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AIがもたらす「完璧な世界」で、僕らは何を失うのだろうか

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はじめに

この記事に、明確な答えはありません。
生成 AI が普及し始めた今、僕が感じている漠然とした不安や希望について、ただただ綴った独り言のようなものです。

生成 AI が流行ってきて、考えていること

僕は今、割と絶望している。
生成 AI が流行っている場所へ身を置き始めてから、「面白そう!すごい!」と思う反面、どうしようもない悲しさと辛さ、そして絶望感を抱いている。
これは、生成 AI に触れたエンジニアなら、多かれ少なかれ共感してくれる感覚ではないだろうか。

あの感動を、AI は奪うのか

僕は、コーディングが好きだった。
自分で考えたことを、自分の手で一文字ずつ打ち込んで、世界に形を与えていく。そして、おそるおそる起動する。
動いた瞬間の、あの感動。これは誰しもが通る道であり、決して忘れられない原体験だと思う。

「うおお、すげぇ!動いた!」
「やったぜ、これを動かしたのは、俺だあああああ!!」

理屈じゃない、魂が震えるような感覚。
Hello World. の一言に、僕らはどれだけ興奮してきたことだろう。ローカルで立てた Web サーバーで表示した <h1> を、なぜか見えるはずもないのに友人へ URL を送りつけて「見える?」と聞いてしまう、あの恥ずかしくも愛おしい過ち。あれはきっと、誰もが踏むように仕組まれた、幸せな罠だったんだ。

話を戻そう。僕は、AI が進む未来に、かなり絶望しているんだ。

僕が本当に恐れていること

もちろん、エンジニアとしての職がなくなるかもしれないという恐怖もある。それは決して「そんなこと」ではない、生活に関わる重大な問題だ。
だが、僕が本質的にもっと恐れているのは、僕たち人間から「感情」そのものが失われてしまう未来だ。
かつて、ラズベリーパイを使ったロボット工学が流行った頃、「ロボットに感情は宿るのか?」という論争があった。
僕は今、その全く逆の現象が起きるのではないかと危惧している。つまり、人間から感情が欠損していくのではないか、と。
僕の考えでは、AI が人間の「感情」をマスターするのは時間の問題だ。
膨大な人間の情報をインプットし、行動パターンを読み解けば、それは AI にとって膨大なパターンのひとつとして認識されるだろう。
人間らしい振る舞いをランダムに繰り出すことで、感情があるかのように見せることは、もはや可能になりつつある。

「面白い」が消える世界

AI が進化の果てに頂点に立った世界。
それは、ある意味で人間の世界の終わりだと僕は思う。

だって、すべてが完璧なのだ。
非合理なことは何一つない、完全に秩序が保たれた世界。
そこに「不正解」は絶対に存在しない。

例えば、勝ち負けのあるゲームなんて、一瞬で決着がつく。全員が同じ能力を持つ天才プレイヤーになったら、もはや戦う意味はない。
「面白い」という感情も、いずれはロジックによって完全に分析され尽くしてしまうだろう。
「面白い」と感じるものしか存在しない世界に、本当の面白さはない。

そうやって、僕らの喜怒哀楽は少しずつ欠損していく。
「未知」の領域がなくなり、すべてが予測可能になる。
それは、人間としての役割の終焉を意味するのではないだろうか。

退屈な神の遊び

そして、そんな人間しかいなくなった世界は、もはや「AI の世界」と呼ぶべきものかもしれない。
AI しか存在しない未来は、実質的な人類滅亡と同義ではないか。

もちろん、これが 100 年や 200 年で実現するとは思わない。
でも、遠い未来で、もし記憶の譲渡が可能になったとしたら。
やがて膨大なデータはすべて統合され、たったひとつの AI、文字通りの「神」が誕生するかもしれない。

そして、その退屈な神は、自らの娯楽のために時代を逆行させ、また原始時代から世界をやり直して、それを眺めて遊ぶのかもしれない。
僕たちが今いるこの世界も、その繰り返しのひとつなのではないか…なんて。
シミュレーション仮説が妙な説得力があるような気がしてきて胸に突き刺さる。しんどい。
考えすぎだろうか。

結論

でも、だからこそ思う。

合理的なことは好きだ。でも、非合理な余白を残しておくことこそが、本当の意味での最適解なのではないだろうか。
非合理と合理が危ういバランスで共存している今この瞬間こそが、最も人間的で、合理的な状態なのかもしれない。
合理性を追い求めた果てに、僕らはきっと「非合理」が持つ価値に気づくのでしょう。
完璧ではない非合理さと、便利であるはずの合理性。
その二つが危ういバランスで共存している世界こそが、実は最も合理的で、人間らしいのかもしれません。(と、自分でも少し何を言っているか分かりませんが)

ということで、僕は明日もプログラマーとして、この不完全で面白い世界でコードを書いていきたいと思う。

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