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未就学児向け軌道設計アプリ Space Orbit

2025/02/27に公開

概要

未就学児向け軌道設計アプリ「Space Orbit」(iOS)を公開しました。画面をスワイプするとその速さと向きに応じて宇宙船が発射されて地球を回り続けたり月をスイングバイしたりするという単純なアプリです。幼稚園児である娘の暇つぶし用に作ったものですが、大人の方もご興味あれば是非どうぞ!

ダウンロード

  • iPadまたはiPhoneでご使用ください。(iPad推奨)
  • iOS 15.6以降が必要です。

アプリの説明

  • 自由に宇宙船を発射してその軌道を眺める、ただそれだけのアプリです。
  • 中央の青い星は地球、地球を回る黄色い星は月です。
  • 画面のどこかをスワイプすると宇宙船が発射されます。
  • 発射された宇宙船は地球と月の重力に従い運動を続けます。
  • 地球をタップすると全ての宇宙船を消すことができます。
  • 地球重力を脱するスピードを持つ宇宙船の軌道は水色で表示されます。
  • 月スイングバイで一定の加速をするとキラキラエフェクトが出ます。
  • 好きな場所から宇宙船を発射し、その軌道を眺めて楽しんでください。

注意点

  • 未就学児のお子様がご使用になる場合は大人の方と一緒にお楽しみください。
  • 宇宙船が多すぎて動きがカクカクする場合は一度全ての宇宙船を消してください。宇宙船の数は10機程度に抑えることをお勧めします。
  • 地球と月は実際の縮尺よりも大きめ(5倍)に表示しています。
  • 実際の軌道設計には使用しないでください。

アプリのプライバシーポリシー

  • 本アプリでは個人情報の取り扱いはありません。

アプリの画面(例)

https://youtu.be/889MknL-pTs

軌道力学に興味がある方向けの説明

  • 地球、月以外の天体の重力は考慮していません。
  • 地球周回の軌道が完全な楕円ではないのは、月重力の影響によるものです。
  • 地球と月の重力定数(\mu_E,\mu_M)を用いた以下の運動方程式を使い軌道を計算しています。(地球中心慣性座標系、\mathbf{r}_Eは宇宙船の地球からの相対位置、\mathbf{r}_Mは宇宙船の月からの相対位置)
\frac{d^2 \mathbf{r}_E}{dt^2} = -\mu_E \frac{\mathbf{r}_E}{\lVert \mathbf{r}_E \rVert^3} - \mu_M \frac{\mathbf{r}_M}{\lVert \mathbf{r}_M \rVert^3}
  • Runge-Kutta法(RK4)により運動方程式の解を数値的に求めています。
  • 各宇宙船の地心エネルギー\epsilon(地球に対する運動エネルギーと位置エネルギーの和)を都度計算しています。(vは宇宙船の地球に対する速度の大きさ、{r}_Eは宇宙船の地球からの距離)
\epsilon = \frac{1}{2} v^2 - \frac{\mu_E}{r_E}
  • 地心エネルギー\epsilonが負の値の場合、宇宙船の軌道はグリーンで表示しています。
    →地球からの距離r_Eを大きくしていくと途中のどこかで宇宙船の速度vの大きさが0になる状態。いわゆる「地球重力に捉えられている」状態。
  • 地心エネルギー\epsilonが正の値の場合、宇宙船の軌道は水色で表示しています。
    →距離r_Eを無限大にしても速度vが0を超える大きさを持つ状態。いわゆる「地球重力を振り切っている」「地球重力圏から脱している」状態。
  • 仮に天体が地球だけの場合、地心エネルギー\epsilonは各宇宙船ごとにそれぞれ一定の値をとるのですが、月重力の影響を受けてそれぞれその値がやや増減します。このアプリでは、地心エネルギー\epsilonの単位時間あたりの増加量が一定以上になっている間、キラキラエフェクトが出るようにしています。
    →いわゆる「スイングバイ」でエネルギーを大きく増加させている時に表示。

更に軌道力学の理解を深めたい方へのおすすめリンク

JAXA尾崎先生による初学者向けの軌道設計解説記事

軌道力学を分かりやすく解説してくださる宇宙システム研究室@東京都立大学/佐原研究室様のX
第11話に月周りの安定した軌道について解説があります。

数式的にスイングバイを解説してくれている記事

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