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JavaScriptでの配列操作 どの手法をいつ使うべき?

2024/01/07に公開

leetcodeの問題を解いていて、参考になったのでメモ。

はじめに

LeetCodeの問題を解いている際、配列処理の方法には多様なアプローチが存在することに気づきました。

そこで、これらの手法をいつ、どのように使い分けるべきかを詳しく調べたので、メモしました

各手法と解説

多くの開発者は、これらの手法の基本的な使い方には慣れているかもしれませんが、その選択と使い分けにはもっと深い理解が必要ですね!
そこで、各手法の概要を一目で把握できるように表形式でまとめてみました。

手法 使用例 アンチパターン
forループを使う(コンテナを使用する) 複雑な変換や条件分岐が必要な場合 高コストの操作を伴う大規模データセット
コンテナを使用しないforループを使う(インメモリ変換) データの一時的な変更、メモリ効率が重要な場合 元のデータを保持する必要がある場合
for...ofループを使う 要素とインデックスの両方を簡単に取得したい場合 イテレータの使用によるオーバーヘッドが問題の場合
mapメソッドを使う 単純な変換を配列の各要素に適用する場合 インデックスベースの操作が不要、非同期処理の場合
forEachメソッドを使う 外部の状態を変更する副作用を持つ操作に 大規模データセット、非同期処理の場合
reduceメソッドを使う 集約操作、複雑なデータ構造の生成に 単純な変換のみの場合、非同期処理の場合
for...inループを使う オブジェクトのプロパティを反復処理する場合 配列の通常操作、順序に依存する操作の場合
ジェネレータ関数を使う 反復処理中の複雑な状態管理や制御に シンプルな変換や大規模データセットの処理に
Array.fromメソッドを使う 配列風オブジェクトから配列を生成する場合 既に配列の場合、単純な変換のみの場合

各手法の特徴を整理した

手法名 非破壊的操作 インデックスアクセス 副作用の操作 集約操作 オブジェクトのプロパティ反復 大規模データの効率的処理
forループを使う(コンテナを使用する)
コンテナを使用しないforループを使う(インメモリ変換)
for...ofループを使う
mapメソッドを使う
forEachメソッドを使う
reduceメソッドを使う
for...inループを使う
ジェネレータ関数を使う
Array.fromメソッドを使う
  • 非破壊的操作:元のデータを変更せずに新しいデータ構造を生成する事が出来るか
  • インデックスアクセス:特定のインデックスに基づく操作が可能です。特定の要素への直接的なアクセスや操作が行えるか
  • 副作用の操作:外部の状態に影響を与える操作が可能です。外部変数への影響や、副作用を伴う処理が行えるか
  • 集約操作:複数のデータを組み合わせて新しいデータ構造を生成する操作が可能か。例えば、要素の合計や平均を求めるとか
  • オブジェクトのプロパティ反復:オブジェクトのプロパティを反復処理する操作が可能か。キーと値のペアを処理することができます。
  • 大規模データの効率的処理:大量のデータを処理する際に効率的で大規模なデータセットでのパフォーマンスが高いか

パフォーマンスの計測

パフォーマンス計測は次のコードを使って行いました。
処理の内容は配列の各要素を2倍にする処理です。

/**
 * 処理にかかった時間を計測する
 * @returns {number} - 関数の実行にかかった時間(ミリ秒)。
 */
const measurePerformance = (arr: any[], transformFunction: (arr: any[]) => any[]): number => {
  let startTime = performance.now();
  let result = transformFunction(arr);
  let endTime = performance.now();

  return endTime - startTime;
};

const transformWithForLoop = (arr: any[]): any[] => {
  let result: any[] = [];
  for (let i = 0; i < arr.length; i++) {
    result[i] = arr[i] * 2;
  }
  return result;
};

const transformWithMap = (arr: any[]): any[] => arr.map((x: number) => x * 2);
const transformWithForEach = (arr: any[]): any[] => {
  let result: any[] = [];
  arr.forEach((x: number, i: number) => result[i] = x * 2);
  return result;
};

const transformWithReduce = (arr: any[]): any[] => arr.reduce((acc: any[], x: number) => [...acc, x * 2], []);

const transformWithForOf = (arr: any[]): any[] => {
  let result: any[] = [];
  let index = 0;
  for (const element of arr) {
    result[index] = element * 2;
    index++;
  }
  return result;
};

const transformWithGenerator = function* (arr: any[]) {
  for (const element of arr) {
    yield element * 2;
  }
};

