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初めてメンターになるときに意識すると良さそうなこと10選

2022/04/14に公開約4,900字

皆さんこんにちは、株式会社ラクーンホールディングスでエンジニアをしている川﨑です。
そろそろ新入社員が入社してくる時期ですね。新たなメンバーとの仕事にワクワクする方も多いと思います。

私は今年度に入社した新卒社員のメンターを務めました。後輩に本格的に仕事を教えるのは初めての経験だったので、後輩が配属される直前まで「将来を台無しにしたらどうしよう」と考えていました。

結果的に私がメンターをした彼は、1年目とは思えないレベルで素晴らしい技術力を身に着けてくれたので、彼の成長に多少役に立てたのかなと思います。

おそらく来年度初めてメンターとなる方々の中にも、私と同じように良いメンターになれるか不安な方がいるのではないでしょうか。

この記事では 私の経験と反省から、私が思う『メンターになるうえで意識すると良いこと』をお伝えします。 是非メンターになる準備に役立てていただければと思います。

協力して教育する

メンターだけが新入社員に業務を教えるのではなく、全先輩社員が新入社員をサポートしましょう。

メンターはついつい全ての業務や技術について教えようとしがちです。しかしメンター自身にも苦手な業務や技術領域はありますよね。自身が苦手な箇所を無理に教えてしまうと自分が疲弊するのはもちろん、新入社員にも質の良い学習体験を提供できません。

そこで、 メンターが教えられない分野は、他の誰かに教育を手伝ってもらいましょう。 そうすることで新入社員はより良い学びを得ることができます。

リモートワーク環境ではメンター以外の先輩社員が新入社員と関わりにくいです。新入社員が組織に慣れるまでは、メンターも一緒に先輩社員へ質問しに行ったりすると良いかと思います。

コミュニケーションにコストをかける

新入社員は会社組織に入ったばかりなのでSOSを出せない(もしくは見えない)ことがよくあり、リモートワーク環境ではこの問題が特に顕著です。
そのため新人教育ではコミュニケーションにコストをかけたほうが良いです。

新入社員(特に新卒入社の方)の場合、淡々と研修と業務をこなしているだけでは下記のような状態になりがちです。

  • 新入社員は研修期間中メンター以外のチームメンバーと話したことがない
  • 新入社員は自分ひとりだけで仕事をしていると感じている
  • 新入社員は自分がチームの足を引っ張っていると感じている

いわゆる心理的安全性が低い状態です。
こういった状態を作ってしまうと

  • バグや障害を上司や先輩社員に報告できない
  • 研修や業務に関する質問を全くしない
  • 進捗報告がまったくない

といった問題が発生し報連相の習得が遅くなります。

上記のような問題が発生しないように弊社の新卒教育では

  • 部署全体で行った施策
    • 毎週1時間のふりかえり(KPT)
  • 私個人で行った施策
    • 毎日30分から1時間の業務報告+雑談
    • 本人が関わりのある人とランチに行ってもらう

を実施し少しずつ組織に慣れてもらいました。その他必要に応じて個別でのコミュニケーションもおこなっていました。

答えを全て教えない

新入社員から質問された際に、メンターの知識から完璧な回答ができる問題だと答えをすぐ言いたくなりますが、成長の芽を積んでしまうので完璧な回答をするのは控えましょう。問題が発生した際に、原因まで自力で調査する能力はエンジニアとって必要不可欠です。自分で調べる余地を残した回答をしたり、問題を紙やテキストに書いてもらって一緒に解決方法を考えることで、問題を調査する能力を鍛えてもらうと良いです。

ちなみに単純に質問に質問で返すだけだとただの意地悪になります。

「〇〇が△△になっているのは、何でですかね?」という質問に対して「なんでだと思う?」のような返答されたら辛いですよね。関係性悪化にも繋がりかねないので控えましょう。
メンターもわからないような問題は「自分も分からないから一緒に考えよう!」もしくは「〇〇さんに聞いてみよう」と言えると良いと思います。

プログラミングの学び方を共有する

学ぶ対象によって最適な学び方、学びに使う情報元は違うと思います。

  • 高い品質で集約された情報を得たい
    • 技術書籍
  • ライブラリ・フレームワークの内部動作を知りたい
    • 公式ドキュメント
    • Github
  • ある分野において網羅的な知識を自分のものにしたい
    • 各種ベンダー試験
    • 情報処理国家資格

これら学習のための情報元を、新入社員のニーズに合わせて紹介しましょう。
例えば「AWSの主要サービスを一通り使えるようになりたい」というニーズがあるのなら、AWS ソリューションアーキテクトアソシエイトの受験を勧めてみると良いです。

資格試験はキャリア上あまり意味がないと言われることがあり、無意識に遠ざけてしまう場合もあります。しかし、試験で出題される分野について網羅的に知ることができる、良い学習手段であることは間違いないです。

プログラミングはwebサイトだけでも沢山の情報源があります。これらの情報元を上手に使う方法を提示できると、自発的に成長するエンジニアになる手伝いができると思います。

