FLINT キーボード作ろうぜ!キットでつくる 物理 Raise 機構つき自作キーボード
この記事は、『キーボード #2 Advent Calendar 2020 の18日目』 です。
■ 皆さん、キーボード作ってますか?
最近はずいぶんと凝ったキーボードも多く、作るのが結構大変だったりするそうです。
中には、
- ありものを買って組み立てるのだとつまらない・・・
- でも基盤から作るとなると超大変・・・
のような悩みを抱えている方も居るのではないでしょうか。
『FLINT キーボード作ろうぜ!キット』 です。
■ そんな方にお勧めなのがこのキットの素晴らしいところは、スイッチと配線をつなぐだけでキーボードが完成する という点です。
FLINT キーボード作ろうぜ!キットに加えて、安い3Dプリンターやアクリル板の切り出しサービスさえあれば、簡単に自分の好きな形のキーボードを作ることが出来るんです。
私は3Dプリンターを使っていますので、
『こんな感じで設計して・・・』
『こんな感じで印刷して・・・』
『こんな感じで線をスイッチに直はんだして・・・』
『こんな感じで線をソケットに直はんだして・・・』
『こんな感じでキーを天板にはめて・・・』
『こんな感じでFLINTとつないで・・・』
はい完成!です。
ね、簡単でしょ?
■ しかしそんな FLINT キーボード作ろうぜ!キット にも弱点があります。
それは、
- Raise / Lower 機能がない
- 用意された複合キー(Ctrl+C, Ctrl+X, Ctrl+V など) に限りがある
という点です。
もしかすると、どちらも FLINT キーボード作ろうぜ!キット に使われているチップの HOLTEK HT82K629A の仕様書を読み解けば解決できるのかもしれませんが、少なくとも回路設計のカの字も知らない私には難しすぎる領域。
『みんなが Raise / Lower でわいわいしているのを指で眺めているのはもう嫌だ・・・』
という思いで、前者だけでも何とかしようと様々な方法を考えました。
分からない仕様書を一生懸命眺めて線をつないでみたり(動かない)・・・
切り替え回路についてググりまくってみたり(電子回路マジわからん)・・・
・・・?
■ 『リレーを利用した物理Raise機構』に辿り着く
リレーとは、電気を流すと回路を切り替えられる(雑) 電子部品のことです。
今回用意したのは2C回路の OMRON G6K-2P-Y-DC5V を4つと、それを付けるための基盤、丸ピンソケット、ワイヤ、ボタン電池2枚、電源分配用基板です。
これを使ってどうやってキーを切り替えられるようにするかというと・・・
こんな ↓ 感じです。
なにもしないと緑の回路が繋がっているので、キーを押すと "X" が入力されます。
Raise キーを押している間は青の回路を介してリレーに電気が流れ、右側の回路が緑色から水色に切り替わる ためキーを押すと "Y" が入力されます。
この回路を複数用意することで、用意した回路数分だけキーを切り替えられるようになります。
なおこの回路、手作業で作ると微妙に面倒なのですが、会社の先輩 @wing3298 さんがなんと一晩で基盤を作って発注までしてくれました。
持つべきものは神ですね。本当に感謝です。
電源の分配基盤を雑に用意したら、ささっと3Dプリンターで収納する箱を作って・・・
■ 無事、物理 Raise 付き右手用キーボード Palette が完成しました。
PCBなしの上下分割式の2パーツ + 脚パーツ + 物理Raise機構 + FLINT キーボード作ろうぜ!キット(内包) で構成されていて、ネジで上下を締結 します。
また 上下パーツの間に φ3mm 程度のシリコンチューブを挟む ことで衝撃の緩和を狙っています。
物理Raise機構 で、左下のオレンジのRaiseキーを押すと TNKR が ↑←↓→ に切り替わります。
他にも脚パーツの長さを変更することで高さや角度を変更可能です。
この PCBレス & 緩衝材付きの上下締結方式 に名前が付いているか分からなかったので、
大好きな自転車にあやかって『ダイレクトマウント』とでも呼ぶことにしようと思います。
※ もし名前が付いていたら教えてください。
配列は Eucalyn配列改 をベース として、スイッチは Hako Violet をメインに使用。
シリコンチューブのほんのりとした効果もあって、音や振動は前作の Ἰωνία (Ionia/イオニア ※↓)よりもいい感じに低減されているように思います。かなり好きな打ち心地です。
シリコンチューブの量や太さを変えていけば、より細かなカスタマイズも望めます。
渾身の二作目は、色物キーボードオブジイヤー() を自称する珠玉の一作となりました。
なおキーに空きがあるのは使いながら必要なキーを増やしていくためです。
(すでに持て余していますけども。左手用は沢山キーほしいけど、右手用はそうでもなかった。)
■ 暫く使ってみて..
・・・正直、矢印キーは独立の方が好みです
やはり Raise 機能は良いですね。
ホームポジションを動かさずに矢印キーを使えるのは魅力的です。
そして物理 Raise 機構つきの FLINT キーボード作ろうぜ!キット は、想像以上に仕事をしてくれています。
ボタン電池がどれくらい持つのかの計算方法すら知らずドキドキしながら作りましたが、2か月経っても今のところ動作しています。
FLINT キーボード作ろうぜ!キットには Raise / Lower 機能が存在しないため、採用するとキーの数が多くなってしまうこととが弱点でした。
しかしこんな簡単な回路を作るだけで作成の幅が大きく広がることが実証できました。
・・・控えめに言ってこれはもう無敵では?
■ おわりに
今回、初めて平面キーボードを作って気が付いたのは、自分は立体形状の方が好みだということです。
次はまた改めて立体キーボードにチャレンジする予定です。
いえ、、正しくはチャレンジ中です。
無理して矢印キーを作らなくて良いのであれば、親指が4本くらい必要になるレイアウトから脱却できるかもしれません。
ちなみに使ったリレー(G6K-2P-Y-DC5V) はひとつ600円以上と地味に高いのが悩みどころです。
(投げ銭ならぬ投げリレーが出来たらいいのに)
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