const transformWithArrayFrom = (arr: any[]): any[] => Array.from(arr, (x: number) => x * 2);

const createArray = (size: number): number[] => Array.from({ length: size }, (_, index) => index);
const largeArray = createArray(10000);
console.log("1万行の配列");
console.log("For Loop:", measurePerformance(largeArray, transformWithForLoop), "ミリ秒");
console.log("Map:", measurePerformance(largeArray, transformWithMap), "ミリ秒");
console.log("ForEach:", measurePerformance(largeArray, transformWithForEach), "ミリ秒");
console.log("For...Of:", measurePerformance(largeArray, transformWithForOf), "ミリ秒");
console.log("Array.From:", measurePerformance(largeArray, transformWithArrayFrom), "ミリ秒");
console.log("Generator:", measurePerformance(largeArray, arr => Array.from(transformWithGenerator(arr))), "ミリ秒");
console.log("Reduce:", measurePerformance(largeArray, transformWithReduce), "ミリ秒");

計測した結果

Reduceは100万行を実行すると時間がかかるため、計測しませんでした。

配列のサイズ For Loop Map ForEach For...Of Array.From Generator Reduce
100行 0.1 ms 0 ms 0.1 ms 0.1 ms 0 ms 0.1 ms 0.2 ms
1万行 0.3 ms 0.3 ms 0.3 ms 0.3 ms 0.3 ms 0.6 ms 915.6 ms
10万行 0.4 ms 0.8 ms 0.9 ms 1.0 ms 2.3 ms 0.4 ms 95026 ms
100万行 5.1 ms 7.8 ms 9.1 ms 9.9 ms 17.5 ms 0.4 ms -

この結果からわかったことは

  • 100行はほぼ同等の結果
  • 1万行では、ほとんどの手法が同様の結果でした(Reduceを除く)
  • 10万行、100万行では、Reduce のパフォーマンスが顕著に低下しています。
  • Generator はすべてのサイズで非常に高速で、配列のサイズが大きくなってもそのパフォーマンスはほとんど変わりません。

実装のしやすさなどは無視して、パフォーマンスだけ見るとGeneratorが安定した速度を出していることがわかりました。

Reduceはサイズが増える度に処理速度が増えてきている事から大量な配列操作には向かないこともわかりましたね。

各手法を色々な角度から分析してみる

javaScriptにおける配列操作のための様々な手法を、その最適な使用状況、処理速度、メモリ使用量、保守性、そして可読性という異なる角度から分析してみました。

どの手法を選択するかは単にコードの短さや簡潔さだけではなく、実行時のパフォーマンス、リソースの効率的な使用、そして長期的なメンテナンスの観点からも重要ですね。

手法 最適な状況 処理速度 メモリ使用量 保守性・可読性
forループを使う(コンテナを使用する) 大規模データセットでの複雑な操作
コンテナを使用しないforループを使う(インメモリ変換) メモリ使用量を抑えたい場合
for...ofループを使う 中規模のデータセットでイテレータを利用する場合
mapメソッドを使う 中規模データセットで単純な変換操作
forEachメソッドを使う 小〜中規模データセットで副作用のある操作
reduceメソッドを使う 集約操作や複雑なデータ構造の生成
for...inループを使う オブジェクトのプロパティ反復
ジェネレータ関数を使う 反復処理中の状態管理が複雑な場合
Array.fromメソッドを使う 既存のオブジェクトから配列を生成

状況によって異なるとは思いますが、基本的な考えとして認識しておくと良さそうですね。

メリット・デメリットを整理した

手法 メリット デメリット
forループを使う(コンテナを使用する) パフォーマンスが高い、インデックスに基づく制御が可能 コードが複雑になりがち、読みにくい場合がある
コンテナを使用しないforループを使う(インメモリ変換) メモリ効率が良い、破壊的変更が可能 元のデータが失われる、副作用がある
for...ofループを使う シンプルで読みやすい、イテレータに基づいている 大規模なデータセットではパフォーマンスが低下する可能性がある
mapメソッドを使う 非破壊的、コードが簡潔で直感的 大規模データセットではパフォーマンスに影響が出る可能性がある
forEachメソッドを使う シンプルで直感的、外部の状態に副作用を与えることができる 戻り値がないため新しい配列を生成しない、非同期処理には不向き
reduceメソッドを使う 配列の集約や複雑なデータ構造の生成に適している 複雑なロジックが読みにくくなることがある
for...inループを使う オブジェクトのプロパティを反復処理するのに適している 配列操作には不適切、順序が保証されない
ジェネレータ関数を使う 反復処理中の状態管理が柔軟、遅延実行が可能 コードが複雑になりがち、理解しにくい場合がある
Array.fromメソッドを使う 配列風オブジェクトや反復可能オブジェクトから簡単に配列を生成できる 既に配列の場合はmapメソッドの方が効率的

