コミュニティ経験
ユーザーコミュニティへの関わり
まずは、私が関わっているいるユーザーコミュニティについて紹介します。
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Japan Google Cloud User Group for Enterprise
通称 Jagu'e'r と呼ばれる Google Cloud の公式ユーザーコミュニティです。2022 年の 10 月に開催された Google Cloud Study Jam by Jagu'e'r という資格取得推進イベントに参加したのがきっかけでした。このイベントの最終結果発表イベントにも参加して、懇親会の際に「運営に興味ありますか?」と聞かれて飛び込んでみました。Jagu'e'r には複数の分科会が存在していて、その中の資格取得やコミュニティにフォーカスした分科会です。
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Google Cloud Community In NTT Group Enterprise
通称 GINGER と呼ばれる社内の Google Cloud ユーザーコミュニティです。2023 年の 4 月に私が発起人となり立ち上げました。現在も活動を続けており、定期的なイベントを開催しています。
これらの経験を経ての学びやつらみについて書いていきます。
初めてのユーザーコミュニティ
上述したイベントをきっかけに私のユーザーコミュニティとの関わりが始まりました。当時は、Google Cloud に関する技術力を高めたいという思いからネットサーフィンしていたところ、Jagu'e'r の存在を知ってイベントに参加することを決めました。
イベントに参加した時は、社外での活動にそこまでアクティブではなかったのですが、このイベントでは Jagu'e'r の slack で定期的に発信することを心がけていました。それ以前にコミュニティ形成について学ぶ機会があり、「参加者がアクティブに活動することはコミュニティにとっては嬉しいこと」ということを知っていたためでした。
継続的に slack で活動報告を発信していると、分科会の運営の方から「Slack 盛り上げ隊にならなりませんか?」とお声がけいただきました。決まった活動があるわけではなかったのですが、イベントを Slack の投稿で盛り上げるという役割を明示的に与えてもらいました。
そこから運営の一部の方と知り合えたり、イベントの結果最終報告会でパネルディスカッションで話す機会をもらえたりとただ参加するより一歩踏み込んだ活動ができました。
学び
継続的な発信は活動の幅を広げる。
この時はイベントを盛り上げたいという思いから発信を続けていましたが、結果として運営の方の目に止まり、そこから一歩踏み込んだ活動につながりました。
この経験から小さくても発信することを継続することを心がけることにしました。Google Cloud の技術情報を発信したり、技術ブログを執筆して発信してみたりと。その結果、イベントで登壇のお声がけをいただり、Google Cloud のブログキャンペーンで取り扱ってもらたりと、やはり何もアクションを起こさなかったら得ることのできない経験につながりました。
運営に飛び込んでみる
上述したイベントの懇親会にも参加してみました。その時に、Slack の盛り上げ隊長の声がけをしてくれた運営の方から「この分科会の運営に興味ありませんか?」とまたお声がけいただき、運営メンバーの一員となりました。
そこからはいくつかイベントの運営に携わりました。特に私自身が Jagu'e'r に携わるきっかけとなった Study Jam の運営は通常のイベントよりも考慮することが多かったり、イベント自体が 2 ヶ月間であることことから大変な部分が大きかったです。
イベント運営になると毎週の分科会定例に加えてイベント定例も必要となり、プライベートで割く時間も増えたりする一方で、どこか文化祭の準備に似たようなワクワク感を味わうことができます。準備に時間をかけた分だけイベントが成功した時の嬉しさ・達成感は大きく、また何かのイベント運営に関わりたいと思ってしまう所以だと思っています。
学び
コミュニティ運営のあるべき姿。
