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GPU miner のためのヘッジ戦略

2022/07/17に公開

基本 HODL な GPU miner である.
暗号資産市場で時々起こる暴落, うまくヘッジして損失を減らしたい.
(2022/05 年に起きちゃったネ...)

ETH も L1 でやるには gas 代が高くて難しかったですが, L2 の発展でヘッジ取引もしやすくなってきた気がします. しかし流動性(TVL)はまだまだなかんじでしょうか.

ハッシュレートのヘッジ

ハッシュレートが上昇しているフェーズでは, miner のポジションは "short hash rate" [1], つまりハッシュレートをショート(売り)となる(自身のマイニングの性能が同一であった場合, 得られるコインの量が減る). この場合のヘッジのひとつは "long hash rate", つまりハッシュレートを買って得られるコインの枚数を増やす(手元の資金は減る), となる.

たとえば一日 1 GH/s で 1 ETH を掘れたとします. 次の日はネットワークの総ハッシュレートが倍となりしかし ETH の価値は同じで, 1 GH/s で 0.5 ETH しか掘れなかったとします.

ハッシュレートと ETH の売買(交換)とみなせば, miner は 1 Gh/s/day を売り(差し出して) 1 ETH を得, しかし次の日は  1 GH/s/day を売り 0.5 ETH を得たと考えることができます(つまり Gh/s/day の価値が低下).

この場合, ETH 建てから見ればハッシュレートの価値が低下しているため, ハッシュレートを買って ETH を得る(long hash rate)ことでヘッジができます. たとえば 1 GH/s/day @ 0.5 ETH のときに, miner の 1 GH/s/day と買った 1 GH/s/day で合計 2 GH/s/day で 1 ETH を得る.

ハッシュレートのマーケットプレイスは数個ありますが, 有名で取引量も多いところとしては nicehash でしょうか.

ただしこの買い付け原資を同じ ETH から賄ったり, 総ハッシュレートが増え続けていくがしかし ETH の価格が変わらないか下落する場合はヘッジで資産が目張りしていくことになると思いますので, 別のヘッジ戦略を考える必要があるでしょう.

伝統的な戦略

先物でショート

先物でショート. ただし爆上げされると死ぬのでロスカットのきちんとあるところか, オプションでヘッジするなりも必要.

最近は株式市場との連動も強くなってきている感があるので Nasdaq インデックス空売りという手もあるかもしれません.

FTX JP で BTC-PERP, ETH-PERP でパーペチュアル(無期限先物)が暗号資産を担保(証拠金)にしてでできるので, 日本国内の取引所で合法的にヘッジするのがやりやすくなりました. 2022/08 ごろから法人の口座の開設対応も始まっています.

また, FTX JP では FTX Earn(Staking 相当)と PERP は組み合わせできるようなので, 最大年利 5~8% で運用しつつ PERP の証拠金として使うのも手でしょうか.

put option 買い

相場上昇時や, 凪のときに暴落に備えて put option を買う. ただ日本居住者がアクセスできるものでは, あんまり流動性のある商品がありません.

たとえば eワラントで BTC, ETH レバレッジトラッカーがありますが, 手数料負けする + 流動性が極端に低いです...

暗号資産マーケットでのヘッジ戦略?

先物やオプションでヘッジ, 理解はしやすいですが, DeFi やスマートコントラクトの発達したマーケットでは, それに適したヘッジ戦略がありそうです!

掘ったコインをレンディングに回す

株式でいえば貸し株で日歩を稼ぐに相当. AAVE のようなプラットフォームでは利率はかなり低いが(たとえば ETH であれば 0.01 % くらいしかない). dydx や impermax などのようにトレーダーむけやレバレッジ取引用に資金提供であれば年利 5~8% にはなる(2022 年 1 月時点)

ただし利率の多いようなところではなにかしらリスクがあるので注意(セルシウスや Luna など)

ステーブルコインを掘る

電気代や GPU 代を引いてもプラスの状態であれば, unmineable でステーブルコインを掘るのも手でしょう. 貸出に回せば年利 10 % は狙えます.

ETH/USDC 流動性ペア運用

流動性ペアにすることで, ETH 上昇時のリターンは限定されますが, ETH 下落時でも資産の目張りをある程度防ぐことができます(理論上は sqrt の範囲. たとえば ETH が 1/10 になっても流動性ペアの価値は 1/3 に収まる).また fee がいくらか稼げます

相場に応じてマイニングするときに ETH とステーブルの割合を調整するのも手でしょう.

ストラテジーのトークンを買う

自前でヘッジのスクリプト書いたりが面倒な場合は, 出来合いのストラテジーのトークンを買う(or 売る)というのもあります.

Opyn の Squeeth

https://squeeth.opyn.co/

中期的に上昇が見込まれるが, 短期的には ETH が下落局面や暴落したときに, 堀った ETH を squeeth に変えて待つ, 相場が凪のときは squeeth 売りで日歩を稼ぐ(ただし売りの場合は価格急変だとロスカットのリスクあり)など.

あとは Phoenix finance で Matic ネットワーク対応で option かったり, レバレッジトークン(WBTC bear x 3 など)があります.

https://www.phx.finance/

しかし現状(2022/01/24) TVL は低いですし, これらはコントラクトのバグや rug pull などのリスクがあるため, なかなかはやっている感じはありません. 結局は Cex でのオプションや先物取引を使うのがいいのかもしれません.

GPU, マイニング関連の株を空売りする

NVDA とか...

掘らない

マイニングをやめる, 撤退するのも手でしょうか...

GPU レンタル

スポットで GPU を利用したいユーザに貸し出すのも手でしょうか.

ただし GeForce/TITAN は EULA で所有権もたないユーザはドライバインストールできないので, レンタルできないので注意!(もしくは Linux で OSS ドライバで Reclocking せずに使ってくれる奇特な?借り手を探すか). Tesla or A ブランド(A4000 など)であれば可.

税金

個人と法人では税金の取り扱いがことなりますので, 戦略も変わります.
基本的にはヘッジは法人でやるのがよさそうです!

References

脚注
  1. https://compassmining.io/education/hedging-strategies-for-bitcoin-cryptocurrency-miners/ ↩︎

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