指導するときは理由も必ず説明する

社会人としての常識やコードレビュー、設計レビューにおいて「こうして欲しい」と伝えるときは、その理由も合わせて説明し納得してもらいましょう。

例えばコードレビューにおいて、可読性が低いコードを直して貰う場合

読みやすい変数名に修正してください。リーダブルコードを読みましょう。または、https~~の記事を参照してください。

と書くより下記のように理由も含めて返答しましょう。

変数resultが定義・参照されている箇所を別メソッドに切り出すか、resultが何の結果を示しているかを変数名で明示してください。
この変数は生存期間(変数が使われているコードの長さ)が長いのでresultが参照される箇所によっては、「何の結果であるか」という意味が変わっています。そのため変数に意図しないデータを投入しそうになったり、読み手が意味を読み間違えるおそれがあります。

リーダブルコードという本に読みやすいコードの書き方が詳しくが載っているので、暇なときにぜひ読んでみてください。

やはり知っておいて欲しい知識でもいきなり本やドキュメントを読めと言われると、モチベーションが削がれます。理由を含めて指導するとある程度指導の文脈が固定されるので、勘違いも起きにくいです。

強みを伸ばし弱点を克服してもらう

新入社員の強みと弱みは何なのか 常に観察し、強みを伸ばし弱点を克服してもらいましょう。 強みは特別指導しなくても伸びるパターンが多いですし、弱みは重点的に指導しないと伸びにくいです。

  • 画面共有(対面)で見える操作
  • 業務の成果物
  • 普段の業務態度
  • 本人とのコミュニケーション

が強みと弱みを判断する材料になります。つまりこれらの判断材料が少ないと、新入社員がどういった人物なのか分からないため、本人にあった指導ができません。そのためペアプログラミングをしたり、負荷のない程度に成果物を増やしたりすることで判断材料を増やしましょう。

また、新入社員本人は強みを自覚していないケースがあります。 メンターは本人の優れた点を見つけたらしっかり「〇〇ができるってすごいよ!」と伝えましょう。

目標を一緒に設定し走り抜ける

新入社員に達成して欲しい目標を一緒に設定しましょう。「いつまでに達成するのか」ということはそこまで重要ではありません。
目標を設定した後は日々の振り返りにおいてその行動が目標に則したものか検証します。そうすることで新入社員自身が現状とあるべき姿の比較ができ、成長を促進することができます。

目標が少しあいまいな場合は内容を掘り下げてたり、「目標を達成するには何が必要だと思うか」を考えてもらい、目標を達成するために必要なマイルストーンを決めると良いです。

例えば「ビジネスに理解のあるエンジニアになる」という目標を立てた場合、何をもって「ビジネスに理解がある」とするのかを定義する必要があります。

枯れた技術と新しい技術の両方を学んでもらう

この記事における枯れた技術とは古くからあるLinuxやRDMS、TCP/IP、探索アルゴリズムのような隠蔽されつつも、現代でも様々な箇所で利用されている技術を指します。上記のような技術は、Dockerやクラウドサービス、lodashといった比較的新しい技術の内部で採用されていることが多いです。

これら 枯れた技術は学ぶことで近年流行している技術の学習コストが下がり、トラブルシューティングができる領域も広がるため是非学んでもらいましょう。 例えばLinuxにおけるプロセスとシステムコールに対して多少の理解があれば、Docker(コンテナ技術)の仕組みを知ることは難しくありません。

研修課題や業務において、新入社員が実装したプログラムに対して「なぜこのような実装にしたのか?」と質問することで、学ぶきっかけを作ると良いです。

また、我々エンジニアは新しい技術をできるだけキャッチアップし、自社のビジネスにマッチする技術を使っていくことが求められます。メンターは研修内容を逐次メンテナンスし、新入社員が研修を通してサービスで採用されている新しい技術が学べるようにすべきです。

業務で未使用の新しい技術はメンター自ら積極的にキャッチアップし、新入社員との会話で話題に出して興味を持ってもらいましょう。

自分の1年目と同じかそれ以上の成長を強要しない

新入社員の成長度合いを測る(もしくは上司に報告する)際は、過去の自分と比較することがあると思います。比較したときに過去の自分と同じスキルを持っていなかったとしても、それは悪いことではありません。極端にネガティブに捉えたり、感情的に叱ったり時間外の勉強を無理強いするのは止めましょう。

成長速度を測る場合は自分との相対評価に加えて、研修が終わるまでに習得してもらいたい内容をメンターが予めまとめておき、それを元に成長速度を測ると良いかもしれません。

私生活でも幸せになれるようにアドバイスする

私生活が辛い状況だと業務に支障をきたします。個人的には業務で辛いことがあるより、私生活で辛いことがあったほうが業務上のパフォーマンスに影響が出ます。メンターは新入社員の私生活がより幸せになるようなアドバイスをしてあげると良いと思います。

弊社では新入社員本人が幸せになってもらえるように遊びに誘ったり、新入社員の悩みに一緒に向き合ったりしています。これは「教育に関しては、生き方そのものを伝えなければ、人が感動するビジネスは生み出せない」という弊社の考え方から来るものです。

いろんな能力や価値観を持った人材を集めることが重要であり、教育に関しても、生き方そのものを伝えていかなければ、人が感動するビジネスを生み出す集団は作れない。

弊社代表小方のブログより抜粋

上記のような考え方は少し「社員教育としてやりすぎ」と思う場合、本人が話さない話題は触れないでおくと良いと思います。

まとめ

メンターは新入社員が直面する課題を自身で対処可能なレベルにメンターが噛み砕いてあげるのが仕事だと思いました。メンターは普段の業務に加えて新入社員のサポートもするという忙しい役割ですが、メンター自身も学ぶことが沢山あり楽しい役割でもあります。来年度のメンターの皆さん、頑張ってください!

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