MOSトランジスタ

MOSトランジスタとは?
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor) は、主に 「スイッチ」 として使われることが多いが、「増幅素子」 としても利用される
MOSFETの2つの役割
- スイッチ(デジタル回路) → ゲート電圧でON/OFFを切り替え、電流を流したり止めたりする
- 増幅素子(アナログ回路) → 入力信号を大きくする「増幅回路」の一部として使われる
見た目はこんなもの 👀
画像で紐解く
- P型基板(青い部分) → 土台となる部分
- N型の部分(赤い部分) → ドレインとソース
- ゲート(灰色の部分) → 電圧をかけるとスイッチON!
- 酸化絶縁層(黄色の部分) → ゲートをP型基板と絶縁する
ソース(Source)とドレイン(Drain)とは?
- MOSFETのソース(S)とドレイン(D)は、電流が流れ込む側と流れ出る側
- 「どっちがソースでどっちがドレインか?」は、MOSFETの動作によって決まる
ソース(Source)
-「電子の供給源」= 電流が流れ始める側
- 電子(-)がここから出発し、ドレインへ向かう
ドレイン(Drain)
- 「電子が流れ込む側」= 電流が向かうゴール地点!
- ソースから出た電子(-)が、最終的にここにたどり着く!
「P型」「N型」って何?
MOSFETはシリコン(Si)で作られており、電気を流しやすくするために P型(+) と N型(-) に加工されています。
型 | 特徴 |
---|---|
P型(プラス) | 電子が少なく、正孔(+)が多い → 普段は電流を流しにくい |
N型(マイナス) | 電子が多い → 電流を流しやすい |
📌 「P型がN型に変化する」のではなく、「電子が集まってP型の一部がN型っぽくなる」イメージ!
P型とN型が交互に組み合わさることで、MOSFETはスイッチとして機能する!
MOSFETのON/OFFは「電子の移動」で決まる
MOSFETでは、ゲート電圧をかけると電子がP型部分に集まり、N型のような性質を持つチャネル(電流の通り道)ができる。
• ゲート電圧なし → P型のまま(電子が少ない)→ 電流が流れない(OFF)
• ゲート電圧あり → P型部分に電子が集まる → N型のようになる → 電流が流れる(ON)
📌 つまり、「P型がN型に変化する」のではなく、「電子が集まってP型の一部がN型っぽくなる」ってイメージ!
酸化絶縁層(SiO₂)とは?必要?
酸化絶縁層(SiO₂)は、ゲートとP型基板を「直接接触させない」ために必要
❌酸化絶縁層がないと…
- ゲートとP型基板が直接接触し、ゲートに電流が流れてしまう
- 本来「ゲート電圧で電場を作り、電子を引き寄せる」はずが、ゲートが架け橋になってしまう
🟢 酸化絶縁層があると…
- 電流は流れずに、電場(電界)の影響だけがP型基板に伝わる
- MOSFETが正しくスイッチとして機能する
そもそも「電圧」とは?
📌 「電圧(V)」は、電荷(電子や陽イオン)を動かす力 のこと!
📌 「電場(電界)」は、電圧によって生まれる空間の力 のこと!
💡 電圧があると、その間に「電場」ができ、電子が引っ張られる!
• プラスの電圧(+)があると、電子(-)は引き寄せられる
• マイナスの電圧(-)があると、電子(-)は反発して押し出される
📌 つまり、MOSFETのゲートにプラス電圧をかけると、電子(-)が引き寄せられる!
電場(電界)に電子が引き寄せられる理由 → 「電場は電子に力を与えるから」
💡 電子は「電圧」に直接引き寄せられてるわけじゃなく、「電圧によってできた電場(電界)」によって引き寄せられている
💡 じゃあ、なんで電場に電子が引き寄せられるのか? → それは「電場が電子に力を与える」から
📌 電場があると、電子は「引き寄せられる」か「押し出される」かのどちらかになる
• 正の電場(+) → 電子(-)は引き寄せられる
• 負の電場(-) → 電子(-)は押し出される
💡 つまり、「電場は電子を動かす力」だと思えばOK
MOSFETでは「ゲートのプラス電圧」が電場を作り、電子を引き寄せる
MOSFETのゲートに 「プラス電圧(+)」をかけると、ゲートの下(P型基板)に「電場」ができる」
この電場が 自由電子(-)を引き寄せる!
🟥 OFF(ゲート電圧なし)
• 電場がないので、電子はP型に引き寄せられない
• P型のままで、N型のソースとドレインがつながらない(電流が流れない)
MOSFETでは「ゲートのプラス電圧」が電場を作り、電子を引き寄せる
MOSFETのゲートに 「プラス電圧(+)」をかけると、ゲートの下(P型基板)に「電場」ができる」
この電場が 自由電子(-)を引き寄せる!
🟥 OFF(ゲート電圧なし)
• 電場がないので、電子はP型に引き寄せられない
• P型のままで、N型のソースとドレインがつながらない(電流が流れない)
酸化絶縁層ってなに?必要?
- ゲートとシリコン(P型基板)を絶縁するためのガラスの膜
- MOSFETの酸化絶縁層(SiO₂)は、ゲート電極とP型基板を「直接接触させない」ために必要
- もし絶縁層がなかったら、MOSFETはちゃんとスイッチとして機能しない
イメージ👇
• 「電気が直接流れないようにするガラスの壁」
• 「ゲートに電圧をかけると、N型部分がつながってスイッチONになる」
絶縁体(SiO₂)を通っても「電圧」は伝わる!電流は流れない
💡 電圧(電位差)は「電荷の偏り」によって生じるから、絶縁体の向こう側にも影響を与える
💡 「電流」と「電圧」の違いを理解すれば、なぜ絶縁体を通じて電圧が伝わるのかが分かる
酸化絶縁層がないと、ゲート自体が「架け橋」になってしまう
💡 酸化絶縁層(SiO₂)がないと、ゲートが直接P型と接触し、MOSFETのスイッチとしての動作が破綻する
💡 ゲート電圧をかけると、「N型の架け橋を作る」はずなのに、ゲート自身が架け橋になってしまう

