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研究室活動を迎える学生へのメッセージ
ここでは、研究室配属を控えた学生&すでに研究室活動を実施している学生に対して、私が伝えたいメッセージ(ポエム?)を記載しておきます。
なお、著者は総合工学に関する教育研究を専門としている(かつ、その中でもかなり応用寄りで学問的には主流とは言えない分野の教育研究をしている)ので、その他の分野の研究室には当てはまらないことも多いかと思いますがご容赦ください。
研究とは?
最初から弱気ですが、私のような若輩者がこの言葉を強く定義することはおこがましいのでやめておきます。
ただ、研究は勉強とは違うということは言及しておきます。
「勉強 研究 違い」のような検索クエリでWeb検索をすると様々な論説が出てきますが、例えばこの記事では以下のようなとても良い文章がありました。
研究とは、まだ先行研究で明らかにされていないことに対して、何らかの「解」となる知見を科学的手法にもとづいて見出し、それによって人類の「知」のベータベースをより豊かにするプロセス
これに加えて、特に工学の分野では、理論だけでなく実際に作ってみてその挙動や有効性を確かめてみるというのが重要な研究の要素として位置づけられることが多いかと思います。
個人的には、ハードウェア的な分野・ソフトウェア的な分野のどちらでも、「実際に作る」というのは単に工学的な研究で重要な要素というだけでなく、社会に出て主体的に活動するときに非常に重要なスキル・経験だと思っています。特に工学の分野にいる学生はこのあたりを意識して学生生活を送ってほしいと思っています。
研究室生活で身につけてほしいこと
ここでは以下の5点について、学士・修士・博士に求める姿を書いてみました。
(私がきちんとできているかどうかはこの際不問です笑)
- 知識・技術に関して
- 論理的思考・説明に関して
- 文章を書くという行為について
- プレゼンテーションに関して
- お仕事を実施するという観点に関して
大学卒業時点(学士)で求める姿
- 与えられた研究課題に対する必要な知識・技術を教員のサポートのもとに修得できる
- 与えられた研究課題に対して論理的に思考し自分の考えを説明できる
- 教員のサポートのもとに論理的な文章が書ける
- 自分の身近な人に対して魅力的なプレゼンテーションができる
- 教員の設定した課題に対して検討し、きちんとした報告ができる
大学院博士前期課程卒業時点(修士)で求める姿
- 与えられた研究課題に対する必要な知識・技術を自分で修得できる
- 与えられた研究課題や近い分野の研究課題に対して論理的に思考し自分の考えを説明できる
- 論理的な文章が書ける
- ターゲットを考えた魅力的なプレゼンテーションができる
- 与えられた研究課題を実施するために、教員のサポートのもとに自分で活動を設計できる
大学院博士後期課程卒業時点(博士)で求める姿
- 専門分野における体系的な知識が身についており、また専門分野における現在の重要課題とその背景の包括的な理解ができている
- 社会の様々な課題に対して論理的に思考し自分の考えを説明できる
- 論理的かつ分析力の強い文章(
査読付き論文)を書くことができる\simeq - ターゲットを考えた魅力的かつメッセージ性の強いプレゼンテーションができる
- リーダーとして活動を設計し、他人も巻き込んた形でのマネジメントができる
研究室生活を過ごすにあたっての心得
1. 研究・勉強に充てる時間として、最低 40時間/週 を意識しよう
- 本業(研究・勉強) : プライベート活動(家族・趣味・アルバイトなど) : 睡眠 = 8時間 : 8時間 : 8時間 が基本
- 社会人は8時間/日で週5日の労働をしている
- 社会人になると自己研鑽を趣味の範囲で実施していることもある
- 1単位 = 45時間の学修時間が必要(予習・授業・復習)なので、15回分の授業を1つ取ると、それだけで週に3時間が消費される
- 社会人は8時間/日で週5日の労働をしている
- 就職活動はプライベート活動に含めるべき
- 社会人の転職活動は本業でしょうか?
- ただし学生は時間の使い方は自由なのが特権です。週単位や月単位で調整しよう
2. 教員や研究室の学生との密なコミュニケーションを意識しよう
- (少なくとも私の所属する分野では)研究はチームで取り組む競技です
- 個々のプロジェクト単位では学生が主体ですが、必ず教員はサポートする義務がありますし、大きなプロジェクトでは何人かの学生が分担して実施することもあります
- 教員や研究室の学生と密にコミュニケーションをとって損はありません
- 特に教員と知的作業の相談・議論ができるというのは、大学に所属している学生の特権です。徹底的に利用しましょう
- 「専門家に相談する」というのは(思っているより)お金がかかるのが一般的です
- 特に教員と知的作業の相談・議論ができるというのは、大学に所属している学生の特権です。徹底的に利用しましょう
3. 常に作業を記録しながら研究を実施しよう
- 作業を記録する「研究ノート」は非常に大事です
- デジタル社会の現代では、作業記録をデジタルで行うと他人と共有できる、あとから検索できるなど、非常に大きなメリットがあります
- 教員との相談にはなりますが、コラボレーションツール(MS TeamsやSlackなど)でリアルタイム実況をするくらいがちょうど良いと思います
- 私はSNS的に作業内容を常にコラボレーションツールにつぶやき続けています
- 「常に書き続ける」というのが研究のお作法です
4. 大学の外の人と積極的に交流しよう
- 常に世界・社会を意識して活動しましょう
- インターンなどを利用すると良いかと思います
- 短期インターン(
1週間)はプライベート活動に位置づけられるので本業とのバランスを考えて実施すると良いかと思います\leq - 長期インターン(
1週間)は、期間の長さを考えるとプライベート活動ではなくなってくるので、教員とよく相談して実施すると良いかと思います> - 個人的には、単なる体験的な短期インターンよりは1ヶ月以上の長期インターンのほうが勉強になるのでおすすめです
- 短期インターン(
5. なによりも心身の健康を大事にしよう
- 少しでも不調を感じたら休みましょう。心身の健康よりも大事なものはありません。
- 教員や大学の保健センターなどを利用してください
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