AUTOSAR Classic Platform Architecture
はじめに
このではAUTOSAR Classic Platformのアーキテクチャと標準機能でサポートされているサービスの概要についてまとめています。
Architecture
Classic Platformのアーキテクチャは、大きく3つの層に分けられます。
3つの層はそれぞれアプリケーション、RTE、BSWと呼ばれマイコン上で動作します。
出典:AUTOSAR_EXP_LayeredSoftwareArchitecture
HW(ECU,マイコン)に依存する実装はBSWで実装され、Application layerはRTEを経由してBSWと通信することでHWに依存しない設計をすることができます。
Application layer
Application layerではHWに依存しない機能を実装します。
Application layerには、通常複数のソフトウェアコンポーネント(Software Component, SW-C)から構成され、各SW-Cにアプリケーションを実装していきます。SW-C間の通信はPortによって接続され、RTEを介して通信されます。
Port間の通信が ECU内通信になるのか、CAN通信用BSWなどを利用したECU間通信になるのかはRTEにより制御され、アプリケーション側からは見えないようになっています。これによりアプリケーションで開発でSW-C間の通信手段を気にせずに開発ができます。
例えば図1.3のようにSW-CをECUに配置されている場合、図1.4のようにSW-C"B"をECU2に移動させるとSW-C"A"と"B"の通信はECU内通信からCANなどと通してECU外通信をする必要があるが、RTEが通信経路の違いを吸収します。
出典: はじめてのAUTOSAR
尚、アクチュエーター系のSW-Cやセンサー系のSW-Cはアーキテクチャ上はApplication Layerに配置されますが、内部信号に強く依存しているためECU間の移動(再配置)の制限があります。
RTE
RTEではApplication layerとBSWの中間に位置する層です。
Application layerから見るとRTEより下の層のBSWは抽象化され、どのECUから実行されているから見えないようになっています。これによりSW-Cの再利用性を実現しています。
RTEは主に以下2つの機能を提供しています。
- SW-C間の通信
- SW-Cのスケジューリング
BSW
BSW layered architecture
BSWではどのECUにも入っている基本的な機能が実装されています。
BSW内を更に層ごとにグループ分けすると以下の図のようになります。
出典:AUTOSARAUTOSAR_EXP_LayeredSoftwareArchitecture
BSWの各層(Layer)では以下のような機能を提供します。
- Services Layer:
アプリケーションのための基本的なサービスと基本ソフトウェアモジュールを提供する - ECU Abstraction Layer:
MCALとServieces Layer間のインターフェースを提供する - Microcontroller Abstraction Layer (MCAL):
マイコンと内蔵周辺機器に直接アクセスする内蔵ドライバを持つ - Complex Drivers Layer:
AUTOSARで定義されておらず、他のレイヤでは実装できない機能を提供する
AUTOSAR非対応の既存資産を本モジュールとして扱うこともできる
BSW Functional group
BSWのレイヤーはさらにスタックと呼ばれる機能グループごとに区別できます
出典:AUTOSARAUTOSAR_EXP_LayeredSoftwareArchitecture
BSWの各スタックでは以下のような機能を提供します
- System
標準化可能な機能(OS,タイマー,エラーメモリ管理)、ECU特有のサービス(ECU状態管理、ウォッチドッグ管理)、ライブラリ関数を提供する - Memory
不揮発性メモリへのアクセスを提供する - Crypto
暗号化機能へのアクセスを提供する - Off-board Communication
車両無線ネットワークシステムを用いた通信(Vehicle-to-X)へのアクセスを提供する - Communication
車載ネットワークシステム、ECUオンボード通信システム、ECU内SW間通信へのアクセスを提供する - Input/Output(I/O)
センサ、アクチュエータ、ECUオンボード周辺機器へのアクセスを提供する
BSW Modules
各機能グループ内にモジュールがあり、各モジュールに割り当てたれた機能を実装していきます。
BSWのモジュールと各機能グループの関係は以下のようになります。
出典:TOPPERS AUTOSAR情報サイト R20-11 アーキテクチャ図
Tools
各ベンダーから設計開発ツールがリリースされており、BSWやRTEは設計に基づいてコードを自動生成することができます。
各社ベンダーからリリースされているツール例は以下の表になります。
Vender | Tool |
---|---|
Vector | DaVinci Configurator Classic |
Elektrobit | EB tresos Studio |
Mathworks | AUTOSAR Blockset |
eSO+ | eSOL ECUSAR |
dSPACE | systemdesk |
ETAS | AUTOSAR solution |
MentorGraphics | volcano |
Sparxsystems | Enterprise Architect(EA) |
Parasoft | C++TEST |
引用: Wikipedia AUTOSAR, RENESAS 自動車 開発環境
参考資料
はじめてのAUTOSAR: Link
AUTOSAR_EXP_LayeredSoftwareArchitecture(R21-11): Link
TOPPERS AUTOSAR情報サイト R20-11: Link
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