具体的な手法

次のセクションからは各手法について解説していきます。

forループを使う(コンテナを使用する)

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  // 操作の結果を格納するために新しい配列(コンテナ)を作成
  const transformedArr = [];
  for (let i = 0; i < arr.length; i++) {
    transformedArr[i] = fn(arr[i], i);
  }
  return transformedArr;
};

※コンテナについて詳しく知りたければ、こちらを見て下さい

解説
この手法では、forループを使用して元の配列の各要素にアクセスし、特定の操作や変換を適用した結果を新しい配列に格納します。forループを使うことで、インデックスに基づく直接的なアクセスと制御が可能になります。

使用例

  • 配列の要素を加工または変換し、その結果を新しい配列に保存する場合。
  • 配列の特定の要素に基づいた条件分岐を行いながら新しい配列を作成する場合。

この手法は配列の要素に対して直接操作を行うため、特定のロジックに基づいた複雑な変換や条件分岐が必要な場合に特に有用です。また、新しい配列を作成することで、元の配列は変更されずに保持されます。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 大規模な配列でのパフォーマンス問題

    • 非常に大きな配列を扱う場合、forループはパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があります。特に、ループ内で高コストの操作を行う場合、実行速度が重要なアプリケーションでは他の手法を検討する必要があります。
  • 可読性の問題

    • コードの可読性は重要です。forループは、特に複雑なロジックを含む場合、他のより宣言的な手法(例えば、mapやforEach)に比べて読みにくくなることがあります。コードの意図が明確でない場合や、他の開発者にとって理解しづらい場合は、よりシンプルな実装にする方が個人的には良いかなと思います
  • 副作用のある操作

    • forループを使用して配列外の変数に影響を与えるような副作用のある操作を行う場合、コードの予測可能性や再利用性が低下する可能性があります。関数型プログラミングの原則に従い、副作用を避けるために他の手法を検討することを推奨します。

forループを使う(インメモリ変換)

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  for (let i = 0; i < arr.length; ++i) {
    arr[i] = fn(arr[i], i);
  }
  return arr;
};

解説
この手法では、元の配列を直接変更し、各要素に対して指定された変換関数を適用します。このアプローチは「インメモリ変換」として知られ、追加のメモリ割り当て(新しい配列の作成)を必要としません。forループを使うことで、配列の各要素を効率的に変更することができます。

使用例

  • 配列内のデータを変更し、その結果を元の配列に保持する必要がある場合。
  • 配列の要素に対して一時的な変換を行い、追加の配列割り当てを避けたい場合。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 元のデータの保持が必要な場合:

    • 元の配列のデータを保持したい場合、この手法は適していません。変更は元の配列に直接適用されるため、元のデータは失われます。
  • 複数の参照からアクセスされる配列を扱う場合:

    • 配列が複数の場所から参照されている場合、この手法を使うと予期せぬ副作用が生じる可能性があります。配列の変更は、その配列を参照するすべての場所に影響を与えます。
  • 非破壊的な操作が望まれる場合:

    • データの非破壊的な変更(元のデータを変更せずに新しいデータを生成すること)が必要な場合、この手法は適していません。元の配列を変更せずに新しい配列を生成する方法を検討する必要があります。

元のデータを直接変更するこの手法自体がアンチパターンな気もしますね。
破壊的操作が好ましい時ってどういう時なんでしょう。別の記事にして深掘りしてみようと思います。

for...ofループを使う

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  const transformedArr: any[] = [];
  let index = 0;
  for (const element of arr) {
    transformedArr[index] = fn(element, index);
    index++;
  }
  return transformedArr;
};

解説
for...ofループはES6で導入され、配列やその他の反復可能なオブジェクトを簡単に反復処理するための構文です。このループは配列の各要素に対して指定された操作を行い、結果を新しい配列に格納します。インデックスを手動で管理する必要がなく、コードが読みやすくなります。

