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曖昧な品質を捉えるために(導入)

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序章: なぜソフトウェアエンジニアが品質を語るべきなのか?

ソフトウェア開発における品質は、単にテストケースの通過率や不具合の少なさだけで語れるものではありません。特に、自社プロダクトにおいては複数の機能や連携先、関係部門が複雑に絡むため、品質とは「ユーザーにとっての信頼性や一貫性」であり、それをどう担保していくかが問われます。

近年では、以下のような背景から、ソフトウェアエンジニアが品質に対してより主体的に関与する必要性が高まっています。

  • 開発・運用の境界が曖昧になり、品質を部門横断的に見る必要がある
  • 複雑な連携先(API、外部デバイス、他プロダクト)によってテスト容易性や再現性が低下しやすい
  • 開発完了=品質が担保されたとは言えない現実がある

これらの課題を解決するためには、従来の 「品質はQA部門が担保する」 という考え方から、以下のようなDevOps視点へのシフトが求められます。

  • 品質を「開発後の検査」ではなく「開発プロセス全体で作り込む」ものと捉える
  • チームや部門を横断して品質改善に関与する
  • 設計、実装、テスト、運用、フィードバックの各フェーズを一貫して意識する

DevOpsの文化において、品質は全員の責任とされており、その橋渡し役としてエンジニアが果たすべき役割は次のとおりです。

  • 設計段階での曖昧さの解消
  • テスト容易性・再現性を意識した実装支援
  • 運用時のモニタリング、エラーハンドリング設計への介入
  • 他部門との共通認識づくりと課題の持ち寄り

品質を高めるということは、単なるユニットテストの拡充や自動化による効率化といった個別の取り組みにとどまらず、プロダクトを取り巻く設計思想、開発フロー、運用プロセスの全体を設計し直す行為です。

このような全体設計の再構築には、次のような視点が求められます。

  • プロダクトの構造を理解する力
  • 開発チームの文化や実装方針に対する共感と調整力
  • 実際の運用現場の知見や制約への洞察
  • 単に品質向上を目的とするのではなく、組織の中で品質を育てる姿勢が必要です。

この変革を先導できる存在として、品質そのものを意識し、現場を深く理解したソフトウェアエンジニアが重要な役割を果たします。

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