読書感想文「イシューからはじめよ」
概要
書籍「イシューからはじめよ」を読了しました。
読書感想文を書いてみます。
読もうと思った背景
スクラム開発を学ぶ上で優良な書籍として、何度か耳にしており、いつか読もうと思っていました。
そんな中、本屋さんをぶらぶらしているときに偶然目にして、そろそろ読もうと思い、読書に踏み切りました。
本文 概要
知的生産業の場合、投下したリソース(人、金、時間など)で、どれだけアウトプットを出せるかが重要となります。
プロフェッショナルともなるとアウトプットできれば何でも良いわけではなく、賃金に見合う、価値あるアウトプットが要求されます。
本書では、「価値あるアウトプット」の「価値」を、「イシュー度」と「解の質」の2軸から成る、と定義しています。
- イシュー度は、現状取り組んでいる問題に答えを出す必要性の高さ
- 解の質は、イシューに対する明確な解答の程度
「価値あるアウトプット」を出す道について、以下の二つを紹介しています。
- 「イシュー度」を上げてから、「解の質」を上げていく道
- => 重要度の高いイシューを洗い出し、重要度の高いイシューから取り組み、解の質を上げていく
- 「解の質」を上げてから「イシュー度」を上げていく道
- がむしゃらに、一心不乱にイシューに取り組む
「価値あるアウトプット」に繋がる仕事はほんのわずかであるため、
上記「1.」の道こそプロフェッショナルがなぞるべき道である...というのが、本書のスタンスです。
- 一方で、「2.」の、労働量によって「価値あるアウトプット」にたどり着く道は「犬の道」と称して、避けるべきだと説いている
- 「努力と根性でなんとかする」という、精神論の世界に近い道
そして、「「イシュー度」を上げてから、「解の質」を上げていく」という道について、一連のプロセスを詳しく解説しています。
- イシュー度を見極める様々な方法
- イシューを分析するための「ストーリーライン」作りと「絵コンテ」作り
- ストーリーライン : イシューの構造を明らかにし、サブイシューを洗い出すことが出来る
- 絵コンテ : ストーリーラインの各要素(≒サブイシュー)を絵と文字で表現し、分析方法に当たりをつけることが出来る
- ストーリーラインと絵コンテを基に、分析に着手する
- 分析結果を基に、伝えたいことをまとめる
これが、本書の大まかな内容です。
教訓・学び・感想
事前情報の通り、読んでいて、スクラムと重ねる場面が少なくありませんでした。
- イシューを見極める(≒問題を解く前に、見極める) => スプリント計画を行い、優先度の高いバックログを見繕う
- イシュー度を上げる => 優先順位の高いバックログから取り組んでいく
- サブイシューに分解してイシューの構造を明らかにする => 見積もりできるレベルまで、サブタスクに分解していく
全体的に、スクラムイベントにおける自分の活動を思い返し、考え直す機会を得ることが出来、いくつかの解答例も知ることが出来ました。
スクラム開発への理解を深めるにあたり、確かに本書は優良だと感じました。
イシューを見極めるために、問題および仮説を言葉にする...という手法について、思い当たる節は確かにありました。
チーム内で認識を合わせる(≒ズレさせない)ことを目的に、文字や図表を全員が目撃しながら議論する...という手法が効果的だったことです。
これらが効果的だったのも、「ビジュアル思考型」という考え方がよういんだったのだと、納得感がありました。
良いイシューの3条件は、バックログの切り出しにも通じる部分があるように感じました。
「良いイシューの3条件を満たせているか?」という問いは、バックログを切り出す際に有用そうです。
本書の最序盤に述べていた「「イシュー度」を上げてから、「解の質」を上げていく道」は、これまで読んできた様々なスクラム本や先輩たちから教わった考え方と共通している部分も多く、非常に共感できました。
同時に、ソフトウェアエンジニアとして活動する上で様々な活動・作業に適用でき、常に念頭に置いておきたい考え方だ...とも感じました。
一つの行動指針を得た気持ちです。
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