Jagu'e'r のデジタル・クラウド人材育成分科会の運営メンバーとなって感じていたのは、コミュニティ運営のあるべき姿を体現しているのでは?ということでした。当時で運営メンバーは 30 名を超えており、毎週の定例では 10 名以上が参加して、イベントについて議論を重ねている状況でした。また、定期的に新メンバーが加入していて、運営メンバーの新陳代謝も高いように感じました。
運営メンバーの意識が分科会を盛り上げたいという方向に向いていて、その一員としてイベントを盛り上げられているのはとても心地がよい経験でした。
自身でユーザーコミュニティを立ち上げる
Jagu'e'r の運営メンバーとして 3 ヶ月程度時間が経った時に、社内で Google Cloud のユーザーコミュニティを決意しました。理由は 2 つありました。
1 つは Google Cloud をもっと盛り上げたいと思っていたからです。当時ドコモの所属だったのですが、社内のクラウド利用比率は AWS が 7 割程度を占めており Google Cloud を利用している部署はそこまで多くなかったと思います。私自身 Google Cloud が好きだったことから、ノウハウ共有などをもっと盛んにしたいと思っていました。
もう 1 つは、0 からユーザーコミュニティを立ち上げる経験をしてみたかったからです。Jagu'e'r でコミュニティ運営やイベント開催をノウハウを学び、それを自分の手で活かしてみたいと思うようになってました。
この提案をグーグル・クラウド・ジャパン合同会社のみなさんは快く背中を押してくださり、オフィスの貸し出しやカスタマーエンジニアによる技術情報の調整など積極的に支援いただいています。
学び
人を巻き込む楽しさ。
コミュニティは 1 人では成り立ちません、コミュニティの思想に共感してくれるメンバー・Google Cloud が好きなメンバー・コミュニティに興味あるメンバー、そんな人たちが集まってコミュニティが成り立つと思っています。
0 から 1 にする創設期は、それまでの社内での Google Cloud に関する活動で知り合ったメンバーや支援をしてくれる Googler に声をかけてコミュニティを形成しました。人数は 15 名程度と多くはなかったですが、初めてのイベントを Google のオフィスで 1 ヶ月たらずで開催できた時はまずまずの充実感がありました。
Jagu'e'r と GINGER で学んで実践する
Jagu'e'r では自身が運営に携わるきっかけとなった Study Jam の 2023 年春開催である Google Cloud Study Jam by Jagu’e’r ~ ’23 spring ~ のコア運営となりました。
私自身にとっては思い出深い長期イベントであったため、思い切って運営に手を挙げました。リード 1 名 + サブ 2 名のコア運営メンバーとなって約 4 ヶ月ほど準備から開催までに取り組みました。特に考慮したのは、参加者がイベント開催中にいかに楽しむことができるかの仕組みづくりでした。詳細は記事に記載していますが、従来の資格取得ポイント制度に加えてもくもく会や勉強会などに参加してイベントを盛り上げてくれた方への貢献ポイント制度などコア運営で議論を重ねました。最後の結果報告イベントも多くの方に参加いただき、表彰や LT 会など良い締めめくりができました。
この間も GINGER の活動は続けていて、 1.5 ヶ月から 2 ヶ月に 1 回の頻度でハイブリッド開催中心のイベントを続けて 12 月に開催した年末イベントを含めて 6 回のイベントを開催していました。GINGER では、「Google Cloud のノウハウを学ぶ」「会社・部署を超えて交流する」「気軽な登壇の場とする」というコンセプトで運営をしていたので、当時で NTT ドコモと NTT コミュニケーションズのメンバーがごちゃまぜで約 30 名の方に登壇してもらっていたのはコンセプトを体現できていたのではと振り返りました。
学び
あるべき姿の学びと実践の繰り返し。
Jagu'e'r で運営のあるべき姿を学び、GINGER でその運営を実践することで毎回充実感と反省を得られていました。上述したコンセプトを実現するアプローチとして「ハイブリッドイベントを定期で開催する」に注力していたため、特に Jagu'e'r でのイベント準備・開催手法をそのまま GINGER でも実践してスムーズなイベント開催をできていたと思います。
