IntuneでiOSの自動デバイス登録を設定するときに接続できるApple Configuratorを制限する
はじめに
ABM(Apple Business Manager)・ASM(Apple School Manager)とMDMを連携させることで、iOS/iPad OSのデバイスで初めて電源を入れたときから、監視対象モードの有効化・構成プロファイルのインストールを行えるADE(Automated Device Enrollment)を使用できます。
Microsoft Intuneでは、ADEのプロファイル設定でApple Configfuratorの証明書を登録(Allow Apple Configurator via Certificate)することで、デバイスに接続できるApple Configuratorを制限可能です。
IntuneでApple Configuratorを制限する手順は、公式ドキュメント含め見つからなかったため、本記事ではその方法を紹介します。
なぜ接続できるApple Configuratorを制限する必要がある?
一番の理由は、Apple Configuratorでデバイスの初期化が可能になるためです。構成プロファイルで、デバイスの設定からの初期化を防いでいても、端末のパスコードが分かっていればApple Configurator経由でリセットが可能になります。
そのため、通常はApple Configuratorからの接続を一切禁止するか、特定のApple Configuratorのみ接続できるようにします。
ただし、Apple Configuratorの使用を完全に禁止にすると、MDM経由でのみデバイスのリセット・構成プロファイルの削除(リタイア)ができるため、オフラインで前述の作業を行える術を残すためにApple Configuratorでのリセットを可能にしておく必要が(運用ケースにもよりますが)あります。
必要な環境
- Microsoft Intune
- ABM(Apple Business Manager)・ASM(Apple School Manager)のアカウント
- Macデバイス(MacBookやMac miniなど)
- Apple Configuratorがインストールされている必要があります。本記事ではバージョン2.17を用います。
手順
1. ABM・ASMが管理している監視識別情報をダウンロード
Intuneでは、ABM・ASMが管理している監視識別情報の公開鍵を登録する必要があります。そのため、前述の監視識別情報をダウンロードする必要があります。
ダウンロードはApple Configuratorにおいて組織を作成することで行うことができます。
作成は設定
→組織
→+
で実施可能です。
作成の際に、ABM・ASMへのサインインを求められますが、このときにサインインを行うことで、ABM・ASMで管理されている監視識別情報をダウンロードできます。
2. 監視識別情報から公開鍵を抽出
設定
→組織
の画面で、ABM・ASMから設定した組織を選択してください。選択すると、画面下の・・・
を押下できるようになるため、押下して監視識別情報を書き出す
を選択してください。保存時のフォーマットは非暗号化DER
を選択してください。
この時点で監視識別情報の公開鍵・秘密鍵が書き出されます。今回秘密鍵は使用しませんので、削除してください。秘密鍵のファイル名は[組織名].cer
です。
(公開鍵は[組織名].crt
となります)
3. Intuneに登録
Intuneでは、拡張子が.cer
で終わる証明書のみアップロードを受け付けます。そのため、2.
で作成した[組織名].crt
を[組織名].crt.cer
などにリネームしてください。
その後、Intuneのデバイス
→iOS/iPadOS
→登録
→登録プログラムのトークン
→(トークン名)
→プロファイル
で管理しているプロファイルを開き、管理の設定を以下のように変更してください。
- コンピューターと同期する:
証明書によるApple Configuratorの許可
- Apple Configurator の証明書: (先ほど作成した
[組織名].crt.cer
を選択)
4. テスト
3.
で設定したプロファイルによって自動デバイス登録(ADE)を行ってください。その後、Apple Configuratorでデバイスの接続ができることを確認してください。
また、Apple Configuratorを動かすMac端末上で、「組織」を削除することでApple Configuratorによるデバイス接続はできなくなります。
Q&A
許可しているApple Configuratorからアクセスできず、iOS端末上でリセットもできなくなった場合は?
パスコードを忘れた場合と同様の扱いで、デバイスをリセット(復元)する必要があります[2]。
Apple Configuratorを制限している端末でバックアップ・復元を行うと?
- 復元先が別端末の場合
- 復元時はApple Configuratorの制限が無くなる同時に、監視対象モードから外れます。自動デバイス登録で構成プロファイルをダウンロードする際に、再びApple Configuratorの制限が復活します。
- 復元先が同端末の場合
- 筆者が検証したところ、Apple Configuratorの許可デバイス情報が削除され、どのApple Configuratorからも接続できなくなり、MDM以外からの端末操作(リセット含む)ができなくなるようです。
別のMac端末でもApple Configuratorの使用を許可するには?
監視識別情報の公開鍵に紐づく秘密鍵をもつMac端末であれば、どの端末でもApple ConfiguratorでiOS/iPadOS端末に接続できます。
そのため、「組織」をバックアップ・復元すれば複数端末で使用できます[3]。
自動デバイス登録(ADE)を使用しなくても制限できる?
Apple Configuratorの準備
ダイアログで、デバイスにほかのコンピュータとのペアリングを許可
のチェックを外すことで制限できます。
-
筆者が試したところ、Apple Configuratorがエラーにより落ちました。バグであれば今後修正されるかもしれません。 ↩︎
-
https://support.apple.com/ja-jp/118430, https://support.apple.com/ja-jp/119858 ↩︎
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