使用例

  • 配列の各要素に対して関数を適用し、新しい配列に結果を格納する場合。
  • 配列の各要素に対して複雑なロジックや条件分岐を行う場合。

例:

let numbers = [1, 2, 3, 4, 5];
let doubledNumbers = [];
for (const number of numbers) {
  doubledNumbers.push(number * 2);
}

非同期処理の組み合わせ
for...ofループは非同期処理とも組み合わせられますが、各反復が順番に実行されるため、全体の処理時間が長くなる可能性があります。非同期処理を含む場合は、Promise.allを使用して並列処理を行うことが推奨されます。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • インデックスベースの操作が不要な場合:
    • 配列の各要素に単純な操作を行う場合、mapメソッドの方が直感的で簡単です。
  • 非同期処理を行う場合:
    • 各反復がシーケンシャルに実行されるため、処理時間が長くなる可能性があります。非同期処理にはPromise.allの使用を検討してください。
  • パフォーマンスが極めて重要な場合:
    • for...ofループはイテレータを使用するため、単純なforループに比べてオーバーヘッドが大きくなりがちです。パフォーマンスが重要な場合は、単純なforループを検討してみましょう

mapメソッドを使う

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  const transformedArr = [];
  for (let i = 0; i < arr.length; i++) {
    transformedArr.push(fn(arr[i], i));
  }
  return transformedArr;
};

解説

mapメソッドは、配列の各要素に対して指定された関数を適用し、新しい配列を返します。このメソッドは、forループと同様の結果を得ることができますが、より簡潔で効率的なコードを書くことができます。

使用例

  • 配列の各要素を加工または変換し、その結果を新しい配列に保存する場合。
  • 配列の各要素に対して関数を実行し、その結果を新しい配列に保存する場合。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • インデックスベースの操作が必要ない場合

    • 配列の各要素に対して単純な操作を行い、その結果を新しい配列に保存するだけなら、mapメソッドよりもforEachメソッドの方が直感的で簡単です。
  • 非同期処理を行う場合

    • mapメソッドは非同期処理と組み合わせることができますが、各反復がシーケンシャルに実行されるため、全体の処理時間が長くなる可能性があります。非同期処理の場合は、async/awaitのような並列処理を検討する必要があります。

forEachメソッドを使う

const map = function(
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) {
  const transformedArr: any[] = [];
  arr.forEach((element: any, index: number) => {
    transformedArr[index] = fn(element, index);
  });
  return transformedArr;
};

解説
forEachメソッドは配列の各要素に対して指定された関数を一度ずつ実行します。このメソッドは、新しい配列を返さないため、結果を別の配列に格納するためには外部のコンテナ(ここでは transformedArr)が必要です。forEachは配列の各要素に対して副作用(例えば外部の状態を変更する)を持つ操作を行う際に特に役立ちます。

使用例

  • 配列の各要素に対して関数を実行し、その結果を新しい配列に格納したい場合。
  • 配列の要素を変更し、その結果を元の配列とは別の配列に保存したい場合。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • パフォーマンスが重要な場合:

    • 大規模な配列に対してforEachを使用すると、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。特に、各反復で高コストの操作を行う場合、より効率的な手法を検討する必要があります。
  • 非同期処理を含む場合:

    • forEachメソッドは非同期処理(例えば、プロミスを使った操作)と組み合わせるのに適していません。非同期処理が含まれる場合、for...ofループとasync/awaitの組み合わせなど、別の手法を検討する必要があります。
  • 複雑な条件分岐が必要な場合:

    • forEachは配列のすべての要素に対して操作を行います。特定の条件に基づいて要素を処理する必要がある場合(例えば、特定のインデックスの要素だけを処理する)、filtermapの組み合わせなど、より適切な手法を検討することも考えましょう

reduceメソッドを使う

const map = (
  arr: any[], 
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  // transformedArrがaccumulator
  return arr.reduce((transformedArr: any[], element: any, index: number) => {
    transformedArr[index] = fn(element, index);
    return transformedArr;
  }, []);
};

解説
reduceメソッドは配列を単一の値にまとめるために使用されますが、この場合では新しい配列を作成しています。このメソッドは、アキュムレータ(ここではtransformedArr)を使用して、配列の各要素を順に処理し、最終的に一つの結果(新しい配列)を生成します。reduceは柔軟性が高く、配列の変換、集計、組み合わせなど、さまざまな操作に使用できます。

使用例

  • 配列の各要素を変換して新しい配列を作成する場合。
  • 配列の要素を基に複雑なデータ構造を構築する場合。
  • 配列の要素から単一の集計値(例えば合計や平均)を計算する場合。

