って、作り始めたところ...

PCB5枚届いても一人で全部使い切るの無理じゃない?

ということを思うこともしばしば。

あとは、テスト基板を作った後にスイッチプレートやボトムプレートをアクリル板から切り出すのも手間だなぁ…ということでこの辺解決できないか...とかとかそんなことを考えているうちに閃きました。

PCBが回路部分とキースイッチプレートとボトムプレートにもなるものをつくればいいんじゃなイカ?

ということで、思いついたのがこちらです。

https://twitter.com/takashicompany/status/1603767196978929664?s=20&t=2Ry26LA3cYaL3i2dFFTT_Q

基本的に、配線はFreeroutingを使っているのですが、穴だらけの基板に自動配線を動作させるのはかなり大変でしたね…😂

名前は無くても良かったのですが、穴あきだらけの基板が気に入ってたので虫食いを意味する英語から「Worm Eaten」と名付けました。

届いた基板はこちら

これだけスカスカなつくりでも案外丈夫なんだなというのが第一印象です。

ちなみに機能としては

  • MX、Chocのキースイッチをハンダ付け可能
    • Chocはまだ未検証です。
  • OLED搭載可能
  • 分割キーボードとして使用可能
  • バックライトLEDを搭載可能
  • 基板同士をハンダで接続すると、10x4の基板になる!
    • 未検証です。 組み立てたところ動作しました。

https://twitter.com/takashicompany/status/1617170516619689985

というところで、メジャーな機能は一通りカバーしました。
(だから配線が大変になるんだよね…)

組み立ててみる

キースイッチプレートづくり

まずは、PCBをキースイッチプレートにするべくニッパーとヤスリで基板を削っていきます。

キースイッチプレートはPro Microやダイオードを載せる箇所が不要なので、切り落とせるように穴を沢山あけておいたのですが、間に配線を通さなくてはならず、申し訳程度のものになってましたね…。

「穴をニッパーで切っていけば分離できる」というのが理想像でしたが、現実はニッパーで穴に沿って傷をつけて最後は一気に折る…という感じになりました。

この辺は改善の余地がありそうですね。

キースイッチ穴づくりは、ニッパーでひたすらキースイッチ部分を切り落として行けば良いので比較的楽ではありましたが、ニッパーが狭くて入りづらいとか、キースイッチを差し込んでみると入らなかったりで、ヤスリで調整したりと細々とした作業は避けられませんでした。

調整こそ必要でしたが、その分キースイッチがゆるい…ということはほとんど無かったので、この辺は良かった気もします。

回路部分のハンダ付けと組み立て

この辺は、いつもどおりなので、さほど苦労はしませんでしたね。

一個、こだわりを書き記しておくと、今回のPCBはダイオードを一箇所にまとめる & それを表面に出すという意匠を採用しました。

Plaidのデザインを見てちょっと憧れていたんですよね〜
https://twitter.com/keycapsss/status/1221138990163726342?s=20&t=RD04-jAM172_wfKWPU0tfg

あとは、初心者が組む時にダイオードがまとまっている & 剥き出しの方がやりやすいかな〜とか思ったり。
そもそもこれを利用する初心者の方がいるのか分かりませんが…。

基板の各所にm2ネジ用の穴をあけているので、スペーサーを組みあせてよしなに使ってスイッチプレートと回路部分、ボトムプレートを取り付けます。

今回は

  • m2ネジ 3mm
  • m2スペーサー 3.5mm
  • m2ネジ 8mm

で組み立てました。

8mmのネジはスイッチプレートから回路部分を通り抜けてボトムプレートのスペーサーに取り付けていますので、あんまり締めすぎるとたわんでくる…のはどうにかしたい。

ファームウェア

この辺はちょっとメモです。

なぜかinfo.json形式だと分割キーボードとして上手く使えなかったので、旧来の<keyboard_name>.hを使う方式にしました。

実際に使ってみた所感

設計した基板の画像をTwitterに投稿した際に、強度や打鍵感はどうですかね?という質問を頂きました。
まさにこの記事を書くためにWorm Eatenで打鍵しているのですが、同構造のキーボードとの差はそれほど感じませんね。
私自身、打鍵感に勘所があるタイプではないですが、問題なく使えています。

耐久度に関しては、まだ使い始めて間もないので時間が経った時に変化があるかもしれませんが...。
(スイッチプレートを切り出す時にそこそこ苦労したのでそんな簡単には壊れない気がする)

たまには、こういったプレーンなレイアウトのキーボードもいいもんですね!

改善点など

  • さすがにもう少し楽にキースイッチプレートを切り出せたら嬉しい。ただ、配線との兼ね合いもあるのでどこまでできるかは不明。
  • キースイッチのフットプリントはもう少しだけ切りやすくできそう。
  • ボトムプレートはアクリル板のデータも別途用意する。
    • 1ロット5枚なことがほとんどなので、どうしても足りないw

データの配布

フットプリントはこちらです。

ガーバファイルはこちらです。

基板、フットプリントどちらもMITライセンスです。

利用した際に発生した不利益や不都合は自己責任でお願いします。

あとがき

いつもはだいたいTwitterに順次ポストして行く感じだったのですが、流れるの早いし残りづらいのと、こういう考えでやってます!っていうのまでは書いてなかったりするので今回は記事としてまとめてみました。


この記事はWorm Eatenで書きました。

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