iOSデバイスを監視対象デバイスに移行するときにデータも移行する方法
はじめに
本記事では、iPhone/iPadを通常モードから監視対象モード(監視モード, Supervised Mode)に移行する際に、データを保持して移行する方法を紹介します。
前提
必要な環境
本記事では下記のデバイスを用います。
- 監視対象に切り替えるデバイス(
移行デバイス) - 移行するデバイスと同じOSを搭載したデバイス(
一時デバイス)- なるべく
移行するデバイスと同じ種類のデバイスを用意することが理想です。例えば一時デバイスがiPad、移行するデバイスがiPhoneの場合、一部のデータが失われます[1]。 - iOS/iPad OSのバージョンが揃っている前提とします
- なるべく
- Macデバイス(MacBookやMac miniなど)
- Apple Configuratorがインストールされている必要があります。本記事ではバージョン2.17を用います。
手順
1. 移行デバイスのバックアップ
Macデバイス上に移行デバイスを接続し、Apple Configuratorでバックアップを取得します。
ただし、バックアップ時はなるべく完全なバックアップを作成するため、バックアップが暗号化されるように設定しておきます。暗号化することで、パスワードやWi-Fi設定なども引き継がれるようになります[2]。
設定は、Apple Configuratorのデバイスメニュー→詳細→暗号化されたバックアップを有効化から実施できます。

暗号化の設定後、デバイスメニュー→バックアップを選択することで、バックアップを取得できます。
2. 一時デバイスへのバックアップ復元
Macデバイスから移行デバイスを一旦切断し、一時デバイスに接続します。
その後、一時デバイスにバックアップを復元します。
復元はデバイスメニュー→バックアップから復元で実施できます。
3. 一時デバイスのバックアップ
1. と同様に一時デバイスのバックアップを取得してください。こちらも暗号化されたバックアップを有効化を事前に有効化しておく必要があります。
4. 移行デバイスへのバックアップ復元
Macデバイスから一時デバイスを切断し、移行デバイスに接続してください。
その後、移行デバイスにバックアップを復元してください。
5. 移行デバイスの監視対象モード移行
「ようこそ」の画面で監視対象モードに変更できます。初期設定を終えると監視対象モードに移行できなくなります。
監視対象モードへの移行は、デバイスメニュー→準備を選択の上、デバイスを監視を選択することで設定可能です。

デバイスにほかのコンピュータとのペアリングを許可のチェックを外すと、ほかのMacデバイスでバックアップや設定変更ができなくなります。
移行後、設定アプリなどで監視対象モードになっていることを確認してください。
Q&A
1. 一時デバイスを使わないで&データを失わないで監視対象モードに移行できない?
できません。同一デバイスのバックアップを用いると、「ようこそ」の画面であってもリセットすることが求められます。
例として、移行デバイスのバックアップ取得→同一デバイスへの復元を行い、「ようこそ」画面が表示された状態で、監視対象モードの移行を試みてみます。すると下記のような警告画面が表示されます。

バックアップ元が別デバイスであれば、上記画面が表示されず監視対象モードへ移行できます。
2. 旧→新デバイス移行時に監視対象モードに移行するのであれば一時デバイスはいらない?
要らないです。この記事で記載している一時デバイスが新デバイスになります。新デバイスでのバックアップ復元後、新デバイス上で監視対象モードに変更すれば、新デバイスにデータを移行し、監視対象モードを有効化したことになります。
3. 逆に、監視対象モードのデバイスをデータを維持したまま通常モードに戻すには?
同一デバイス上で、バックアップを取得→復元を行った上で監視対象モードを外そうとしても、リセットすることが求められます。
また、リセットを行うと通常モードに戻りますが、「ようこそ」画面で同一デバイスのバックアップを復元しても、監視対象モードに戻ります。
どうしても同一デバイス上でデータを維持したまま通常モードに戻した場合は、本記事で紹介した手順と同様に、一時デバイスを活用することで通常モードに戻すことができます。
4. ADM(自動デバイス登録)の対象になっているデバイスに対して本手順を適用すると?
バックアップを復元しつつ、かつMDMへのデバイス登録+監視対象モード適用も行われます。
Discussion