数値の配列から合計を求める際のreduceメソッドの例

const numbers = [1, 2, 3, 4, 5];
const sum = numbers.reduce((accumulator, currentValue) => {
  return accumulator + currentValue;
}, 0); 

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 単純な配列変換の場合:

    • 配列の各要素に対して単純な変換を行い、新しい配列を作成するだけの場合、mapメソッドの方が適しており、より直感的でわかりやすいです。
  • 過度に複雑なロジック:

    • reduceを使用して複雑なロジックを実装すると、コードが読みにくくなることがあります。特に、状態の管理や条件分岐が複雑になると、可読性や保守性が低下する可能性があります。そのような場合、よりシンプルなループや他の配列メソッドを検討するべきです。
  • 非同期処理を含む場合:

    • reduceは非同期処理(例えば、プロミスを使った操作)と組み合わせるのに適していません。非同期処理が必要な場合は、async/awaitを使用したループや、Promise.allと組み合わせるなどの別の手法を検討する必要があります。

for...inループを使う

for...inループは主にオブジェクトのプロパティを列挙するために使用されますが、配列に対しても使用できます。ただし、配列の使用にはいくつか注意点があります。以下は、for...in ループを使った配列の処理の一例です。

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  const transformedArr: any[] = [];
  for (const index in arr) {
    if (arr.hasOwnProperty(index)) {
      transformedArr[index] = fn(arr[index], parseInt(index));
    }
  }
  return transformedArr;
};

解説
for...in ループは、配列のインデックス(文字列として)を反復しますが、この使用法には注意が必要です。for...in は配列の要素だけでなく、オブジェクトのすべての列挙可能なプロパティを列挙するため、配列の場合には期待しないプロパティも反復される可能性があります。また、for...in は配列要素が順番通りに反復されることを保証しないため、通常の配列操作には推奨されません。

使用例

  • 配列ではなく、キーと値のペアを持つオブジェクトの各プロパティに対して操作を行いたい場合。
  • 配列を使用する場合は、インデックスが文字列として扱われること、およびすべての列挙可能なプロパティが対象となることを理解しておく必要があります。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 通常の配列操作:

    • 配列に対して for...in ループを使用する場合、非効率的であり、意図しない結果を招く可能性があります。通常の配列操作には for ループ、forEachmap などが適しています。
  • 順序に依存する操作:

    • for...in は要素の順序を保証しないため、特定の順序で要素を処理する必要がある場合には不適切です。
  • 非列挙可能なプロパティが含まれる場合:

    • for...in はオブジェクトの列挙可能なプロパティのみを反復します。非列挙可能なプロパティやシンボルプロパティを含む複雑なオブジェクトを扱う場合、この方法では期待通りの結果が得られない可能性があります。

for...inループが配列操作に推奨されない理由

主な理由は以下の通りです

  1. 順序の保証がない:
    for...in ループはプロパティの順序を保証しません。つまり、配列の要素が宣言された順序で反復されるとは限らないため、特に順序に依存する操作には不適切です。

  2. 非配列要素の列挙:
    for...in はオブジェクトのすべての列挙可能なプロパティを反復します。これは、配列に追加されたカスタムプロパティや、配列のプロトタイプチェーンにあるプロパティも反復対象に含まれることを意味します。これにより、予期しない要素が処理される可能性があります。

  3. パフォーマンスの問題:
    for...in ループは配列の要素だけでなく、プロトタイプチェーン上のプロパティも検討するため、配列操作においては for ループや forEach メソッドなどに比べてパフォーマンスが低下することがあります。

  4. 追加のチェックが必要:
    for...in を配列で使用する場合、通常は hasOwnProperty メソッドを使って、反復されるプロパティが配列の独自のプロパティであることを確認する必要があります。これは余分な手間となり、コードの複雑性を増します。

