スタートアップのEMって、結局なにしてる?実践から語るリアルな日常
はじめに
TAIANでエンジニアリングマネージャー(以下、EM)をしております、高野です。
「EMって結局、何をする仕事ですか?」
よく話題に上がる質問ですが、分かりやすく答えるのがいつも難しいと感じます。
というのも、EMの業務は組織の規模や会社のフェーズによって変わってくるためです。
とはいえ、自身がこれまで取り組んできた内容は、現在EMとして働いている方や、これからEMを目指す方の参考になるのではと思います。
ということで、今回は自身がこのTAIANでEMとして取り組んできたことを時系列に沿ってまとめてみました。
EM としての取り組み
最初はひたすら実装
社員数が10人にも満たない頃。
最初のやることはひたすら実装の手を動かすことでした。
その頃は厳密にはEMという役割ではなく、自身のバックグラウンドである「フロントエンドエンジニア」として、ひたすらプロダクト開発に携わりました。
EMとはいいつつ、基本的にはやはり「エンジニア」です。
なので、実装も業務の一つだと思っています。
このとき多くの機能の実装に関わることで、自然とプロダクトの仕様に詳しくなることができました。
のちにPMに近い業務を担うことがありましたが、実装経験はその際の大きな助けになりました。
会議体の設計
こちらの「フロントエンドDDD」の記事にある通り、弊社はDDDの思想を取り入れたフロントエンドの実装に取り組んでいます。
進めているとやはり「この時はどう書くべきか」といった疑問が多く出てきます。
その都度会話をしながら認識はすり合わせるものの、新しいメンバーが増えてきたタイミングでもあり、きちんと会議体を設計し認識を合わせるようにしました。
具体的には週一の「フロントエンド定例」を設定。
実装時の疑問点は、事前にNotionの議事録に書いてもらい、定例の中で全員で議論することで、書き方に対する共通認識を図りました。
定例の内容をドキュメントに残しておくことで、後から参画したメンバーもこれまでの経緯を参照できますし、後にはAI用の学習データとしても活用しています。
仕事において、情報共有が冗長になっていると感じたタイミングで、適切な会議体を設計するよう意識しています。
採用業務
これまで会ったEMの方に「どんな仕事をされてますか?」と質問した際、必ず出る答えが「採用業務」でした。もちろん自身も取り組んでいました。
スタートアップでは、大手企業のように採用業務が細分化されていないため、スカウトを打つところからカジュアル面談の実施、一次面接から受け入れ対応の準備まで、ほぼすべてのフェーズに関わっていました。 弊社には「1日就業体験」という、最終面接の前に1日オフィスに来てもらい一緒に働くという選考フローがあるのですが、そちらの課題設計やタイムスケジュール決めなども行っていました。
その他、新卒採用イベントへの参加や、学生エンジニアが参加するイベントへの登壇など、採用に繋がる取り組みを行っていました。
PjMとしての動き
時期によってはPjMが不在であり、自身がその役割を担う時もあります。
開発の優先順位を決め、必要であれば仕様の整理をし、開発チームにボールを渡していく。
仕様で不明瞭な部分が出てきた際は、関係者を集めた会議を設定し、開発ができるまで仕様を落とし込んでいく。
EMとPjMはスキルセットが似ているのでこの役割を担うことが多いですが、あまりやり過ぎると組織がスケールしません。 どちらかと言えば、新しい人を採用するか、既存のメンバーを育てるかで対応すべきかなと思っています。このあたりのバランスはいつも難しいなと感じるところです。
チーム分割とスクラム開発の導入
開発チームの人数も10名を超え、多くの開発が平行で進むようになってきました。
すると「タスクの進捗の見えづらさ」「コミュニケーションコストの増加」「知識の属人化」など様々な課題が出てきます。
これらの課題に対応するため、チームの分割とスクラム開発の導入を同時に進めることに決めました。
幸い、TAIANにはスクラムマスターの資格を持つメンバーが在籍していたため、導入までのやることを整理しながら約1ヶ月程度で移行を進めることができました。(詳細はこちらの「気合いと根性で回してた開発チームが、スクラム導入で"本当のチーム"になった話」をご覧ください)
チームの人数というのはかなり気にしていて、過去の経験も踏まえると4~5人程度のチームが一番価値を発揮すると感じています。 人数が増えた後、どのようにチームを分割すべきかは常に意識しています。
1on1
メンバーとの1on1もEMの主要な業務として挙げられますが、スタートアップで組織が小さいうちは、普段から頻繁に会話できることもあり定期的な時間は設けていませんでした。
とはいえ段々と人数が増えてきたことで、個人個人との会話の時間は減ってしまうため、徐々に始めることにしました。
1on1では、「現在の個人と仕事の状況」「期待値のすり合わせ」「自身の成長に向けたアクション」などについて会話しています。スタートアップという環境は「勝手に成長することが前提」とも言えますが、会社と個人をうまく接続することで成長のスピードを高められたらと思っています。
最後に
今回は、自身がこれまでTAIANで取り組んできた内容をお話しました。
個人的にはEMといってもあまり決まりきった道筋はなく、「必要なことを必要なタイミングでやる」という役割だと思っています。とはいえ目的となるのは 「チームが最大限のパフォーマンスを発揮できること」 であり、今後もそこに向かって必要なことに取り組んでいきます。
この記事が誰かの参考になりましたら幸いです。
もし興味を持っていただけたら、以下のEntranceBookもご覧ください。
また、YOUTRUSTもありますので、もっと話を聞きたい方はぜひ一度カジュアルにお話しましょう!
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