電圧と電流の違い
-
電流とは? →
「電子の流れ」。電流(I)は、電荷(主に電子)が移動すること
電圧があると、その間に電場(電界)が生じ、電子が動きやすくなる → これが電流 -
電圧とは?
→ 電圧(V)は、電荷(電子や陽イオン)の偏りによって生まれる「ポテンシャルの差(高さ)」のこと!
「電圧がある」とは、「電荷が不均一に分布していて、力が発生している状態」ってこと!
用語 | 例え | 説明 |
---|---|---|
電圧(V) | 高さ | 高低差があると水が流れるように、電圧差があると電子が動く |
電流(I) | 水の流れ | 実際に電子が移動すること(電流) |
酸化絶縁層(SiO₂) | コップの壁 | 電流は流れないが、電場の影響だけが伝わる! |
コップの水温で例えるとわかりやすい
コップの水温が伝わるのを想像すると、MOSFETの仕組みが理解しやすい
コップの例 | MOSFETの動作 |
---|---|
水はコップから漏れない | 電流は絶縁層を通らない(流れない) |
コップを通じて水温が伝わる | 電場(電圧の影響)は絶縁層を通じて伝わる! |
コップがなければ水がこぼれる | 酸化絶縁層がなければ、ゲートに電流が流れてしまう! |
電場(電界)とは?
→ 「電荷が作る見えない力の場」
電場(電界)は、「電荷(プラスやマイナス)が作る力の場」
電場があると、電子や陽イオンが「引き寄せられる or 押し出される」力を受ける
👉 例えば、「磁場があると鉄が引き寄せられる」みたいに、
👉 「電場があると電子やイオンが動く!」
📌 MOSFETのゲートにプラス電圧をかけると、電子(-)が引き寄せられる

MOSFETで増幅ができる理由
そもそも「増幅」とは?
💡 「増幅=エネルギーを作り出す」ではない!
💡 「小さな信号を利用して、大きなエネルギーを制御する」こと!
MOSFETの「増幅」は、正確には「制御」
MOSFETの増幅は、100の電気(エネルギー源)があるけど、それをゲートで調整して20や40にしてる
📌 例えるなら…
• 川の水門→ 川(100の電気)があるけど、水門で流れる量を調整してるだけ
なぜ「増幅」と言われるのか?
「入力信号(Vg)がめっちゃ小さい」
「でも、それによって出力(Id)がめっちゃ変わる」
「だから、出力が大きくなったように見える(=増幅)」
例として「1の力(入力信号)」で「100の電気(外部電源)」を扱う、のようなことを「増幅」って言っている