代わりに推奨される方法

通常、配列操作には以下の方法が推奨されます

  • for ループ: 伝統的な for ループは、インデックスに基づいて配列を反復処理し、要素の順序を保証します。
  • forEach メソッド: このメソッドは配列の各要素に対して関数を実行し、配列のプロトタイプメソッドとして効率的に動作します。
  • for...of ループ: ES6で導入された for...of ループは、配列の要素を順序通りに反復処理し、読みやすく効率的なコードを書くことができます。

for...in ループは、主にオブジェクトのプロパティを反復処理するために設計されており、配列よりもオブジェクトの操作に適しています。

ジェネレータ関数を使う

/**
 * function*と宣言することで、ジェネレータ関数を定義できます。
 * https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/JavaScript/Reference/Statements/function*
 * @param arr
 */
function* enumerate(arr: any[]) {
  let index = 0;
  for (const element of arr) {
    yield [element, index++];
  }
}

const map = (
  arr: any[],
  fn: (value: any, index: number) => any
) => {
  const transformedArr = [];
  for (const [element, index] of enumerate(arr)) {
    transformedArr[index] = fn(element, index);
  }
  return transformedArr;
};

解説
ジェネレータ関数は、function*構文を使用して定義され、yieldキーワードを通じて値を一時的に返しつつ、関数の実行を中断し、後で再開できる特殊な関数です。この例では、enumerateジェネレータ関数は配列の各要素とそのインデックスをペアとして返します。このようなジェネレータは、配列を反復処理する際に、要素とインデックスの両方を簡単に取得できるため便利です。

使用例

  • 配列の各要素に対して関数を適用し、新しい配列にその結果を格納する場合。
  • 配列を反復処理する際に、要素だけでなくインデックスも同時に利用したい場合。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 単純な配列変換の場合:

    • 配列の各要素に対して単純な変換を行い、新しい配列を作成するだけの場合、mapメソッドの方が直感的でシンプルです。
  • パフォーマンスが極めて重要な場合:

    • ジェネレータは便利ですが、内部的な処理にはオーバーヘッドが伴います。大規模なデータセットやパフォーマンスが重要な場合は、より直接的な反復方法(例えば、通常のforループ)を検討する価値があります。

Array.fromメソッドを使う

const map = (arr: any[], fn: (value: any, index: number) => any) => Array.from(arr, fn);

解説
Array.from メソッドは、配列風のオブジェクト(例えば、arguments オブジェクトや NodeList オブジェクト)または反復可能なオブジェクト(例えば、MapSet オブジェクト、文字列など)から新しい、浅いコピーの Array インスタンスを作成します。第二引数としてマッピング関数を提供することで、元の要素を新しい形式に変換しながら新しい配列を生成できます。

使用例

  • 任意の反復可能なオブジェクトや配列風のオブジェクトから新しい配列を作成する場合。
  • 配列の各要素に関数を適用して新しい配列を作成する場合。

アンチパターン(使用しない方が良い場合)

  • 既に配列である場合:

    • 入力が既に配列の場合、Array.from を使う必要はありません。既存の配列に対して変換を適用するだけなら、map メソッドの方がシンプルで直感的です。
  • 複雑な変換処理を必要とする場合:

    • より複雑な変換処理や条件分岐が必要な場合、Array.from の単純なマッピング機能では不十分かもしれません。このような場合は、mapfilterreduce などの他の配列メソッドを組み合わせて使用する方が効果的です。

Array.from は、特に配列風のオブジェクトや反復可能なオブジェクトから配列を作成する際に非常に便利です。また、元のデータソースを変更せずに新しい配列を生成するため、非破壊的な操作を行いたい場合にも適しています。

まとめ

この記事では、JavaScriptにおける配列処理のための様々な手法を詳細に検討しました。これらの手法は、特定の状況や要件に合わせて選択されるべきであり、それぞれメリットとデメリットがあります。

ここまでの内容を要約したものが以下です。

  • コンテナを使用したforループインメモリ変換を使用したforループは、直接的な配列操作と高いパフォーマンスを発揮するが、読みやすさやコードの簡潔さでは劣る場合があります。
  • for...ofループは、配列や反復可能なオブジェクトのシンプルで直感的な反復処理に適していますが、パフォーマンスが重要な場合は慎重に使用する必要があります。
  • 高レベルのメソッドであるmapforEachreduceは、コードの可読性と簡潔さを高めますが、特定の処理には限界があります。
  • for...inループはオブジェクトのプロパティを反復処理するのに適していますが、配列操作には不向きです。
  • ジェネレータ関数は、複雑な反復ロジックや状態管理に有用ですが、コードの複雑さを増す可能性があります。
  • Array.fromメソッドは、配列風オブジェクトや反復可能なオブジェクトから新しい配列を簡単に作成するのに役立ちます。

ここまで一気に書いたので自分が理解出来てるか不安ではありますが、自分の書いたプログラムがしっかり説明できるように、適切な手法を選択できるように頑張りたいと思います。

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