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IntuneでiOSの自動デバイス登録を設定するときに接続できるApple Configuratorを制限する

2025/03/09に公開

はじめに

ABM(Apple Business Manager)・ASM(Apple School Manager)とMDMを連携させることで、iOS/iPad OSのデバイスで初めて電源を入れたときから、監視対象モードの有効化・構成プロファイルのインストールを行えるADE(Automated Device Enrollment)を使用できます。

Microsoft Intuneでは、ADEのプロファイル設定でApple Configfuratorの証明書を登録(Allow Apple Configurator via Certificate)することで、デバイスに接続できるApple Configuratorを制限可能です。

IntuneでApple Configuratorを制限する手順は、公式ドキュメント含め見つからなかったため、本記事ではその方法を紹介します。

なぜ接続できるApple Configuratorを制限する必要がある?

一番の理由は、Apple Configuratorでデバイスの初期化が可能になるためです。構成プロファイルで、デバイスの設定からの初期化を防いでいても、端末のパスコードが分かっていればApple Configurator経由でリセットが可能になります。
そのため、通常はApple Configuratorからの接続を一切禁止するか、特定のApple Configuratorのみ接続できるようにします。

ただし、Apple Configuratorの使用を完全に禁止にすると、MDM経由でのみデバイスのリセット・構成プロファイルの削除(リタイア)ができるため、オフラインで前述の作業を行える術を残すためにApple Configuratorでのリセットを可能にしておく必要が(運用ケースにもよりますが)あります。

必要な環境

  • Microsoft Intune
  • ABM(Apple Business Manager)・ASM(Apple School Manager)のアカウント
  • Macデバイス(MacBookやMac miniなど)
    • Apple Configuratorがインストールされている必要があります。本記事ではバージョン2.17を用います。

手順

1. ABM・ASMが管理している監視識別情報をダウンロード

Intuneでは、ABM・ASMが管理している監視識別情報の公開鍵を登録する必要があります。そのため、前述の監視識別情報をダウンロードする必要があります。

ダウンロードはApple Configuratorにおいて組織を作成することで行うことができます。
作成は設定組織+で実施可能です。
作成の際に、ABM・ASMへのサインインを求められますが、このときにサインインを行うことで、ABM・ASMで管理されている監視識別情報をダウンロードできます。

2. 監視識別情報から公開鍵を抽出

設定組織の画面で、ABM・ASMから設定した組織を選択してください。選択すると、画面下の・・・を押下できるようになるため、押下して監視識別情報を書き出すを選択してください。保存時のフォーマットは非暗号化DERを選択してください。

この時点で監視識別情報の公開鍵・秘密鍵が書き出されます。今回秘密鍵は使用しませんので、削除してください。秘密鍵のファイル名は[組織名].cerです。
(公開鍵は[組織名].crtとなります)

3. Intuneに登録

Intuneでは、拡張子が.cerで終わる証明書のみアップロードを受け付けます。そのため、2.で作成した[組織名].crt[組織名].crt.cerなどにリネームしてください。

その後、IntuneのデバイスiOS/iPadOS登録登録プログラムのトークン(トークン名)プロファイルで管理しているプロファイルを開き、管理の設定を以下のように変更してください。

  • コンピューターと同期する: 証明書によるApple Configuratorの許可
  • Apple Configurator の証明書: (先ほど作成した[組織名].crt.cerを選択)

4. テスト

3.で設定したプロファイルによって自動デバイス登録(ADE)を行ってください。その後、Apple Configuratorでデバイスの接続ができることを確認してください。

また、Apple Configuratorを動かすMac端末上で、「組織」を削除することでApple Configuratorによるデバイス接続はできなくなります。

Q&A

許可しているApple Configuratorからアクセスできず、iOS端末上でリセットもできなくなった場合は?

パスコードを忘れた場合と同様の扱いで、デバイスをリセット(復元)する必要があります[2]

Apple Configuratorを制限している端末でバックアップ・復元を行うと?

  • 復元先が別端末の場合
    • 復元時はApple Configuratorの制限が無くなる同時に、監視対象モードから外れます。自動デバイス登録で構成プロファイルをダウンロードする際に、再びApple Configuratorの制限が復活します。
  • 復元先が同端末の場合
    • 筆者が検証したところ、Apple Configuratorの許可デバイス情報が削除され、どのApple Configuratorからも接続できなくなり、MDM以外からの端末操作(リセット含む)ができなくなるようです。

別のMac端末でもApple Configuratorの使用を許可するには?

監視識別情報の公開鍵に紐づく秘密鍵をもつMac端末であれば、どの端末でもApple ConfiguratorでiOS/iPadOS端末に接続できます。
そのため、「組織」をバックアップ・復元すれば複数端末で使用できます[3]

自動デバイス登録(ADE)を使用しなくても制限できる?

Apple Configuratorの準備ダイアログで、デバイスにほかのコンピュータとのペアリングを許可のチェックを外すことで制限できます。

脚注
  1. 筆者が試したところ、Apple Configuratorがエラーにより落ちました。バグであれば今後修正されるかもしれません。 ↩︎

  2. https://support.apple.com/ja-jp/118430, https://support.apple.com/ja-jp/119858 ↩︎

  3. https://support.apple.com/ja-jp/101974 ↩︎

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