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データ活用から始めるエンジニアの視野の広げ方

2024/12/20に公開

https://qiita.com/advent-calendar/2024/miraito-inc

19日目はucanの「GitHub Actionsで制約を突破!サードパーティActionsなしで自前アクションを作った話」の記事でした。

導入(エンジニアとデータの関係)

我々エンジニアは膨大なデータに囲まれた環境で日々業務に取り組んでいます。

コード、ログ、ユーザー行動、システムメトリクスなど、至る所にデータは存在しています。
これらのデータをなんとなく眺めるだけで、本当に活用できているでしょうか?

データは単なる数字や記録に留まらず、システムのパフォーマンス改善やユーザーエクスペリエンスの最適化など、ビジネスの課題を解決する重要な資産です。

エンジニアがデータと向き合う姿勢を変えることで、技術力だけでなく、問題解決能力も高められます。製品やサービスの質を劇的に向上させる可能性を秘めています。

エンジニアしか知る事のないデータは数多くあると思います。そのデータから新たな課題を見つけプロダクトマネージャーに共有し、サービスを改善することが出来るかもしれません。

この記事はデータ分析について半年ほど勉強してきた中で大切だなと思った箇所を振り返ってまとめたものです。

この記事を読まれる人にデータを適切に扱う能力というのがどんなものかを知ってもらい、データとの向き合い方を考え直す機会になればと思います。

データを適切に扱う能力

デジタル時代において、データを適切に扱う能力(データリテラシー)は不可欠なスキルとなっています。

アクセンチュアとQlikの調査によると、データ活用の不足により、日本企業は年間約1.6兆円の経済損失の可能性があることが明らかになりました。
AIとデータ活用のどちらも日本は世界的にみて遅れを取っていることがわかります。

https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=1299

データリテラシーとは

データリテラシーとは、データを適切に理解し活用する能力のことで、以下の4つの主要な要素から構成されています。

基本定義

文部科学省で定義しているデータリテラシーでは「データを読む・データを説明する・データを扱う」の3つです。


文部科学省で定義しているデータリテラシー

個人的にはマサチューセッツ工科大学のRahul Bhargava氏とエマーソン大学のCatherine D'ignazio氏による定義の「データを読む、使い、分析し、論じる能力」の方がイメージしやすいのでこちらの資料を基に解説します。

データを読む力
データの内容や意味を理解するスキルの事を指していて具体的には次のような事を指します。

スキル 説明
データの理解 データの種類(数値、テキスト、画像など)や、どのような情報が含まれているかを認識する能力。
視覚化の解釈 グラフやチャートを読み解き、トレンドやパターンを分析するスキル(例:折れ線グラフの上昇が売上増加を示すこと)。
相関関係の識別 異なるデータセット間の関係を見極める能力(例:温度上昇と売上の関係)。
文脈の理解 データが生成された背景や、それが示す意味を把握すること(例:特定のデータがどの地域や期間におけるものであるか)。

これらの能力を身につけることで、データから必要な情報を効果的に抽出し、意思決定に活かすことが出来るようになるよという感じですね。

データを使う力
データを生成し、取得、管理するスキルを活用して有用な情報を作成すること。

スキル 説明
データ生成 必要なデータを適切に収集し、作成するスキル
データ取得 データベースやAPIから必要なデータを効果的に取得すスキル
データ管理 データの整理、保存、更新を行うスキル

データを分析する力
データを用いて意思決定や問題解決を行うための能力

スキル 説明
データ解釈 データセットから意味のある情報を引き出すスキル
統計分析 データを統計的手法を用いて分析し、有意な結果を導く力
モデリング データ分析を基に予測モデルを構築し、より良い意思決定を支援するスキル

データを論じる力
異なる視点や意見を持ち寄り、データや情報に基づいて意見交換を行い、理解を深めたり合意を形成したりするプロセスを指します。この過程では、主張を支える根拠を示し、批判的思考を通じて信頼性を評価し、最終的な意思決定に向けた共通の理解を築くことが出来るかが重要です。

スキル 説明
意見の交換 データの見方は人によって違う。お互いの考えを話し合って理解を深めることが大切
根拠の提示 自分の意見の裏付けとなる情報を提示すること。単なる感想ではなくデータに基づいて説明することで説得力が増す
批判的思考 このデータは本当に正しいのかな?と疑問を持つ姿勢のこと。データの集め方や解釈に偏りがないかを確認する習慣をつける
合意形成 様々な意見を聞いた上で、みんなが納得できる結論を導き出す力

データリテラシーの重要性

現代のデータ駆動型社会において、データリテラシーは特別な専門知識ではなく、社会人にとって一般的なビジネススキルとして位置づけられています。技術的な知識よりも、データを理解して活用するための論理的思考が重視されます。

データリテラシーの重要性については、さらに詳しく理解を深めたい方は以下の記事をご参照ください

データリテラシーはなぜ必要か3つの理由

日本の現状と課題

日本企業のデータ活用は、米国やドイツと比較して遅れており、主な課題は以下の通りです[1]

  • データを取り扱う人材の不足
  • 従業員のデータ活用スキルの低さ
  • 意思決定におけるデータ活用の不足

経済産業省の予測によれば、IT人材の不足は現状の17万人から2030年には約79万人に拡大すると見込まれています。

政府の取り組み

政府は「AI戦略2019」を通じて、以下の目標を設定しています。

  • 全ての大学・高専生(約50万人/年)が数理・データサイエンス・AIの初級レベルを習得
  • 「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」の創設

これらの取り組みは、データリテラシーの重要性を国家レベルで認識し、教育の後押しをする姿勢が見られますね。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00001.htm

まとめ

データリテラシーは、もはや単なる技術スキルではなく、エンジニア以外の人にとっても必要不可欠な能力であることが伝わりましたでしょうか。

本稿で解説してきたように、データを読み、使い、分析し、論じる能力は、個人の成長だけでなく、組織全体の競争力に直結する重要な要素です。

自分もデータ分析について勉強しはじめて、まだ完全に落とし込めてない部分もありますが、データリテラシーの重要性を認識し周りに伝えられるように頑張っていきたいと思います。

終わりに

21日目はkentaさんの「GA4 + BigQueryでユーザーの離脱ページを探ろう」の記事です。
お楽しみに!

脚注
  1. 日本企業における「データリテラシー」の課題 ↩︎

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