1 から大きくしていく第一次発展期は、「コミュニティ常連メンバーにイベント運営を手伝ってもらう」「新規でオフライン参加してくれる人に LT してもらう」を意識して取り組んでいました。コミュニティを発展させる上で「常連メンバーによりコミュニティに深く関わってもらう」「新規メンバーに関わる機会を回す」ことが重要だと考えていたため、イベントを中心に実践していました。
ただ、初期に関わってくれたメンバーが全員年末イベントに参加してくれていたかというとそうでありませんでした。初期メンバーの 5~6 割に、新規メンバーが 4~5 割くらいの人数感だったと思います。当時は半分程度初期メンバーが離脱したことにもやもやしている一方で、新しいメンバーにも興味を持ってもらえていたので特に何か打ち手を考えることはありませんでした。
運営に行き詰まる
Jagu'e'r では継続的にイベント運営に携わっていましたが、自身が運営リードとなることはありませんでした。運営リードとはイベントのコア運営メンバーの中でも主導するメンバーを言います。なぜ運営リードに手を挙げなかったというと、自身が主導したいと思えるイベント案が思い浮かばなかったためです。
運営リードはイベントに思い入れがないと厳しいのかなーと先入観もありましたが、実際 3~4 ヶ月程度の期間をサブメンバーに手伝ってもらうわけなのでそれなりにモチベーションが湧くイベントでリードを務めたいと思っていました。
運営のサブメンバーとして携わったイベント
また、今年の初めにデジタル・クラウド人材育成分科会で仲良くなったメンバーから「SRE とオブザーバビリティにフォーカスした分科会を盛り上げたい、ぜひ手伝って欲しい」とお声がけいただき、新たに Observability(O11y)-SRE 分科会のオーナーとなり、Jagu'e'r での二足の草鞋が始まりました。
こちらはデジタル・クラウド人材育成分科会とは異なり運営 3 名 + Googler 1 名での体制で始まりました。ミニマムな体制 & 分科会の再建という責任感もあったので、人材育成分科会の運営とはまた違った気持ちで臨めて良い経験ができています。
- O11y-SRE 分科会 Meetup#6 開催!「SRE 怖くない ~ みんなで踏み出そう!SRE への第一歩 ~」
- O11y-SRE 分科会 Meetup#7 開催!「開発者に捧げる Site Reliability Engineering」
一方で、GINGER はというと運営に行き詰まっている部分がありました。具体的に言うと、「イベントのオフライン参加が増えない」「運営を手伝ってくれるメンバーがいない」「・・・」と言う点です。せっかくなので、それぞれを深ぼっていきたいと思います。
イベントのオフライン参加が増えない
上述したコンセプトの中でも「会社・部署を超えて交流する」というのを掲げていたため、オフライン参加の人数を重要視していました。立ち上げから年末イベントまでは徐々に増加傾向であったのですが、それから年度またいで現在と右肩上がりという風にはなりませんでした。
理由を考えてみると、2 つの仮説が思い浮かびました。
新規メンバーの参加が少ない
立ち上げから年末イベントにかけては常連メンバーなりえるメンバーを少しずつ増えていたったもののいつもイベントにオフライン参加できるわけではありませんでした。もちろん、業務ではないので強制するつもりは一切ありませんでした。また、常連メンバーとなってくれても異動や転職などで Google Cloud や会社から離れていってしまったということもありました。
一方で、新規メンバーはどうだったかという立ち上げから年末イベントにかけてはコミュニティを大きくしたいという思いもあったため Google Cloud に興味ありそうなメンバーがいれば DM で声がけする & ネタを持っていれば LT で登壇してもらうということを継続していました。しかし、今年の初めからは育休を取って時間空けてしまったり、運営を 1 人で回すしんどさを感じ始めたりとでこういった声がけすることが少なかったと思います。
常連メンバーと新規メンバーどちらとも大きく増えることがなかったため、結果的にイベントへのオフライン参加が増えないという状況になりました。